盲導犬訓練士になるにはどうすればいい?人と犬をつなげる大事な橋渡しその役割について

街中や電車の中で盲導犬に出会ったことはありますか?盲導犬は視覚に障害がある方のサポートをする補助犬のことです。視覚障害者と一緒に行動し、安全に生活できるよう誘導する働きをします。今回はその盲導犬を訓練する「盲導犬訓練士」の仕事について解説いたします。

盲導犬訓練士の仕事とは

盲導犬訓練士の仕事内容はどんなこと?

盲導犬訓練士の仕事は、犬を訓練して盲導犬に育てることです。そして、盲導犬の力を必要とする人との歩行訓練を行い、目の不自由な方に盲導犬への指示の出し方や一緒に暮らすために必要なルールなども指導します。そして、盲導犬を育てるだけではなく、訓練犬の世話も仕事の一つです。また、盲導犬を必要とする人からの問い合わせやフォローなどもします。盲導犬として訓練をしていく中で、盲導犬に向かない犬や盲導犬を引退した犬のオーナーを探すこともします。

盲導犬訓練士の1日を見てみましょう

時間帯仕事内容
朝出勤訓練犬の世話をする。餌をあげ、トイレ掃除、散歩をする。その後、朝礼をして前の日の申し送りや情報を共有し、1日のスケジュールの確認をします。午前中は訓練犬のトレーニングをします。
昼休憩訓練士が昼休みを取ります。訓練は体力を使う他、気を張って仕事をしているのでしっかり休んで午後に備えましょう。
午後の訓練昼休みが終わったら、午後の訓練が始まります。合間にユーザーさんからの電話連絡や、日によってはユーザーさんの歩行訓練を行うこともあります。
勤務終了訓練が終わったら、犬の世話をして犬舎や訓練所の掃除をします。事務作業を終えて勤務終了となります。

盲導犬訓練士の給料はいくらくらい?

盲導犬訓練士の給料は協会によって異なりますが、平均で月収20万円程です。年収は200万円~300万円程が平均です。給料は決して多いとは言えませんが、自分がトレーニングした盲導犬が人の役に立つのを目にした時に、やりがいを感じることができる仕事です。

盲導犬訓練士に向いている人はこんな人

  • 目の病気に関する知識を持っている
  • 盲導犬訓練士は、盲導犬に対して訓練をするために、視覚に障害がある人のことも理解していなければなりません。目が消えない人がどのような生活をしているのか、生活の中でどんなところに不便を感じるのか、心理的なところも理解していないと盲導犬を訓練できません。盲導犬訓練士は、犬の訓練だけでなく医学的な知識も必要なのです。

  • 犬と人とのコミュニケーションがうまくとれる
  • 盲導犬訓練士は、犬だけでなく人とのコミュニケーションがうまく取れる人が向いていると言えます。盲導犬のユーザーさんは幅広い年代の人がいます。自分よりもずっと年上の人もいれば、年下の人もいます。どんな世代の人にも盲導犬との関わり方を伝え、悩みを聞き出すなどのコミュニケーションを取り、安全に盲導犬と過ごしてもらうことが大事です。

  • 根気よく訓練できる人
  • 盲導犬訓練士は、犬と人の命を守るために盲導犬訓練をしなければなりません。犬が盲導犬になるためには、根気よく地道な訓練をする必要があります。何度も失敗し、繰り返すことでできるようになることもあります。一つひとつの訓練を焦らず重ねることで、立派な盲導犬に成長します。

  • 見極める能力
  • 盲導犬の訓練期間は約1年ほどです。およそ1年間の訓練でその犬が盲導犬に向いているか見極めなければなりません。犬の性格や行動によっては、盲導犬に向かない場合もありますので、訓練の中でそれを見極める必要があるのです。

盲導犬訓練士になるにはどうしたらいいの?

動物行動学が学べる大学で学ぶ

盲導犬訓練士になるための学科はありません。ですので、大学で学んで盲導犬訓練士になれるという方法はないのです。ただ、盲導犬を訓練するためには犬の行動や生態について知ることは大切なことです。その知識を得るために、犬の身体の仕組みや行動などを学べる学部で勉強をすることは有意義なことと言えます。

訓練士の学科がある専門学校で学ぶ

犬の訓練士になるための専門学校で指導の仕方が学べます。専門学校の場合は、犬の行動やしつけ方などを専門的に学べて、実際に訓練する現場で実習ができる学校もあります。

盲導犬訓練士訓練学校で学ぶ

盲導犬訓練士になるためには盲導犬協会の職員になる必要があります。盲導犬協会認定の施設職員になって、専門的な教育を受けます。はじめはインターンシップのような活動を始めて、その職業が自分に合っているかを体験することからスタートします。

訓練学校で学ぶ項目は、「障害者福祉論」「障害者心理」「視覚障害リハビリテーション」「衛生学」「犬行動学」「繁殖学」「盲導犬事業論」などがあります。実習が多く、午前と午後行ってその合間に座学を受けるようになります。訓練の実習では訓練犬1頭を、訓練士候補生一人が担当して担当職員の指導のもと行われます。盲導犬基礎科は2年、訓練専修科は基礎科を卒業してから1年間勉強して修了します。

盲導犬訓練士として働くために

盲導犬訓練士協会などに就職する

盲導犬訓練士になるためには、まずは盲導犬育成団体の職員にならなければなりません。しかし、盲導犬育成団体に就職できたとしても、すぐに盲導犬訓練士になれるわけではなく、研修生として3年間、盲導犬や視覚障害者に関わることについて学びます。盲導犬についての知識、訓練技術などが水準に達することができたら盲導犬訓練士になることがでるのです。そして、さらに2年間の実務を経験して専門の知識や訓練技術が向上し、経験を積むことで盲導犬歩行指導員になれます。

盲導犬訓練士の募集はあるの?

