プールの時期になると聞く「はやり目」。ウイルスが原因の流行性角結膜炎といいます。移してしまう・移ってしまう可能性がある病気なため、早めの治療や予防・対策が重要です。子供達の目の安全のためにも、詳しく知っておきましょう。
流行性角結膜炎(はやり目)とは?
「子供が目をかゆそうにしている」「目やにが多い」そんな様子が気になったら、「はやり目」とも呼ばれている流行性角結膜炎の可能性があります。
感染してしまう目の病気なので、出来るだけ防ぎたいもの。また、子供のお友達にも移さないようにしたいですね。事前に、流行性角結膜炎(はやり目)に関して理解しておきましょう。
まずは「結膜炎」について知ろう!
まずは、大人でもよく聞くことのある「結膜炎」について理解しましょう。
「結膜」は、白目の表面やまぶたの裏側をおおっている粘膜のことをいいます。白目の部分のところは「眼球結膜」、まぶたの裏側部分は「眼瞼結膜」といいます。これらの結膜がまぶたと眼球をつなぎあわせ、目がスムーズに動くようになっているのです。
この結膜が微細な汚れの侵入や細菌などの影響により炎症をおこしてしまい、結膜が赤くなったり、結膜のあるまぶたの裏側が腫れてぶつぶつができてしまったりすることを「結膜炎」といいます。
また、角膜、黒目付近にある粘膜部分が炎症してしまうことを角膜炎というため、角膜・結膜の両方が炎症を引き起こす場合は角結膜炎となります。
流行性角結膜炎(はやり目)とは?
流行性結膜炎(はやり目)とは、「アデノウイルス」というウイスルに感染することが原因で発症する、結膜炎のことを言います。アデノウイルス自体は1年中存在していますが、夏の時期、特に8月頃に主に流行しやすいウイルスです。子供が幼稚園や小学校などでプールがある時期には注意が必要です。
流行性角結膜炎(はやり目)の症状
流行性角結膜炎(はやり目)に少しでも早く気付けるように、症状も知っておきましょう。
流行性角結膜炎(はやり目)は、感染してから約1〜2週間(約7〜14日)で発症するといわれています。
感染してから、症状が出始めるまでの期間や症状の出始めは、涙に近いようなさらさらした目やにが出たり、涙がいつもより出るようになったり、光をまぶしく感じやすい、といった症状が表れる様になります。その後、はっきりと症状が出る頃になると角膜に濁りが表れたり、まぶたの結膜が腫れる、目が充血する、白い目やにがたくさん出るなどの症状が表れます。症状がひどくなると、まぶたが腫れてしまい目が開かない程に腫れてしまうケースもあります。
症状の変化
感染初期(潜伏期間)”]
- 感染から7〜14日
- さらっとした目やにが出る
- 涙がたくさん出る
- 光がまぶしく感じる
感染中期・後期”]
- 感染から10〜21日
- 角膜に濁りがでる
- まぶたが腫れる
- 目が充血する
- (ひどい場合には)目が開かない程にまぶたが腫れる
流行性角結膜炎(はやり目)になった時は?
子供が流行性角結膜炎(はやり目)にかかってしまった時には、どうしたらよいのでしょうか?治療法はあるのでしょうか?
治療法
子供が目に違和感を訴えたり、いつもよりゴシゴシとして腫れが気になるといった症状が出始めたら、なるべく早く眼科を受診するようにしましょう。
眼科で「流行性角結膜炎(はやり目)」の診断がでると、抗菌点眼薬やステロイド点眼薬を処方してくれるケースがほとんどです。流行性角結膜炎(はやり目)自体は、ウイルス感染が原因で起こる結膜の炎症なため、直接有効な成分や点眼薬はありません。
基本的には、ウイルスに負けないために子ども自身の抵抗力を高めることが治療につながります。ゆっくりと休ませたり、栄養のある食事をとらせることで、ウイルスに対する抵抗力を高めてあげるようにしましょう。
一方、眼科で処方される点眼薬は別の働きがあります。アデノウイルスに感染し、流行性角結膜炎(はやり目)を起こしてしまうということは、子供の抵抗力が弱まっている可能性があることも示しているため、他のウイルスに感染する可能性もあります。症を少しでも抑えるためにステロイド点眼薬などを使うのです。
治るまでの期間
流行性角結膜炎(はやり目)は発症してから7〜14日(感染してから14〜21日)程度で治ることがほとんどです。しかし、あまり休息がとれなかったり、重症な場合には治るのに1ヶ月近くかかってしまうこともあります。出来る限りゆっくりと過ごし、十分な睡眠・栄養のある食事をとらせてあげましょう。
保育園や小学校はどうする?
