赤ちゃんのげっぷがなかなか出ないけど大丈夫?上手な出し方と出なかった場合の対処法とは

赤ちゃんは自分でげっぷができないということを知らなかった方も多くいるのではないでしょうか。赤ちゃんのげっぷの悩みで多いのが、毎回の授乳やミルクの後忘れてしまう、げっぷが出なくて苦しそう、げっぷが出ないから母乳やミルクを吐いてしまうなどがあります。そんな時はどうしたらいいか気になりますよね。赤ちゃんにはなぜげっぷが必要なのか、げっぷの出し方、げっぷに関する病気などをご紹介していきます。

赤ちゃんはげっぷが必要

げっぷとは、胃の中に溜まった空気やガスを口から自然に出す現象のことをいいます。大人は、げっぷをしたいと思えば自分でできますが、赤ちゃんはげっぷをしたくても自分ではできません。なので、大人が赤ちゃんにげっぷをさせてあげなければなりません。

赤ちゃんは母乳やミルクを飲むとき、呼吸も一緒にしています。その際に一緒に空気も飲んでしまいます。げっぷをしないままでいると、空気が胃に溜まりガスが発生します。そうすると、母乳やミルクを吐き戻していまうのです。母乳の赤ちゃんの場合、ミルクと比べると空気を一緒に飲むことはあまり多くないので、げっぷが出にくいと言われています。ミルクの場合は、調乳時にできる泡も飲んでしまうのでげっぷが出やすいといわれています。

また、げっぷが出にくい赤ちゃん、出やすい赤ちゃんがいます。赤ちゃんによって食道から胃の入り口にあたる噴門にかけての角度が違います。なので、赤ちゃんを垂直にした方が出やすい場合と、傾斜をつけて抱いた方が出やすい場合があります。

なぜ赤ちゃんはげっぷが必要なの?

母乳や、ミルクを胃にためて消化や吸収をさせるため

げっぷが出ないと後から吐き戻してしまい、せっかく飲んだ母乳やミルクがあまり消化吸収されないことの原因にもなってしまいます。

飲んだ母乳やミルクの吐き戻しがないようにするため

母乳やミルクを吐き戻してしまった際、注意をしなければならないことがあります。吐き戻したものが口の中に溜まり、そのまま飲み込むことができなかったり、あるいはそれらを飲み込んだ際に気管に入り、最悪の場合は窒息してしまうことがあります。

空気で気管が詰まり苦しくならないようにするため

赤ちゃんは自分でげっぷをすることができないため、空気が気管に詰まると胸が痛み苦しくなってしまいます。

お腹が空気で圧迫されないようにするため

胃が空気で圧迫されるとお腹がパンパンになり、これも痛みや苦しみにつながってしまいます。

母乳やミルクを飲んだ後にげっぷをしないと、吐き戻しがあるだけでなく、しっかりと栄養を摂ることができなかったり、赤ちゃんがとても苦しい思いをしたり、窒息で死に至るケースもあります。大人にとって、げっぷは自然なことかもしれませんが、赤ちゃんにとってはとても重要なことです。母乳やミルクを飲ませた後はげっぷが出ないとしても、必ずげっぷをさせるためのアクションを起こしましょう。

げっぷはいつまでさせるの?

赤ちゃんにげっぷをさせるのは簡単なようで、意外とコツが必要で難しかったり、夜中は自分も眠くなりげっぷをさせずについ寝てしまったりということもあるかもしれません。授乳はいいけど、げっぷが億劫、授乳期間中はずっとさせないといけないの?と考えてしまう方もいるのではないでしょうか。

この赤ちゃんのげっぷは、授乳期間中ずっととなると、長い方は2年以上、短い方でおそらく1年前後くらいでしょうか。これを毎回毎回と考えると気が遠くなるかもしれませんが、授乳期間中ずっとげっぷをさせなければいけないわけではありません。個人差はありますが、だいたい赤ちゃんが自分でげっぷをするようになるのが、5~6ヶ月ごろといわれています。赤ちゃんの成長段階でいうと、首すわり、寝返り、一人お座りの期間が目安となっています。

