【医師監修】知恵熱ってあるの?赤ちゃんの高熱の本当の原因と対処法

前触れのない急な発熱に対し、「知恵熱」という言葉が使われることがあります。一般的に赤ちゃんの場合は、知能が発達する生後6か月頃からの急な発熱を「知恵熱」ということが多いですが、本当に知能の発達で熱が出ることはあるのでしょうか?ここでは、知恵熱の本当の原因や熱が出たときの対処法などを解説しています。

知恵熱とは?知恵熱って本当にあるの?

生後6か月を過ぎた頃の赤ちゃんは、熱を出すことも増えてきます。昔から、「赤ちゃんや小さな子供の急な発熱は知恵熱だから問題ない」という説がありましたが、知恵熱とはどのようなものなのでしょうか。

一般的に使われる「知恵熱」の意味

一般的に言われている知恵熱は、「頭の使いすぎ」や「知能の発達」にともなう発熱を意味しています。特に赤ちゃんの場合、生後6か月頃は目覚ましく知能が発達する時期であるため、この時期の急な発熱のことを昔から「知恵熱」と呼ぶことがありました。

知恵熱は「頭の使いすぎが原因」は嘘?

昔から使われている知恵熱という言葉ですが、実は「知恵熱」という病名はなく、当然医学事典などでも解説されていません。昔は現在ほど医学が発展しておらず、乳幼児の急な発熱の原因がわからないことも少なくなかったため、発熱が多くなる時期からみて「知恵熱」と呼ばれるようになったようです。
ただ、最近は検査などで発熱の原因も解明されやすくなっており、なにかしらの病気が原因とわかることが多いです。「知恵熱だから心配ない」と思いこまず、受診して原因をしっかり突き止めることが大切です。

知恵熱じゃない!高熱の本当の原因は突発性発疹?

知恵熱と思われる赤ちゃんの急な発熱は、頭の使いすぎではなく、なんらかの病気であることがほとんど。その中でも特に原因として多いのが「突発性発疹」です。

知恵熱と思われる高熱の多くは突発性発疹

生後6か月~1歳頃までの赤ちゃんの高熱は、知恵熱ではなくその多くが「突発性発疹」によるものと考えられます。突発性発疹は知能が発達する時期にちょうど起こりやすい病気であり、また、前触れなく突然高熱が出ることから知恵熱と勘違いされやすいのです。

突発性発疹ってどんな病気?

突発性発疹は赤ちゃんのほとんどが感染する感染症で、突然の高熱と解熱後の発疹が特徴です。生まれて初めての発熱が突発性発疹だったというケースも少なくありません。流行時期などは特になく、1年中どの季節でも見られる病気です。

突発性発疹の症状

突然38~40度くらいまで熱が上がり、3~4日続きます。解熱後半日程たった後、体に赤い発疹が出ます。発疹は胸やお腹部分を中心に全身に出て、2~3日でひいていきます。そのほかの症状として軟便や下痢が見られることも。まれに咳や鼻水をともなうこともあります。

また、突発性発疹で症状が出ないケースも2~4割程度あると言われています。

突発性発疹はうつる?

突発性発疹は「ヒトヘルペスウイルス6型」「ヒトヘルペスウイルス7型」のどちらかに感染することで発症します。感染力はそれほど強くないウイルスですが、熱が出ている間は周りの子供にうつることがあります。

突発性発疹は2~3歳までにかかる

突発性発疹はほとんどの子供が2~3歳までにかかります。特に発症が多いのが、母親からの免疫がきれてくる生後6か月~1歳までの間。突発性発疹の99%はこの時期に発症します。生後6か月~1歳頃の赤ちゃんが、急に高熱を出したときは、知恵熱ではなく突発性発疹の可能性を考えましょう。

その他、知恵熱と思われやすい赤ちゃん・子供の病気

突発性発疹のほかに、知恵熱と勘違いされやすい病気には以下のようなものがあります。

知恵熱と思われやすい病気(1)上気道炎(風邪)

