病児保育士になるには資格が必要?ドラマで注目を浴びた仕事内容とその大変なところとは

「子どもが熱を出してしまった!今日は仕事を休めないのに…」と困ったことはありませんか?そんな働くお父さん・お母さんの強い味方となってくれるのが、ドラマ「37.5℃の涙」で注目された「病児保育士」です。病児保育士とは、一体どんなお仕事なのかお話します。

病児保育士とは

子どもが風邪や病気になってしまった時、仕事を休めなかったり用事があって子どもを見ることができない保護者に代わってお世話をするのが病児保育士です。

風邪や感染症にかかっている子どもを保育する仕事

基本的に37.5℃以上の熱があると保育園に子どもを預けることができません。登園しても熱が出てしまうとすぐにお迎えに行かなければいけませんし、インフルエンザや胃腸炎などの感染症で出席停止になってしまうと数日間仕事に行けなくなってしまいますよね。子どもが発熱や風邪、インフルエンザなどの感染症になってしまい、仕事に行きたくても行けない保護者に代わって、子どものお世話や投薬、看病などをするのが病児保育士の主な仕事です。

  • ドラマ「37.5℃の涙」で話題になった
  • 「37.5℃の涙」というドラマをご存知ですか?このドラマの主人公の職業が病児保育士でした。これをきっかけに、病児保育士の認知度が高まり、世間から注目されるようになりました。

病児保育士の働きかた

病児保育士には「施設型」と「訪問型」の2つの働き方があります。

  • 施設型
  • 病院や保育園に併設された施設(病児保育室)で、病気の子どもを預かるタイプを施設型といいます。また、施設型には「病児対応型」と「病児後対応型」の2つのタイプがあります。「病児対応型」は病院に併設されていることが多く、症状が重くても預けることが可能です。病院ですので、子どもの体調が急変したときでも、すぐに対応することができます。

    「病児後対応型」は、普通の保育園の一室を病児後専門のお部屋として併設されていることが多いです。比較的症状の軽い子を預かります。(様子が急変する心配はないが、病み上がりの子や退院したばかりで様子をみたほうがいい子など)子ども達がゆったりと過ごせるように、室内で絵本を読んだりおもちゃで遊んだりと落ち着いて1日を過ごします。

  • 訪問型
  • 病児保育士が自宅に直接訪問し、子どものお世話をするのが訪問型です。「37.5℃の涙」は訪問型の病児保育士をテーマにしています。自宅で過ごすため、子どもにとって落ち着いた環境でケアをすることができます。

病児保育士の仕事内容

病児保育施設では、病気が早く治るように看護ケアや保育をしていき、子どもの体調を管理します。そのため、外で遊ぶことや遠足などの行事はなく、お部屋で好きなおもちゃで遊んだりDVDを見たりしてゆったりと過ごします。時間を見ながら検温・体調チェックをしたり、病院へ診察へ行くこともあります。そして、服薬のサポートや、治療に対する不安や恐怖を和らげて安心させてあげることも、病児保育士の大切な役割です。

病児保育士として働くメリット

病児保育士ですが、実は求人をかけると応募が殺到してしまうぐらい人気があるのです。病児保育士はなぜ人気があるのかを大きく3つに分けて紹介します。

基本的に土日・祝日が休み

病院や保育園に併設されているため、土日や祝日はお休みです。カレンダー通りに生活ができるので、予定をたてやすいです。

行事がほとんどなく残業も少ない

子どもの病気を治すことがメインなので、運動会や遠足、発表会などの行事がほとんどありません。普通の保育園だと、行事の準備に追われて残業することがありますが、病児保育士は行事やその準備が無いので比較的残業は少ないです。

体力に自信が無くても働きやすい

外遊びやお散歩・行事がなく1日の大半を、お部屋でおもちゃで遊んだり絵本を読んだりしてゆったりと過ごします。激しい運動がないため、体力に自信がない人や主婦の方でも働きやすいです。

病児保育士の大変なところ

働きやすい病児保育士ですが、もちろん大変なこともあります。大きく3つに分けて紹介します。

常に感染症にかかるリスクがある

病児保育士がお世話する子どもたちの病気は様々です。インフルエンザや感染性胃腸炎、手足口病、おたふくなど大人でも常に感染するリスクが伴います。予防接種や手洗いうがいなどの感染予防、体調管理を怠ることができません。また、もらってしまったインフルエンザなどの感染症を自分の子どもや家族にうつしてしまう心配もあるので、注意が必要です。

命に関わるためプレッシャーが大きい

子どもは病気の治りが早いですが、逆に悪化するのも早いです。そのため、常に目を離すことはできず、注意して見たり体調の変化にはすぐに気づく必要があります。容態が急変すると命に関わることもあるので、そのような場合は適切な対応をしなければならないため責任は大きいです。

預かる子どもが毎日変わる

元気になれば普通の保育園へ登園し、また別の病気になった子が病児保育施設に来るので毎日預かる子どもが変わります。特に訪問型の病児保育士は、毎日保育する子どもと勤務する場所が違うので、気疲れしてしまうこともあったり下準備が欠かせません。

病児保育士になるには

病気になってしまった子ども達の看病をする病児保育士ですが、病児保育士になるにはどのような資格が必要なのでしょうか?

