検察官は冷静な判断と強い意志が必要!その仕事内容と弁護士・裁判官との違いとは

検察官に的を当てたドラマなどを見たことはありませんか?ドラマなどでよく見る検察官は、弁護士と法廷で戦っているイメージがあります。しかし、検察官の仕事は、法廷で戦うだけではありません。限りある時間の中で真実を見つけ出すために、捜査もしているのです。弁護士や警察と仕事内容が似ている検察官ですが、何が違うのでしょう。検察官の仕事内容や気になる給料についてお話したいと思います。

検察官について詳しく知ろう!

検察官の仕事内容は?

検察官は、刑事事件を扱います。警察が逮捕した容疑者を本当に犯人なのかを調べ、裁判所に起訴するかしないかを決める仕事です。そのために、検察官も警察と協力して捜査を行い、事件の真相を探ります。事件に間違いがなければ、検察官が起訴をすることで裁判が行われますが、不起訴となれば裁判を行うことができません。

  • 起訴とは
  • 起訴とは、検察官が担当している刑事事件について、裁判所の審判を要求する意思表示のことを指します。起訴の権限は、検察官のみ持っています(起訴独占主義)。検察官に起訴されることで、被疑者は被告人という立場に変わります。

  • 不起訴とは
  • 検察官が裁判所の審判を必要としないと判断した場合には不起訴となります。不起訴の理由として、主に5つあります。

■起訴条件を欠く
被疑者が死亡してしまったなど、起訴をするための法律上の条件を満たさない場合

■被疑事件が罪とならない
被疑者が犯罪時14歳に満たないときや、犯罪時に心神喪失だった場合

■嫌疑なし
捜査の結果、被疑者の疑いが晴れた場合

■嫌疑不十分
捜査の結果、被疑者の疑いは完全に晴れてないが、裁判するにあたり有罪証明をするのが困難だと考えられた場合

■起訴猶予
有罪の証明が可能ではあるが、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況により訴追を必要としないと判断された場合

検察官になるにはどうすればいいの?

検察官になるには、司法試験に合格することが前提です。さらに司法試験合格後、1年間の研修(司法修習)を受けます。そして、司法研修所の卒業試験に合格し、法務省が行う各採用試験を受け採用されることで、検察官として働くことができるのです。また、裁判官、弁護士、3年以上特定大学において法律学の教授または助教授経験がある者、3年以上副検事経験があり検察官特別考試合格者は、検察官になれる資格があります。

司法試験を受験するためには、司法試験法四条により受験資格が定められています。では、司法試験はどのようにすれば受験できるのでしょうか。

参考:e-Gov 司法試験法四条

  • 司法試験を受験するために法科大学大学院を修了する
  • 司法試験を受験するための一般的なルートとされているのが、法科大学院を修了するコースです。法科大学院には「法律科目試験」で法律の基本科目を修得していると認定された、2年制の既習者コースと法律を基礎から学ぶ3年制の未修者コースがあります。

    法科大学大学院に入学するためには、学科問わず4年制大学を卒業していることを条件とし、適性検査・自己評価書・小論文・面接などが行われます。既修者コースは法学部卒業者が多くみられます。法科大学院を修了することで、司法試験を受けることができます。司法試験には、受験資格取得後から5年以内に、5回までの範囲内で受験可能と司法試験4条1項2号に定められています。

    参考:e-Gov 司法試験法四条一項二号

  • 司法試験を受験するために司法試験予備試験をに合格する
  • これは、時間的や経済的な負担が大きい法科大学院に進学せずに、検察官などの法律家を目指せるもう一つの道です。司法試験法5条により、司法試験予備試験に合格すると司法試験受験資格を得ることができます。予備試験は、短答式試験(5月)・論文式試験(7月)・口述司式試験(10月)が行われ、それぞれの試験を順に合格していく段階式の選抜試験方法です。

