自衛隊は国民の平和と安全を守る仕事!多岐に渡る仕事内容・3つの組織について徹底解説

昨今の日本は、北朝鮮情勢が悪化したり、さまざまな自然災害が起こったりしている中、活躍する自衛隊の仕事が注目されています。自衛隊の人々は、普段どのような仕事をしているのでしょうか?その仕事内容や、自衛隊へのなり方など、詳しくご紹介をしていきます。

自衛隊とは

自衛隊はどのように発足したの?

1950年に朝鮮戦争が勃発した際、治安が悪化すること、国内に波及することへの不安から警察予備隊が発足しました。これが、現在の自衛隊の起源であるといわれています。1951年にサンフランシスコ条約、日米安全保障条約が結ばれ、1952年には保安庁が新設されました。その後1954年に日米相互防衛援助協定が締結され、日本政府は軍事的義務を追わなければならなくなり、自衛隊法が成立したのです。これが、現在の自衛隊です。

どんな組織に分かれているの?

  • 陸上自衛隊
  • 陸上自衛隊は全国に約160ヶ所の駐屯地があり、日本の平和と安全を守るため国民に一番近いところで活躍しています。外国からの侵略を未然に防ぐと同時に、万が一侵略があった場合は防衛任務を果たすことが中心的な役割です。

    また、地震や噴火などの大規模災害時や、不発弾の処置、国家行事への参加など、さまざまな活動を幅広く行なっています。隊員数は現在約14万人にのぼり、3つの組織の中では一番大きいです。

  • 海上自衛隊
  • 日本は四方を海に囲まれています。わたしたちの生活資源となる物資が日本だけでは賄えないためほとんど海外に依存しており、9割以上が海上輸送によって運ばれてきています。日本の地理的、経済的な特性をふまえ、海上からの侵略に対して国土を防衛したり、周辺の海上交通の安全を守ることが主な役割です。

    大規模災害の時には、遭難船舶や行方不明者の捜索、物資の輸送など災害派遣を行なっています。南極観測への協力や、ペルシャ湾での地雷除去、スマトラ島沖地震の津波被害への国際緊急援助活動を行なったりするなど、海外でも幅広く活動をしています。隊員数は現在約4万人です。

  • 航空自衛隊
  • 航空自衛隊は、主に空からの侵略に対して防衛にあたることが主な役割です。一般の飛行機が安全に飛行できるよう航空管制を担当したり、気象に関するデータを収集してパイロットに提供したりするなどの業務も行なっています。

    災害派遣では、遭難者や傷病者をヘリコプターで捜索、救助しています。また、離島ではヘリコプターで物資や救急患者を輸送するなど、地域の日常に密着しながら活動をしています。隊員数は、海上自衛隊と同じく現在約4万人です。

自衛隊の階級って何?

自衛隊は、役職や責任の度合いによって、16の階級に分かれています。この階級によって、定年の年齢や給料も大きく変わります。階級は陸・海・空でほとんど同じですが、制服に着用する階級章はそれぞれ異なっています。

参照:防衛省・自衛隊

自衛隊の仕事内容

どんなお仕事があるの?

  • 国の防衛
  • 自衛隊の第一の使命は、日本の平和と独立を守ることです。国際社会では、常に紛争やテロなど多様な問題が発生しています。日本も被害にあう可能性はゼロではありません。万が一の有事に備え、平時でも常にさまざまな訓練や準備を行ない、侵略行為があった場合は即座に対応できるようにしているのです。また、有事の可能性を少しでも早く発見するため、日本周辺の空と海を常にパトロールして防衛力の強化に努めており、侵略行為の未然防止にもつながっているのです。

  • 災害時の派遣
  • 日本は、世界でも有数の自然災害の多い国です。国民の安全を守るため、常に各種事態に備えることが必要なのです。自衛隊は、国内のどこの地域でも災害への派遣ができるよう態勢を整えており、大規模な自然災害や航空機の事故からの人命救助、生活支援などを行なっています。また、離島の救急患者を緊急輸送することも任務の一つです。

  • 国際貢献
  • 現在の国際社会は、地域紛争やテロなど地球規模で問題が起きています。この問題を解決するため、日本も国際社会の一員として積極的に活動に取り組み、国際平和に貢献しているのです。

    活動の一つとして、湾岸戦争後のペルシャ湾に掃海艇を派遣し、十数年間、国際平和のために活動を続けてきました。また、パキスタンで大規模な洪水が起きた時には、ヘリコプターで救援物資等を輸送しました。このように、今後も国際的な安全保障環境を改善するため、自衛隊の国際平和協力活動は今まで以上に重要性を増してきています。

給料はどれくらい?

