赤ちゃんの「ずりばい」はハイハイとは違うの?4つの練習方法と5つの注意点とは

赤ちゃんのずりばいとは何か?聞いたことはあるけどどんなことなのか、気になることがたくさんありますよね。さらに気になるのが、ずりばいをし始めるのが早い遅い、できないとダウン症や発達障害なの?という心配も。ずりばいをするとき時の注意点や対策など、みんなが気になる疑問を併せて紹介していきます。

赤ちゃんのずりばいとは?

ずりばいとは、まだハイハイができない赤ちゃんが腕や足を使い、うつぶせでお腹を床につけて体を引きずるようにして這う動作のことを意味しています。赤ちゃんの首すわりが安定して、うつぶせや寝返りに慣れたころに始まる、赤ちゃんが自ら移動をするための動作です。

ずりばいの種類は大きく4つ!

  • はらばいの姿勢で手足を動かし、後ろにずり下がる
  • 時計の針のように同じところをぐるぐる回る
  • ひじをついて腕だけで進む
  • 両ひじを交互について進む

など、ずりばいといってもいくつかのパターンがあります。

ハイハイとの違いはなに?

ほふく前進のようにお腹を床につけて這って進む動作がずりばいです。一方、ハイハイは手のひらと膝を床につけて、体を持ち上げて四つん這いになった状態で前後左右に進む動作のことをいいます。ずりばいとハイハイの違いを一言でいうと、お腹が床についているかついていないか、が判断の基準になります。

脳から伸びる運動神経は、頭から首、腕や背中、腰、脚という順番で上から下中央から末端へと発達していきます。そのため、首がすわり、頭と肩から手指までの運動神経が繋がるとずりばいができるようになります。ハイハイは首も腰もすわったうえで、腰と脚を使い赤ちゃん自身の力で胴を支えられるようになってからできるようになります。

ずりばいはいつから?

母子健康手帳には生後6~7ヶ月の発達チェックに「寝返りをしますか」、生後9~10ヶ月には「ハイハイをしますか」というチェック項目があります。ずりばいは寝返りとハイハイの間に行う移動手段なので、目安は8ヶ月前後と考えられます。

また、ずりばいをしやすい環境も大切になってきます。ずりばいをするのにタオルの上や、おもちゃが広がっている状態の部屋ですと、赤ちゃんが思うように床を蹴ることができなかったり、おもちゃが邪魔になって思うように動けなくなってしまうことがあります。なので、赤ちゃんが動きやすい部屋や環境を作ってあげてください。

赤ちゃんの服装も影響があります。冬はどうしても厚着になります。厚着になると体を自由に動かすことができません。逆に夏だと薄着になるので体を自由に動かしやすくなると言われています。手が前へなかなか出ない、片足を引きずるという方もいると思います。あと少し頑張れば、ずりばいで前へ進めそうという段階の場合はサポートをして感覚をつかませてあげるとできるようになる赤ちゃんもいます。

こういった環境や個人の成長段階によって、ずりばいができるようになるには個人差があります。3ヶ月でしたという方もいれば、10ヶ月でしたとういう方もいます。いつ頃ずりばいをするのかな?と、楽しみにしていたり、まだしないわ…と、心配になる方もいるかもしれません。大まかな目安としては寝返りができるようになってからと考えられていますが、赤ちゃん自身の個性や成長のスピードに合わせたタイミングがあります。ですので、焦らずゆっくり見守ってあげてくださいね。

ずりばいは体と脳に良い?

