半袖を着る機会が多くなる夏に向けて、または旅行先で水着になるなど、脱毛を考えるきっかけは様々ですよね。脱毛を考えたとき、検索すると「医療脱毛」と「エステ脱毛」がヒットするでしょう。脱毛するときはどちらを選べば良いのか悩んでしまいますよね。今回は、この2つの脱毛はどのような点に違いがあるのか、それぞれのメリットや料金の違いを詳しく解説します。
医療脱毛とエステ脱毛
まず、「医療脱毛」と「エステ脱毛」」について、それぞれどのようなものかを解説します。
医療脱毛とは
医療脱毛は、皮膚科医や美容外科医などの医師が常駐しているクリニックで行う脱毛です。そして、医療脱毛を行うクリニックは、脱毛を行う前に医師が肌や身体の健康状態を診察し、適切な処置を行ってくれます。
エステ脱毛とは
一方、エステ脱毛は、エステサロンで行う脱毛で、医療機関ではないため、医師や看護師などの医療従事者は常駐していません。脱毛を行う前のカウンセリングはありますが、これも医療従事者ではなく、エステティシャンが行います。
医療脱毛とエステ脱毛の違い
では、早速ですが「医療脱毛」と「エステ脱毛」についての違いを知っていきましょう。それぞれを比べ、その違いを詳しく解説していきます。
脱毛方法の違い
医療脱毛とエステ脱毛の大きな違いのひとつに、脱毛機から照射されるレーザーの波長の差があります。この違いは、脱毛にかかる時間や費用にも影響するものです。
医療脱毛の脱毛方法
医療脱毛では、医療機関だけにしか使うことができない「レーザー脱毛」という脱毛機を使います。
脱毛するときは、毛根に黒いメラニン色素に反応するレーザーを照射して毛根の組織を壊します。このように毛根の組織を破壊することで、新しい毛を生えにくくするのがレーザー脱毛です。
医療脱毛に使われるレーザーは、毛根に集中的に力を発揮する特徴があります。そして、パワーが強いため、脱毛に高い効果が期待できる脱毛方法です。
エステ脱毛の脱毛方法
一方、エステ脱毛では医療脱毛で使用するレーザー脱毛機が使用できません。レーザー脱毛機は、脱毛するために毛根を破壊することは医師法で医師がいないエステサロンでの使用を禁止しています。
そのため、エステサロンでは「光脱毛」という方法で脱毛します。光脱毛は、「インテンスパルスライト」などの脱毛機を使ってメラニンを刺激します。レーザー脱毛と比べると弱い出力なので威力は劣ります。
脱毛効果の違い
医療脱毛とエステ脱毛は、脱毛方法が違いますが、その効果はどうでしょうか。出力の違いが、結果にどのような影響を与えるのかを解説します。
医療脱毛の効果
医療脱毛で使用するレーザー脱毛は、毛が生え変わる「毛周期」というサイクルに合わせて脱毛することで効果を高めることができます。毛は一定の周期で抜けては生えるのを繰り返します。
毛根によって、それぞれの周期は異なりますが、レーザー脱毛はこの生え変わりに合わせて何度か照射します。そうすることで毛母細胞や毛乳頭などを破壊でき、永久脱毛の状態を実現することができるのです。
結果、医療脱毛の効果は定期的に通うことで「永久脱毛が可能」ということになります。(永久脱毛とは、「3回レーザーを照射して6ヶ月経った時点で67%以上の毛が減っている状態であること」とアメリカの政府機関であるFDAが定義づけています)
エステ脱毛の効果
エステ脱毛では、医療脱毛で使うレーザー脱毛機が使用できません。そのため、光で毛をつくる組織にダメージを与える光脱毛を使います。光脱毛も基本的に毛周期に合わせた施術を行い、毛根に働きかける方法で脱毛します。
しかし、光脱毛は医療脱毛に比べると光のパワーが弱いため、脱毛するためには繰り返し何度も照射を行う必要があります。照射パワーが弱い光る脱毛は、一時的に毛を少なくすることができても、永久脱毛には至りません。
そのため、光脱毛の効果は「一時的なもの」ということになるわけです。エステ脱毛の場合、ムダ毛がない状態を維持するためにはエステサロンに通い続けなければなりません。
脱毛回数の違い
医療脱毛とエステ脱毛の方法と効果が分かったところで、それぞれの回数についても違いを把握しておきましょう。
集中的に毛根を破壊することができる医療脱毛と、弱い力で組織にダメージを与える方法のエステ脱毛では、脱毛効果を感じられるまでにどれだけの違いがあるのでしょうか。
医療脱毛の回数
