落語家は絶妙な間合いとリズム感ある笑いを届ける噺家!女性にも注目を浴びている仕事の舞台裏とは

MOMOKO

思わず笑ってしまうようなネタや、じわじわくる渋めの笑いが楽しい落語。テレビなどで見る落語家の独特なユーモアセンスも寄席とは違ったおもしろさを感じたり、伝統の話芸から学ぶことがあったりと、落語界に興味のある方は多いのではないでしょうか。今回は、表舞台だけでは分からない伝統芸能の世界、落語家という職業についてご紹介していきます!

落語にはそもそもどのような歴史がある?

落語という伝統芸能は、いつから始まったものなのでしょうか。落語の歴史を振り返ります。

落語の始まり

落語は「古典落語」と「新作落語」に分類されています。古典落語とは江戸時代(1603~1868年)から大正時代(1912~1926年)頃までに作られた演目のことで、それ以降に作られた演目が「新作落語」とされています。古典落語は、江戸期の庶民に愛されてきた演芸。

始まりは小話だったようですが、発祥の京都から全国に広まるうちに演目が長くなっていったのだとか。幕末から明治時代(1868~1912年)頃に、今の落語に見るスタイルが確立し、大衆文化となったようです。落語の構成は、マクラ・本題・オチをベースに、落とし噺、人情噺、芝居噺、怪談噺など内容はさまざまです。

落語の現在

1993年には女性の落語家が誕生。1995年には落語家が初めて人間国宝に選ばれました。2004年に3代目神田山陽らが落語サークルを作るなど、新しい落語のスタイルがどんどん発表しています。落語を題材にしたテレビドラマも放送されたこともあります。

「創作落語」という言葉もあるようですが、これは6代目桂文枝が使い始めた造語だそうで、主に関西では新作落語を創作落語と呼ぶようです。新作落語には漫談と似た地噺というフリートークスタイルもあります。このように何度かの落語ブームを経て、落語は進化しています。

落語の将来性

落語は人気が薄れては再びブームが到来するという繰り返しの中で、伝統を守りながら新しい形の落語が誕生しています。実際にアニメやファンタジーなどとのコラボレーションや舞台が水族館といった企画が生まれているので、これからの落語に期待したいものです。

好きな落語家は誰?落語家一覧

落語家の団体と代表的な落語家についてまとめました。

落語家による協会、団体について

落語家のほとんどが団体に所属しています。笑いを届けるだけでなく、伝統芸能を伝えるべく5つの団体が存在しています。また、団体の所属していなくても芸能プロダクションだけに所属している落語家もいますし、団体と芸能プロダクションの両方に所属している落語家も多くいます。

  • 落語協会
  • 戦前からある、古典落語を基本とする集団。上野鈴本演芸場、浅草演芸ホール、新宿末広亭、池袋演芸場などが主な舞台です。

  • 落語芸術協会
  • 桂歌丸が会長。古典落語にこだわらず、新作落語にも精力的。浅草演芸ホール、新宿末広亭、池袋演芸場などが主な舞台で、メディア露出も多い落語家が所属。

  • 立川流
  • 故・立川談志による団体。立川談志が存命中は、上納金を収める家元制度がありましたが、現在廃止されています。定席はなく、不定期で独演会などを開催しています。

  • 圓楽一門会
  • 5代目三遊亭圓楽らが落語協会を抜けて結成した団体。圓楽一門会には女流落語家がいません。お江戸両国亭、亀戸梅屋敷寄席が主な舞台です。

  • 上方落語協会
  • 桂文枝が会長の西日本で唯一の落語協会。大阪の落語家のほとんどが所属している。江戸の古典落語とは違った関西の笑いが詰まっています。主な舞台は繁昌亭など。

有名な落語家

日本を代表する現役落語家たちをラインナップ!