自衛隊の給料は、体力的な問題や危険を伴うことなどを考えると、一般の公務員よりも高めに設定されています。自衛隊は入隊のコースが何種類かあるため、そのコースによって給料に差が出てきますが、一般的な年収は300万~500万と言われており、薬学部や防衛大学卒だと、さらに給料は上がります。

また、ボーナスや扶養手当など、一般企業と同じ手当もつきますが、自衛隊ならではの手当があります。例えば、航空手当と呼ばれる、パイロットが飛行した時にもらえるものや、災害派遣等手当と呼ばれる、被災地に派遣された時にもらえるものなどです。このようにさまざまな手当がつくことで、比較的高い給料を得ることができます。

自衛隊になるにはどうすればよいの?

中卒で目指すには

自衛隊は18歳以上でないと入隊できないため、中学卒業と同時に自衛隊を目指すには、「陸上自衛隊高等工科学校」という、自衛隊版の高校に入る必要があります。この学校は、授業料が無料なだけではなく、給料やボーナスももらえる学校です。入学するのはかなり狭き門ですが、無事卒業をすると、陸上自衛隊の中核として活躍することができます。また、防衛大学や航空学生への受験資格を得ることもできます。

高卒で目指すには

高卒で目指すにはいくつかの選択肢があります。すぐに自衛隊になりたい人は、自衛官候補生を目指すという選択肢が適しています。高校卒業時に自衛官候補生の試験に合格すれば、すぐに自衛官になることができます。

もう少し訓練をしたい人は、一般曹候補生を目指すという道もあります。将来的に「曹」に昇進することができると、リーダーとして活躍できる可能性があります。もっと専門的な知識や技能を身に付けたい人は、パイロットを養成する航空学生を目指したり、将来的な幹部を養成する防衛大学校に進学するなどの道もあります。

大卒で目指すには

高卒で目指すのと同じように、自衛官候補生や、一般曹候補生を目指す方法もありますが、大卒は一般幹部候補生を目指すという道があります。将来の幹部自衛官を養成する制度です。一般幹部候補生の他に、歯科幹部候補生、薬学科幹部候補生があります。将来、幹部として活躍できる道が開かれているため、大卒ならではの選択肢といえます。

社会人から目指すには

18歳から26歳であれば、自衛官候補生や、一般曹候補生を目指すことができます。大学卒業の学歴があれば、一般幹部候補生を目指す方法もあります。34歳未満であれば、予備自衛官補に応募することもできます。予備自衛官とは、普段は違う仕事をしていても、有事の時のみ自衛隊で一緒に働く自衛官のことです。訓練や出勤の際は手当もでます。こういったルートから、自衛隊への関わりをもつのも一つの方法です。

自衛隊の魅力

自衛隊の仕事のやりがいとは

一番の大きなやりがいは、国と国民を守るという使命感を持って仕事ができるという点です。また、東日本大震災などの大きな災害が起きた時は、素晴らしい力を発揮しています。普段厳しい訓練に耐え抜いてきている自衛官にとって、被災地の人々から感謝をされることは、大きな達成感にも繋がるでしょう。また国内だけでなく、発展途上国などの海外でも貢献しています。他国との友好関係を築くきっかけを作り、国際貢献をすることができるのも、やりがいの一つと言えます。

どんな人が向いている?

  • 気力・体力がある人
  • 自衛官は、命を守ることが一番の使命なので、人並み以上の気力と体力が必要です。入隊の時点で、基準以上の肺活量や視力があるかどうかの検査をクリアしなければなりません。毎日のように続く厳しい訓練に耐え抜く必要があるので、タフであることが求められます。

  • 協調性のある人
  • 自衛官は集団行動をする機会がとても多いです。大きな災害や侵略が起きた時は、チームの中で役割を果たしながら、任務を遂行する必要があります。たった一人が役割を果たさなかっただけで、チーム全員が犠牲になってしまうこともあり得るのです。チームプレイが乱れると、人の命が奪われてしまうという場合があるので、団体行動ができ協調性のある人が向いていると言えます。

  • 冷静に行動できる人
  • 自衛官の仕事は、危険が隣り合わせです。災害派遣では命の危険が及ばないように、常に正しく判断をしなければなりません。特に、福島第一原発事故のような刻一刻と事態が変化する有事の際、判断は現場の自衛官に委ねられるため、常に冷静に行動して判断をしなければなりません。人命救助の際も、臨機応変に対応して正しく行動する必要があります。

自衛隊を目指す人へ

自衛隊の仕事では、まず一緒に訓練してきた仲間とのかけがえのない絆が生まれます。厳しい訓練を一緒に乗り越えてきたという経験は、いい思い出にもなりますし、今までとはまた違った友情の形が芽生えるでしょう。このようにできた仲間との絆は、その後も一生続くと思います。また、訓練などを受けているうちに、強い精神力が身に付きます。強い精神力はその後の人生の糧になりますし、自分への自信にもなるのではないでしょうか。

現在、自衛隊に求められているものは大きく変化しています。限られた地域だけでなく、戦争が終わっていない地域にも派遣されるようになりました。活動範囲が広くなってきている今、自衛隊を目指したい人にはさまざまなチャンスが待っていることでしょう。

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