異国文化に触れながら贅沢な暮らしを送ったり、壮大な自然に囲まれながらのんびりスローライフを楽しむ。そんな憧れを海外移住に抱いている人も多いのではないでしょうか。しかし、憧れだけで実現できるほど、海外移住は簡単ではありません。移住におすすめの国や海外での働き方を知って、海外移住の実現に一歩近づきましょう!
海外移住をするためにはどうすればいいの?
「ビザ」について正しく知っていますか?
「ビザ」とは、日本語で「査証」とも言われます。海外に長期間滞在するにあたって、必ず取得しなければならないものです。「渡航先の国から入国を許可された者」であることを示す証明書になります。パスポートと同じようなものだと勘違いされる場合もありますが、全く違うものです。
パスポートは、各国政府が国民に対して発行する「身分証明書」になるのです。海外に行く際に必ず必要となります。対してビザは、上でも説明した通り、渡航先の国から発行される「入国許可証」です。渡航目的によっては、取得を免除される場合もあります。ビザとパスポートは、発行元も発行目的も異なる全く別のものだということを、押さえておきましょう。
日本でビザを取得する場合は、日本にある各国の大使館・領事館で申請し、発給してもらいます。申請方法は国によって違うため、大使館や領事館に問い合わせて最新情報を入手するようにしましょう。ただし、国によっては、事前に通知することなくビザ取得の手続きが変更になる場合もあるので、注意が必要です。ビザには様々な種類があり、渡航目的によって取得するビザが異なります。どのようなビザがあるのか、具体的に見ていきましょう。
海外移住を考えているなら知っておきたい主な「ビザ」の種類
- 海外で働くなら取得が必須である「就労ビザ」
- 留学が目的なら「学生ビザ」
- 年金を貰っている退職者向けの「リタイアメントビザ」
- 比較的簡単に取得できる「観光ビザ」
海外で働くことを目的としたビザです。このビザがないと海外で働くことができないため、現地で就労する場合は必ず取得しなければなりません。なお、就労ビザの取得にあたっては、勤務先が決まっていることが条件になります。まずは、海外企業から内定をもらい、その後就労ビザを申請・取得します。多くの場合、内定先企業が就労ビザの取得をサポートしてくれます。
海外の大学や語学学校などに留学することを目的としたビザです。短期留学でも学生ビザを必要とする国もあれば、長期留学の場合のみ必要とする国もあります。学生ビザの要・不要については頻繁に変更されるので、必ず留学先の国の大使館などで確認するようにしましょう。学生ビザでの就労については、禁止されている国もあれば、「月に何時間まで」といったように条件付きで許可している国もあります。
退職して年金を受給している人を対象に、リタイアメントビザを発給している国があります。発給条件は国によってさまざまです。一定額の預金があることを条件に発給する国や、年齢制限なく発給する国などがあります。なお、原則として現地での就労は認められていません。リタイアメントビザは、「経済的に余裕があり仕事をしなくても生活していける外国人を受け入れること」を基本方針としているからです。働く場合は別途、労働許可の取得が必要です。
観光を目的としたビザです。近年では、観光目的であればビザ不要とする国も増えてきています。しかし、2018年1月現在で、ロシア・インド・ブラジルなどは観光ビザの取得が必要となります。
海外移住を実現させるための4つの方法について
では、実際に海外で生活していくにはどうしたらいいのでしょうか。主な方法を4つご紹介します。
- 海外で働きながら生活する
- 海外留学をする
- 海外ボランティアに参加する
- リタイアメントビザを取得して移住する
安定した生活を送るためには、しっかりとした収入源を確保することが重要です。これは、日本での生活に限らず、海外で生活する場合にも同じことが言えます。海外で働くには、「現地採用」や「海外駐在」など、いくつか方法があります。それぞれの働き方については、後ほど詳しく説明していくので目を通してみてください。
海外留学は大学生がするもの、というイメージがありますが、近年では海外留学をする社会人も増えてきています。社会人が留学をする場合、1週間程度の休暇を利用して行く「短期留学」から、長期休暇や休職制度を利用して行く「長期留学」など、様々なプランがあります。会社を退職してから留学する方もいます。