    また、予備試験には受験資格がありません。学歴や職歴、国籍に関係なく短答式試験から何回でも受験することが可能です。法科大学院在学中でも予備試験を受験することができます。予備試験の短答式試験は司法試験の問題と8割ほど共通しているため、司法試験合格者には予備試験合格者が法科大学院卒業者よりも上回っています。

参考:e-Gov 司法試験法第五条

検察官の階級は5つ

検察官の階級は5つに区分されています。その中で、一般的に検察官と言われているのが「検事」と「副検事」です。また、それぞれに定年が設けられており、検事総長(65歳)以外は63歳です。

  • 検事総長
  • 検事総長は、最高検察庁の行政事務の責任者であり、全ての検察庁職員の指揮監督をします。1名を内閣が任免し、天皇が承認します。

  • 次長検事
  • 次長検事は、最高検察庁のナンバー2として検事総長の補佐をします。検事総長が不在の場合は、その職務を行います。1名を内閣が任免し、天皇が承認します。

  • 検事長
  • 高等検察庁(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡)の行政事務の責任者であり、検事長として所属する高等検察庁と、その高等検察庁の対応する裁判所の管轄区域内にある地方検察庁・区検察庁の職員の指揮監督します。8名を内閣が任免し、天皇が承認します。

  • 検事
  • 最高検察庁・高等検察庁・地方検察庁などに配属され、捜査や公判、裁判執行の指揮監督などの仕事を行います。

  • 副検事
  • 区検察庁に配属され、捜査や公判、裁判執行の指揮監督などの仕事を行います。

検察官の転勤について

2~3年に1度のペースで転勤があります。異動先は全国規模なので、毎年1月中旬頃の特定の日に意向打診が行われます。意向打診とは、移動予定先を内々に告げるものです。意向打診は断ることも可能ですが、断ることで異動予定のなかった検事が対象者となり、断ることはできません。

意向打診後、3月初め頃に正式な内示があり、4月1日付けで異動となります。異動先の多くは高等検察庁や地方検察庁ですが、法務省の行政官、法務総合研究所、司法研修所の教官、外務省・財務省など他省庁への出向、法科大学院への派遣などがあります。

異動は一方的に告げられるものではありません。毎年春になると人事データシートというものを作成し、希望異動地など第一希望から第三希望まで記入し提出することで、通る場合もあります。しかし、特別な理由や誰も希望しない異動先を選ばない限り希望通りの異動はできないのが現状です。

検察官と関わる職業との違い

警察との違い

犯罪が発生した場合、捜査を行い犯人や容疑者を逮捕したり、証拠収集や取り調べを行うのが警察です。警察は逮捕してから48時間以内に、事件記録を検察官に送致しなければいけません。検察官に送致された後も、証拠不十分な点があれば検察官指揮のもと補充捜査を行います。

参考:検察庁

弁護士との違い

民事事件、刑事事件ともに扱うのが弁護士です。民事事件では当事者の代理人になり、刑事事件では容疑者の弁護に務め、検察官と対立する立場になります。検察官が公務員であるのに対し、弁護士は自営業である点が大きく異なります。

裁判官との違い

裁判官の仕事は、双方の言い分を聞き公平に中立な第三者の立場から事件を判断し解決することです。裁判官の判断によって当事者やその関係者の一生を左右するので、とても責任の重い仕事です。裁判官になるためには、検察官よりも実務修習や集合修習において成績が優秀でなくてはいけません。成績はA・B・Cに分けてつけられます。裁判官は基本的にAを取らなくてはなりません。Cを取ってしまうと、「裁判官になるのは厳しい」と教官に告げられることもあります。

検察事務官とは

主に検察官のサポートとして一緒に事件を調べたり、取り調べを行ったりします。その他にも、検察庁の総務や会計など事務作業など仕事内容は多岐にわたります。検察事務次官になるためには、国家公務員採用一般試験のに合格することが必要です。試験には大卒程度試験(試験区分「行政」)と高卒者試験(試験区分「事務」)があります。

