妊娠する前は肌の調子が良かった方が、妊娠初期に肌荒れに悩むことはめずらしくありません。それには様々な原因がありますが、その原因を知ることで肌荒れの対策が取れます。本記事では、妊娠初期に肌荒れする理由と対策について、詳しく解説していきます。
妊娠初期に肌荒れが多い5つの原因
妊娠初期に肌荒れが多くなるのはどのような原因があるのでしょうか。ここでは、その理由を大きく5つに分けました。
ホルモンバランスの変化
妊娠中は、「プロゲステロン」というホルモンが多く分泌されるようになります。このプロゲステロンとは、妊娠中の子宮内膜を柔らかくしたり、乳腺を発達させたりする働きをもったホルモンです。
このプロゲステロンには皮脂分泌を促す性質があります。皮脂が過剰に分泌されることにより、毛穴に皮脂が詰まる原因となり、ニキビや吹き出物が増えてしまいます。
また、肌荒れは妊娠によるホルモンバランスの変化によって、肌のターンオーバーサイクルが乱れることも原因のひとつと言えます。ホルモンバランスの変化によって、肌の新陳代謝が正常に行われなくなり、乾燥肌やくすみを引き起こすことにつながるのです。
妊娠初期に肌荒れするのは、このようにプロゲステロンやエストロゲンというホルモンが急激に増えることが原因です。
つわりによる食事内容の変化と水分不足
妊娠初期には、つわりが起きやすくなります。つわりが始まると普段のように食事ができなくなることが多く、食べ物の好みが変わる人もいます。なかには食べられるものが限られてしまうなど、妊娠前とは食事内容が大きく変わることがあるのです。
また、妊娠初期にはつわりによって食べ物を口にすることができなくなる人もいます。そうなると、栄養や水分が不足するため、肌が荒れてしまいます。このように、食事の偏りや栄養や水分不足が肌荒れを引き起こす原因となるのです。
便秘によるもの
妊娠中に多く分泌されるホルモン「プロゲステロン」は、赤ちゃんを迎える準備をするために子宮を整える働きをします。ただ、プロゲステロンは子宮を整える働き以外に、胃腸の働きを抑える作用があるため、妊娠中は便秘になりやすくなってしまいます。
さらに、妊娠初期のつわりによって十分に食事が摂れなくなってしまうことも、便秘の原因になります。
便秘になると便と一緒に排出される老廃物が体内に留まってしまいます。体内に溜まった老廃物は、上手く排出されずに増えてしまうと肌に影響して肌荒れの原因となります。
睡眠不足による影響
妊娠中は、様々な原因で睡眠不足になる人が多くなります。妊娠初期は、つわりや妊娠に対する不安などで眠れないことがあり、お腹が大きくなってくると子宮が膀胱を圧迫してトイレが近くなり夜中に何度も起きてしまいます。
さらに、妊娠中は思うように身体を動かせないなどのストレスもあり、よく眠れなくなってしまうこともあるのです。
健康な肌を保つには、肌のターンオーバーサイクルが正常でなければなりません。睡眠中に分泌される「成長ホルンモン」は、眠りに入ってから3時間ほどしてから分泌されますが、眠りが浅い場合やよく眠れない場合は上手く分泌されません。
成長ホルモンが正常に分泌されなくなると、肌のターンオーバーサイクルが乱れ、肌の再生がうまくできなくなり肌荒れが起きてしまうのです。
さまざまな不安などによるストレス
妊娠初期は様々な原因によってストレスを抱えやすい時期です。つわりなどによる体調の変化や、妊娠に対する不安、思うように身体を動かせないもどかしさなど、色々なことがストレスになります。
ストレスを感じると自律神経が乱れ、血行が悪くなります。血行が悪くなると、全身に酸素や栄養が十分に行き届かなくなり、肌トラブルを引き起こす結果となってしまうのです。
妊娠初期に起こりやすい肌荒れの症状とは
妊娠初期は肌荒れしやすい時期ですが、その症状にはどのようなものがあるのでしょうか。
ニキビ・吹き出物
妊娠中に多く分泌されるプロゲステロンには、皮脂の分泌を促す作用があるため、妊娠中は妊娠前の肌と比べると脂っぽくなることがあります。皮脂の分泌量が増えると、毛穴が詰まってニキビや吹き出物ができやすくなります。
乾燥によるかゆみやカサカサ肌
妊娠初期につわりが始まると、食べ物の好みが変わり同じものばかり食べてしまう、または何も口にできず水も飲めないというように、普段と食生活が変わる場合があります。