上気道炎、いわゆる風邪は、小さい子供や赤ちゃんでは高熱をともなうことも多く、「知恵熱」と思われることも。ただし、風邪の場合は咳、鼻水、嘔吐、下痢といったほかの症状も見られることが多いのでわかりやすいでしょう。

知恵熱と思われやすい病気(2)アデノウイルス感染症

アデノウイルスというウイルスに感染することで扁桃炎や胃腸炎などさまざまな症状が引き起こされます。代表的な病気のひとつが咽頭結膜熱(プール熱)。プール熱では高熱が4~5日続き、のどが赤く腫れます。プールに入らなくてもうつることがあります。

知恵熱と思われやすい病気(3)インフルエンザ

インフルエンザは前触れのない突然の高熱から始まることが多いため、最初のうちは知恵熱と勘違いしてしまうかもしれません。ただし、インフルエンザはその後咳や鼻水、胃腸炎などの症状も出てきます。症状は風邪と同じですが、重症化しやすいため早めの受診が必要です。

恵熱と思われやすい病気(4)ヘルパンギーナ

赤ちゃんや小さな子供に見られる夏風邪の一種。39度くらいの高熱が1~3日続き、のども腫れて小さな水泡ができます。のどの痛みのせいで食事や水分がとれないこともあるため、脱水症状に注意が必要です。

これって知恵熱?高熱が出たときの対処法

これまで元気だった子供が急に高熱を出すと慌ててしまいますよね。そんなときどのように対処すればよいかを解説します。

自宅では安静に

赤ちゃんや小さな子供は、多少の熱では元気があることも。静かに寝ているように言ってもきかないこともあるかもしれません。無理やり寝かしつける必要はありませんが、激しく体を動かす遊びや外遊びはやめさせましょう。熱が高いときは、赤ちゃんも体力がなく自ら静かに寝ていることもあります。

体温調整

赤ちゃんは自分で服を脱ぎ着できないため、周りの大人が気をつけて体温調整してあげなければいけません。
熱が上がる途中で寒気を感じている時は、部屋を暖め、毛布や布団で暖めてあげましょう。熱が上がりきったら氷枕やアイスノンなどで体を冷やして熱が下がりやすいようにします。

水分補給

高熱を出したときは汗などで水分が普段より多く体外に出てしまいます。脱水症状にもなりやすいのでこまめに水分をとらせましょう。基本的にはほしがるだけ水分を与えてよいですが、嘔吐があるときは様子を見て症状が落ち着いているときにスプーンなどで少しずつ与えてください。

赤ちゃんの様子をチェック

赤ちゃんが熱を出したときは、体温の変化や熱以外の症状、全身状態や赤ちゃんの機嫌などをよく観察しましょう。受診の際に伝えると、医師も病気の見当がつけやすくなります。熱が高いときはけいれんを起こすこともあるため、大人しく寝ていてもできる限りそばにいるようにしましょう。

知恵熱と思いこまないで!こんなときは急いで受診

知恵熱と思いこんで赤ちゃんの熱を放置するのは危険。ただ、必ずしも慌てて夜間救急を受ける必要はありません。機嫌が良く熱以外の症状がないときは朝まで様子を見てもよいでしょう。ただし、以下のような場合は早めの受診が必要です。

急いで受診した方がよい場合とは

  • 生後3か月以内の赤ちゃんの発熱
  • 39度以上の熱でぐったりしている
  • 嘔吐を何度もくりかえす
  • ぐったりしていて意識がはっきりしていない
  • 呼吸がうまくできていない
  • けいれんがある

知恵熱の本当の原因を確かめて的確な対処を

頭の使いすぎや知能の発達で熱が出ることはありません。赤ちゃんの高熱はなんらかの病気が原因です。重症化しやすい病気の可能性もあるため、熱が高いときは「知恵熱」と思いこまず、小児科を受診しましょう。原因となっている病気によって、対処法が異なることもあります。医師の指示に従い、的確に対処しましょう。

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