歯科衛生士は、生涯有効な資格の1つとして人気のある資格です。では取得するためには、どうしたらいいのでしょうか。資格は取りたいけど、仕事をしながら取得する方法はあるのか、歯科衛生士のスキルアップ資格や、なるまでにかかる費用など、気になることについて調べてみました。
歯科衛生士になるための資格取得方法と費用
歯科衛生士になるためには国家試験を受け、合格しなくてはいけません。そのためには、文部科学大臣の指定した歯科衛生学校を卒業するか、都道府県知事の指定した歯科衛生養成所を卒業する必要があります。では、歯科衛生士になるための学校は、どのくらいの期間と費用がかかるのでしょうか。
3年制の専門学校や短大に通う場合
国が指定している歯科衛生士養成所(歯科衛生士学校)の中でも、圧倒的に数が多いのが専門学校です。その次に多いのが短大です。全国各地に設立されている専門学校には、国公立と私立の2種類があります。歯科衛生士になるためには、専門学校も短大も、3年間通うことが義務付けられています。
おおよその学費目安 | |
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国公立専門学校 | 約100万円~約150万円 |
私立の専門学校・短大 | 約300万円~約350万円 |
国公立の方が学費も安いため人気ですが、その分倍率も高くなっており合格はかなり難しいのが現状です。専門学校によりイベントやサポート、カリキュラムはさまざまです。学費も含め3年間無理せずに通える事が、学校選びには最も大切な条件と言えるでしょう。情報をたくさん集め自分にあった学校を選びましょう。
4年制の大学に通う場合
4年制大学でも歯科衛生士になるための知識や技術を学ぶことができます。しかし、歯科衛生士の4年制大学の数はとても少ないのが現状です。4年制大学で学ぶメリットは、歯科衛生士のための勉強だけではなく、幅広い分野を学べることです。
将来、歯科衛生士になるのか、歯に関連する仕事に就くかを迷っているのであれば、大学に進むことで解決へと導いてくれるかもしれません。学費は4年間で約300~350万円です。
通信教育や夜間学校で資格取得は可能か?
国で定められた教育機関での学習が必要とされているので、通信教育での資格取得はできません。夜間学校での資格取得は可能です。専門学校の中で、夜間部を新設するところが多くなってきています。昼間部よりも学費も安く、働きながら学校に通えるので経済的なリスクが軽減されます。
学校により授業開始時間もさまざまなので、仕事と勉強の両立が難しくならない学校選びをおすすめします。
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国家試験の難易度と合格率について
歯科衛生士は国家資格です。資格を取得するためには、大学や専門学校を卒業して、国家試験の受験資格を得なければなりません。人の健康に直接関わる仕事なので、決して簡単ではないと思われる歯科衛生士資格の難易度や合格率について調べてみました。
国家試験の難易度
難易度はそれほど高くありません。実技試験もなく、面接や論文もありません。試験科目「歯科予防処置」「歯科診療補助」「歯科保健指導」「口腔衛生学」と多くありますが、マークシート方式の試験のみです。
国家試験の合格率
例年90%~95%を超える合格率です。学校で得る知識や技術をしっかり習得することで、ほぼ合格できるでしょう。
歯科衛生士に関連する5つのスキルアップ認定資格
認定資格には、民間の認定資格と日本歯科衛生士会が定める認定資格があります。ここでは民間の認定資格をご紹介します。認定資格をプラスすることで、より歯科について詳しくなれる歯科衛生士になれるでしょう。では、民間の認定資格にはどのようなものがあるのでしょうか。
日本歯科審美学会認定士
歯科医療に歯科審美を取り入れることで、見た目から美しい歯を目指すためのお手伝いをする資格です。資格取得には、歯科衛生士として学会に3年以上在籍していること、学会に出席すること、審美歯科に関する発表や啓発活動を行なっていることが条件となります。
インプラント専門歯科衛生士
資格を取得するために必要な条件は下記のとおりです。