どの団体も毎年職員を新規採用しているわけではありません。定期的な募集ではなく、欠員が出た時に募集することが多いのが現状です。盲導犬訓練士になりたい人は、各団体に頻繁に問い合わせて欠員がないか聞いてみることをおすすめします。

資格は必要?

盲導犬訓練士という国家資格は、現在まだありません。盲導犬訓練士として働くためには、盲導犬育成団体で決められた3年間の研修を受けなければなりません。研修後、盲導犬訓練士として認められ、盲導犬の訓練ができるようになります。公的な資格はないものの、認定NPO法人全国盲導犬施設連合会に加盟している団体では、それぞれ資格審査員を出して、一定の審査、基準をクリアしたものを「盲導犬訓練士」「盲導犬歩行指導員」として認めています。

盲導犬訓練士のやりがいと大変さ

盲導犬訓練士のやりがい

  • 訓練犬が立派な盲導犬に育った時
  • 訓練の時に手がかかり、一つのことができるようになるのに時間がかかる犬もいます。しかし、その犬の性格に合わせた訓練をしたら立派に成長することもあるのです。苦労した訓練ほど、訓練犬が立派な盲導犬に育った時に盲導犬訓練士としての達成感を味わえます。

  • 自分が訓練した犬が盲導犬として活躍している姿を見る時
  • 訓練はとても根気がいる大変なものです。犬の性格によって訓練をするとすぐにできるようになる犬や、できるようになるまでとても時間がかかる犬もいます。時には諦めそうになることもあるでしょう。そんな訓練を終えて、盲導犬としてユーザーさんを守り、活躍している姿を見ると盲導犬訓練士になってよかったと思える瞬間です。

  • ユーザーさんが喜んでくれた時
  • 視覚に障害がある人の中には、外に出ることが怖いと感じる人がいます。また、誰かと一緒ではないと外に出れないと、家の中にこもりがちになってしまう人もいます。しかし、盲導犬と出会って一緒に歩行訓練をして、外を歩くことに自信を持つことができたら行動範囲が広がります。盲導犬が来てくれたおかげで、今まで行けなかった場所にも積極的に行けるようになったと喜んでくださった時、やりがいを感じる瞬間です。

盲導犬訓練士の大変さ

  • 就職することが困難
  • 盲導犬育成団体は営利企業とは異なり、寄付金の枠内で運営されています。そのため、人件費にも制限があって人を増やすことができないのが現状です。盲導犬を必要としている人が多くいる多悔いるにも関わらず、盲導犬を育成する人が少ないのです。そのため、盲導犬訓練士を目指して盲導犬育成団体に就職した位と思っても、欠員が出ないと人を募集しないため応募すらできません。もし応募できたとしても、盲導犬訓練士を目指している人が集中するので、倍率がとても高くなります。盲導犬訓練士になるのは狭き門なのです。

  • 人や犬とのコミュニケーションが難しいことも
  • 盲導犬を育てる過程は、一筋縄ではいきません。犬の個性によってなかなか訓練が進まないこともあります。その時は訓練犬にどう接したらいいのか分からなくなることもあります。また、盲導犬のユーザーさんとのコミュニケーションも思うようにいかない場合もあります。盲導犬訓練士の仕事は盲導犬・ユーザーさんとのコミュニケーションが大事ですが、それが難しくもあるのです。

  • 盲導犬訓練士になるまでは険しい道のり
  • 盲導犬育成団体の職員として採用されても、訓練士になるまでは険しい道のりです。研修だけでなく、日々の仕事をこなしながらの訓練は大変です。訓練犬の世話は休みがありません。土日でも順番に出勤して犬の世話をしなければなりません。犬の食事の世話や排泄の世話、施設の掃除、やることはたくさんあります。訓練は歩行訓練が中心なので、長距離を歩くこともあり体力的に厳しい毎日です。体力だけでなく、犬のことや視覚障害者についても学ぶべきことはたくさんあり、日々が勉強です。朝早くから夜遅くまでの訓練や勉強を乗り越えなければなりません。

盲導犬訓練士に必要なこと

人と犬の命を守るためには盲導犬の訓練は妥協を許しません。これくらいできればいい、という判断では安全を守ることができないからです。盲導犬訓練士は人と犬の命を守るための訓練をする仕事です。諦めず、根気強く訓練ができる人、人の役に立ちたいという志がある人は盲導犬訓練士に向いています。盲導犬を必要としている人は大勢います。1頭でも多くの盲導犬を育てることが盲導犬訓練士に求められることなのです。

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