【管理栄養士監修】幼児食とは?1歳・2歳での目安量や、栄養素を補う簡単レシピ3つ

離乳食を終えても、まだまだ消化機能が未熟な子どもにとっては大人と同じものを食べるのは体に負担がかかります。そのため、離乳食とも大人の食事とも異なる幼児食が必要になるのです。「離乳食が終わってもまだ作り分けが必要なの?」と毎日の食事を悩むかもしれません。しかし、成長具合と同様に子どもによって個人差があるのでその子にあった幼児食を用意してあげてください。今回は幼児食についてとおすすめ簡単レシピの紹介をしていきますね。

幼児食とは

幼児食とは母乳やミルクを主として足りない分を離乳食(補完食)で補っていたものから卒業して、食事からのみ栄養を摂れるように調理した食事のことになります。離乳食(補完食)にはそれぞれ段階がありますが、完了期が終了したからといってもまだまだ消化機能が未熟な状態であるためにすぐに大人と同じ食事ができるわけではありません。そのため、離乳食(補完食)が完了したら、幼児食に移行させていきましょう。

幼児食の役割

幼児食とは離乳食(補完食)を完了する約1歳半から5歳くらいまでの食事のことを指すことが多いです。この時期は子ども達が心身ともに急激に成長する時期でもあるのでその成長をしっかりとサポートしてあげるためにも食事が重要になってきます。では幼児食にはどんな役割があるのか解説していきましょう。

体の成長を促す

体の成長のためには、様々な栄養素をバランスよく体に取り入れてあげることが大切になってきます。主食・主菜・副菜をそろえ、良質な炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維などがバランスよく摂れる食事を心がけましょう。

食に興味を持たせ食生活のベースを作る

心の成長も進むこの時期には、できるだけ家族や周りの人と食事をとる時間をもったり、食材の収穫体験や調理体験などを経験させてあげたりすることで、食に興味を持たせてあげられるような機会をできるだけ与えてあげましょう。

生活習慣病や肥満防止のための正しい食習慣の形成

将来の健康のためにも濃い味付けに慣れすぎないよう、だしや本物の調味料などを使用して薄味でも美味しいと感じられるような舌を作ってあげましょう。また、この時期におやつ(間食)の摂り方規則正しい時間に食事をとるような習慣を身につけさせてあげることが大切です。

幼児食はいつから?いつまで?

では、一体幼児食はいつから開始して、いつまで続ければ良いのでしょうか。離乳食(補完食)の開始時期や進め方にも個人差があるように、幼児食もその子の成長スピードに合わせて進めてあげることが大切になってきます。1歳半になったから開始するというのではなく、子どもの成長ペースに合わせて進めていってあげましょう。

幼児食開始の目安とは

以下のすべてが必ずしも当てはまなければ、幼児食に移行してはいけないというわけではありませんが、幼児食を始める際の目安として参考にしていてください。

  • 1日3食の食事ペースに慣れて、食事から十分に栄養を摂れるようになっていること。
  • 食べ物を前歯で噛み切るだけでなく、奥歯でしっかりと噛みつぶせるようになっていること。
  • 食事に対して受け身ではなく、自分で食べようとする姿勢・行動が見られること。
  • 水分を自分自身でコップからとることができること。

幼児食はいつまで必要?

幼児食はいつまで続けるべきなのかという決まりは明確には示されてはいませんが、だいたい5歳くらいを目安に続けてあげることが好ましいと言われています。

幼児食は1日どのくらい食べさせたら良い?

幼児食を与えるにあたって気になるのが一体どのくらいの量を与えたら良いのかということではないでしょうか?幼児食の頃には子どもによって食べる量にも個人差が出てくる時期にもなります。そして、日によって、毎食食事量が違ったり、食べむらや好き嫌いが出てきたりするのもこの時期になりますが、あまり神経質になりすぎないように取り組んでいきましょう。

1歳~2歳ではどのくらいの量が必要か

1~2歳児の子どもの摂取エネルギーは、女の子で900kcal、男の子で950kcalと言われています。育児中のママ達の摂取エネルギーは約2000kcalと言われているので、約半分のエネルギーと考えていただけたら分かりやすいです。1日の目安量は下記になります。

【主食】
 穀類 270g(子ども用のお茶碗1杯分+食パン1枚+うどん1/3玉)
 いも類 40g(ジャガイモなら2/3個)