特別な資格はいらない!?

実は病児保育士になるために、必要な国家資格は特に必要ないのです。病気の子や病み上がりの子の預かって仕事をする人のことを総称して「病児保育士」と呼んでいます。現在、病児保育士として働く人の持つ資格は保育士、看護師、医師などさまざまです。また、実際に働く場合は保育士資格を持っていると、役に立ち採用もされやすいでしょう。

認定病児保育スペシャリストとは

病児保育士になるには、「認定病児保育スペシャリスト」と「認定病児保育専門士」という資格を取得しておくと、病児保育のプロと証明できるため就活を有利に進めることができます。中でも「認定病児保育スペシャリスト」とは、日本病児保育協会が認定する病児保育のプロだと示す資格です。

  • 認定病児保育スペシャリストを取得するには

認定病児保育スペシャリストを取得するには、18歳以上であることが条件です。そして下記のことを行なうと資格を取得できます。

■13回のweb講座を受講する
■1次試験を合格する
■24時間以上の病児保育施設での実習
■認定試験を合格する

受講費用は約65,000円で、平均して1ヵ月~2ヵ月で取得が可能であり、働きながらでも取得しやすいことが特徴です。

認定病児保育専門士とは

認定病児保育スペシャリストと認定病児保育専門士とでは、どんな違いがあるのでしょうか?
認定病児保育専門士は、病児保育の専門性を高めたり看護の技術を磨き、病児保育を通して子育て支援をする保育士や看護師を指します。高い専門性を求められる資格です。また、資格の受験資格に違いがあります。18歳以上なら誰でも受験できる認定病児保育スペシャリストとはちがい、認定病児保育専門士は誰でも受験できるというわけではありません。

認定病児保育専門士は実務経験が必要なので、資格を取得するのであれば認定病児保育スペシャリストのほうをおすすめします。受講者も近年増加しており、保育関係の就職を目指す学生やベビーシッター、子育て経験のある主婦の方などいろんな人が受講しているとともに、年齢層も20代~50代と幅広いのです。

  • 認定病児保育専門士を取得するには

認定病児保育専門士になるには、まず下記のことが必要です。

■病児・病後児保育室で働く保育士、看護師であること
■全国病児保育協議会加盟施設で2年以上、常勤として働いた経験があること
■施設長から所定の「施設長推薦状」を受けられること
■認定講座を全て受講する

さらに面接や研修会への参加、レポートの提出があるなど、資格を取得するには長い道のりになりそうです。費用は資格研修認定会費用と認定料で約35,000円かかります。

病児保育士の求人

病児保育士の求人や気になるお給料はどのぐらいなのでしょうか?

求人は少ないが人気がある

病児保育士の求人は少ないのが現状です。ですが、募集をかけると応募が殺到してあっという間に募集が終わってしまうことがあるぐらい、病児保育士は人気です。その理由は上記でお話した、土日休みで残業が少ないことや体力に自信がなくても働きやすいことがあげられます。特に医療法人(病院内の保育室)であれば、福利厚生が充実していたりお給料が高いので女性には大変魅力的な職業なのです。ライバルが多いので、病児保育士として働きたい方は、求人サイトを常にチェックする必要があります。

病児保育士のお給料

病児保育士のお給料は正社員であれば約20万円、パートなら時給1,000円です。保育園で働く保育士とそれほど差はありませんが、若干病児保育士のほうが高いです。また、医療法人が運営する職場ならお給料が少し高くなったり、持ってる資格(保育士、看護師、医師など)や施設型・訪問型でお給料が変わることもあります。

病児保育士のニーズは拡大中

共働き家庭の増加によって、病児保育士のニーズは上昇中です。「今日の仕事は休めないのに、子どもが熱を出してしまって休まないといけない…」「病み上がりだから家で様子を見たいけど、仕事に行かなきゃ」と、子どもの病気と仕事のことで複雑な思いを抱える保護者は多いのです。保育園に登園させても、熱が上がってしまいお迎えの連絡がくると、「かわいそうなことをした」とネガティブになってしまうことも。

そんな保護者のピンチを助けるのが病児保育士で、重要な役割を担っていると言えます。辛そうにしていた子が段々と元気になっていく姿を見たり、お母さんたちから「ありがとうございました」と言ってもらえたりとやりがいを感じることができるでしょう。病児保育に興味のある保育士さんや看護師さん、子育て経験のある主婦の方も、ぜひ病児保育士に注目してみてください。

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