【2019年最新版】児童指導員任用資格の取得方法が知りたい!資格を活かして働ける5つの場所とその役割とは

児童福祉法が一部改正されたことにより、需要が高まり始めている児童指導員。児童指導員になるには「児童指導員任用資格」という任用資格が必要です。この資格はどのようにして取得できるのでしょうか?また、児童指導員任用資格を持つことで働ける場所など、詳細を解説いたします。

児童指導員任用資格とは

まずは、児童指導員任用資格とはどんな資格なのかをお話します。また、「任用資格」と「国家資格」では何が違うのでしょうか。

児童指導員として働くことができる資格

障害児施設、児童養護施設、乳児院など、児童福祉施設で「児童指導員」として働くには「児童指導員任用資格」が必須です。児童指導員とは、児童福祉施設を利用する子どもたちの心身の発達をサポートし、健やかな成長を促す児童指導員任用資格を持つ人です。

「任用資格」は働くことで効力が発揮される

児童指導員任用資格は、「児童指導員」として任用されて働くことで効力を発揮しますが、ただ持っているだけでは効力がありません。ここが国家資格と任用資格の大きな違いです。国家資格である保育士や看護師は資格を取得した時から、「自分は保育士」「私は看護師です」と名乗れます。しかし、任用資格である児童指導員任用資格の場合は、児童指導員任用資格を取得したうえで、児童福祉施設の採用試験を受けます。

その後、採用されて児童指導員として任用されて初めて「私は児童指導員」と名乗ることができます。児童指導員と名乗れるのは、児童指導員として任用されている間であり、児童指導員を辞めてしまうと効力が無くなってしまうので注意が必要です。

児童指導員任用資格を活かして働ける場所

児童指導員は下記の5つの施設では配置が義務付けられています。

児童養護施設

保護者の死亡・病気や経済的な理由から、子どもを育てることが困難な保護者や虐待など様々な理由で、保護者と暮らすことができない約2~18歳までの子どもが生活する施設です。児童指導員は、勉強の指導や基本的な生活習慣を身に着けさせたり、子ども達の自立を支援します。

放課後等デイサービス

障害を持つ就学児(6~18歳)が放課後や夏休み・冬休みなどの長期休暇中に通う施設です。専門的な療育を行うところもあれば、書道や楽器の演奏、体操など習い事のような活動をする施設もあります。

児童発達支援センター

小学校に通う前の6歳までの障害を持つ子どもが通う施設です。障害を持つ子どもの支援を目的としていて、自立の支援はもちろん遊ぶ場所も提供しています。

児童心理治療施設(情緒障害児短期治療施設)

軽度の情緒障害を持つ子どもや、心理的に苦しんでいたり普段の生活に生きづらさを感じる小学生~18歳未満の子どもを対象に、カウンセリングを中心に心理的な治療をする施設です。心理治療を行ない、子どもの自立や健全、成長をサポートします。学校ともしっかり連携を取って治療や支援を行うのが特徴です。

障害児入所施設

障害を持つ子どもが入所し、日常生活に必要な知識や技術を指導する施設です。「医療型」と「福祉型」の2つのタイプがあります。「医療型」は、医療の視点からその子に合った支援を行います。「福祉型」は福祉サービスを中心にその子に合う支援計画を立ててサポートしていきます。この他にも、下記の3つの施設があります。

  • 乳児院
  • 児童養護施設と同じ理由で、保護者と暮らすことができない0歳~約2歳の乳児を養育する施設

  • 母子生活支援施設
  • 18歳未満の子どもを育てる母子家庭の女性が利用できる施設です。相談に乗ったり援助をしながら心身や生活を支援する施設

  • 児童家庭支援センター
  • 子どもや家庭はもちろん、地域住民を対象として相談に乗り、適切なアドバイスや指導を行う施設

上記の施設でも児童指導員として働くことができます。紹介した施設は、すべて児童指導員任用資格を活かして働くことができますが、仕事内容や対象となる子どもは施設によって異なるため、働きたいと思う施設の知識が必要になります。また、施設にもよりますが、支援するのが子どもだけでなく、その保護者や家族のサポートを行うこともあります。

児童指導員任用資格と保育士の違い

児童指導員と保育士のどちらも子どもと関わり、基本的な生活習慣の指導や自立支援、成長を見守ることが主な仕事です。児童指導員任用資格と保育士資格では、どんな違いがあるのでしょうか?

