私たちが目にする商品のカタログや雑誌の広告などは、商品のイメージを伝えるために素敵な写真やイラスト、文字を上手く組み合わせてあります。これを「グラフィックデザイン」といい、このデザインを手掛ける人を「グラフィックデザイナー」と言います。今回はグラフィックデザイナーの仕事内容や活躍する場所などについて解説していきます。
グラフィックデザイナーの仕事を知ろう
グラフィックデザイナーとは
グラフィックデザイナーとは、雑誌やポスター、カタログ、商品のパッケージなどの紙媒体をのデザインをする人のことです。依頼主から依頼を受けて、打ち合わせをして制作物を通して何を伝えたいのかなどを汲み取ってデザインをします。
グラフィックデザイナーの仕事内容
グラフィックデザイナーの仕事は多岐にわたりますが、主な仕事はポスターやカタログなどの広告や雑誌、カタログなどのデザインです。
- 広告制作をする場合
- 雑誌のデザインをする場合
グラフィックデザイナーは、メーカーや広告代理店から仕事の依頼を受けて仕事をします。
デザインをするものの企画の説明などを受け、依頼主の意図することを理解しないとよいものが作れないため、しっかり依頼主と打ち合わせをします。写真の撮影が必要なかなども話し合い、必要だった場合は撮影をして素材を揃えてデザイン案を作ります。
案に関しては、何パターンかを作って依頼主に確認を取りながら仕事を進めていき、その中からデザインが決まったら印刷会社にデータを入稿します。色合いや文字などの配置などを確認しながら問題がなかったら刷り上がりを待ちます。
出版社からの依頼を受け、編集担当者と打ち合わせをして、どのような内容にするのか何を伝えたいのかを確認します。時にはイラストレーターやカメラマンを紹介することもあります。
イラストなどの素材が揃ったら編集者の指示通りにデザインをしていきます。デザインを何通りか作り、編集担当者にデータを送り、OKが出たら編集担当者に最終的なデザインデータを渡し、印刷段階で修正があれば対応します。
グラフィックデザイナーの気になる給料は?
グラフィックデザイナーの給料は勤める会社によって異なります。グラフィックデザイナーの平均年収は300万円~400万円ほどです。大手広告代理店に勤めている場合は、年収1,000万円ほどの人もいますが、小さな代理店などに勤めている場合は年収が300万円以下のこともあるようです。
グラフィックデザイナーになるにはどうしたらいいの?
グラフィックデザイナーとして働くために資格は必要?
グラフィックデザイナーとして仕事をするために、持っていないといけないという資格はありません。しかし、取得しておくと就職に有利になったり、スキルの証になる検定などはいくつかあります。
グラフィックデザイナーとして広告の配色や構図などの知識は必須です。例えば、DTPの知識や技術があることを証明するために「DTP検定」や「DTPエキスパート認証試験」、グラフィックデザインをする時に使用するソフトが使いこなせることを証明する「アドビ認定エキスパート」「Photoshopクリエイター能力認定試験」「Illustratorクリエイター能力認定試験」などを取得しておくことをおすすめすます。
デザインが学べる大学や短大で学ぶ
グラフィックデザイナーは、専門的な知識や技術が必要なので学校で学ぶ人が多いです。大学ではパソコンを使うデザインを学ぶ以外に、デザインの基盤である発想力や造形力などの基礎力を学びます。学年が上がるごとに基礎から専門的なことを学んでいき、4年制になると今まで学んだ者の集大成として卒業制作をします。
大手広告代理店などは、採用の基準に大卒としている会社が多いので、できれば大学でグラフィックデザインについて学ぶいいでしょう。
デザインが学べる専門学校で学ぶ
専門学校では、グラフィックデザイナーとして必要な技術と知識を特化して学ぶことができます。大学では幅広い知識を学びますが、専門学校ではグラフィックデザインについて重点的に学ぶのです。グラフィックデザインに必要なソフトの使い方も習得して、グラフィックデザイナーになる勉強をします。
グラフィックデザイナーの求人を探して応募する
大学や専門学校でグラフィックデザインについて学んだら、広告制作会社や広告代理店に就職します。グラフィックデザイナーとして働くために必要な資格はありませんが、学校で使用するソフトやデザインなどについて学んでいると就職活動で有利に働きます。
グラフィックデザイナーに求められること
グラフィックデザイナーとして働くためには、グラフィックソフトを使いこなせなければいけません。ソフトは日々進化しているので、新しいソフトに常に対応できるよう勉強していくことも大事です。色々なものを見て感性を磨き、世の中の流行りにも敏感にアンテナを張っておくことも重要です。