アデノウイルスへの感染が原因の「流行性角結膜炎(はやり目)」。親として気になるのは、幼稚園や小学校などへの登校は可能なのかというところ。
流行性角結膜炎(はやり目)は、学校保健法で「第三種:出席可能な状況は、意思が感染の恐れがないと判断するまで」と定められ、出席停止とされています。
アデノウイルスの感染力は非常に強く、学校の友達や先生などに移してしまう可能性があるので、医師の判断を仰ぎながら、保育園・幼稚園・小学校・中学校への登校は控えるようにしましょう。
後遺症の可能性も?
ウイルス性の結膜炎全般にいえることですが、流行性角結膜炎(はやり目)で怖いのが後遺症が残る可能性があるということです。
症状がでている時期や治りかけの頃などに角膜が白く濁ることがあります。医師の判断のもと、点眼薬を使用して治療を続けていればほとんどは後遺症もなく治癒しますが、まれに角膜の白い濁りが残ってしまうことも。この場合、視力に影響を及ぼしてしまうことになります。私たち人間は黒目を中心にしてモノを見ているため、濁りが残ることで「光が反射して見えてまぶしい」と感じたり「視界が白く曇ってみづらい」と言った不便を感じるかもしれません。
まぶたの腫れや、目やになどの自覚症状がなくなっても医師の判断があるまで点眼などの治療はしっかりと続けるようにしましょう。
違うウイルスでも結膜炎に!似たような症状に注意!
ウイスル感染による結膜炎にもいくつかの種類があります。似たような症状でわかりにくい上に目の違和感なんかは幼い子供には表現しにくいもの。
感染させてしまう・感染してしまう可能性のあるものですから、しっかりと知っておきましょう。
プール熱(咽頭結膜熱)
プールで感染することが多いため、プール熱と呼ばれる結膜炎です。さらに咽頭炎も起こし高熱がでることもあるため、咽頭結膜熱とも呼ばれています。ウイルスはアデノウイルスなので流行性角結膜炎(はやり目)と症状はほぼ同じですが、38度を超える高熱がでることもあります。
流行性角結膜炎(はやり目)の場合は、4型・8型・37型・19型で、プール熱の場合は3型・4型です。感染してから発症までの期間が少し早く5〜7日程度です。感染してから15目頃には治っている場合がほとんどです。
急性出血性結膜炎
急性出血性結膜炎はエンテロウイルスへの感染が原因で起こる結膜炎です。感染して1〜2日後に、急に眼球結膜に出血があらわれ、目の充血や、結膜にブツブツとした腫れができるなどの症状がおきます。感染から発症までの期間が短いのが特徴的です。
流行性角結膜炎(はやり目)を防ぐためには?
流行性角結膜炎(はやり目)は、アデノウイルスというウイルスが原因の結膜炎。子供が友達からもらってきてしまうこともあれば、感染させてしまう可能性もあるもの。
どんなところから感染してしまうのか、どうしたらうつらない・うつさないで済むのか。予防策・対策を把握しておきましょう。
まずは感染経路を把握!
- プールの水にいることも
- ウイルスが付着した手が触れたドアノブや手すり
- 顔を拭いたタオルに付着
- 子供用のおもちゃ
- 手と手を介して
アデノウイルスは非常に強い感染力をもつ、つまりすぐには死なないウイルスです。潜伏期間など症状がない、気づいていない時に目をこすってしまい、その手触れてしまったものなど感染の媒介はさまざまです。
うつらない、うつさないためには?
プールで気をつけること
- プールに入るときは、水中メガネ・ゴーグルを使用する
- 目が充血していたり、目がゴロゴロしたり、目やにがる、そんなときはプールに入らない
- プールへは点眼薬をもっていかない(点眼薬の点眼部分やキャップなどにウイルスが付着する可能性がある)
幼稚園や学校、家族に流行性角結膜炎(はやり目)の人がいる場合
- 帰宅時だけでなく、家の中にいても寝る前などこまめに手洗いをする
- タオルは別々に(洗濯は一緒にしても大丈夫。抗菌の洗剤を使用し、しっかりすすぎましょう)
- 洗面具も別々に(水を媒介してウイルス感染します)
- 流行性角結膜炎(はやり目)の人は、お風呂を一番最後に入る
- 子供が目やにを手でとろうとしたら、テイッシュや綿棒などで拭き取ってあげる
- ドアノブや手すり、家族がよく触れるものは消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒する
うつさないために、早く治すために
- 水道水で手をこまめに洗う
- 人混みへは出かけない
- 家でゆっくりと過ごして休養をとる
- 保育園、幼稚園、小学校、中学校へは医師の許可がでるまで行かない
- プールへ入っていいかも医師に確認をとる
参考サイト:NIID 国立感染症研究所 / 厚生労働省
流行性角結膜炎(はやり目)は予防できる!気になる症状があればすぐに眼科へ!
- 症状
- 治療方法は
- うつらないため、うつさないためには
「まぶたの裏側が腫れる」「目やにが出る」「まぶしい」「角膜が白く濁る」
ない!子供を休息させ、ウイスルへの抵抗力を付けましょう。3週間程度で多くの場合は治ります。
こまめな手洗いや、タオルを分ける、人との接触は気をつける