行政書士は街の法律家!なるために必要な国家試験や難易度・大学とは?

「街の法律家」として知られる行政書士ですが、実際にどのような仕事をしているのかはあまり知られてないのではないでしょうか。行政書士の仕事内容はどんなものがあるのか、資格取得のための受験資格はどのようなものかなど、行政書士の仕事と資格について知っていきましょう。

行政書士の仕事内容を知ろう

行政書士の仕事とは

「代書屋」と呼ばれることもある行政書士ですが、仕事内容は個人や会社などの顧客の代わりに、官公署へ提出する書類を作成したり提出することです。もちろんそれだけでなく、コンサルティング業務もあります。作成する書類の種類は約1万種類を超えると言われています。

行政書士の給料 平均年収

所属する行政書士事務所によって給料・待遇は異なりますが、平均年収は500万円以下です。行政書士の報酬額は、行政書士が自由に決めることができます。
しかし、行政書士もサービス業で他の事務所との競争により、業務単価を高く設定することができないのが現状です。そのため、高収入を得ようとするのが難しいのです。

行政書士の役割とは

  • 国民の権利を守る
  • 行政書士の仕事は顧客からの依頼で、官公署へ提出する書類を作成し提出すること、手続きを代わりに行うことや契約書の作成等を行います。一般の人には複雑で分かりにくい多くの書類を正確に作成することで、国民の権利を守ることができます。そして、行政機関も行政書士の働きのおかげでスムーズに手続きを行うことができるのです。

  • 顧客の相談相手
  • 行政書士の仕事は書類の作成や提出だけではありません。書類を正確に作成するために、顧客からじっくり話を聞く必要があります。時には家庭内の問題や個人的な話まで聞かなければならないこともあるため、行政書士には親身になって人の話を聞くことが重要になってきます。

行政書士になるために

行政書士になるための学校

  • 大学の法学部で学ぶ
  • 行政書士になるには国家試験を受験して合格しなければなりません。しかし、その受験資格取得のため、特定の学校に通わなければならないことはありませんが、行政書士の試験は一般知識として政治経済や一般常識、文章の理解力や読解力、法令科目の憲法、行政法、民法などの内容が出題されます。

    近年の国家試験は法律を丸暗記していれば点数を取れるものではなく、法律的な志向が必要な応用問題が出題される傾向にあり、合格率が低くなってきています。このようなことから、法律などを学ぶために、法学部などの学部がある大学で学び幅広い知識を身につけることは、国家試験の合格にはとても有意義なこととなります。

  • 行政書士の資格予備校・スクール(通信講座)で学ぶ
  • 大学で学ぶ以外には、民間の資格予備校、スクールに通う方法があります。予備校やスクールは試験対策に力を入れていて、どのような勉強方法で望むべきかなどを的確に教えてくれます。資格予備校やスクールは多く存在しますが、それぞれの特徴や力を入れるポイントが異なりますので、自分に合ったところを探してみるといいでしょう。

行政書士の国家試験を受験する・他の士業の資格を持つ

行政書士になるためには、国家試験に合格する必要があります。この国家資格の受験資格には学歴や年齢の制限がなく、誰でも受験することができ、合格したら行政書士会に登録・入会することで正式に行政書士として名乗ることができます。

また、試験を受けなくても行政書士の資格を取得出来る人がいます。それは、「弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格を有している者」と「国・地方の公務員や特定独立行政法人の職員として17~20年以上の行政事務経験を持っている人」です。

行政書士の国家試験の難易度

行政書士の国家試験の合格率は低く、例年10%前後です。これは受験者が社会人であることが多いのが原因とされています。仕事をしながらの受験勉強は時間を確保するのが難しいため、それが合格率の低さに表れているのでしょう。

しかし、平成29年度試験の合格率は15.7%で、平成18年度に始まった新制度後で最も高い合格率になっています。

行政書士は独学でなれる?

行政書士の国家試験は難易度が高く、合格するのが難しい試験です。法律についての応用的な問題が出題されるので、大学で法律を学んでいた人やスクールなどで勉強していた人でないと合格するのは難しいです。

しかし中には独学で学んで合格している人もいます。独学のメリットとして、スクールなどに通う学費がかからないことが挙げられます。また、自分のペースで空いた時間を利用して勉強ができるので、マイペースに勉強したい人であれば合格する可能性はあるでしょう。
しかし、先にも述べたように行政書士の国家試験は難しく、法律を暗記していれば合格できる内容ではありません。それを独学で学ぶのはとても難しいため、スクールなどで試験対策をしっかりとすることが合格への近道です。また、一人で勉強をするには自分でメリハリをつけて勉強する必要があります。

行政書士として働く

行政書士の求人はある?

