小学生から読書を習慣にする方法とは?どんな効果やメリットはあるの?

小学生の子供に本を読む習慣をつけさせたいと考えている保護者は多いでしょう。小学校でも読書を勧められることがありますが、そもそも読書をするとどのようか効果があるのでしょうか。また、読書をすることでどんなメリットがあるかも知りたいですよね。この記事では、小学生に読書を習慣にする方法と効果やメリットについて詳しく解説していきます。

読書を習慣にすることのメリットと効果

昔から大人が子供に「本を読みなさい」と勧めていたのは、読書にたくさんのメリットがあるからです。そのメリットはどのようなものか、さらに読書が子供にどのような効果を与えるかについても解説します。

文部科学省も推奨する読書

文部科学省は、子供たちが読書活動を行うために都道府県、市町村に環境の整備を推進させるために「子どもの読書活動の推進に関する法律」を制定しています。

その法律のなかで子供にとっての読書活動は、「言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人士をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないもの」だとしています。(引用:「子どもの読書活動の推進に関する法律」)

<参考>
文部科学省「子どもの読書活動の推進に関する法律」:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/040/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/08/15/1389071_005.pdf

読書が子供たちに与える7つのメリット

次にご紹介するのは、読書が与えるメリットです。読書がもたらすメリットは小学生のときだけでなく、大人になってからも良い影響を与えるものが多いのです。

読解力が身につく

読書を習慣にすると、文章を読んで頭の中で理解していくことで、ものごとを読み解いていく「読解力」が身につきます。

この読解力は子供の勉強におおいに役立つものです。学校の勉強では国語はもちろん、ほかのすべての教科にも読解力は必要です。例えば、算数の問題は計算力だけでなく、文章問題を解くための読解力が必要になります。計算ができても問題を理解することができなければ答えを出すことはできないためです。

社会や理科のような教科でも、授業やテストで答えを出すための文章を理解する力が求められます。さらに、英語を勉強するときは国語力が必要です。英語の文章を訳すときや、日本語の文章を英訳するとき、どちらも国語力がないとうまくいきません。

このように、どの教科にも「読解力」は必要です。そのため、読解力が身につく読書は子供の学力を上げるためには有効だと言えます。

好奇心が満たされる

本は、「知りたいことが知れる」経験ができます。小学生の子供は好奇心旺盛で、色々なことを知りたいと考えています。その好奇心を満たしてくれるのが本なのです。

虫が好きな子供は、幼い頃に虫の図鑑を眺めてどのような虫がいるのか知ったことでしょう。そして、文字が読めるようになると図鑑に書かれている虫の名前や原産国が分かるようになります。

さらに、その興味はどんどん広がっていき、興味がある虫がどのような行動をするのかなど様々なことが知りたくなるのです。子供は本を読むことで、この「知りたい」という欲求を満たすことができ、それが「知識」となっていきます。

読書は、自分では実際に体験できないことでも同じように体験したような気持ちになれます。このように、本を読んで知らなかった広い世界が知れるのは子供にとってとても楽しくワクワクすることなのです。

違った視点を知ることができる

世の中には色々な考えを持っている人が多くいます。一人ひとり価値観やものの見方が違いますが、本には様々な考えが書かれているため、読書をすることで広い価値観を学ぶことができます。

小学生のうちから読書を習慣づけておけば、本を通じて物事には様々な見方があることを学ぶことができます。このように、広い視野を感じることができるのが読書の面白さと言えます。

表現力が豊かになる

読書を習慣にすると、多くの言葉に触れることができます。言葉の表現の仕方は様々な方法がありますが、本をたくさん読むことは多くの表現方法を学ぶことにつながります。

私たちは自分の考えを相手に伝えるとき、頭の中で思いを言語化します。その作業は多くの表現方法を知っていることで豊かなものになるのです。

また、人と接するとき、「コミュニケーション能力」があることで関係がスムーズになります。小学生のころから読書を習慣にしておくことで、たくさんの言葉を吸収でき考えを的確に表現できるようになるでしょう。

想像力が豊かになる

本を読むことで身につけることができるものに「想像力」があります。読書は文字を読みながら頭の中で風景や動きを「想像」していく作業です。自分では到底体験できないような世界のことを想像しながら読み進めていく読書は、子供たちの想像力を豊かにしてくれます。

漫画や映画でも自分が体験できない世界を楽しむことができますが、これらは映像化されているため、想像力を必要としません。しかし、本ならば自由に想像して読み進めることができるのです。

この想像力は、子供の心を豊かにしてくれる大切な力です。想像力が豊かであれば、相手の気持ちや考えを想像することができます。友達との関係でも、「こんなことを言ったら相手は傷つくだろう」と想像でき、「親が自分に注意したのはこういう思いからだろう」と想像することで心の成長につながるのです。

読書は子供の想像力が豊かにし、思いやりが養われていく良い体験と言えるでしょう。

論理的な考え方が身につく

読書をしているときは、その内容を理解しようとして冷静になる時間です。本を開いて読み進めるとき、誰もがまずは本の内容を頭の中に入れていき、だんだんとその内容に引き込まれて感動したり共感したりします。

