キャビンアテンダントは狭き門と知りつつも憧れの的!なるために必要な条件と仕事内容について

キャビンアテンダントは、小さい時から憧れている女性が多い人気の仕事です。一方で、華やかに見えて、精神的にも肉体的にも大変な仕事でもあります。、昔はANAやJALに就職する以外の道がありませんでしたが、今は外資系航空会社やLCCなどの登場でキャビンアテンダントになるチャンスが増えました。今回は仕事の内容や就職状況にについて詳しく解説していきます。

キャビンアテンダントの仕事とは

女性なら一度は憧れたことがある、キャビンアテンダントのお仕事。華やかそうに見えるけど、実はとてもハードな仕事です。狭き門を潜り抜け無事にキャビンアテンダントになったとしたら、どのようなことが待っているのかみていきましょう。

仕事内容

キャビンアテンダントは航空会社のサービス部門に所属し、乗客の搭乗から到着までの間にさまざまな業務を行います。業務内容は大きく分けると、機内サービスと保安管理の2つです。

  • 機内サービス
  • 機内でお出迎えやお見送り、食事・ドリンクの提供などが機内サービス業務です。国際線の大型機の場合は、11~13人のキャビンアテンダントが「エコノミークラス」「ビジネスクラス」「ファーストクラス」の各クラスごとにサービスをします。乗客には色々なお客様がいらっしゃるため、それぞれのお客様に合わせた質の高いサービスが必須です。

  • 保安管理
  • フライトの安全を守るための重要な業務です。万が一に備えて、乗客の命を守る保安員の役割をキャビンアテンダントが担います。お客様の搭乗前に、機体に異常がないか確認、フライト中に火災などの緊急事態が起こった時の避難誘導をします。

    それだけでなく、急病人が発生した場合は、応急処置などの対応を行うことも含まれます。安全な空の旅を守ることもキャビンアテンダントの仕事です。

一日の仕事の流れ

飛行機が離陸し、無事に目的地に着陸するまでの一連の流れをみていきます。

  • 打ち合わせ
  • ブリフィーングルームという部屋に集まり、打ち合わせをします。主な内容は以下の通りです。

    ■クルーの自己紹介や担当場所の確認
    ■VIPなお客様やお手伝いが必要なお客様の確認
    ■搭乗者数や目的地の天候
    ■登場する飛行機の安全に関する知識の共有
    ■非常事態の際の対応

    飛行機が安全にかつ、スムーズに目的地までのフライトするための重要な打ち合わせです。

  • 内チェック
  • チェック項目は機内の掃除できちんとできているか、不審物や忘れ物がないかなどです。フライトとフライトの間の時間で行うため、迅速に安全チェックする必要があります。

  • ボーディング
  • 搭乗券を確認し、笑顔でお客様をお迎えします。この時に、体調不良のお客様がいないかなど確認します。離陸後、何か問題を起こしそうなお客様がいらっしゃった場合は、この時点で責任者の判断を仰ぎ、搭乗をお断りするのもキャビンアテンダントの仕事です。

    離陸までの間に乗客を席へ誘導して離陸の準備を進めます。そして、一旦席について、飛行機は離陸し機体が安定するまで待ちます。

  • 機内サービス
  • 各航空会社のよってサービスの流れが異なります。シートベルトのサインが消えた後、飲み物や食事のサービス、免税品の販売します。この時にサービスをしながら、お困りのお客様がいないか常に目を光らせます。

  • 休憩
  • 国際線の場合はここで休憩です。目安として日本からヨーロッパ方面のフライトの場合、最低1時間の休憩時間が確保されています。

  • 巡回
  • 機内を巡回しながら、お困りのお客様がいればお声かけしたり、再度サービスの提供を行ないます。この時間でトイレ掃除や、速やかにお客様をお見送りするために軽く打ち合わせします。

  • 着陸とお見送り
  • 着陸態勢に入ったら一旦席に戻ります。無事着陸し、シートベルトのサインが消えたら、お客様がスムーズに飛行機から降りれるように誘導します。

  • 機内チェック
  • 機内に忘れ物がないか確認をします。機内清掃や整備が入るため速やかに行います。

仕事の魅力のやりがいや魅力

高い接客スキルやマナーを身につけることができる

キャビンアテンダントは航空会社の顔です。そのため、他のサービス業に比べ高い接客スキルやマナーを求められます。そのような環境で日々仕事をしているため、自然と高い接客スキルを身につけています。

