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DMAT(ディーマット)になるにはどうすればいいの?活動内容の詳細や加入するための条件について

DMAT(ディーマット)をご存知でしょうか。ドラマ「Dr.DMAT」や「コードブルー」などでその存在を初めて知った方もいるかもしれません。多くの医療関係者が目指しているDMATという職業。その活動内容や魅力、DMAT隊員になるための手段などについてご紹介します。

2018年03月15日更新

MOMOKO (ホプラス編集部)

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[1]DMAT(災害派遣医療チーム)とは?

DMATの意味・発足したきっかけ

DMATとは、Disaster Medical Assistance Teamの略で「災害派遣医療チーム」とも呼ばれます。詳しくは「災害発生後48時間以内に迅速に活動でき、災害時医療のトレーニングを受けた医療チーム」のことです。つまり、災害時に現場に急行し、最前線で災害医療に当たるスペシャリストたちです。

DMATは、医師や看護師をはじめ、薬剤師や理学療法士・救急救命士・臨床検査技師など、さまざまな医療従事者で構成されています。普段は全国の病院で通常通り勤務していますが、災害が起こるとDMAT隊員として現場に向かうのです。

日本でDMATができたのは、1995年に起きた阪神・淡路大震災がきっかけです。戦後最大の自然災害となったこの震災時、災害医療・救急医療が最初からきちんと機能していれば救命できたと思われる「避けられた災害死」は約500名にのぼると言われています。

震災から10年後の2005年、災害時に1人でも多くの命を助けるために、厚生労働省によって日本DMATが発足しました。同時期に東京DMATや大阪DMATなど、地域ごとに個別のDMATも組織されて、DMATの存在はより日本全国に普及するようになりました。日本DMATの登録隊員数は発足当初300人と少数でしたが、2011年には6,000人、2014年には9,000人と急増しています。DMATへの加入を希望する医療従事者の多さを表わしています。

DMATの活動内容

災害現場でのDMATの活動内容は多岐に渡ります。主な活動内容をまとめると以下の3つです。

■広域搬送拠点医療施設(SCU)での医療支援
■被災地域の病院での医療支援
■被災地域での現場活動

それぞれの活動内容を詳しく見ていきましょう。

  • 広域搬送拠点医療施設(SCU)での医療支援
  • 広域搬送拠点医療施設(SCU)とは、大規模災害の現場にできる臨時医療施設のことで、空港や飛行場、広大な公園などが指定されています。災害発生時には膨大な患者が発生するため、患者に優先順位をつけて(トリアージといいます)応急治療をし、災害地域外の病院へ搬送する必要があります。その一連の作業を、専門の訓練を受けたDMAT隊員が行なっています。

  • 被災地域の病院での医療支援
  • 被災時には、医療の拠点となる災害拠点病院が指定されています。被災地域内の病院は、怪我をした患者たちで大混乱になります。DMAT隊員は災害拠点病院やその他の病院に入り、現地スタッフとともにその混乱をしずめ、トリアージや応急医療、災害地域内外への患者搬送などの応援にあたります。

  • 被災地域での現場活動
  • DMATの出動は事前災害だけではなく、大規模な事故や殺害事件現場など多岐に渡ります。そういった現場でレスキュー隊とともに活動し、医療支援を行なうのもDMATの役目です。現場での活動には専門のスキルが必要なため、専門のトレーニングを受けたDMAT隊員の存在はとても貴重です。

[2]DMATとしてはたらく魅力とは?

災害現場という壮絶な現場で力を発揮するDMAT。その隊員としてはたらく魅力とは何でしょうか。以下の3つが挙げられます。

災害現場で人命救助のリーダーになれる

医療の基本の目的は、人を助けること。それを災害現場において効果的に実践できるのが一番の魅力です。当たり前ですが、普通の人は医療知識がないので怪我をしても処置ができません。また、災害現場の病院スタッフは大混乱におちいってしまい、普段は提供できていた医療サービスがストップしてしまいます。そんなときに、きちんと災害時のトレーニングを受けたDMAT隊員が来てくれたら、どんなに心強いでしょうか。

自分が災害現場で活動することで、助かる命が増えることを実体験できるのがDMATです。その経験は通常の病院勤務では得られないものであり、医療従事者としての自信につながるでしょう。

豊富な医療経験・知識が身につく

患者の症状は一人ひとり違います。医療従事者は通常の病院勤務時からたくさんの症例を見て、経験や知識を蓄えています。ですが、働いている環境によっては、自分のスキル以上の治療をすることが減って、物足りなさを覚える人もいるかもしれません。

DMAT隊員になって実際の現場で学ぶことは、通常勤務を超えるものがあるでしょう。日々の勤務では得られない経験を積めることは大きな魅力です。また、DMATのでの経験を活かして、認定看護師など上位の資格を取得する人も多いようです。