この作業は日々の生活の中でも役立つものです。感情的になってしまいがちなことに遭遇したとき、冷静に「まず頭の中で考えて」物事を捉えることができるようになります。

近年、「キレる子供」が増えたと言われますが、読書をすることで何かあったときに感情的になることなく「考える」力が身につくでしょう。

記憶力が良くなる

読書は、内容を理解するために、登場人物名前や出てくる土地の名前を覚えながら読み進めていきます。その行動は、無意識のうちに脳に刺激を与えることにつながるのです。

読書をすると本の内容をイメージすることで脳が良い刺激を受けることができます。このように、読書で脳を鍛えることは、記憶力が良くなり子供の学力アップが期待できます。

読書がもたらす3つの効果

子供が読書の習慣を身につけることで、たくさんのメリットがあることはお分かりいただけたと思います。次は読書がどのような効果をもたらしてくれるかについてを解説していきます。

ストレスを軽減してくれる

現代社会はストレスが多いと言われていますが、そのストレスを解消に効果的な手段はどのようなものかと研究したデータがあります。イギリスのサセックス大学の研究チームによると、ストレス解消の方法として読書が効果的だとしています。

この研究では、心拍数の低下や筋肉の緊張緩和を計測してストレスの軽減の度合いを調べました。その結果、読書中は68%もがストレスを軽減していることが分かりました。次いで音楽鑑賞が61%、コーヒーを飲むが54%、散歩が42%となっています。

さらに、毎日たった6分の読書がストレスを緩和させるということが分かったのです。このストレス緩和のための読書には、いくつかのコツがあります。

それは、「読書は静かな場所ですること」です。そして「自分が興味を持った本を読むこと」も大切です。興味がない本を読んでもストレスが緩和できるはずはありませんよね。難しい本に手を出さず、楽しいと思える本を選ぶことがストレスを緩和させるのに重要なのです。

さらに、自分がくつろげる空間で読書することもリラックスできるコツです。リビングのソファーや自分の部屋のベッドの上、好きな場所で本を読むことがストレスを和らげることになります。

子供でも大人でも常にストレスはつきものです。ストレスを抱えてしまうことがないよう、小学生のうちから読書を習慣にして、上手くリラックスできる方法を身につけるのは子供自身のためにもなるでしょう。

<参考>
「Reading ‘can help reduce stress’ 」:https://www.telegraph.co.uk/news/health/news/5070874/Reading-can-help-reduce-stress.html

集中力がつく

読書は集中しないと内容が頭の中に入ってきません。そのため、本を読むときは文字に集中して他の情報をシャットアウトするため、自然に集中力が養われることになります。

小学生の子供に読書の習慣をつければ、勉強や習い事などの場面でも集中して臨むようになっていくでしょう。

アルツハイマー病の予防になる

カリフォルニア大学バークレー校の研究グループが学術誌「the Archives of Neurology」で、子供の頃から読書習慣があると、アルツハイマーの原因物質である「ベータアミロイド」の形成を抑制すると発表しています。これは、読書が脳に継続的な刺激を与えることによるものと見られています。

小学生の子供にはかけ離れた話かもしれませんが、子供の頃から読書を習慣にしておくことで将来の病気予防に役立つ可能性があると言えます。

読書の習慣はどれくらい?大人と小学生の読書習慣を比較

読書をすることのメリットと効果が分かったところで、読書の習慣がどれくらいかをデータを参考にしながら見ていきましょう。16歳以上の人たちと小学生の読書週間を比較してみたいと思います。

16歳以上の1ヶ月の読書冊数と読書時間

文化庁が2019年の2月から3月に全国の16歳以上の男女を対象に「国語に関する世論調査」を行ないました。この調査の「1ヶ月に本を何冊読むか」との問いの結果は以下の通りでした。

1ヶ月に読む本の冊数 全体の割合 前回(2014年の結果)
全く読まない 47.3% 47.5%
1~2冊 37.6% 34.5%
3~4冊 8.6% 10.9%
5~6冊 3.2% 3.4%
7冊以上 3.2% 3.6%

この結果から、1ヶ月に1冊以上本を読む割合は全体の52.6%となっています。この調査では16歳以上の人たちの約半数の人が読書をしているものの、約半数の人は1ヶ月のうちに読書をしていないということが分かります。

次に、2019年10月から11月に全国の大学生を対象にした調査を見てみましょう。全国大学生活協同組合連合会が行なった調査「第55回学生生活実態調査 概要報告」のなかで、1日の読書時間について調査しています。

その結果から、1日に読書をする平均時間は30.4分で、全く読書しないと答えた人の割合は48.1%でした。こちらの調査でも、約半数の人たちが読書していないということが分かりました。

小学生の1ヶ月あたりの読書冊数はどれくらい?