学生ビザでの滞在は、学生期間中のみに限られてしまいます。しかし、本格的な移住前の下見として、まずは留学中に現地での生活を体験してみるというのも一つの方法でしょう。また、学生ビザの有効期間が切れる前に現地で働き先が見つかれば、就労ビザの取得に繋がる可能性もあります。退職後に留学する場合などは、就職を視野に入れた留学を考えてみてもいいかもしれません。
JICAなどが実施する海外ボランティアに参加する方法です。例えば、青年海外協力隊の場合、応募時の年齢が20~39歳までと制限はありますが、原則2年間海外で生活することができます。ボランティアというと無給のイメージですが、現地生活費や住居費などが、JICAの規程に基づき支給されます。「自分の持っている知識や技術・経験を、開発途上国の人々のために生かしたい」という強い想いがある人は、参考にしてみてください。
老後に海外移住をする場合、理想的なのがリタイアメントビザを取得して移住する方法です。リタイアメントビザの発給方法は国によって異なりますが、割と簡単に取得することができると言われています。移住前に、日本で年金受け取りの手続きを済ませておきましょう。日本よりも物価の安い国に移住すれば、年金だけで十分余裕のある生活を送ることができるかもしれません。
現地で働くにはどうすればいい?海外移住ができる仕事とは
上でも説明したように、海外で安定した生活を送るためには、仕事を見つけることが必須です。ここでは、海外で仕事を得るための4つの方法をご紹介します。
海外企業に就職する
いわゆる「現地採用」で働く方法です。海外企業と直接雇用契約を結びます。現地に赴いて就職活動する場合はもちろん、日本に住みながら就職活動を行う場合でも、直接海外企業と雇用契約を結ぶのであれば「現地採用」と呼びます。日本で就職活動する場合と、現地で就職活動する場合には、それぞれ以下のような方法があります。
- 日本で就職活動する場合
- 現地で就職活動をする場合
海外就職に強い転職エージェントに登録することをおすすめします。転職エージェントは、「海外就職をサポートするプロ」です。自分の希望を伝えておけば、待遇の良い求人情報をいち早く紹介してもらうことができます。また、英文履歴書の添削や、英語での面接対策なども行ってくれます。転職エージェントをうまく活用することで、海外就職の成功率がぐっと上がるのです。このほか、海外の人材紹介会社への登録や、企業に直接応募する方法などもあります。
現地での転職活動でよく使われる方法は、観光ビザ、あるいはノービザで短期滞在として入国し、滞在期間中に転職活動をする方法です。晴れて海外企業から内定が貰えた場合は、雇用条件を確認後、就労ビザを申請・取得します。滞在費などはかかりますが、現地で就職活動を行なった方が、面接の際にすぐ対応できるなど柔軟に動くことができます。金銭的に余裕がある場合は、現地で就職活動を行なうことも視野に入れてみてください。
いずれにせよ、海外で働くためには、英語でのコミュニケーションスキルはもちろん、高度な専門性を持っていることなどが必須です。日本における新卒採用では、応募者のポテンシャルを評価して採用を行ないますが、海外では「実力」がすべてです。自分を採用することのメリットをしっかりと提示する必要があるのです。
日本企業に就職して海外赴任する
いわゆる「海外駐在」として働く方法です。海外勤務のある企業に就職し、2~3年国内で働いた後に、海外支社に派遣されるのが一般的です。ただし、赴任先や赴任期間は会社が決めることになるので、自分の意向に沿うかよく検討する必要があります。
フリーランスとして働く
パソコンとネット環境があればできる仕事の場合は、フリーランスとして、海外でも日本と同じように働くことができます。代表的なものとして、WEBデザイナーやプログラマーなど、ITスキルを必要とする仕事が挙げられます。
ワーキングホリデー制度を利用する
18~30歳までの人であれば、ワーキングホリデー制度を活用できます。ワーキングホリデー制度は、その国の文化や生活様式を理解するために設けられた制度です。ワーキングホリデービザを使い、日本とワーキングホリデー協定を結んだ国に1~2年間滞在することができます。滞在中には、観光だけではなく、生活費を補うために働くことや、学校に通うことも許可されています。
海外移住しやすいのはここ!おすすめの国をランキングで紹介!