心身ともにタフになれる

DMATとして災害現場に行くと、壮絶な現場を目の当たりにします。特に、患者に優先順位をつけるトリアージ作業は、助かる見込みのない患者の治療を後回しにする必要があるため、精神的にきついと言われています。そんな災害現場を乗り越えると、どんな現場でも冷静に対応できるタフさが身につくでしょう。

また、災害現場での勤務は、通常のシフト勤務よりもはるかに多忙で体力的にきついことが多いです。そのため、嫌でも体力がつき心身ともにタフに成長することができます。そこまでしてタフになりたくない…という方には不向きの職業です。

[3]DMAT隊員になりたい!どうしたらなれるの?

DMAT隊員になるにはどうしたらいいでしょうか。DMAT隊員になれる職種や、入るために必要な研修などについてまとめました。

DMATに加入できる職種

DMATは最大5名のチームを組んで活動します。チームメンバーの内訳は、医師1名、看護師、業務調整員となっています。DMATになるには、医師か看護師が一番の近道です。また、業務調整員としてチームに入れる職種は、救命救急士・薬剤師・放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技士・医療事務員など多岐に渡るので、医師や看護師以外でもDMATに入れる可能性はあります。

DMATに入るための条件

DMATに入るための最低条件は、国が指定した「災害拠点病院」に勤めていることです。災害拠点病院は平成27年4月時点で694病院あるので、勤務したい病院を選んで就職もしくは転職しましょう。

また、すでに災害指定病院に勤務している場合は、病院内での選抜に選ばれる必要があります。選抜の基準は病院によって違いますので、詳しい先輩や上司に確認すると良いです。ただ、選ばれやすいのは、普段から救急外来(ER)、救急科、救命センター、集中治療室、外科などで勤務しているスタッフと言われています。特に医師は、救急科の医師が圧倒的に多いそうです。もし自分が該当する部署にいないならば、病院内で異動をするのもおすすめです。

DMATの研修・訓練

病院内でDMAT隊員に選抜されたら、次は指定された研修を受ける必要があります。この研修は座学と実技で構成され、日本DMATは3.5日・東京DMATは1.5日と組織によって期間は異なりますが、短時間で多くのことを詰め込む研修である点は共通しています。研修後の試験に合格したら、晴れてDMAT隊員になれます。この試験は落ちる可能性ももちろんあるので、真剣に研修と試験に取り組みましょう。

また、DMAT隊員になったあとも、定期的に研修を受けて知識のブラッシュアップをしたり、数年に一度資格の更新があったりと、定期的にスキルアップに励むことになります。

[4]DMAT隊員に向いている人とは?

DMAT隊員になれる人の素質は何でしょうか。DMATに向いている人は「DMATになりたい強い気持ちとやる気がある人」です。

DMATは生活のためにしている仕事とは違い、志願して行なうものです。DMATになれなかったからといって困ることはありません。また、通常の病院勤務に比べて心身ともに激務になる可能性が大きく、自分にかかる負担は増えるでしょう。それでもDMATとして災害現場で人の役に立ちたい、多くの人名を救いたいという人に向いている仕事だと感じます。

もし、「災害現場に行くことで休みが減ったらどうしよう…」「トリアージするのが嫌だ…」と本気で思っているのであれば、DMATには向いていないでしょう。生半可な気持ちで務まる仕事ではありません。

[5]DMAT隊員の待遇は?

DMAT隊員になったら、収入や休日などの待遇面は変化があるのでしょうか。

DMAT隊員の収入はどれくらい?

調査の結果、DMAT隊員として活動したからといって、DMAT組織から給料が出たり収入がアップすることはないようでした。よって、いつも勤務している病院でもらう給料がDMATの隊員の収入となります。ただ、DMAT隊員として出動しているときも勤務時間としてカウントされるはずなので、その月の収入は多くなるでしょう。

DMATの女性隊員の割合

DMAT隊員の男女比は公表されていませんが、チーム編成の基本が医師1名以上・看護師2名以上・その他1名以上と看護師の割合が多いことを考えると、女性のDMAT隊員は約半数~それ以上いると考えられます。特に、ER(救急外来)で働く看護師がDMATに選抜されることが多いようなので、DMATになりたい方はER勤務を希望してみるとよいでしょう。

[6]DMAT隊員になって人命救助の最前線で貢献しよう

実際DMATとして勤務する方の話から感じるのは、DMATになる一番の条件は「やる気」「責任感」だということです。やる気のない人が災害現場に行って役に立つでしょうか。もちろん治療するスキルや経験も必要ですが、一番大切なのは人を救おうとするメンタリティだと思いました。DMAT隊員になって災害現場の最前線であなたの力をフルに発揮してみてはいかがでしょうか。

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