周囲の影響で美意識が高くなる

制服を着て業務にあたっている間は、表情や態度などを常に見られている状態です。そのため、お客様から見られている意識を常に持っている必要があります。他のどの職場よりも、美意識を高く保つ女性が多い職場です。このように周囲の影響で、美意識が自然と高まっていきます。

色々な場所に行くことができる

フライトで色々な地域に行くことができるだけでなく、福利厚生の一環として自社航空券を使うことができれば、プライベートで通常よりも安い価格で旅行することができます。

キャビンアテンダントの大変なこと

想像以上に肉体労働である

時に本格的な機内サービスのある国際線の場合、国内線以上に体力が必要です。機内食が入っているカートは想像以上に重く、そのカートを押しながらサービスを行うためかなりの重労働です。

揺れている機内の中でこれらのサービスを行うため、さらに足腰に負荷がかかります。常に立ちっぱなしで動いている状態です。キャビンアテンダントの仕事は華やかに見えますが、体力的にもハードな仕事です。

不規則な勤務のため友人と休みが合わない

フライトによって勤務時間や休みが決まります。また、お盆や年末年始も関係ありません。そのため、一般的な企業に勤めている友人とは、お休みが合わないことが多いでしょう。

社内の人間関係が超体育会系

航空業界は「セニョリティ」と言って入社順(社員番号の小さい順)に上下関係がはっきりしている傾向があります。年齢やこれまでの職歴に関係なく「セニョリティ」が高い人が常に先輩です。

フライト前の打ち合わせの自己紹介では、必ず、何年入社、何期ということが慣例です。このように上下関係に厳しいですが、同時に自然と同じ入社時期の同期とは絆が強くなっていきます。

キャビンアテンダントの働き方や年収、待遇

キャビンアテンダントは航空会社に勤務します。日本国内の空港に離着陸を行う航空会社は、全日空などの国内大手の航空会社だけでなく、外資系やLCCの航空会社があります。航空会社やまた就業形態によってどのように変わるのかみていきましょう。

航空会社の違い

  • 国内大手航空社について
  • 国内大手航空会社は「JAL」「ANA」のことをさします。新卒、既卒にかかわらず、専門学校以上の学歴が必要です。以前は、「JAL」や「ANA」などの大手の航空会社でも新卒既卒に関わらず、1年間更新で3年間契約社員として働いたのち、本人の希望、適性、勤務実績に応じて正社員になるというのが一般的でした。

    しかし、「ANA」は2014年から、「JAL」は2016年から、新卒に関して最初から正社員として採用を開始しています。

  • 外資系航空会社について
  • 外資系航空会社といっても、アメリカ、欧州、アジア、中東では社内の空気や求められる人材が異なります。アジア系航空会社は日系企業と近いです。外資系航空会社の場合は訓練を受けていても、適性がないと判断された場合には即刻クビなるなど厳しい側面があります。

    欧米系会社の場合は自由な雰囲気で、日本の航空会社のような入社年度による差はありません。外資系航空会社の場合は、経験者を即戦力として採用するケースが多いです。

  • 「LCC」について
  • 「LCC」とはローコストキャリア(Low Cost Carrier)の略です。大手航空会社の運賃に比べるとかなり低価格です。この低価格を実現するために、航空機メーカーから特定の機種を大量に一括購入してコストダウンを行ったり、2地点の短距離運航の数を増やして稼ぐ、また機内サービスをシンプル化にすることで利益をあげています。

    また、大手航空会社では清掃業者が行う清掃作業も「LCC」ではキャビンアテンダントの仕事になります。このようにしてコストを削減しています。入社後は正社員ではなく、時給制契約社員からのスタートです。大手航空会社に比べると年収や待遇面は厳しいです。

「正社員」と「契約社員」の違い

待遇面の違いは、一般企業とほとんど同じです。「契約社員」の場合は、時給制でボーナスや退職金などの支給はありせん。「正社員」の場合は、ボーナスや退職金の支給があります。