移住先として人気のある国をランキング形式でご紹介します。それぞれの国で暮らすメリット・デメリットをしっかり押さえて、移住先を決める参考にしてみてください。
【1位】マレーシア
マレーシアは定番の移住先で、その魅力は「住みやすさ」と「物価の安さ」にあります。マレーシアに住むメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
■気候が温暖
■比較的治安が良い
■食事の心配がいらない
■衛生状態が良く医療レベルも高い
■物価が安い
マレーシアの気候は、日本のような四季の変化があまりなく、一年中南国らしい温暖な気候です。東南アジアの中では治安が安定している方なので、比較的安心して生活することができます。また、食べ物が合うかどうかは、海外生活においてとても重要ですよね。マレーシアは多民族国家ですので、マレー系・中国系・インド系をはじめ、タイ料理店や日本食料理店が数多くあります。衛生状態も良いため、風土病や伝染病の心配もほとんどありません。医療に関しても、日本と遜色ないレベルです。
物価は近年上昇傾向にあるものの、家賃などを含めた生活費は日本の約半分に収まる場合もあります。
デメリットとしては、乾季に大気汚染が発生すること、タクシーのぼったくりが多いこと、交通事故が多いことなどが挙げられます。
マレーシアでは、90日未満の滞在であればビザが免除されます。長期間滞在する場合は、「MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)」というビザを取得するのが一般的です。このビザによって、最大で10年間の滞在が認められ、自由に出入国することができます。
【2位】タイ
タイは、日本人が快適に生活できる国として人気があります。タイに住むメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
■交通の便が充実している
■日系企業が多い
■日本の食品を扱っているスーパーや日本食レストランが多い
■日本人向けのサービスが多い
■物価が安い
■比較的治安が良い
■最先端の医療レベル
首都のバンコクでは、高架鉄道や地下鉄などが充実しており、移動手段は日本と同じくらい発達しています。また、日系企業も進出しており、日本食レストランも多いため、海外に住みながら馴染みのある生活を送ることができます。物価も安いため、日本と比べると贅沢に過ごすことも可能です。軽犯罪はあるものの、治安も比較的安定しています。また、医療水準も非常に高いことで知られていおり、日本語対応可能な病院も多くあります。
デメリットとしては、夜の繁華街を中心に麻薬犯罪が多いこと、雨季には道路が冠水し渋滞が発生しやすいこと、交通事故が多いことなどが挙げられます。
タイでは、30日以内の滞在の場合はビザが免除されます。タイにおけるビザの取得は厳しくなりつつありますが、それでも他の国と比べると取得しやすい方です。最も簡単に取得できる観光ビザでは、最大で60日間の滞在が認められています。長期滞在する場合は、リタイアメントビザなどがあります。
【3位】フィリピン
フィリピンは留学先としても人気が高く、平均年齢も若いため今後さらに成長が期待される国です。フィリピンに住むメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
■長期滞在を目的としたビザが取得しやすい
■大都市の医療レベルが高い
■物価が安い
フィリピンの長期滞在向けのビザは、他の国と比べて取得のハードルが低く設定されています。特別居住退職者ビザという種類で、通称SRRVと呼ばれるビザです。滞在日数に制限がないため、永住権のような扱いになります。フィリピンの医療レベルは地域によって差がありますが、マニラやセブなどの大都市においては、日本と同水準の医療サービスが受けられます。まだまだ成長段階にある国のため、物価が日本と比べてかなり安いです。
デメリットとしては、治安があまり良くないこと、台風が多いこと、医療費が高いこと、感染症に気を付ける必要があることなどが挙げられます。
【4位】インドネシア
独自の文化が日本でも人気のバリ島をはじめ、インドネシアには多くの日本人が暮らしています。インドネシアに住むメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
■物価が安い
■気候が温暖
■美しい自然が多い
■現地の日本人同士で情報交換がしやすい
■大都市の医療レベルが高い
インドネシアの物価は徐々に上がってきていますが、まだまだ安い方です。低予算でプール付きの賃貸物件を借りることも可能です。温暖な気候や、美しい自然が数多く存在していることも、人気の理由の一つなのです。日本人会の数も多いので、現地で日本人同士の情報交換がしやすいのも特徴として挙げられるでしょう。また、ジャカルタやバリ島といった大都市では、医療レベルも高水準なので安心です。
デメリットとしては、自然に囲まれているため爬虫類や両生類が多いこと、湿度が高いことなどが挙げられます。
インドネシアでは現在、観光を目的としており、かつ指定国際空海港から入国した場合に限って、ビザ不要で最大30日まで滞在可能となっています。30日より長く滞在する場合は、目的に応じたビザを取得するとともに、現地で居住許可証の取得が必要になります。
【5位】カナダ
カナダの魅力は、大都市の利便性と大自然の癒しを両方とも堪能できる点にあります。カナダに住むメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
■広大な自然と都市が融合している
■夏の気候が快適
■大都市では日本食レストランが多い
■治安が良い
■子育てしやすい
■人権や福祉に対する意識が高い
カナダには、ナイアガラの滝やロッキー山脈といった有名な自然が数多くあります。その一方で、世界的にもトップクラスと言える大都市がいくつもあり、都市と自然が絶妙に融合された国であると言えるでしょう。カナダは、多くの地域から積極的に移住者を受け入れていたこともあり、国籍や人種に対して平等です。また、公共の場にバリアフリーを採用しているなど、社会全体として人権や福祉に対する意識が強いことが伺えます。治安がよく子育てしやすいのもポイントです。
デメリットとしては、冬が長く寒さが厳しいこと、医療制度が日本と異なるので慣れるまでは不便であることなどが挙げられます。
カナダでは、ビザなしの入国の場合でも、最大6か月の滞在が許可されています。他の国で用意されているリタイアメントビザなどはないため、長期滞在する場合は就労ビザやワーキングホリデービザなどを活用することになります。
海外移住にはどのくらいの費用がかかるの?