強い照射力がある医療レーザーを使って脱毛する医療脱毛は、個人差はありますが平均的に5回~6回ほどで効果を実感できます。それには、先ほど解説したように、毛周期に合わせて施術を行い、毛根に働きかけることができるのが影響していると考えられます。
医療脱毛は、毛周期に合わせて施術を行えば約1年で終えることができるため、短期間で高い効果が得られる脱毛方法です。
エステ脱毛の回数
エステサロンで行う脱毛は、医療脱毛と比べると弱い照射なので、毛を少なくする効果が感じにくいという特徴があります。
人によっては10回ほど通っても効果を感じられず、20回以上通ってもまだ効果が得られないこともあるほどです。エステ脱毛は毛周期に合わせて通っても照射の力が弱いため、脱毛に時間がかかります。
また、エステ脱毛で用いられる光脱毛は、毛根を破壊するほどの威力がないため、完全な脱毛は期待できません。そのため、ムダ毛がない状態を保つためには定期的なメンテナンスが必要になるのです。
料金の違い
次に、脱毛にかかる料金はどうでしょうか。医療脱毛とエステ脱毛では、効果が感じられるまでに通う回数に差があることが分かりましたが、それは料金にも影響を及ぼすのでしょうか。
医療脱毛の料金
医療脱毛は高いというイメージを持っている人は多いかもしれません。確かに、医療脱毛は、エステ脱毛と比べると1回あたりの料金は高くなります。
しかし、これまで解説したように、医療脱毛は毛根に働きかけることができるため、1回の施術でかなりの効果を得ることができます。早い人だと、5回ほどで効果を実感できることもあるほどで、一般的に1~2年で施術が完了します。
また、医療脱毛は永久脱毛効果があります。1~2年の施術でムダ毛を自己処理しなくてすむようにまで脱毛できるということは、脱毛にかかる料金が抑えられるというわけなのです。
そして、最近では医療脱毛もエステ脱毛とあまり変わらない料金で行ってくれるところも増えてきています。ただし、大切なのは確かな技術と信頼ですので、クリニックを選ぶときは料金だけではなく、様々な面から見極めることが大切です。
エステ脱毛の料金
エステ脱毛の場合、医療脱毛に比べると照射力が弱いため、永久脱毛ができないと説明しました。そのため、満足するまで何度も通わなければならないことも多く、その分料金がかかることになります。
ただ、エステ脱毛はリーズナブルなプランが多く、激安キャンペーンを行っていることも多いです。脱毛を検討しているが料金が心配だという人は、キャンペーンを開催しているときに試してみると良いですね。しかし、キャンペーンにも期間限定のものや、回数制限が定められているものがあるので選ぶときには注意が必要です。
もし、長期的な脱毛ではなく短期間だけムダ毛をなくす目的であれば、リーズナブルなエステサロンを選んでも良いかもしれません。
エステ脱毛は、医療脱毛よりは安めの料金設定ですが、回数を考えるとかえって割高になってしまうこともあるので注意が必要です。
安全性の違い
次に比較するのは、脱毛に関する安全性です。綺麗になるためには、安心して脱毛できたほうが良いですよね。
医療脱毛の安全性
先ほど解説したように、医療脱毛を行うために使用する医療用のレーザー機器は医師がいないエステサロンで取り扱うことはできません。
脱毛でレーザーを使用したとき、痛みを感じるのは、メラニン色素に強いレーザーを当てることによるものです。レーザーを当てるのは毛根部分ですが、毛根周りの皮膚にも影響を与えます。
医療脱毛は、強いレーザーが当てられた毛根周りの肌にも熱が伝わることで、肌の乾燥や熱を感じることがあります。最近のレーザーは痛みを感じにくいものを使用していますが、痛みの感じ方には個人差があるため、なかには痛みを感じてしまう人もいます。
医療脱毛は、医師が一人ひとりの肌の状態を診察し、その人に合った施術を行ってくれます。また、痛みを抑えながら施術を行い、万が一トラブルが起きてしまった場合は、医師が適切な処置を行ってくれるため安心です。
このように、医療脱毛は医師の判断のもと行いますので、安全性に優れた脱毛方法だと言えるのではないでしょうか。
エステ脱毛の安全性
エステ脱毛の場合、脱毛の技術に関しては、しっかり研修を受けたうえで細心の注意を払って脱毛機器を取り扱います。
しかし、先ほども説明したように、脱毛は肌トラブルを引き起こす可能性がゼロではありません。エステサロンには、医師や看護師が常駐しているわけではないため、もしもトラブルが生じたとき、病院へ行く必要が出てきます。