「契約社員」の雇用期間は、契約期間が定まっているため不安定です。「正社員」の雇用期間は、基本的に定年まで勤務が可能です。昇進に関しても「正社員」には昇進制度がありますが、「契約社員」には昇進制度がありません。このように「正社員」か「契約社員」かによって年収や待遇に大きな差があります。

「国内線」と「国際線」の違い

基本的に「国内線」と「国際線」で基本給は変わりません。しかし、「国際線」の方が拘束時間が長くなったり、変則勤務手当などがつくことで給料が結果的に高くなります。基本的に「国内線」で数年勤務した後、ステップアップとして「国際線」に勤務することが多いです。

勤務時間に関しても、「国内線」の場合は短い勤務の日は5時間くらいで終わることもあれば、10時間勤務の場合もあります。「国際線」の勤務時間はフライト先によって変わります。たとえば、韓国や中国のような短距離路線の場合、日帰りスケジュールが多く勤務時間は7時間~10時間です。また、タイやシンガポールなど中距離線の場合は1泊3日、そして長距離線の場合は2泊4日乗務パターンと、フライト先によって変わります。

キャビンアテンダントの気になる年収

どの航空会社に勤務するか、もしくは「正社員」か「契約社員」かによって年収や待遇が異なります。厚生労働省が公表した平成27年度の賃金構造基本統計調査によると、キャビンアテンダントの年収は32.4歳で471万円ででした。

国内大手航空会社の平均年収540万円、外資系航空会社の平均年収490万円、LCC(格安航空会社)の平均年収430万円というように、どこの航空会社に勤務するかによって年収に大きく差があります。

参考元:e-Stat

産休や育休について

一般企業と同じように産休や育休を取得することが可能です。問題は復帰後の子育てをしながらどう仕事を続けていくかでしょう。不規則な生活スタイルのため、長く現役で仕事を続けるためには、家族の協力が欠かせません。

退職後のキャリアチェンジに関して

育休や産休制度を利用して仕事を続けることもできます。また正社員であれば定年まで働くことも可能ですが、結婚や出産を機に退職を選ぶ人が多いです。生活が不規則でハード、そして家を空けることが多い客室乗務員の仕事は、家族の理解がないと長く続けることは難しいというのが現実でしょう。

退職後は、一般企業で事務の仕事へ転職をするよりも、キャビンアテンダントの仕事で身につけた一流の接客やマナーの知識を生かした講師業、ホテル勤務や企業受付などに転職するケースが多いです。

キャビンアテンダントになる方法

航空会社が専門学校以上の学歴が応募条件です。そのため新卒の場合、高校卒業後大学や短大に進学するか、エアラインスクールに進学し、航空会社に入社するかのどちらかです。

大学から航空会社に就職

他の企業と同じように航空会社の採用試験を受験します。今まではキャビンアテンダントの採用ランキングの上位校には、ミッション系の大学、女子学生が多い大学、文学部英文科または外国語学部がある大学が占めています。

大学のカリキュラムでキャビンアテンダントの就職対策や、キャビンアテンダントを養成する学科、コース、専攻がないため、大学に通いながらエアラインスクールなどで準備する人が多いのが実情です。

エアラインスクールから航空会社に就職

キャビンアテンダントに就職することを目的とした学校です。エアラインスクールは、試験の内容を熟知した講師たちによって、面接対策やエントリーシートの記入の仕方など試験のポイントなどを学ぶことが可能です。大学に通うながら通学できるスクールもあります。

応募資格に関して

各航空会社の採用試験に合格すれば、キャビンアテンダントになることができます。応募資格は航空会社によって異なります。

  • 身長や年齢制限
  • キャビンアテンダントには身長制限があると思われがちです。しかし、国内航空会社の応募資格に「身長○○cm以上」といった項目はありません。離陸前に収納棚の扉を手で押して確認を行います。この時に頭上の収納棚は高いところにあり、身長が低いと手が届かず業務に支障が出るため、作業に支障がでない程度の身長が必要です。おおよそ160cm前後あれば問題ないです。

    年齢に関しては、新卒か既卒かによって異なりが、不規則な勤務で体力勝負のところがあるため比較的20代が採用のメインになります。

  • 語学力は必要
  • 大手航空会社を含め、応募資格のひとつとして「TOEIC600点程度以上の英語力」が挙げられます。外資系航空会社の場合は、採用条件のひとつとして「英語堪能」という条件があります。実際には、「TOEIC」800点や900点を取得している人が多いです。また、会話ができるのかが重視されるため、読み書き以上に会話力を磨いておく必要があります。

