マタハラは女性に対する3大ハラスメントの1つ!実際にあった事例や嫌がらせが起こってしまう原因

マタハラとは、女性を悩ませるハラスメントの1つです。女性の妊娠や出産、育児中に起こるマタニティハラスメントは、我慢してしまう女性が多くいます。マタハラは、ずっと我慢し続けなければいけないのでしょうか。実際にマタハラを受けた人は、どのように対処したのでしょう。今回は、マタハラについてお話しいたします。

マタハラとは?

マタハラとは、マタニティー・ハラスメントの略称です。働く女性が妊娠や出産をしたことをきっかけに職場で精神的・肉体的に嫌がらせを受けたり、不当な理由での役職降格や減給、解雇などの扱いを受けることを意味する言葉です。

3大ハラスメント(セクハラ・モラハラ・マタハラ)の中でも認知度はまだまだ低いですが、マタハラは流産や早産の危険性もあり、深刻度はとても高く早急な対策を求められています。

マタハラとは?

また、マタハラは感染力がとても高く、一人の女性に対するものではなく、妊娠する可能性がある女性全体にも影響が及ぶ場合があります。職場でマタハラを受けている女性をみて、「自分も妊娠したらマタハラされる」と妊娠を踏みとどまらせてしまうこともあるのです。

マタハラに遭うことを恐れ、妊娠したことを隠し、黙って仕事を辞めていく女性も多くいます。マタハラが及ぼす影響は、晩産化が進み少子化にもつながります。それは、女性だけの問題ではなく日本経済にも影響する深刻な問題なのです。

マタハラに関する法律はあるの?

平成29年1月の法改正で、企業は「マタハラ防止措置・防止対象内容」の指針に従い、5つ全ての実施を男女雇用機会均等法第11条の2により法律で義務付けられています。このようにマタハラに対する被害は法律で守られているのです。

マタハラの定義について

マタハラに定義はありません。妊娠したことにより職場で不当な扱いを受けること、精神的なものから肉体的なものまで全てを指します。発言者の行動や意図に関係なく不快な思いをした時点でそれはマタハラに値するのです。また、男女雇用機会均等法9条3頁により妊娠・出産・育児休業取得の理由としての解雇や降格などを行うことは禁止されています。

心当たりはないですか?マタハラといわれる嫌がらせ

マタハラには、以下4種類あります。

心当たりはないですか?マタハラといわれる嫌がらせ

価値観押し付け型

「女性は妊娠や出産を機に家庭に入るべき」や「家庭を優先するべき」といった、間違った配慮をする上司に多いマタハラ。

いじめ型

妊娠や出産により休んだり、滞った業務を他の社員がカバーさせられることで怒りの矛先が妊娠や育休中の女性に向かってしまうマタハラ。主に心無い言葉を向けて傷つける。

パワハラ型

長時間働けなくなった女性に対して長時間労働を強制させるマタハラ。

追い出し型

長時間労働できないことで会社から排除する追い出し型。現状一番多いのがこのマタハラ。

実際にあったマタハラの事例

では、実際にマタハラにあった人たちは、どのような言動でマタハラにあったのでしょうか。以下、事例をご紹介します。

■妊娠を報告したら、数週間後に「勤務態度が悪い」と解雇された
■自主退職するよう誘導された
■妊婦でも甘えは許さないと言われた
■妊娠は自己都合だからと、実績は無視され降格させられた
■妊娠中や産休明けに「迷惑」「自己中」「休めていいね」など心無い言葉を言われた
■男性を雇えばよかったと言われた
■産休・育休制度なんてうちの会社にはないと言われた
■出産のため入院したら解雇宣告させられた
■育休中、保育園の送り迎えができない勤務地に復帰を命じられた
■妊婦健診のための休暇が認めてもらえない
■産後の時間外労働の制限を申請したら契約社員にされた
■小さい子どもがいるのに時短勤務を認めてもらえない