また、ひとつの仕事を完成させるためには多くの人と関わります。依頼主と何度も打ち合わせをし、出来上がったデザインを印刷会社に印刷してもらうためには、印刷会社とも入念な打ち合わせが必要です。変更してもらいたい箇所があったら分かりやすく伝え、依頼主の求めるものを完成させるためにも、コミュニケーション能力に長けているのも重要なことです。
グラフィックデザイナーの働き方
グラフィックデザイナーが活躍する場所とは
- 広告代理店
- 広告制作会社
- メーカーの広告宣伝部
新聞や雑誌などのメディア広告枠を抱えて、メーカーやスポンサーに提供することで手数料を得る会社のことを広告代理店といいます。多くの代理店はアートディレクター、コピーライター、グラフィックデザイナーなどを社員として抱えていて、色々なジャンルの広告に対応できるようにしています。給料は安定しているところは働きやすいといえるでしょう。
大手の広告代理店の多くは、グループ傘下に広告制作会社があります。広告代理店やメーカーから依頼を受けて広告の企画や制作を行います。納期が近くなると、残業が多くなりきついと感じる人もいます。
色々なメーカーの会社では広告宣伝部があり、商品のパッケージなどを考案したり、カタログの制作に関わる仕事をします。デザインを作って広告制作会社へ発注する、打ち合わせをして指示を与えるなどの業務もこなします。
グラフィックデザイナーとして独立する
グラフィックデザイナーとして独立したいと考える人もいるでしょう。仕事ぶりを評価されて、独立してみないかとクライアントから声をかけられることや、自社以外の会社から大きなプロジェクトを立ち上げるので、手伝ってくれないかと誘われる人もいます。
独立することで幅広いジャンルの仕事ができるようになったり、自分のカラーで仕事ができるようになるのは独立するメリットです。一方でデメリットとしては、グラフィックデザインだけに専念できなくなることです。独立すると、企画、営業、デザインなど全てこなさなければなりません。また、軌道に乗るまでは収入も今までより減る場合もあります。
そして、広告業界、グラフィック業界でうまくやっていくためには、独立の時に会社を円満退社することが重要になります。
フリーランスで働く
グラフィックデザイナーとしてさまざまなジャンルの仕事をこなしてきて、経験を積んでから独立してフリーランスとして働く人もいます。フリーランスになるまでに、丁寧で誠実な仕事をしていれば、クライアントからの信頼を得ることができ、フリーランスになってからも仕事がもらえるでしょう。フリーランスで仕事をする人たちの交流会や勉強会に顔を出し、横のつながりを作ることも仕事を増やす一つの方法です。
グラフィックデザイナーのやりがいと苦労
グラフィックデザイナーとしてのやりがい
- デザインが誰かの心に届いた時
- 依頼主が望むものができた時
私たちのまわりにはグラフィックデザインに関わるものがたくさんあります。入社用のパンフレットや電化製品のカタログなど、多くのものがありますが、それらのデザインを見た人がグラフィックデザインを見て、何かを感じ取ってくれた時は嬉しく思う瞬間です。
依頼主の中には、どのように製品の良さをお客様に伝えたらいいのか分からないという人もいます。そんな時はグラフィックデザイナーが自己の経験や知識を生かして相談に乗って、デザインを提案したり、お客様に伝わりやすいための工夫を依頼主と一緒に考えることもあります。打ち合わせを重ねて思った通りのものが出来上がった時はやりがいを感じられるでしょう。
グラフィックデザイナーは忙しい?その苦労とは?
- 何度もやり直しが必要なこともある
- 締め切り前は残業続きになることもある
依頼主から仕事を頼まれて、打ち合わせを重ねてデザインを仕上げても、依頼主が納得するものができなければ何度でもやり直しが必要になります。また、せっかく時間をかけて完成させても、企画自体の方向性が急に変更になるなどはよくあることです。そんな時は最初から素材を集めてデザインをやり直さなければなりません。どんなことがあっても、対応できる柔軟性と根気強さが必要な仕事です。
グラフィックデザイナーは専門的な知識が必要で誰にでもできる仕事ではありませんが、収入はさほど高くありません。納期がある仕事なので、締め切り前になると残業が続くこともあり、体力的にきつく感じることもあります。
女性のグラフィックデザイナーとしての将来性
グラフィックデザイナーとして働く人の男女の比率はほぼ同じくらいです。ジャンルによっては、男性よりも女性の方が経験を生かして活躍できるジャンルはあります。例えば、化粧品の広告については、化粧品を使用する立場としてどんな広告だったら見る人の心に残るかなどが分かります。育児用品や子ども用のおもちゃなども、子育てを経験した女性ならではの感性が活かせます。
今は女性も結婚をして子どもを育てながら仕事をする時代です。女性だからこそ感じられるものを生かせる場所は、今後も増えていくでしょう。