栄養バランスが偏り、十分に水分を摂取していないと、肌が乾燥してカサカサになってしまいます。また、肌の調子を整える働きを持っているビタミン類やミネラル類が、優先的にお腹の赤ちゃんに供給されることも、肌の乾燥を引き起こす原因と考えられます。
シミやそばかす
妊娠中には、シミやそばかすが増えることがあります。これは、妊娠に分泌される女性ホルモン「エストロゲン」や「プロゲステロン」の作用によるものです。このホルモンは、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を促し、肌に沈着させてしまいます。妊娠すると乳輪や乳首などが黒っぽくなるのは、この女性ホルモンの作用によるものです。
妊娠初期の肌荒れ対策でできること
女性ホルモンのバランスの崩れ、ストレスや食生活が肌へ影響を与えることを説明しました。では、次に妊娠初期に起こる肌荒れを防ぐためには、どのような対策をしたらよいかを詳しく解説します。
栄養バランスを考えた食事を摂る
妊娠初期はつわりで普段よりも食事量が減ることがあります。また、食事を摂っても栄養がお腹の赤ちゃんに優先的に供給されるようになります。こうしたことから、妊娠初期は体内が栄養不足になりがちなので、意識して栄養を摂取しなければなりません。
健康な肌を保つためには、ビタミンやミネラルを意識して摂るようにするようにしましょう。つわりのときは難しいかも知れませんが、できるだけ栄養バランスを考えて少しずつでも食べるようにしてみてください。便秘解消のために食物繊維が豊富なものや皮脂の分泌を促す作用があるビタミンB群などを積極的に摂ると良いですよ
意識して水分を摂る
妊娠初期はつわりで吐き気が起きやすく、水分が不足しがちです。水分はお腹の赤ちゃんに栄養を与えるためにも母体の健康のためにも大切です。また、水分を十分に取らないとからだが乾燥し、肌の乾燥や肌荒れの原因になってしまいます。
水分を摂取するときは、からだを冷やさないためにも常温か温めたものにしましょう。また、果物や野菜は水分を摂ることができ、同時に栄養も摂取できるのでおすすめです。
十分な睡眠・休息を心がける
肌の新陳代謝には良質な睡眠をとることが大切です。肌のターンオーバーサイクルを整えるためにも睡眠を十分に取りましょう。
良質な睡眠を取るために、寝る前にパソコンやスマートフォンを操作しないなど、工夫をしてみると良いですよ。
ストレスをためない生活をする
ストレスが溜まると、自律神経が乱れて肌に悪い影響を与えてしまいます。妊娠初期はからだの変化への戸惑いや、つわりなどにより普段にはないストレスを感じてしまうものです。ストレスを上手く発散し、穏やかな気持ちで過ごすように心がけるように心がけましょう。
無理のない程度に出かける、自宅で好きなドラマを観るなど、自分なりのストレス解消方法を見つけてみてくださいね。
無理のない程度の運動をする
妊娠初期は激しい運動をすることは控えるべきですが、かかりつけの医師に相談して了承が得られたら適度な運動を日々の生活に取り入れましょう。
妊娠初期の頃は、体調の変化や生活を制限されることによりストレスを抱えてしまいがちです。ストレスは肌荒れの原因になりますので、適度な運動をして気分転換しましょう。
軽いストレッチや散歩など、無理のない程度でからだを動かすと血行が良くなります。血の巡りが良くなると、体内に溜まった老廃物などが排出されて肌の調子が整い、肌荒れ解消になりますよ。
化粧品や石けんを低刺激のものに変える
妊娠中は肌が敏感になるため、妊娠前に使っていた石けんや化粧品、スキンケア製品などが肌に合わなくなることがあります。無理に使っていると、肌荒れの原因になりかゆみや赤みを引き起こしてしまいます。
石けんなどが肌に合わなくなってきたら、肌につけるものを低刺激のものに変えることをおすすめします。敏感肌用のものや無添加のスキンケア製品には、赤ちゃんでも使えるものがあるので揃えておけば出産後も使えますよ。
洗顔を毎日して肌を清潔に保つ
毎日洗顔して肌を清潔にすることは、余分な皮脂を取り除くことができ、肌荒れ予防になります。洗顔するときは、刺激が少ない無添加石鹸や天然由来成分でつくられたものを選ぶと肌に安心です。
日々のスキンケアを習慣にする