引用:マタハラNet マタハラ事例

このように、信じ難いことが起こっているのが現状なのです。

マタハラの原因と考えられること

日本では、法律で定められているにも関わらず、マタハラはなぜ起こっていますのでしょうか。その原因はどこにあるのでしょう。

マタハラの原因と考えられること

妊娠出産への理解不足や協力不足

1番の原因としてあげられているのが、妊娠出産への理解不足と協力不足です。男性社員だけに限らず、同じ女性でも妊娠・出産を経験していない人にとっては、身体の変化を理解することはできず、気づいたらマタハラしていたということもあります。

また、妊娠・出産の経験があっても、症状がそれぞれ異なるため理解不足があるようです。妊娠や出産は、個人差があるため対応の仕方に正解はありませんが、母子ともに健康でいることが重要です。組織で妊娠・出産への理解を深め、協力体制を整えるべきでしょう。

業務過多や人材不足

業務過多や人材不足は、一人ひとりが抱える仕事量が多すぎるため、余裕のない職場で起こりがちです。余裕のなさからコミュニケーション不足にもなり、マタハラにつながる言葉や行動を招いてしまいます。また、妊娠することで体調や通院などで休むことも増えます。

そのことで、他の社員に仕事の負担をかけてしまいます。業務過多の上、さらに忙しくなってしまうことは負担に思う人は多くマタハラの言動が増えてしまう原因なのです。

人員増員などのフォロー体制不足やケア不足

妊婦への制度や法律の認知度が低いことや、妊娠や出産に伴う女性の体の変化に気づけないことが原因で起こりがちです。例えば、妊娠初期は見た目の変化もあまりありません。

そのことで、通常業務をこなすことが当たり前の社内の雰囲気であったり、安定期に入ればその言葉の意味を都合よく捉えフォローやケアなどをしなかったり、人員補充もせず自分の仕事で手一杯の場合は妊婦への対応は後回しなど、大変なことが積み重なります。

「妊娠する」ということが、どんなことなのかを知らない人がいるため、マタハラのような嫌がらせが起こってしまうのです。働く女性が増えているのにも関わらず、企業側の体制が整っていないことが原因とされています。

妊産婦の抱える症状

女性は妊娠したことにより、身体やメンタルは大きく変化します。見た目には分かりづらく、症状も個人差が大きく全てが当てはまる訳ではありません。仕事に影響してしまう恐れがあり、休まなくてはいけない可能性もある症状を一部ご紹介します。

妊産婦の抱える症状

  • つわり
    吐き気があり、常に気持ち悪く、胸焼けのような不快感が取れない症状です。吐き気の症状には、食べ物のにおいからくるもの、一定の食べ物しか受け付けないもの、食べることで吐き気を催してしまうもの、逆に食べていないと気持ち悪くなってしまうものまで、つわりの症状は人それぞれです。
  • 貧血
    妊娠したことによって、お腹の赤ちゃんと血液を共有することになります。そのことで、急激に血液が不足し貧血状態になってしまうのです。また、母乳も血液から作られているため、妊娠してから常に貧血気味の人も少なくありません。
  • トイレが近くなる
    赤ちゃんが子宮の中で大きくなると、膀胱が圧迫されトイレが近くなる人も多いです。また、便秘や下痢に悩まさることもあります。
  • イライラや情緒不安定になる
    ホルモンバランスの変化が大きく、ストレスの影響を受けやすくなります。何気ない一言にも深く傷つくこともあれば、激しく怒ってしまうこともあります。妊娠によるイライラは本人が自覚していことが多く、なるべく表に出さないように気を付けています。そのことも重なり、少しのことでも不安に感じたり、傷ついてしまったり、泣いてしまったりするのです。
  • 疲れやすくなる
    つわりや貧血、メンタルの維持、血液量の増加、心拍数の上昇など、さまざまな変化が起こるため、何もしていなくても疲れてしまう場合が多いです。また、ホルモンバランスの影響で強烈な眠気に襲われる人も多くいます。急な身体の変化に対応しながら、周りに迷惑をかけないようにすることは、妊婦にとっては重労働でありとても疲れてしまうのです。

マタハラにあったらどうすればいいの?