医療脱毛とエステ脱毛を比べてみると、医療知識がある医師や看護師がレーザー機器を取り扱い、トラブルが生じたときにすぐ対応してもらえるという点では、医療脱毛の方が安心だと言えますね。
痛みの違い
レーザー脱毛は痛いというイメージを持っている人は多いでしょう。医療脱毛とエステ脱毛では痛みの違いはあるのでしょうか。
医療脱毛の痛み
医療脱毛に使われるレーザー脱毛機は、強い力で毛根部分の細胞を破壊してムダ毛が生えてこないようにします。毛根に加えた熱が毛根周りの皮膚にも影響することから、エステサロンで使われる光脱毛機に比べると多少の痛みを感じ人が多いようです。
しかし、最近使われている医療用レーザー脱毛機は、冷却機能や痛みを感じにくいに照射方式を搭載するなどしてまた、皮膚への熱刺激を最小限に抑えるような工夫がされています。
医療脱毛は、クリニックで医師が患者の肌の状態を把握したうえで、その患者に合った脱毛機を選び施術してくれます。そして、患者の肌の状態や痛みの感じ方に合わせて、照射角度や強さを調整しながら行ってくれるため、痛みを感じたときは我慢せず伝えるようにしましょう。
さらに、痛みに弱い人には麻酔を使用することも可能です。脱毛で使う麻酔の多くは、身体に影響がないクリームタイプです。麻酔が使えるのは医療機関ならではのメリットと言えるのではないでしょうか。
このように、医療脱毛は患者の肌の状態を見極めながら、専門知識を持った医療従事者が痛みにも対処してくれるので安心ですよね。
エステ脱毛の痛み
エステサロンで行う光脱毛の場合は、毛根の組織を破壊するほどの強い力はありません。そのため、医療脱毛で使われる医療レーザーに比べると痛みを感じることはほとんどないのです。しかし、取り扱う機器によっては多少の痛みを感じることもあるので、痛みに弱い人はサロンでどのような機器を使用しているかチェックしておくと良いでしょう。
医療脱毛とエステ脱毛の比較表
ここまで、医療脱毛とエステ脱毛の違いを解説してきましたが、分かりやすいように簡単に表でまとめてみます。
医療脱毛 | エステ脱毛 | |
脱毛方法 | 医療レーザー脱毛 | 光脱毛 |
施術担当者 | 医師や看護師などの医療従事者 | 施術をするのに資格は必要なし |
脱毛効果 | レーザーで毛根の組織を破壊し、新しい毛を生えなくするため、永久脱毛が可能 | 組織にダメージを与えるだけなので、減毛・抑毛効果のみで永久脱毛はできない |
施術回数と期間 | 出力が強いレーザーを使用するため、5~6回ほどで効果が実感でき、約1年で終わることが多い | 光の力が弱いため、20回ほどで効果が得られるが、2~3年続ける必要がある。ムダ毛がない状態を維持するためには半永久的に続けなければならない |
料金 | 脱毛効果が早めに出るため、少ない回数・期間で終えることが可能。そのため、料金も抑えることができる | 1回の料金は比較的安いが、回数が多く、期間が長いため通算すると費用の総額が高くなることが多い |
安全性 | 痛みなどのトラブルが起きないよう、医師の監視下で医療機器を使うため、安心。
万が一、トラブルルが起きた場合は常駐している医師が対応してくれる |
肌トラブルが起きたとき、医師がいないため病院へ行く必要がある |
痛み | 脱毛部位によっては痛みを感じることがあるが、麻酔クリームを使用して軽減することが可能 | パワーが弱いため、ほとんど痛みを感じない |
医療脱毛のメリット
医療脱毛とエステ脱毛の差を解説してきましたが、ここでは「医療脱毛」について、そのメリットを詳しく説明していきます。
先ほど、それぞれの違いを挙げた部分と重なるところもありますが、詳しくわかりやすく述べていきますので、医療脱毛が気になる人は参考にしてみてくださいね。
トラブルが起きたときに必要な治療を受けることができる
脱毛の安全性のところでも解説しましたが、医療脱毛は強いレーザーで毛根組織を破壊する施術です。そのため、ほかの美容医療施術に比べればトラブルが起きにくいものの、やけどなどのリスクが全くないとは言い切れません。
医療脱毛を行うクリニックは、脱毛を行う前に医師が診察を行い、一人ひとりの肌や健康状態を確認して施術を行います。そして、万が一トラブルが起こったときは、その場で医師に診てもらうことができます。