  • 落語協会

■6代目柳家小さん:人間国宝を父に持つ。古典落語で人気を博した
■9代目林家正蔵:テレビドラマで活躍するなどタレント色も強い
■3代目三遊亭圓丈:古典落語を演じつつ新作落語も追求
■10代目柳家小三治:人間国宝。表情を変えずにおもしろい話を話す芸風
■林家木久扇:旧名は初代林家木久蔵。ダジャレが得意
■林家たい平:テレビ「笑点」大喜利などに出演。ものまねレパートリーが豊富

  • 落語芸術協会

■桂歌丸:テレビ「笑点」大喜利の初代メンバー。2006年から10年間は司会で活躍
■三遊亭小遊三:テレビ「笑点」大喜利メンバー。古典落語専門
■春風亭昇太:テレビ「笑点」大喜利の司会を務める。古典落語も手掛けるが新作落語が多い
■8代目春風亭柳橋:学校での講演や観光大使などでも活躍
■2代目笑福亭鶴光:上方落語協会会員でもあり、落語芸術協会にも属す。ラジオなどで活躍

  • 立川流

■立川志の輔:29歳で入門。テレビ「ためしてガッテン」の司会も務める
■立川談春:チケットがすぐ売り切れてしまうほど人気の古典落語家
■立川志らく:好きな映画を落語で表現するシネマ落語を開拓
■立川談四楼:落語界をテーマにした本なども執筆している
■立川左談次:立川談志が落語協会にいた頃から付いている。古典落語の正統派

  • 圓楽一門会

■三遊亭鳳楽:昭和の名人、故・6代目三遊亭圓生の初の孫弟子
■三遊亭好楽:テレビ「笑点」大喜利メンバー。自虐ネタも登場する
■6代目三遊亭圓橘:静かな口調が人気。人情噺、滑稽噺、文芸ネタなどが得意
■6代目三遊亭円楽 :テレビ「笑点」大喜利メンバー。2017年には落語芸術協会へも客員として加入

  • 上方落語協会

■6代目桂文枝 :2012年までは「桂三枝」で活動。「いらっしゃーい!」が定番ギャグ
■3代目笑福亭仁鶴:テレビ「バラエティー生活笑百科」司会を長く務めた。独特な声色は若手芸人にものまねされることも
■月亭八方:2代目桂小米朝に弟子入り。旧芸名・山崎邦正の月亭方正らの師匠
■2代目桂ざこば:3代目桂米朝に入門。一度、上方落語協会を脱退したが復帰

女性の落語家

代表的な女性の落語家をご紹介します。

  • 落語協会

■三遊亭歌る多:1993年に真打ちに昇進。女性では初めてのこと
■古今亭菊千代:三遊亭歌る多と一緒に女性初の真打に昇進
■林家きく姫:林家木久扇に入門。古典落語が得意
■川柳つくし:新作落語をメインに、ウクレレ漫談を演じる

  • 落語芸術協会

■桂右團治:女流としては3人目、落語芸術協会の女流としては初の真打に昇進
■春風亭鹿の子:女流としては5人目、落語芸術協会の女流としては2人目の真打

  • 上方落語協会

■露の都:上方落語協会には階級がないが、最年長で落語家としては史上初の女流落語家
■3代目桂あやめ:(株)よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属、音曲漫才コンビ「姉様キングス」としても活躍

人間国宝の落語家

人間国宝の芸能分野は、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊、音楽、舞踊、演芸の8つに分かれています。落語はその中の「演芸」で、これまでに3名の落語家が選ばれています。

■5代目柳家小さん:1995年に落語家として初の人間国宝に認定。永谷園のテレビCMなどにも出演
■3代目桂米朝:1996年に人間国宝に認定。上方落語四天王と言われたひとり
■10代目柳家小三治:2014年に人間国宝に認定。師匠は5代目柳家小さん

裏舞台が気になる!落語家の仕事

寄席に出演して観客を笑わせるようになるまでに、落語家にはどのような試練があるのでしょうか。落語家の階級や収入について解説します。

落語家の仕事内容

落語は身振り手振りで、ひとり何役もこなす噺家。演じる場所は、演芸場やホールなどを主とし、メディアにも出演します。二つ目という階級の場合、自ら営業や企画もします。同時に伝統ある古典落語や既存の新作落語を覚え、自分でも新作落語を作っていくことになります。これまで多様なスタイルが創造されてきたように、落語を広めてきた先人たちの伝統を受け継ぎながら、新しい演目、見せ方などを考えることも必要となります。

落語家の階級はどうなっているの?