「任用資格」と「国家資格」

まず児童指導員は任用資格である「児童指導員任用資格」、保育士は国家資格である「保育士資格」です。上記でお話したとおり、保育士は資格を取得した時から、自分を保育士と名乗ることができます。児童指導員は、資格を取得後に採用試験を合格し、児童指導員として任用されてやっと児童指導員と名乗れます。

また、児童指導員任用資格は、児童指導員として任用されないと効力がないのです。就活をされるときは、応募要項の資格の欄をよく見て募集してるのは「児童指導員任用資格」なのか「保育士資格」なのかをしっかりとチェックしてくださいね。

働く場所の違い

一般的に保育士が働くのは保育園です。児童指導員は児童養護施設や障害児施設、乳児院などの児童福祉施設で働きます。保育士も児童指導員と同じように、児童養護施設などで働くこともできますが、ほとんどの人は保育園に就職するため施設で働く保育士は少ないです。

保育園では0~6歳までの子どもを預かりますが、児童養護施設や障害児施設では18歳までの子どもが生活するため、幅広い年齢の子どもと関わることができます。施設によって仕事の内容や勤務時間も変わるのが児童指導員の特徴です。

児童指導員任用資格の取得方法とは

児童養護施設や障害児施設などの児童福祉施設で活躍できる児童指導員任用資格ですが、どうすれば資格を取得できるのかを紹介します。

厚生労働省が定めた条件を満たす

児童指導員任用資格を取得するにあたり、試験などはありません。
しかし、厚生労働省が定めた条件を満たさないといけないので、誰でもなれるわけではないのです。

簡単に説明すると

  • 厚生労働省の指定する児童指導員を養成する学校を卒業した者
  • 社会福祉士、 精神保健福祉士の資格をもつ者
  • 大学で社会福祉学、心理学、教育学もしくは社会学を学び、必要な単位を修得し卒業した者
  • 高校を卒業し、2年以上児童福祉事業で働いた経験がある者
  • 小学校、中学校、高等学校教諭の資格を持ち、都道府県知事が適当と認めた者
  • 3年以上児童福祉事業で働いた者で、都道府県知事が適当と認めた者

上記の条件のどれかを満たすことで、児童指導員任用資格を取得することができます。
児童指導員任用資格を取得したら、次は働きたいと思っている施設で採用試験を受けましょう。公立の施設の場合は、公務員試験を受けなければなりません。採用試験に合格すると児童指導員になることができます。

参考:厚生労働省

児童指導員任用資格を取得できる大学や専門学校に通う

児童指導員任用資格を取得するには、大学や専門学校に進学するのがおすすめです。大学で社会福祉学、心理学、教育学、社会学を学び、指定の科目を履修し単位を修得すれば、卒業と同時に「児童指導員任用資格」を取得できます。専門学校であれば、児童指導員養成コースのある福祉系専門学校を卒業すると、児童指導員任用資格を取得できます。

また、専門学校は実習も多く、実際に児童福祉施設へ行って子どもたちと関わったり、現場で働く児童指導員を見ることができるため、就職に大変役立ちます。実習先に魅力を感じてそこへ就職する学生や、実習で来た学生がとても良い人でその人のいる学校に求人票を送る児童福祉施設も多いのです。いいことばかりでなく、大変なことも多い実習ですが、実習や施設見学を積極的に取り入れているかなども、学校選びのポイントになるでしょう。

  • かかる費用はどのぐらい?
  • 大学の場合、初年度にかかる費用は、安いところで約67万円、高いところだと約201万円とばらつきがあり、3倍も違いがあります。約120万円~140万円ぐらいが最も平均的な費用です。
    専門学校の初年度に掛かる費用は、安いところで約52万円、高いところだと約150万円で大学と同じようにばらつきがあり、学費の安いところと高いところで約2倍の差があります。専門学校は約100万円~120万円が平均的です。

通信制大学で資格取得も可能

働きながら資格を取りたいと思った場合に便利なのが通信制の大学。東京未来大学東京福祉大学などが代表です。ただし、通信制といえど、対面授業や試験の際には通学が必要になります。まずは、資料請求を行い、条件をよく確かめましょう。

将来性と求人

児童福祉施設で子ども達を指導し、心身の成長をサポートしていく児童指導員ですが、求人はあまり多くはないのです。その理由は、児童福祉施設が保育園や幼稚園に比べて圧倒的に施設の数が少ないためです。共働き家庭の増加や核家族化などの社会的背景の変化から「保育園不足」の問題があるように、児童福祉施設でも、親の虐待の増加などの社会的背景から児童福祉施設に入所する子どもが増えて、施設不足だといわれています。

しかし、児童福祉法が一部改正されたことや、現在の社会的背景から、児童養護施設や乳児院など児童福祉施設は、重要視され始め、施設が増え始めてきました。これにより、児童指導員任用資格や児童指導員の需要は高まっていきますし、求人も少しずつ増えることが予想されます。

また、児童福祉施設では職員が不足していることも事実なのです。なぜ職員が不足しているかというと、虐待によって心に傷がある子どもや、やむを得ず親と離れて暮らす子どもなど、様々な事情を抱えた子どもとの関わりに悩んだり、不規則で長時間の勤務が体力的に厳しくて数年で退職する人が多いからです。しかし、児童福祉施設で働く児童指導員の待遇改善やお給料が上がったりと働きやすいように、人材不足を解消する取り組みが始まっています。これから児童指導員任用資格を取得を目指す方や、児童指導員になりたいと考えてる人にとっては嬉しい話だと思います。

児童福祉施設はそれぞれ仕事内容や利用する子どもの年齢、取り巻く環境はすべて異なるため、専門的な知識や適切に対応していく力が必要ですが、大変やりがいを感じられると思います。年々需要は高まっているため、児童指導員任用資格を持つ人の活躍が今後期待されるでしょう。

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