行政書士として働くには国家試験に合格して、就職活動をする必要があります。一般的な就職先は小規模の事務所で、行政書士事務所へ応募して書類選考と面接を経て内定となります。

しかし、最近は正社員としての採用が少なくなってきています。最近は契約社員、アルバイト、パートとして採用してもらい、働きながら正社員を目指す人、子育てをしながらパートで行政書士事務所で働く人と働き方に幅が出てきています。

女性の行政書士は活躍できる?

平成29年度に実施した国家試験の受験者数は男女合わせて、40,449人でした。そのうち女性の受験者数は10,841人で男性の約4分の1の人が受験しています。合格者数も同じく全体の20%程が女性です。

行政書士の仕事は法律の専門職で、力仕事をするようなことはないので、女性でも充分活躍できる仕事です。行政書士の仕事で大切なのは、顧客とのコミュニケーションで、書類を作るために必要な情報を聞くこともあります。
行政書士が関わる書類には、家庭内に関するものがあり、例えば「遺言書」や「離婚協議書」などです。こういったプライベートなものは、女性が相手のほうが話しやすいという顧客もいます。相談しながら作成するものなので、さりげない言葉がけや心配りをしてくれる女性の行政書士を指名するケースも増えてきています。

また、行政書士の国家資格は取得すると何歳であっても独立・開業が可能です。開業した場合、結婚して出産・子育てをしながら自分のペースで仕事ができます。開業せず、行政書士事務所等で働く場合でもパートタイマーとして短時間勤務をする人もいて、無理なく働くことができるため、女性にも働きやすい職業です。

行政書士のやりがいと苦労

行政書士のやりがいとは

  • 人の役に立てる
  • 「街の法律家」と呼ばれる行政書士は、国民の権利を守るために書類を作成したり、相談に乗るのが仕事です。法律が絡む書類の作成は難しく、知識を持っていない人が行うのは大変なことです。間違いがあったら書類が通らないため、法律のプロである行政書士に頼むのです。
    顧客は個人から法人まで色々な人たちですが、顧客から感謝の言葉をもらったときは、行政書士としてのやりがいを感じる時です。

  • 独立・開業が可能
  • 国家資格の中でも行政書士は独立・開業することができます。行政書士が扱う業務は数万種類あると言われており、さまざまな分野で活躍することが可能です。
    最初は行政書士事務所で経験を積み、法律家との関係を良好に築くことで独立してからも自分なりの道で仕事をすることができます。独立する場合、得意分野の業界に秀でていることをアピールすることで、他とは違う事務所のカラーがアピールできるでしょう。

  • チャレンジに年齢は関係ない
  • 行政書士の国家試験を受験するのに、学歴や年齢の制限はありません。合格して行政書士会に入会して登録すれば、独立・開業することができます。他の仕事をしていた人が何かのきっかけで行政書士を目指すこともできますし、結婚や出産で資格取得を諦めた人が子育てが一段落してから資格を取得することもできるのです。自分のやりがいとして何歳になっても資格取得ができる職業です。

行政書士の苦労とは

  • 幅広い知識が必要
  • 行政書士の仕事は多岐に渡ります。仕事は正確な専門知識が必要とされるため、様々な業界の仕事に関して勉強する必要があります。また、法律は時代の変化に応じて改正が行われるため、常にアンテナをはり、正しい対応をすることが求められます。このように、行政書士は常に変化に合わせて知識を得て対応していかなければならないのです。

  • 開業・独立したときの苦労
  • 行政書士として独立・開業したとしてもすぐに安定した収入が得られるとは限りません。事務所が軌道に乗るまでは、苦労することも多いでしょう。独立・開業するときは事務所で多くの経験を積み、丁寧な仕事をしていくことで顧客からの信頼を得ることが重要です。
    また、独立してからは経営や営業などを自分でやらなければなりません。自分を売り込む積極性やコミュニケーションをとるのが苦手な人には大変だと思うことでしょう。

  • 人間関係のストレスがある
  • どの仕事でも人間関係の悩みを抱えることはありますが、行政書士の仕事は特に多くの人と関わる仕事です。顧客をはじめ、官公署や事務所の上司や先輩など、関わる人が多ければそれだけ色々な価値観を持った人と接します。時には人への対応に悩まされることもあり、そんなときはストレスになってしまいます。

行政書士の将来性

近年、官公署に出す書類が電子化されて手続きが以前に比べて簡単になってきていること、書類も簡素化してきていることで行政書士の仕事が減ることが懸念されています。
しかし、平成13年の法改正によって、行政書士が交通事故の示談や遺産配分の協議に関わることができるようになり、それまでに比べて相談件数が増えてきています。裁判になる前に早めに解決することで莫大な裁判費用をかけるのを防げます。そのために今後も行政書士を頼って相談に来る人が増えるでしょう。今後はコンサルティングに長けた行政書士の活躍が期待されます。

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