落語家の団体によっては、「前座見習い」「前座」「二ツ目」「真打ち」という階級があります。上方落語協会には階級制度はありませんが、師匠の付き人からスタートする流れはだいたい同じと考えられます。

  • 前座見習い
  • 師匠に入門し、前座見習いという階級からスタートします。前座見習いではまだ協会に入ることはできません。師匠か兄弟子の付き人として雑用をこなし、稽古に励みます。業界についても学び、期間は決まっていないものの師匠からお許しが出れば、次の前座になることができます。

  • 前座
  • 寄席で一番前に座るのが前座です。前座見習いの仕事は継続し、楽屋での仕事も加わります。楽屋の掃除から、出演する芸人の名前が書いてある「めくり」の準備。開演を知らせる太鼓打ち、先輩芸人へのお茶出しや着替えの手伝い。開演後は舞台の準備となる高座返し、鳴り物の演奏、楽屋の片付け、空き時間には稽古もあるでしょう。前座は毎日寄席に通い、4年程で二ツ目に進級します。

  • 二ツ目
  • 寄席で二番目に高座へ上がる二ツ目。雑用がなくなり、着物は袴を着用しない着流しから紋付になります。しかし毎日の楽屋通いもなくなり、演じる数が減るため、高座を探す作業が増えます。時間の使い方の自由度が増す分、ここで稽古に力を入れないと、他の落語家たちに追い越されてしまいます。二ツ目を10年程頑張り、師匠に認められると真打ちとなります。

  • 真打ち
  • 寄席で最後に出演する資格が持てるのが真打ち。弟子を取ることもできます。ただ真打ちになれば落語家として成功したということではありません。真打ちからがスタート、という方もいますから、伝統芸能を受け継ぐ者としての活動や教育、同時に勉強し続ける姿勢に注目されることでしょう。

落語家の大変なこと

毎日寄席に通う前座には休みがありません。二つ目になると、仕事を探すことが大変ですし、アルバイトを掛け持ちしたり前座に留まる方も多くいるのだとか。真打ちになれば尚更勉強が必要で、勉強をサボってしまうと、前はウケたのにウケなくなるなど結果として現れてしまいます。女流落語家にはまた、女性ならではの問題が出てきます。例えば古典落語をそのまま女性が話してもウケない演目があるように、「笑い」そのものの難点にぶつかることもあるでしょう。結婚や出産を考えるなら、周囲の協力が多々必要になるでしょう。

落語家の収入について

前座見習いや前座では、雑用仕事がある分、お小遣いがいただけます。お小遣いの相場は不明です。出演料の目安は、5,000円から30,000円程。二つ目は出演料のみ。出演料は舞台の場所や拘束時間、仕事量などいろいろな状況により変動しますが、20,000円から150,000円程が目安です。真打の出演料は、50,000円から1,000,000円以上と開きがあるようです。1,000,000円以上の落語家は滅多におらず、平均は100,000円程のようです。他に芸能活動があれば、別途収入が得られます。

落語家になるにはどうしたらいいか

まずは師匠の弟子になることです。師匠は生涯付いていく存在ですから、師匠選びをするためにも数多くの落語に触れておかなければなりません。入門したい師匠を慎重に決めたら、寄席の出待ちをして思いを伝えます。断られても諦めずに何度も足を運びましょう。なぜ師匠を選んだのか、学びたいこと、自分の覚悟など、思いのたけを手紙にして渡してみるのもいいでしょう。手紙を受け取ってもらえなくても、勇気を出して何度も当たること。落語関係者と繫がりを持っておくのも手ですが、なかなかツテは持てないものです。

苦労こそやりがい!落語家の世界へ

大好きな落語とその世界に身を置けるということは、落語を愛する人にとっては夢の世界。前座となって観客の笑いが得られたなら、至福の喜びとなるでしょう。そのためにもハードな下積み期間が存在すると言えます。女性が落語家となるのは、険しい場面も多々あるでしょうが、女性だからこそできる気配りや女性だからウケる笑いの視点も必ずあります。女性あるあるから結婚や出産、育児の苦労もネタにするくらいの気構えで、かつ年齢を重ねても楽しもうとすることで、憧れが現実のものとしていけるこはず。

人前に立つ度胸と、伝統芸能の世界で貢献する強い意志がある人なら落語家に向いているでしょう。そして笑いを生むには、肩の力が抜けている状態であることも必要です。真面目すぎると観客を緊張させてしまいますから、適当さも大切。落語家を目指すなら自分自身をも研究し、個性的な自分の落語を確立していってください。

1+