採用試験について

  • 合格率や難易度に関して
  • キャビンアテンダントの仕事は、昔から狭き門です。かつては、日系大手航空会社の場合、客室乗務員の採用募集人数が100名のところに10,000名以上のエントリーがあったと言われています。今は外資系やLCCなど、航空会社の増加に伴いキャビンアテンダントになるチャンスが増えました。

    2016年に客室乗務員募集があった航空会社の倍率は以下の通りです。

    ≪国内大手航空会社≫
    ■ANA(全日空)新卒募集人数:700名→倍率14倍
    ■JAL(日本航空)新卒募集人数:350名→倍率:28倍

    ≪外資系航空会社≫
    ■エミレーツ航空 募集人数:5500名→倍率36倍

    数字だけみるとまだまだ難しそうなイメージもありますが、同時に数社に応募しているケースが多いため、あまり数字に振り回されない方がいいでしょう。

  • 就職試験の流れ
  • 大手航空会社の新卒試験に関しては、一般企業とほとんど変わりません。

  1. エントリーシートによる書類審査後
  2. 一次面接と筆記試験
  3. 二次面接
  4. 最終面接と身体測定

上記の流れが一般的です。身体測定に関してはキャビンアテンダントの業務を果たすために重要な身長や体重のほか、視力、聴力、インピーダンス、腰椎検査、平衡感覚といった検査を行うことで、業務を遂行できるかを検査します。

キャビンアテンダントへの転職事情

転職でキャビンアテンダントを目指す場合、国内の航空会社では「既卒」枠での採用試験を受験します。採用基準のポイントは新卒と変わりません。外資系航空会社に関しては新卒枠や既卒枠、毎年同じ時期に募集があるとは限らないので、新卒、既卒関係なく同じ土俵で勝負します。年齢制限はとくに設けられていないため、30代でも可能です。

持っておくと優位な資格

キャビンアテンダントの必須資格は「TOEIC」で、最低でも600点以上が求められます。それ以外にも中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、などの第2外国語の資格や手話資格を持っているといいです。また、フライト中に急病人が出た時の応急処置も大切な仕事のため「赤十字救急法救急員資格」などの看護系資格を持っておくと優位です。

キャビンアテンダントに求められること

コミュニケーション能力や協調性

いろんなお客様と接するだけではなく、フライト毎に違うメンバーと仕事を行うためコミュニケーン能力は必須です。1回のフライトにはキャビンアテンダントだけでなく、パイロットや整備士など多くの人が関わります。ひとつのチームで安全なフライトを実現するためには、どんなメンバーとでも強調し、チームプレーをすることが求められます。

自己管理能力と体力

キャビンアテンダントの仕事は、一般企業のように週5日勤務で同じ時間、同じ場所に通勤する訳ではありません。シフト制のため不規則な生活が強いられます。その状態でもフライト中は、ほぼ立ちっ放しの業務です。食事やドリンクサービスで利用する重たいカートを動かしての作業は、思っている以上に重労働のため、体力勝負の仕事です。そのため、常にベスコンディションを保てる徹底的な自己管理が欠かせません。

常に新しいことを学ぼうとする向上心

キャビンアテンダントは航空会社の顔として働くため、他のサービス業以上に質の高いサービス、場に応じた適切なマナーを要求されます。同時に外見に磨きをかけていく必要があります。そのため、幅広く新しいことを学ぼう、自分自身をより向上させようという意識が必要です。

夢を諦めないためにしっかり準備をしておこう

不況の影響を受け、ほとんどの航空会社が時給制契約社員からのスタートし、正社員へステップアップしていく流れでした。しかし「ANA」は2014年から、「JAL」は2016年からキャビンアテンダントの契約社員制度を廃止し、積極的に正社員採用を開始しました。各社とも積極的に採用していこうという流れがあり、安定して仕事ができる環境が整っていきつつあります。

昔に比べるとなりやすくなったキャビンアテンダントの仕事。難しくて不安な仕事と思って諦めていたのなら、この機会に一度チャレンジしてみてはどうでしょうか?

1+