なぜこの期間にげっぷをさせなくてもよくなるのか、それには理由があります。赤ちゃんは、母乳やミルクを飲みながら呼吸をすることができます。新生児の咽頭蓋は、軟口蓋のすぐ下にあり、母乳やミルクは気管に入らず咽頭の側面の壁を通って食道にいきます。新生児の咽頭は大人よりも高い位置にあるので、飲み込む際は咽頭が上にあがり、母乳やミルクが咽頭に流れやすくなっています。そのため、呼吸をしながらおっぱいやミルクを飲むことができるという仕組みになっています。この、新生児の口から喉にかけてのつくりは、母乳やミルクをたくさん飲めるという良い面があります。しかし、空気も一緒に飲んでしまうという良くない面もあります。

生後3~4ヶ月になると少しずつ首が据わってきますが、その時期になると赤ちゃんの口から喉のつくりは大人と同じ形に近づきます。そして母乳やミルクを飲みながら呼吸がしにくくなり、さらに空気の飲みすぎがないように調整できるようになります。5~6ヶ月頃には寝返りやおすわりができるようになるので、自分で体を動かすうちに、自然とげっぷが出るようになります。

赤ちゃんのげっぷの出し方

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げっぷを出す2つのコツ

赤ちゃんの胸をママの肩に乗せ背中をトントンする

赤ちゃんを縦にし、赤ちゃんの胸がげっぷをさせてあげる人の肩にあたるように抱きます。この時、少し赤ちゃんの背中が丸くなるように抱っこしてください。だいたいお尻から肩にかけてなでてあげてください。そうすると少し胃が圧迫されてげっぷが出やすくなります。

赤ちゃんを膝・太ももに乗せ背中をなでる

赤ちゃんをげっぷさせてあげる人の膝・太ももに横を向くように座らせます。首も腰も据わっていないので、赤ちゃんにげっぷをさせてあげる人の腕にもたれかかれるように抱っこし、下から上へなでてください。この時も背中が少し丸くなるように支えてください。

動画を参考にしてみよう

げっぷが出ない時どうする?

赤ちゃんのうちは、何もかもが大人の力を借りなければなりません。基本的には胃に溜まったガスをそのままにしないよう、早めに出してあげましょう。

赤ちゃんからの合図

赤ちゃんはげっぷを出したくても自分で出すことができないため、げっぷを溜め込み苦しくなってしまいます。その時、赤ちゃんは自分で「苦しい」と合図を出してくれます。

泣く

赤ちゃんは機嫌が悪い、眠い、お腹が空いた、寒い、暑い、おむつがむれているなど、大人の助けを求める時は泣いて知らせてくれます。赤ちゃんが泣いている場合、授乳をしたりおむつを替えたり温度調節をしてあげたりしますが、それでも泣き止まないとどうしたらいいの?と、考え込んでしまう方もいると思います。

「げっぷをしていないから泣いているのね」と、げっぷが出ていないので苦しくて泣いているということにすぐ気づく方は少ないのではないでしょうか。泣いているから抱っこをして背中をなでなでしていたら突然げっぷが出て泣き止んだ、という経験をされた方もいると思います。ですので、急に泣き出した場合はげっぷが出ていないから苦しくなって泣いているということもあります。

起きる

授乳中に赤ちゃんが寝落ちしてしまい、起こしたくないからとそのまま寝かせておくと、突然泣き出したり、手足をバタバタと動かし苦しそうにしていることがあります。その時もげっぷをさせていなかったことに気付かず、とにかくなんだか苦しそう、どうしたんだろうと慌ててしまうこともあるかもしれません。この場合も抱っこしていたらげっぷが出て機嫌が良くなったということもあります。

おなら

げっぷが出ないとダメだわ。と、出ないげっぷを長時間にわたって無理に出させようとして苦労している方もいるかと思います。しかし「必ず絶対何が何でも」出さなければいけないわけではありません。げっぷをしなかったけど、苦しそうでもなかったということもあります。そんなときはだいたいおならとして排出されています。

対処法

赤ちゃんにげっぷをさせずに寝かせてしまった場合、起こしてしまうのは気が引けてしまいますし、せっかく寝かせたのに起こしたらまた寝かしつけが大変ということもよくあると思います。そんな時はどうしたら良いのかいくつかご紹介します。