マタハラ被害は、妊娠・出産・育児中にあうハラスメントのため、被害を主張できずそのまま泣き寝入りしてしまうことが多いのが実情です。しかし、心無い言動や嫌がらせ、会社から不当な扱いをされている場合は、悩まず相談先を見つけましょう。

働いている企業でハラスメントに関する相談窓口があるのなら、そちらを利用してみるのも1つの手段です。その際は、守秘義務をしっかり確認しましょう。

マタハラに遭った場合の相談窓口はどこ?

マタハラに遭ってもどうしたらいいのか、これはマタハラに当たるのか、それぞれ抱えている不安はたくさんあります。その不安は胎児にもいい影響は与えません。不安を抱えないためにも、相談窓口を利用しましょう。

マタハラに遭った場合の相談窓口はどこ?

厚生労働省

全国の都道府県労働局にマタニティハラスメント相談窓口があります。相談は無料であり、プライバシーにも配慮されています。また、匿名での相談も受け付けています。相談内容により、企業への指導なども検討してくれる相談窓口です。

■公式サイト:「妊娠したから解雇」は違法です|厚生労働省

マタハラNet

マタハラを経験した女性が設立し、「マタニティハラスメント対策ネットワーク」が開設しているホームページです。体験談からそれぞれのマタハラ被害について解決方法など具体的に紹介されています。相談窓口もあり、被害内容に応じて公共窓口や法律窓口を紹介してくれるなど、対応してくれるサイトです。

■公式サイト:マタハラNet

TECC東京圏雇用労働相談センター

弁護士や社労士など専門家に相談したい場合は、TECC東京圏雇用労働相談センターがおすすめです。営業時間も月~土9:00~21:30と長く、無料で何回でも利用できます。女性弁護士もいることで、不安なことも話しやすいでしょう。

■公式サイト:東京圏雇用労働相談センターTECC

日本労働弁護団ホットライン(電話無料相談)

妊娠や出産してから、職場で不快に感じていることがあれば、それがマタハラに当たるのか聞いてみたい場合は、日本労働弁護団ホットラインの電話無料相談を利用するのもおすすめです。女性のためのホットラインは女性弁護士が対応してくれるため、相談しやすいのが特徴です。

■公式サイト:日本労働弁護団ホットライン

女性ユニオン東京(電話無料相談)

会社に労働組合がない場合、個人で加入できる合同労働組合(ユニオン)があります。女性ユニオン東京はパート、派遣でも1名から加入することができます。無料電話相談は月曜日と水曜日の12~14時、16~19時です。

■公式サイト:女性ユニオン東京

マタハラは違法行為!絶対許してはいけません

マタハラは違法行為!絶対許してはいけません

本来、妊娠は喜ぶべきものなのです。しかし、マタハラによって素直に喜べず「妊娠が悪いことのように感じる」と思ってしまう人がいるのも現状です。お腹の赤ちゃんにとって、お母さんは一人しかいません。代わりはきかないのです。

妊娠したことで喜びながらも身体の変化に戸惑っているのは、周りだけではありません。必死に外部のストレスから守ろうとしている女性に対して、さらに攻撃することは許してはいけません。

また、育児をしながら働いている女性もたくさんいます。育児中は不本意なこともたくさんありますし、ずるい気持ちで時短業務をお願いしているわけでも休んでいるわけでもありません。ただただ周りに迷惑をかけないように頑張ろうと努力しているのです。その頑張りを奪ってしまったり、心無い言動は許されない行為ではないでしょうか。

マタハラから守ってくれる法律もできたことで、被害を受けている女性は堂々と訴えることができましたが、妊娠・育児中の女性にそこまでさせてしまっていいのでしょうか。社会が妊娠や育児に対してもっと理解をし、企業が率先してマタハラがなくなるように努力するべきではないでしょうか。

命を守るお手伝いをすることは大切なことです。「男性は外で働き、女性は家事育児だけをするべき」や「長時間働くことが一人前」という偏見を捨て、多様な働きかたや価値観の違いを認めるべきなのです。

0