- 2年以上「日本口腔インプラント学会」の正会員であること
- 3年以上のインプラント治療歴と3例以上の治療介助や治療後のメンテナンス経験
- 学術大会・支部学術大会に各1回以上の参加
- インプラント専門歯科衛生士講座を2回以上受講していること
- 口腔インプラント専門医1名からの推薦状が必要
全ての条件をクリアした上で、インプラント専門歯科衛生士試験を受験することができます。認定資格の中でも難易度が高く、資格取得が難しい認定資格の1つです。
認定矯正歯科衛生士2級
資格認定の条件は下記のとおりです。
- 日本成人矯正歯科学会の会員歴が3年以上あること
- 学会の認める矯正歯科医院にて3年以上常勤経験があること
- 日本成人矯正歯科学会主催の学会へ参加していること
試験は書類のみの審査となります。合格率も比較的高い認定資格です。
日本歯周病学会認定歯科衛生士
歯周病予防と治療の専門知識が技術があることを証明する認定資格です。資格取得は日本臨床歯周病学会に基づいて決められています。
日本口腔衛生学会認定歯科衛生士
日本口腔衛生学会の認定歯科衛生士には、地域の人々のための健康な口づくりに取り組む「地域歯科保健」と、糖尿病や心疾患など全身に影響を及ぼす疾患を持っている方の健康な口づくりを守る「口腔保健管理」の2区分に分けられています。申請時にどちらの区分かを選択します。
資格取得方法は日本口腔衛生学会により定められています。
歯科衛生士と認定歯科衛生士の更新について
資格取得後の更新もどのように行われているのでしょうか。資格を取得するにあたって気になる1つだと思います。その更新方法などを紹介します。
歯科衛生士の場合
歯科衛生士は取得後の更新は必要ありません。しかし、本籍地や結婚により苗字が変更になった場合は、30日以内に名簿訂正のため申請しなければいけません。住所変更に関しては、手続きの必要はありません。
認定歯科衛生士の場合
日本歯科衛生士会が定める認定歯科衛生士は、認定を受けてから5年ごとに更新が必要です。また、認定更新受付期間が認定分野別に異なるので注意しましょう。認定分野は、AとBに分かれています。
- 認定分野A
- 生活習慣病予防
- 摂食嚥下リハビリテーション
- 在宅療養指導 ・口腔機能管理
- 糖尿病予防指導
- 医科歯科連携・口腔機能管理
- 認定分野B
- 障害者歯科
- 老年歯科
- 地域歯科保健
- 口腔保健管理
民間の認定資格の更新はその学会により手数料や方法が違います。各学会のホームページを参考に更新手続きをしましょう。
■日本歯科審美学会認定士の更新手続き方法はこちら
■インプラント専門歯科衛生士の更新手続き方法はこちら
■認定矯正歯科衛生士2級の更新手続き方法はこちら
■日本歯周病学会認定歯科衛生士の更新手続き方法はこちら
■日本口腔衛生学会認定歯科衛生士の更新手続き方法はこちら
資格更新条件とは?
更新条件は細かく決められています。日本歯科衛生士会 認定歯科衛生士 認定更新手続きを参考に進めましょう。
更新に必要な書類と手数料
提出書類は日本歯科衛生士会 会員ページにてダウンロードします。また、5,000円の更新手数料が必要になります。
歯科衛生士の資格は将来的にも役立つ資格
国家資格である歯科衛生士は、求人も安定しており人気がある資格の1つです。歯科助手から歯科衛生士に転身する人もいます。口腔内ケアや予防は小さな子どもからお年寄りまで、生涯綺麗な歯を保つためにとても重要です。今後、高齢化が進み、口腔内の健康を守ることはもちろん、入れ歯や在宅での歯科治療も増加していくことでしょう。
口腔内ケアのスペシャリストである歯科衛生士は、小さな子どもからお年寄りにとって、健康な歯を保つためにいなくてはならない存在です。健康な歯と綺麗に保たれた口腔内は、健康な身体を作る上でとても大切と言えるでしょう。
また、高度な歯科治療が進む中で、インプラント治療があります。インプラントにおいても、長く使うためのメンテナンスが必要となり、歯科衛生士の役割はますます大きくなることでしょう。
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