翻訳者は語学力が生かせる仕事の一つ!なるために必要な資格とやりがい・大変さとは

外国語が話せたらいいな、映画を字幕なしで観られるようになったら楽しいのではないか、などと思うことはありませんか?外国語が話せたり読めたりすると、仕事もプライベートも幅が広がりますよね。今回は、映画の字幕、外国語本、英字新聞を日本語訳する「翻訳者」の仕事について徹底解説していきます。

翻訳者になるために知っておきたいこと

翻訳者の具体的な仕事内容

翻訳者の仕事はどのようなものがあるのでしょうか。主な仕事は外国語の文を日本語に訳すことです。翻訳者には「文芸」「実務」「映像」というジャンルがあり、それぞれ分かれて仕事を行ないます。他のジャンルを手掛けることはほとんどありません。

  • 文芸翻訳
  • 文芸作品の翻訳をする仕事です。翻訳するものは海外の歌詞、雑誌や書籍などが多いでしょう。文芸作品の翻訳で必要なのは、外国語に精通しているのはもちろんですが、文章を読んで全体の雰囲気を読み取る力です。また、読んだ人が分かりやすいような表現方法で翻訳することが必要になります。

  • 実務翻訳
  • 実務翻訳は、金融や医療、ITなどに関するビジネス文書、学術書や契約書、マニュアルなどを翻訳するため、専門的な知識が必要な仕事です。医療、生物学、物理の世界では英語で論文を書くことが多いため、翻訳者が活躍する場でもあります。また、海外の重要な文献や学術論文などの翻訳、国際的な場への論文提出のための翻訳も頼まれることがあります。

    企業では、メーカーで日本製品を海外に輸出するときのマニュアルの作成や、貿易会社などで英文でのメールのやりとり、契約書の翻訳などを行うこともあります。海外への製品発注や広告、ソフトウェアの翻訳などが実務翻訳者の仕事です。企業では、翻訳者を正社員として雇用することもあります。

  • 映像翻訳
  • 翻訳者としての仕事で知られているのが、この映像翻訳者でしょう。海外のドラマや映画などの翻訳をして字幕を作る仕事です。映像を見ながら、その国の風習や文化を理解して翻訳することが求められます。また、映像の中の言い回しが日本語に存在しない時は、最適な言い回しに翻訳するセンスも必要です。

翻訳者の役割とは

  • 異文化の人々をつなぐ
  • 翻訳者の大きな役割は、国の違う人同士を「翻訳」を通して繋ぐことです。国にはそれぞれの文化や風習、人の考え方が存在します。他の国の文化や歴史を学び、取り入れたり刺激を受けたりすることで自国が豊かになることがあるでしょう。しかし、国の文化や風習が違うからこそ、誤解が生まれることもあります。

    翻訳者の役割は、その国を深く理解してふさわしい言葉に翻訳することです。翻訳者の訳し方が適切でなかったら、それを目にした人たちへ誤解を与えることになってしまいます。そのため、翻訳者は普段からその国の文化や考え方について、理解を深める努力をする必要があるのです。

  • 国と国をつなぐ
  • 翻訳者の役割でもう一つ大きなものは、国と国をつなぐ仲介者としての役割です。日本は昔から外国の文化を取り入れて成長してきました。現在でも、海外の最先端の技術や知識を得ることはさまざまな分野で重要なことです。また、日本の文化や技術を海外に発信していくことも大切なことです。

翻訳者の年収はどのくらい?

翻訳者の収入は働き方、勤務先などによって大きく異なります。企業で正社員として雇用されている場合は、その企業の社員と同じ収入が得られますが、翻訳者だからといって他の社員よりも高額な収入が得られるというわけではないようです。ただ、専門的な知識が必要な場合はそれなりの評価が得られることもあります。正社員で雇用されている翻訳者はとても少ないですが、社員として福利厚生や賞与などが保障されているので、安定した働き方ができます。

フリーランスで働く人は多く、翻訳者の多くは企業に属さないで働いています。その場合の収入は、文字数×単価です。専門的な知識を必要とする学術的な文献になると、単価が高くなるなど、ものによって単価が変わってきます。そのため、フリーランスで働く翻訳者の収入は人によって大きな差があります。年収が1,000万円を超える人がいれば、年収が何十万円という人もいます。

翻訳者に向いている人

  • 向上心がある人
  • 翻訳者は相手国の文化や風習、最新の技術などを母国語にします。そして、さまざまな分野で活躍する翻訳者は、その知識を常に高めていかなければなりません。例えば、医療に関する学術書や論文を翻訳する場合、医療は日々進歩しています。医療用語も難しく、理解していないと使えない言葉もたくさんあります。翻訳する時には常に最新の情報を得て、勉強をしていく必要があるのです。いつも周囲にアンテナを張って、新しい情報をキャッチする探求心や向上心がある人こそ、翻訳者に向いていると言えるでしょう。

  • 地道な作業が苦ではない人
  • 翻訳の仕事は、必要な資料を集めて正確に翻訳して、それを何度も見直す作業をします。翻訳中には分からないことを徹底的に調べます。こうして、地道な作業があるからこそよいものが完成するのです。このような細かい地道な作業が好きな人は向いているでしょう。

  • 読み手のことを考えられる人
  • 翻訳の仕事は、翻訳したものを読み手に伝わるように、分かりやすく丁寧に翻訳することが重要です。読む対象者の年齢や業種などによって、翻訳する言葉の使い方が異なります。相手のことを考えて翻訳できる人であることが求められます。

翻訳者になるにはどうしたらいい?