【主菜】
 卵類 50g(卵なら中1個)
 肉類 30g(ひき肉なら 大さじ2や薄切り肉なら 1+1/3枚)
 魚類 40g(切り身なら半分)
 大豆・豆製品 45g(納豆30g、豆腐1/5丁)

【副菜】
 緑黄色野菜 100g
 淡色野菜 130g
 海藻・きのこ類 10g
 果物類 100g

3歳~5歳ではどのくらいの量が必要か

3~5歳児の子どもの摂取エネルギーは、女の子で1250kcal、男の子で1300kclと言われています。1日の目安量は下記になります。

【主食】
 穀類 330g(子ども用のお茶碗1~2杯分+食パン1枚半+うどん1/2玉)
 いも類 60g(ジャガイモなら小1/2個)

【主菜】
 卵類 25g(卵なら1/2個)
 肉類 20g(ひき肉なら大さじ1、薄切り肉なら2/3枚)
 魚類 30g(切り身なら大2/3切れ)
 大豆・豆製品 35g(納豆20g、豆腐1/5丁)

【副菜】
 緑黄色野菜 80g
 淡色野菜 100g
 海藻・きのこ類 10g
 果物類 150g

これを見ると毎回の献立が難しそうに感じてしまいますが、あくまでも目安であるので、一汁一菜もしくは二菜を意識して様々なを取り入れたメニューを心がけてみましょう。また、3食の食事で足りない分は1~2回のおやつ(補食)で補ってあげると良いでしょう。

幼児食を与える時に気をつけたい7つのこと

離乳食と大人の食事との真ん中に位置している幼児食。まだまだ、消化機能も噛む力も未熟な段階なので、子どもの体に負担を与えないためにも気をつけていただきたいことをご紹介します。

幼児食の味付け 基本は薄味

離乳食と比較すると使用できる調味料は増えてきます。しかし、濃い味に慣れてしまうと薄味を美味しいと感じられなくなってしまいます。子どもの味覚は大人よりも3倍近く敏感とも言われているので、できるだけ長期間薄味を保つとともに、調味料に頼るのではなく、素材そのものの旨みや甘味などを感じることのできる舌を作っていってあげましょう。

幼児食の食べやすい固さ・大きさは?

  • 1歳児
  • 手づかみしやすい棒状や1~2㎝の角切り、前歯で噛み切れるもしくは奥歯ですりつぶせるくらいの固さを目安にしましょう。

  • 2歳児
  • スプーンやフォークでも食べやすい2~3cmの乱切りのような1口大、少し噛み応えのあるものにも挑戦していきましょう。

  • 3歳以降
  • 千切りや乱切りなどいろいろな形や大きさを試したり、大人のものよりもやや柔らかめにしたりしてみましょう。柔らかいものばかりだと噛む力が育たないので、噛みごたえがあるものも歯の生え具合を確認しながら挑戦していきましょう。噛みごたえがあるものでも初めは大人が食べるよりも柔らかめに調理することには注意してください。

避けておきたい食材とは

食物アレルギーがある食材は医師と相談しながら与えることはもちろんですが、幼児食の時期にはできれば避けておきたい食材がいくつかあります。

  • 刺激が強い物
  • 生もの
  • 塩分が強い物
  • 噛みにくい、噛み切りにくいもの
  • 誤嚥する可能性の高いもの

食事の栄養バランスを整えよう

一汁一菜もしくは二菜を基本にいろいろな色の食材を取り入れてバランスのよい食事を心がけましょう。

食事のリズムを習慣づけよう

生活リズムを身につけるためにも、食事やおやつ(補食)の時間は毎日同じ時間にとることを心がけましょう。

スプーンやフォークで自分で食べられるようにしよう

幼児食を開始する時には、自分で食べようとする子が多いので、自分でスプーンやフォークをもって食べる練習をさせてあげましょう。最初はうまくすくったり刺したりして食べることができないのでその時にはママがそっとサポートしてあげてください。

食事を楽しめる環境を作ろう

食事は楽しいものという風に感じられるように少なくても週に1回以上は家族全員で食卓を囲み楽しく会話しながら食べる機会を持ちましょう。そして、「空腹は最高の調味料」と言われるようにご飯をみんなで楽しく美味しくいただけるように食事の前に間食をして食事の時間に満腹で食べられないということがないように気をつけましょう。