  • 脳に良い理由
  • 赤ちゃんは手足をバタつかせることから始まり、「ずりばい」「ハイハイ」「つかまり立ち」「よちよち歩き」と成長の過程を経ていきます。そして脳の発達も、その成長過程に伴って発達の段階を経ていきます。ずりばいをすることで、反射神経の中枢をなす脳橋、その後に中脳、皮質という新しい脳が使われるようになってきます。ずりばいをすることによって、脳の成長が行われているということです。

  • 体に良い理由
  • ずりばいをすることで、赤ちゃんは自身の腕の力や脚の力、首の力や腹筋など全身の力を使います。それにより、どんどん力が強くなり筋肉がついてきます。さらに扁桃腺や胸腺の発達や脳下垂体、肺の働きにも大きな関係があると考えられています。

 

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赤ちゃんの運動神経は、月齢が進むにつれて頭から足の方へと発達していきます。運動神経とは、脳が筋肉に体を動かすための指令を伝える回路のことです。赤ちゃんは新しい体の動きを経験することで、この伝達回路がだんだん太くなっていき、さまざまな体の動きをします。ずりばいをしっかり行うことによって、知性や運動能力の発達に影響してくるので、赤ちゃんの脳と体の今後の成長にとても大切だと考えられます。

ずりばいの練習方法

練習は必要?

ずりばいの練習は、赤ちゃんの腕や脚の力を鍛えるための運動になるだけでなく、探求心や好奇心といった心の成長にも繋がります。ずりばいができていないからといって無理な練習や長時間の練習にならないよう、やり方や、時間には注意が必要です。

練習方法を4つご紹介

  • 足裏を押す
  • 赤ちゃんが自分の足で床をしっかりと蹴ることによって、体を前に移動することができます。ですので、赤ちゃんが足をバタバタさせてうまく床につけて蹴ることができていないなと思ったら、足の裏の蹴る力を支えるように押してあげてください。足裏を軽く押して支えることによって、自分で床を蹴って進むための感覚をつかみやすくなります。

  • おもちゃを置く
  • おもちゃを手の届きそうな場所に置きます。 赤ちゃんが普段使っているお気に入りのおもちゃを置くことによって、手に取りたいという意識が働き、手を前へ出して体を動かすようになります。おもちゃだけでなく、ぬいぐるみや赤ちゃんの好きな物を置いてもいいと思います。ボールを使い、コロコロ転がして興味を持たせるのも効果的です。

  • 声をかける
  • 赤ちゃんは声や音に反応するようになると、興味が湧きその方向へ向かおうとします。パパやママ、普段から一緒にいる身近な人が赤ちゃんの少し前に座り、声を掛けたり、手を叩いたりして呼んであげてください。そこへ行こうと意欲が湧き、体が動き出します。この時にニコニコとした笑顔で、明るく声を掛けることが大切です。

  • 見本になる
  • 赤ちゃんはパパやママ、身近な人の真似をします。自身が実際にずりばいをすることによって、赤ちゃんも同じ動きを真似するようになります。また、一緒に同じ動きをすることによって喜びにも繋がり、親子のコミュニケーションもとることができます。

練習の方法は一つの事を繰り返し行うだけでなく、パパが足を少し押してあげて、ママが声を掛けるなどご家族で協力しながら行うことも、しかっりとずりばいができるようになる秘訣かもしれません。更に家族みんなで行うことは大切な思い出にもなると思います。

ずりばいで気をつけること5つ

ミルクを吐く

お腹を床につけることによって、胃が圧迫されてミルクを吐くことがあります。吐いたミルクをまた舐めてしまうことも考えられるので、授乳直後のずりばいは注意してみてあげましょう。また、ずりばいの練習は避けることをおすすめします。

ホコリを吸う

首の力がまだまだ弱いため、ずりばい中でも頭や顔を床につけることが多くあります。その際、床にホコリや汚れが床についていると、赤ちゃんはそのまま舐めてしまいます。食べ物の汚れは赤ちゃんの体調に変化が出るおそれもありますし、ホコリは気管支炎を引き起こす可能性もあるので、普段から清潔なお部屋にしておいてください。