検察官の年収について

検察官の俸給等に関する法律と俸給表

検察官の給料(月給)は、検察庁法に基づき決められています。年齢や経験により俸給額が異なり、検事二十号が初任給となります。しかし、経験などから二十号より上の号棒から始まることもあります。昇級することで俸給額が上がります。検察官は時間外に働くことが多い仕事ですが、残業手当などの支給されません。

参考:e-Gov 検察庁法第七十六号

平成29年時点での検察官の給料(月給)は下記のようになっています。

役職給料(月給)
検事総長1,466,000円
次長検事1,199,000円
東京高等検察庁検事長1,302,000円
その他の検事長1,199,000円
検事一号1,175,000円
検事二号1,035,000円
検事三号965,000円
検事四号818,000円
検事五号706,000円
検事六号634,000円
検事七号574,000円
検事八号516,000円
検事九号421,100円
検事十号387,400円
検事十一号364,500円
検事十二号341,200円
検事十三号319,200円
検事十四号304,100円
検事十五号286,800円
検事十六号276,500円
検事十七号254,100円
検事十八号245,200円
検事十九号238,500円
検事二十号232,400円
副検事一号574,000円
副検事二号516,000円
副検事三号438,500円
副検事四号421,100円
副検事五号387,400円
副検事六号364,500円
副検事七号341,200円
副検事八号319,200円
副検事九号304,100円
副検事十号286,800円
副検事十一号276,500円
副検事十二号254,100円
副検事十三号245,200円
副検事十四号238,500円
副検事十五号232,400円
副検事十六号221,000円
副検事十七号213,200円

引用:e-Gov 検察庁法第七十六号別表


勤務時間は決まってるの?

検察官は国家公務員なので、勤務時間は9時から17時、土日祝日が休日となっています。また、有給休暇の制度もあります。しかし、定時に業務が終わることはほとんどないのが現状です。

残業はどのくらい?

常に忙しい検察官ですが、その中でも特に忙しい期間は、自宅にも帰ることができず職場に泊り込んだり、連日終電に間に合わずタクシーで帰ることもあるようです。しかし、毎日このような生活を行なっているわけではありません。

所属している検察庁により異なりますが、地方よりも都市部の方が忙しい傾向にあるようです。残業が多い理由として、人材不足が大きく関係していると言われています。人手が足りないことで、一人当たりの担当する事件が多く、ハードワークになってしまうことが現状です。

検察官は女性でもなれる?

女性検察官の割合と働きかた

法務省の調べによると、第70期任官者に占める女性の割合は35.8%となっており女性検察官は増加傾向にあります。
しかし、女性でも仕事内容は男性と同じ仕事量をこなします。家庭がある女性検察官の働き方の特徴として、捜査検事ではなく予定の立てやすい公判検事が多いようです。

参考:法務省

  • 捜査検事とは
  • 犯罪が起こった場合迅速に対応し、処理しなければいけません。夜中に捜査することもあります。

  • 公判検事とは
  • 裁判所で裁判を行っている検察官です。多くの事件を掛け持ちしている検察官の場合、一日中裁判所にいることもあります。裁判を行うために準備をしているのが公判検事の主な仕事です。

育児中でも続けられる?

子どもを持つ女性検察官も活躍していることから、育児中でも続けられる仕事と言えます。しかし、育児をしながら検察官として働き続けるには家族の協力が必要不可欠でしょう。また、検察官は転勤を避けて通ることができない職業なので、成長するにしたがってどのように対応するのか考えなくてはいけません。

検察官を目指す人へ

司法試験に合格してから検察官として任官を希望しても、全員が任官できるわけではありません。公務員なので安定した職業ではありますが、任官できたとしてもその忙しさや犯罪を扱っているストレスに向き合って行かなければいけません。

検察官は、一人の人間とその関係者の今後を大きく左右する仕事なので、起訴することが仕事なのではなく、真相究明が第一なのです。限りある拘留期間で、警察からの資料と証拠の中から真実を導き結論を出さなければいけないのです。決して手を抜いてはいけない仕事であり、検察官はいなくてはならない存在です。忙しく責任のある仕事ですが、とてもやりがいのある仕事でしょう。

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