上記のデータは16歳以上の人たちを対象にしたものでしたが、次に小学生を対象にした調査データをご紹介します。

全国学校図書館協議会が2019年に実施した「第65回学校読書調査」によると、小学4年生からが6年生が1ヶ月に読む本の冊数は、平均で11.3冊でした。

そして、小学4年生から6年生で1ヶ月に読書をしないと答えたのは全体の6.8%という結果が出ています。先にご紹介した16歳以上の人たちや大学生が約半数の人たちが読書をしないと回答したのに比べると、小学生は全体の93.2%が本を読んでいることが分かりました。

小学生のうちは読書の習慣があるのに、16歳を過ぎると読書しなくなってしまうのです。

<参考>
文化庁「国語に関する世論調査」:https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/r1393038_02.pdf

全国大学生活協同組合連合会「第55回学生生活実態調査 概要報告」:https://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html

小学生に読書を習慣にする方法

先述したデータによると、小学生のうちは本を読む習慣があるものの、大人になると本を読むことが少なくなっていくのが分かりました。これは、読書の習慣がしっかり身についていなかったためと思われます。では、読書習慣を身につけるためにはどのような方法があるのでしょうか。

小学生の子供に読書習慣をつけるためにはいくつかの方法があります。どれも無理に行なうものではなく、大人も一緒になって読書習慣をつけられる方法ですから、ぜひお子さんと一緒に試してみてください。

本の読み聞かせをする

子供は活字に慣れていないうちは、「本を読む」ことに抵抗を示すこともあるかもしれません。また、文字をスラスラ読める段階ではないうちは、「読み聞かせ」がおすすめです。

子供は言葉を耳にすることで、本を読んでいることと同じように頭の中で想像を膨らませて読書をしているような体験ができます。保護者が本を読み聞かせてあげることで、普段は耳にしない言葉や内容を知ることができ、想像力も養われます。

また、本の読み聞かせは親子の大事なコミュニケーションでもあります。小さなころは親の膝に乗せて絵本を読み聞かせることで、スキンシップにもなります。子供はこの読み聞かせの時間を通して、本の面白さやお父さんやお母さんとの楽しい時間を味わうことができるのです。

そして、読み聞かせを通して「自分でも読めるようになりたい」「もっと知りたい」という好奇心を育てることにもなります。そうすれば、自然と子供から本を手に取ることになるでしょう。

身近に本がある環境を作る

読み聞かせで子供が本に興味を持ったとき、子供がすぐに本を手に取れる環境を作っておく必要があります。子供が好きそうな本を図書館から借りてくる、購入しておくなどして常に本が身近にあるようにしてあげましょう。

多くの図書館で、本は2週間の借りることができます。図書館によって、6冊までというところや10冊まで借りられるところもあります。多いところでは、2週間の期間で15冊まで借りられるところもあるようです。

多く借りられる場合は、子供が好きそうな本のほかに、違うジャンルのものも借りてみると子供が興味を示すことがあるかもしれません。例えば、子供が冒険物語の本が好きだった場合、主人公が冒険で訪れた国にちなんだ本などを揃えてみると良いでしょう。

読書を習慣にするためには、読みたいときに本がそばにある環境を作ってあげるのが重要なのです。

読書に集中できる環境を整える

読書をするときに大切なのは、本に集中できる環境を整えることです。常にリビングのテレビがついている、パソコンやスマホをすぐに触れるようになっているなどの環境では集中して本を読むことが難しいでしょう。

読書の効果のところで、静かな場所で本を読むことでリラックス効果が期待できると解説しましたが、環境を整えることでこの効果は得られます。子供に読書習慣をつけてもらいたいときは、一度部屋を見渡して環境が適切か確認してみると良いでしょう。

保護者も読書を楽しむ

子供を本好きにするためには、親が読書を楽しむ姿を子供に見せることが大切です。親が夢中で本を読んでいたら、それを見ている子供が読書は楽しいものだと認識します。

1日のうち、時間を決めて読書の時間を設けてみるのもおすすめです。例えば、寝る前の30分は親子でそれぞれ好きな本を読む時間にすると子供の読書習慣が身につきます。

子供が読んだ本の内容について感想を聞く

子供は自分が体験した楽しいことを好きな人に聞いてもらいたいものです。読書に関しても同様で、面白かった内容や自分が感じたことを人に話したいと考えます。

そこで、保護者は子供が読んだ本を先に読んでおき、内容について質問すると良いでしょう。読書は子供の頭の中に内容を入れる作業ですが、読み終わったときに感想を話すことで本の内容や得た知識をさらに身につけることができます。

読み終わったときのおおまかな感想や、主人公の行動についてどう思ったのか、自分だったらどのように行動したかなど、子供と一緒に本の内容について会話してあげてください。そうすることで、子供は読書の楽しさを味わうことができます。

読書習慣は親子で楽しみながら身につけよう!

読書が小学生の子供に様々なメリットや効果を与えてくれることが分かりました。本を読むことで得られるたくさんのメリットは、大人になってからも役立つことばかりです。

小学生の頃から読書を習慣にするためには、無理やり本を読ませるのではなく、読書は楽しいものだと自然に思わせるようにすることが大切です。そのためにも保護者が本を好きになって子供と一緒に読書を楽しみ、豊かな時間を過ごしてくださいね。

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