コンセント

コンセントの穴は、感電のおそれがあるので注意が必要です。好奇心の旺盛な赤ちゃんや何でも舐めたがる赤ちゃんは特に気をつけて見てあげましょう。コンセントカバーをして穴をふさいでおくといいですね。また、携帯電話やスマートフォンなどの充電器も、赤ちゃんは大好きでよく舐めてしまいます。これも普段から赤ちゃんの手の届きにくい場所に、保管しておくことをおすすめします。

落下物がないかの確認をする

赤ちゃんは、目についた物や興味のあるものを手に取ってみたり触ったりします。おもちゃや小物だけでなく、家具もその対象になります。今は、地震の耐震対策などで赤ちゃんが触ったくらいで倒れる家具は無いと思いますが、気をつけるのは棚やテーブルに置いてあるものです。赤ちゃんが揺らして落ちてしまうような物が無いかチェックをし、整理整頓しておくことをおすすめします。

角で頭や顔をぶつけないか要注意する

ずりばいをしていると思っていたら、突然寝返りをしたり、頭を大きく動かしたりすることがあります。そんな時、赤ちゃんの頭の位置に角があると、頭や顔をぶつけてしまい、ケガをしてしまう恐れがあります。危険な壁や家具の角がある場合は、コーナークッションなどを使ってケガを未然に防ぎましょう。

ずりばいをしないと病気なの?

うちの子はずりばいをしなかった、という方も多くいるかもしれません。ずりばいが脳や体の成長に大切な動きなのに、すりばいができないってことは病気や障害があるの?と心配になる方もいると思います。いつまでもずりばいをしない場合、まれに病気や障害が隠れている場合があります。

股関節

股関節脱臼で大腿骨の先端が骨盤におさまらず、外れていたり外れかけている状態では、ずりばいが難しくなります。股関節脱臼の可能性が考えられる症状は、「脚の特に太もものしわの数が左右異なる」「股関節を動かすとポキポキと音がする」「脚の長さが左右違う」「股関節があまり開かない、または開きすぎる」などが特徴です。

聴覚視覚

聴覚や視覚が弱いとずりばいが難しい場合もあります。例えば追視が少なかったり、見えていないのかな?と感じることがあったり、名前を呼んだり、その他の呼びかけに対する反応が薄いなどがあげられます。

その他

筋緊張低下症の場合、筋肉の張りが弱く、思うように体を支えたり動かしたり、赤ちゃん自身の意思で体をコントロールすることができません。筋緊張低下症の赤ちゃんは、ダウン症、筋ジストロフィー、脳性麻痺、先天性ミオパチーや発達障害、などの病気を持っている可能性があるといわれています。しかし、ずりばいやハイハイができないというだけで、発達障害や病気、ダウン症などにつなげるような自己判断は危険です。

赤ちゃんの発達は個人差が大きいです。いつまでもずりばいを始めない赤ちゃんが、ある日を境に突然し始めることもあります。しかし、ずりばいをしないことで悩み病気を疑う場合は、専門家に相談することをおすすめします。病気や障害ではなくなくて、ただずりばいをしないだけかもしれませんし、病気や障害が発覚し早期で治療ができた、関わり方を学べたなどプラスになることが多いと思います。

ですので、どうしても気になる場合には、かかりつけの小児科、児童相談所や地域の子育て支援センター、更に地域で行っている育児相談や乳児健診の場などで相談をしてみて下さい。

赤ちゃんの成長は親の成長?

赤ちゃんの成長の速さはあっという間ですよね。笑うようになった、首が座るようになった、寝返りができるようになった、などできることが増えて感動の連続です。「次は何ができるようになるかな?」といった期待や、「この時期に何ができていないといけないのかな?」などの疑問や、「まだできていないことがあるわ…」といった不安もあるかと思います。

しかし、ご自身のお子さんが今できている事を認めて、その時期に合わせた行動を少しサポートしてあげることが大切ではないかと考えます。できないことを気にして悩むよりもできることに喜び、次はこうしてみよう!と、一緒に少しだけチャレンジしてみることは、赤ちゃんだけでなく親の成長にも繋がるかもしれませんね。

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