海外に移住のために必要な費用としては、ビザ取得費用や渡航にかかる費用、現地での生活費などがあります。各々の費用がどのくらいかかるのかは、渡航する国によってさまざまです。
例えば、移住先として最も人気のあるマレーシアでは、節約すれば月約10万円で生活することが可能です。プール付き・警備付きのコンドミニアムに住む場合でも、月約15~20万円ほどの生活費で収まります。物価や人件費が安い東南アジアの国であれば、月20万もあれば、日本よりも贅沢な生活を送ることができる場合が多いでしょう。
海外移住を成功させるポイントは4つ!
海外移住を実現するにあたって大事なのは、ビザの取得や仕事探しだけではありません。海外移住を成功に導くための4つのポイントを解説していきます。
英語は必ずマスターしよう
海外で生活していくにあたって、避けて通れないのが「英語」です。英語でコミュニケーションが取れることは、海外移住の成功を左右する重要なポイントとなります。
英語ができないと、地域のコミュニティに馴染めなかったり、就職先を探すのに苦労する場合が多いです。英語ができないために、早々に海外移住生活を諦めて帰国してしまう人も少なくありません。
よく、「海外に行けば自然と英語が喋れるようになる」と思われることが多いですが、そんなことは決してありません!海外移住を本気で考えている人は、移住前からしっかりと英語を勉強し、日常会話レベルの英語力は最低限身に付けておくようにしましょう。
仕事のスキルを磨いておく努力は必須!
海外企業で働くにしてもフリーランスで働くにしても、自分のスキルや専門性を磨いておく努力は必要です。とくに、海外は日本と違って「実力主義社会」です。スキルがなければ当然仕事の幅は狭まりますし、収入の良い仕事もなかなか得られません。一方で、高い専門性や技術を持っていれば、性別や年齢を問わず雇ってもらえます。海外移住後はもちろんのこと、移住前から、自分の専門性やスキルを向上させる努力をすることが重要です。
移住先の下調べをしっかりと!ネガティブな側面にも目を向けよう
移住先の下調べを十分にしておかなかったために、せっかく移住しても、「こんなはずじゃなかった」と帰国してしまう人がいます。どんな国であっても、良い面・悪い面は必ずあります。観光で訪れる場合には、その国の魅力的な部分だけを見て過ごすこともできますが、いざ実際に生活するとなれば、ネガティブな側面にも目を向けなければなりません。
例えば、カナダは「夏場は快適に過ごせるけど冬は極寒」、香港であれば「税金は安いけど物価が高い」といった具合に、メリットとデメリットの両方をしっかりと把握することが重要です。その上で、デメリットに関しては、妥協できるかどうかを慎重に判断しましょう。
治安の良い国でも防犯は常に意識しておく
海外で生活する場合、犯罪に巻き込まれることのないように気をつけることが重要です。日本は世界的に見るとかなり治安の良い国です。比較的治安が良いと言われている国であっても、日本の治安水準と比べると劣る場合が多いです。そのため、日本と同じような感覚で生活していると、思わぬ犯罪に巻き込まれて、海外生活を断念せざるを得ない状況になってしまう可能性があります。
例えば、移住先にもよりますが、日本人は詐欺のターゲットになりやすいと言われています。詐欺被害に遭って資金のほとんどを失ってしまうと、海外での生活ができず帰国せざるを得ない状況に陥る場合があるのです。ほかにも、ブランド品を持ち歩かないようにしたり、夜に一人で出歩かないなど、防犯を常に意識しておくことが重要です。
海外移住のメリット・デメリットをしっかり考えよう!
海外移住を実現させるために必要なことは、現地での生活を具体的に想定した準備です。思いつきで行動しただけでは、海外移住を実現させることは難しいでしょう。まずは、海外移住の目的をはっきりさせるとともに、さまざまな観点から、移住のメリット・デメリットを考えてみることから始めましょう。