寝かせる時は、右側を下にしてあげる

赤ちゃんの右側が下に向くように横向きに寝かせてあげます。そのときタオルなどを背中に挟み、仰向けにならないよう支えになるものをしてあげてください。

赤ちゃんを丸く抱っこする

横抱きの場合は、片方の腕は自分の肘を曲げた部分に赤ちゃんの頭と首を乗せて、赤ちゃんを胸で包み込むようにしっかり支え、もう片方の腕は肘から先の腕(腕撓部分)で赤ちゃんのお尻やヒザ裏部分支え、手のひらは背中を反り返らない程度に軽く支えてあげます。

縦抱きの場合は、片方の腕(腕撓部分)に赤ちゃんのお尻を乗せて座らせ、その手の平でバランスが崩れないように上半身を支えます。赤ちゃんの背中が伸びきらず、丸まるように抱っこしてください。げっぷをさせるには背中を叩くと教わった方も多いと思いますが、叩くのではなく背中から肩に向かってなでるようにマッサージすると良いでしょう。下から上に向かってなでることで、げっぷが出やすくなります。横抱きでも縦抱きでも赤ちゃんの背中が丸くなるように抱っこすることが大事です。

様子を見る、見守る

横向きに寝かせたり、丸く抱っこしたけどそれでもげっぷが出ない場合もあります。そんな時は出るまで頑張るのではなく、その後の様子を見てあげてください。苦しそうにしていれば、適切な対処をし、大丈夫であれば静かに見守ってあげることも大切です。

心配でげっぷが出るまで縦抱きにしている方もおりますが、5分くらいたって出なければ横向きに寝かせて大丈夫です。

げっぷが関係する病気

げっぷが出ない場合

胃軸捻転

胃軸捻転とは、胃の異常な回転や捻転によって起こる病気のことをいいます。新生児や乳児に多く発症するといわれています。簡単にいうと胃がねじれて、正常に機能しなくなることです。胃がねじれると空気が通れなくなるので、ゲップが出にくくなります。

胃がねじれることによって飲み込んだ空気は、お腹にガスがたまってお腹が膨れ苦しくなって泣き出したり、1日中おならをしているというこがあります。

げっぷが出る場合

空気嚥下症(呑気症)

おっぱいやミルクを飲む時に、通常よりも過剰に空気を飲み込んでしまい、お腹に溜めこんでしまう病気です。胃や腸には直接的な問題はないので、母乳やミルクをよく飲み体重の増え方も良好です。症状はげっぷの量が多くなります。この場合、げっぷが出ないと滝のような吐き戻しや激しいしゃっくり、呼吸が苦しく顔色が悪くなります。げっぷが出なくて苦しそうにしている場合は、縦抱きで背中をなでてあげるなど、げっぷを出やすくしてあげましょう。

胃食道逆流症

胃食道逆流症とは、母乳やミルクが胃から食道に逆流をしてしまうことをいいます。胃の構造上、逆流を防ぐ機能が不完全な赤ちゃんに起こりやすいといわれています。逆流が起こる際に、げっぷや胸焼けなどの症状がでます。体が成長するにつれて、逆流を防ぐ機能が発達すると、少しず飲んだり食べたりしたものが逆流しなくなっていきます。

ミルクや授乳後の様子を観察して対処することが大切

げっぷが出ないとストレスに感じてしまい、授乳が億劫になってしまいます。げっぷが出ないからといってすぐに赤ちゃんが危険にさらされることはほとんどありません。赤ちゃん自身、げっぷを出すタイミングはその時その時違うと思いますし、1時間後に出る場合もあります。授乳後すぐにげっぷが出なくても抱き方をかえてみたり、寝かせ方をかえてみたり、それでもダメなら隣で様子を見ててあげてください。

苦しそうにしていたら抱っこをして背中をなでる、寝ている向きをかえてみるなどをして対処するといいと思います。げっぷが出るまで何十分も頑張るのではなく、苦しそうにしている様子を見た時に、焦らずに落ち着いて対処することが大切です。日ごろからご自分の赤ちゃんがどんなタイミングでげっぷが出やすいのか、どういう態勢をとるとげっぷをしやすいのか観察しておくと毎回の授乳が楽になるかもしれません。

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