幼児食において不足しがちな栄養素とは

幼児食期において不足しがちな栄養素の代表的なものとしてカルシウム・鉄分・食物繊維があります。それぞれ不足してしまった場合にはどのようになるのか説明しましょう。

カルシウム

骨の成長に必要な栄養素であり、不足してしまうと骨が弱くなり骨折や骨粗鬆症などの可能性が高まります。また、神経が過敏になってしまいイライラしやすくなるとも言われています。

鉄分

不足すると貧血になりめまいや動悸、息切れなどの症状が現れる他、集中力や思考力、疲労回復の低下などがあります。

食物繊維

離乳食の時と比較すると水分が少ない食事になってしまうので、食物繊維が不足してしまうと便秘を引き起こしやすくなります。腸内環境を整えることは免疫力アップにもつながるので食物繊維の多い食材を摂ることは大事です。

幼児食に不足しがちな栄養素を補う!簡単レシピをご紹介

不足しがちな栄養素は分かったけどそれを補うためにはどんなメニューを作ったらよいのかと悩んでしまう方も多いと思うので、今回は簡単レシピをご紹介。

カルシウム補給レシピ

【手作りふりかけ】

<材料>
☆干しエビ
☆ちりめんじゃこ
☆ごま
 海苔
 かつお節

<作り方>

  1. ☆の材料をフライパンで軽く炒る。(お好みのカリカリ感まで)
  2. 炒った(1)をお好みの具合にすり鉢でする。(ごまは消化・吸収を良くするためにもしっかりとすってください)
  3. 海苔・かつお節を細かくちぎる
  4. (2)と(3)を混ぜ合わせたらできあがり。
  5. 中身5

カルシウムが豊富に含まれている干しエビやちりめんじゃこ・ごまを使用したレシピです。これはご飯や蒸した野菜にふりかけたり、豆腐ハンバーグに混ぜ込んだりと調味料の1つとしてアレンジしやすい便利な1品です。特に、カルシウムの吸収を促してくれるたんぱく質と一緒に摂るのがおすすめです。

鉄分補給レシピ

【納豆おやき】

<材料>
納豆
豚ひき肉
米粉(もしくは小麦粉・片栗粉)
味噌

<作り方>

  1. 材料をすべて混ぜ合わせる。
  2. 一口大の円状に成形する。
  3. フライパンで両面薄く焼き色がついたら、ふたをして蒸し焼きにしたらできあがり。

鉄分を豊富に含む豚肉と納豆を使用したレシピです。植物性よりも動物性の方が吸収率もアップするので、納豆と豚肉の組み合わせで和風ハンバーグのような仕上がりになります。

食物繊維補給レシピ

【さつまいもとりんごのきなこ和え】

<材料>
さつまいも
りんご
自然塩
レモンの絞り汁
きなこ

<作り方>

  1. さつまいもはしっかり洗い皮をつけたままダイスカットしてさっと水にさらす。
  2. りんごはしっかりと洗い皮をつけたまま芯を取り、いちょう切りする。
  3. 鍋に(1)と(2)を入れて全体に自然塩とレモンの絞り汁をふりかけてふたをして10分ほどおく。
  4. 10分経ったらふたを開けるとさつまいもとりんごが汗をかいているのでその水分で煮る。(汗をかいていなかったり、無水鍋や厚手の鍋でない場合は、水を大さじ1~2加える。)
  5. ふたをして火にかける。
  6. 沸騰したら、弱火にしてさつまいもが柔らかくなるまで煮る。
  7. 水分がなくなったら、火を止めたら5分ほど蒸したら、きなこをまぶしたらできあがり。

食物繊維を豊富に含むさつまいも(不溶性)、りんご(水溶性)、きなこ(水溶性・不溶性)を使用したレシピになります。食物繊維は「水溶性:不溶性=1:2」のバランスで摂ってあげるのが腸内環境を整えるのによく便秘の改善につながると言われています。

幼児食期には食育に取り組みましょう

幼児食は離乳食と比較すると大人の食事に近づくので、手間もだいぶ減り少し楽になります。しかし、子どもの幼児食が終わると言われる5~6歳頃でもまだ歯は全部生えていなく咀嚼力は弱いです。そして、消化器官は未熟であるので、子どもそれぞれの成長具合をみながら食事を準備してあげることが大切です。そして、この時期には食べることの楽しさや自分でできることが大幅に増えてくる時期でもあります。健康的な食習慣をしっかりと身につけるためにも、一緒にお買い物したり料理をしたりできるだけ家族全員で食卓を囲む時間を作り食育をできたら良いですね。

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