洗顔をした後は、乾燥を防ぐためにしっかり保湿することが重要です。妊娠中は皮脂の分泌が増えますが、日に何度も洗顔しすぎると肌に必要な皮脂まで落としてしまいます。そうなると、かえって肌を乾燥させることになり、乾燥から肌を守るため皮脂が過剰に分泌され、オイリー肌になってしまいます。
お風呂上がりや洗顔後は肌を乾燥やオイリー肌から防ぐため、保湿を忘れず行ないましょう。保湿するための化粧水やクリームなど、様々なものがありますが、妊娠中に使用するものは肌に刺激が少ない物を選ぶようにしてくださいね。
加湿器などで乾燥を防ぐ
妊娠中は肌の乾燥を防ぐためはもちろん、空気の乾燥対策のためにも加湿器で部屋の湿度管理を行ないましょう。加湿器は赤ちゃんが生まれてからも活躍してくれるので、妊娠中に用意しておくと良いですよ。
冬は空気が乾燥しがちですが、暖房器具によりその乾燥をさらにすすめてしまうため、加湿器は必需品です。空気が乾燥するとインフルエンザや風邪のウィルスに感染しやすくなってしまうので、しっかり加湿して感染症予防しましょう。
外出時は紫外線対策をする
メラニン色素がつくられやすい妊娠中は、シミやそばかすを増やさないためにも紫外線対策は重要になってきます。紫外線は真夏以外の時期でも注意が必要ですから、外出時には帽子や日傘を使って対策しましょう。日焼け止めを使用するときは、低刺激の物を選ぶようにして、肌荒れが起きないかパッチテストをしてから使うようにしてくださいね。
妊娠初期の肌荒れはいつまで続くの?
肌荒れに悩んでいる方は、この肌荒れがいつまで続くのかと憂鬱になってしまいますよね。では、妊娠中の肌荒れはいつまで続くのでしょうか。
妊娠中期の肌荒れ
妊娠5ヶ月から7ヶ月の妊娠中期に入ると、それまで多く分泌していたプロゲステロンが落ち着いてきます。そして、この時期には「エストロゲン」というホルモンが分泌されるようになります。
エストロゲンには美肌作用があるため、妊娠中期は肌荒れが落ち着いてくる時期と言えます。しかし、これには個人差があり、肌荒れが長く続く場合もあります。
妊娠中期にはお腹の赤ちゃんが大きくなってきて、それまで以上に水分な栄養を必要とします。母体の水分や栄養が足りなくなると肌荒れの原因につながるため、意識して水分補給を行なうようにしましょう。
妊娠後期の肌荒れ
妊娠8ヶ月から10ヶ月の妊娠後期になると、お腹がだいぶ大きくなり寝苦しさから睡眠不足になることが多くなります。肌の健康に関わる成長ホルモンは睡眠中に分泌されるため、妊娠後期になると妊娠初期のように肌荒れが起きやすくなってしまいます。
妊娠中はホルモンバランスの関係で肌荒れが起こりがちですから、先にご紹介した肌荒れ対策を心がけて過ごしましょう。
妊娠初期の肌荒れがつらいとき
肌のかゆみや乾燥など、肌荒れがひどくてつらいときがあったらどうしたら良いのでしょうか。
メイクをやめてみる
外出のときにメイクをすることがあると思いますが、肌荒れがひどい場合は思い切ってメイクをやめてみてはいかがでしょうか。妊娠により、敏感になっている肌は普段使用していた化粧品でかゆみを感じることもあります。
メイクをすることで、かぶれや赤みが出た場合はすぐにメイクをやめましょう。
肌荒れがひどいときは自己判断せず受診する
妊娠初期は、色々なことが重なって肌荒れしやすくなりますが、腕や手の甲などが赤くなり、かゆくなることがあります。人によって、出産まで赤みやかゆみが続く場合がありますが、気になるときは早めに病院へ行きましょう。
そして、かゆいからといって、自己判断で薬を使うのはやめましょう。かゆみを感じたときは、産婦人科の医師に相談すると、産婦人科で薬を出してくれる場合があります。または、適切な処置を行なってくれる皮膚科を紹介してくれますから、気になることがある場合は小さなことでも話してみることをおすすめします。
妊娠初期の肌荒れは早めの対策でケアしよう
妊娠が分かって喜びも束の間、それまでなかった肌荒れが起きると憂鬱な気分になってしまうことがあるかもしれません。しかし、妊娠初期の肌荒れは誰にでも起こることですから、気にしすぎることなく、ストレスを溜め込まないようにして過ごしましょう。
あまり悩みすぎるとかえってそれがストレスになってしまいます。気分転換をしながら規則正しい生活を心がけ、妊娠初期の肌荒れ対策をしていきましょう。
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