スクールに通う

翻訳者になるためのスクールは翻訳会社が経営している場合もあり、卒業後に仕事につながる機会が整っている事が多いです。卒業後に、スクールが経営している会社に就職することができたり、他の会社を紹介してもらえることもあります。翻訳会社の経営ですので、翻訳の仕事でさまざまな方面の業界と繋がっているため、仕事に関する情報も比較的得られやすいでしょう。

大学・専門学校へ通う

大学や専門学校で翻訳者になるための学科はありませんが、外国語学部などで自身が興味を持っている国の言葉を学ぶことができます。翻訳者としての細やかな勉強はできませんが、大学や専門学校は留学の機会があったり、学校内で外国人と交流する場があるなど、本場の言葉に触れ合う機会があるのが特徴です。また、言葉だけではなく、その国の文化などを学ぶ授業もあるので幅広く外国について学ぶことができます。

資格は必要なの?

翻訳者は資格がなくてもできる仕事です。しかし、自分の能力を証明するという意味では資格を持っていたほうが有利になる場合もあります。英語力を証明するなら、TOEICTOEFLなどがありますし、英語関連の唯一の国家資格は「通訳案内士」があります。翻訳の資格は、「JTA公認翻訳専門職資格試験」という、財団法人日本翻訳協会が主催するものがあります。試験は、英語か中国語のどちらかで、年4回行われています。

翻訳者として働く!

翻訳者会社に登録して働く

翻訳者はフリーランスで働く人が多いのですが、翻訳会社に登録して働く人もいます。この場合は、翻訳会社で出された課題をクリアすることで、その会社に登録されて仕事を紹介してもらう働き方です。仕事を紹介してもらう代わりに、紹介手数料を差し引かれますが、個人で仕事を探す手間が省かれます。会社によっては手数料の割合が異なりますので、登録する時に確認しておきましょう。

翻訳関連会社に就職する

映像翻訳は、映画の製作会社などが行っているところもあります。また、専門的な医療関係や法律関係の翻訳、貿易関係の会社などは、翻訳者を社員として採用している所があります。企業に就職する場合は、一般の就職活動と同じです。

フリーランスは人脈を作ることが重要!

翻訳者の仕事は、その国の言葉に精通していたら誰でもできます。大学の教授が専門的な知識と語学力を生かして翻訳することも可能です。そうした中で、れっきとした翻訳者として仕事をもらうためには、人脈を作ることが重要です。フリーランスの人が集まる勉強会へ参加したり、積極的に交流会へ行くことで、他の分野のフリーランスから仕事を紹介してもらえることもあるかもしれせん。また、交流会に参加することは今後の仕事に繋がる何かを得られる可能性があるいい機会です。

翻訳者のやりがいと大変さ

翻訳者としてのやりがい

  • 得意なことで貢献することができる
  • 翻訳者の仕事は、自分の得意なことで社会に貢献することができます。得意になるということは、「好き」なことだと言えます。好きで始めた語学の勉強が仕事にできるというのは素晴らしいことです。翻訳者の多くは、フリーランスで仕事をしているため、仕事の配分などを自分で決めることができます。また、自宅で仕事ができるため、通勤電車や人間関係で悩まされることがありません。自分の好きなことを仕事にでき、日々仕事を通じて知識を広めることができる人は、翻訳者としてやりがいを感じられるでしょう。

  • 完成した時の達成感と満足感
  • 翻訳の仕事は地道な作業が伴います。分からないことを調べて、読み手が分かりやすいように言葉を選び翻訳していきます。その国の文化や風習を理解していることも必要ですし、日々知識を深める努力もしなければいけません。その作業は好きでないとできません。苦労して翻訳が完了した時、努力が実った結果でもあるため大きなやりがいを感じられるでしょう。

翻訳者の大変さ

  • 責任感が伴う
  • 翻訳の仕事は、難しい内容の文章でもしっかり調べて正確にこなさなければなりません。資料を集めたりする下調べに時間を費やすこともあります。翻訳の仕事は自分の知識の深さ、広さが仕事にそのまま反映されるのです。知識が足りなかったらそれだけ翻訳に時間がかかります。また、医学や機械の扱い方の翻訳が間違っていたら、重大な事故を起こしてしまうことになります。このように、翻訳はとても大きな責任を伴う仕事です。

  • 表現の差
  • 映像翻訳者などは、映画のセリフを母国語に置き換えるのですが、映画の中で使う外国語が日本には存在しない言葉の場合があります。特に人を笑わせるためのセリフは、その映画の中だからこそ生きるという場合、それをどうやって日本語に翻訳したら観客に伝わるかを考えるのは一苦労です。翻訳家は外国語だけはなく、自国の言葉において語彙が豊富でないとなりません。また、言葉は時代によって流行がありますので、翻訳する外国語の流行り言葉などにも敏感でなければなりません。

翻訳者の今後とは

近年、インターネットの普及によって海外との距離が以前より近くなりました。それに伴って、スマートフォンのアプリがどんどん充実していき、外国語を一瞬で日本語に変換してくれるアプリも出てきています。また、翻訳者は語学力があればできるという面で、空いた時間に仕事がしたいと、単価が低い仕事でも引き受ける人もいて単価が下落してきていると言われています。

このように、最近は翻訳者にとって、厳しい環境となってきています。しかし、医療関係などの専門的な知識を必要とする分野には、高い技術を持った翻訳者はまだまだ必要とされます。今後、翻訳者として仕事をしていく上で必要なのは、難しい分野の知識を深めていくことが大切です。

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