エステサロンのなかには病院と提携していて、肌などにトラブルが起きたときに無料で診察を受けることができるところがあります。しかし、その場で診察を受けることはできないため、対応が遅れるおそれがあります。
このように、一人ひとりの肌に合わせて脱毛を行ってくれ、すぐにトラブル対応ができるのは医療脱毛のメリットと言えます。
医療従事者が安全な機器を使うので安心
クリニックで使用する脱毛機器は医療用のもので、専門的な知識を持つ医師や看護師などの資格を持った人たちが取り扱います。
言い換えれば、医療用のレーザー機器は厳しい国家試験をクリアした医師や看護師しか扱うことができないということです。
レーザー機器を使って脱毛を行うときは、患者の肌の調子に合わせて照射パワーや角度を調整しながら施術を行います。この微妙な調整で施術を受ける人の肌トラブルを防ぎ、適切な方法で機器を扱う必要があるのです。
また、医療脱毛に使われるレーザー機器には、アメリカの政府機関である「FDA(Food&Drug Administration)が決めた厳しい基準をクリアしたものがあります。FDAは、消費者が安心した暮らしが送れるように、食品、化粧品、医療機器などの安全性と有効性を保証する機関です。
この厳しい基準をクリアしたレーザー機器を取り扱うのは、正しい知識を持った医療従事者でなければなりません。医療脱毛は、このように医師や看護師の確かな知識や技術で安全性の高い機器を使ってくれるため、安心と言えるのです。
永久脱毛が可能
脱毛を望む人のほとんどは、「ムダ毛の自己処理をしなくてすむようになる」ことを望んでいるでしょう。日本では、「永久脱毛」の規定がないのですが、アメリカでは先ほどご紹介したFDAが、「3回レーザーを照射して6ヶ月経った時点で67%以上の毛が減っている状態」であれば永久脱毛であると定めています。
医療用のレーザー脱毛なら、1回あたりのレーザーが強力なので、FDAが言うところの「永久脱毛」が可能です。これは、エステ脱毛で使う光脱毛では実現できません。
痛みに弱い人向けに麻酔が使える
これに関しても先ほど述べましたが、医療脱毛は医師がいるクリニックでしか行えません。そのため、脱毛するときは医師が事前に診断し、その人に合った方法で施術することが可能です。
最近のレーザー機器は、痛みを感じにくい工夫がされているものがほとんどですが、なかには痛みが苦手な人もいますよね。医療機関で行う脱毛であれば、痛みに弱い人には麻酔を使うことができます。これは医療機関でしかできないことですから、医療脱毛のメリットと言えますね。
脱毛をするときは安全性を重視しよう!
脱毛を考えている人は、自分でムダ毛処理をしなくてすむのを望んでいるのではないですか?できるだけ早く、きれいなムダ毛のない肌を手に入れたいと思っていることでしょう。
今回、この記事で説明したように、医療脱毛とエステ脱毛では様々な点で違いがあります。料金だけを見たらリーズナブルな価格設定のエステサロンのほうに魅力を感じると思いますが、長期的な面で見ると医療脱毛のほうがおすすめです。
大切な肌を美しく保つため、安全性や永久脱毛が可能なのかをじっくり見極めて、どこで施術を受けるか決めていただきたいのです。
また、医療脱毛が受けられるクリニックは多くありますが、それぞれの特徴がありますので、カウンセリングを受けて検討するのをおすすめします。
<参照>
メアリクリニック「医療脱毛とエステ脱毛(美容脱毛)の違い」:https://mary-clinic.com/column/esthe
メアリクリニック「医療脱毛は痛い?」:https://mary-clinic.com/column/pain
リゼ「エステサロン脱毛と医療脱毛の違い」:https://www.rizeclinic.com/knowledge/difference.html
新宿マリアクリニック「医療レーザー脱毛とエステ脱毛の違い」:https://www.maria-cl.net/medical/datsumo/clinicesthetic/
スキンケア大学「医療レーザー脱毛とサロンでの脱毛の違いとは?」:https://www.skincare-univ.com/article/006446/
スキンケア大学「永久脱毛をしたいなら病院の医療レーザー脱毛がよい?」:https://www.skincare-univ.com/article/006450/#indexList3