特別支援学校教員は大変な仕事って本当?その仕事内容と気になる給料事情とは

特別支援学校教員の仕事と聞くと、大変そうだなというイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。確かに大変なこともいくつかありますが、生徒一人ひとりと向き合い、成長に深く関わることができる、とてもやりがいが感じられる仕事なのです。具体的にどのような仕事をしているのでしょうか?仕事内容やそのやりがいなどについて紹介します。

特別支援学校ってどんな学校?

特別支援学校とは

特別支援学校とは、心身に障害を持つ子どもが通う学校のことです。幼稚園から高等学校までの教育に加えて、それぞれが自立できるような授業を受けることができます。盲学校やろう学校、養護学校と呼ばれている学校もありますが、2007年の法改正によって、これらはすべて特別支援学校に含まれることとなりました。

この法改正は、複数の障害を抱えている子ども達の教育ニーズに答えることや、近隣の学校に通っている生徒達の支援などにも積極的に関わることを目的に行われました。在籍している生徒の数は、年々増加傾向にあります。

どんな人が通うの?

特別支援学校に通う対象となるのは、視覚障害がある人聴覚障害がある人知的障害がある人肢体不自由な人病弱な人が挙げられます。全員が特別支援学校に入らなければならないということではなく、その他の学校に進学するという選択肢もあります。障害の程度が入学基準に達していない子どもは、通常の小・中学校にある特別支援学級に在籍して支援を受けることになります。

どんな教育が行われているの?

特別支援学校は、1クラスの人数が平均で3名ほどです。一人ひとりに深く関わることができるよう少人数教育となっています。それぞれの障害の度合いに応じて子ども達が自立できるような指導目標を設定し、その目標が達成できるような指導が行なわれているのです。
教科書についても配慮がされており、視覚障害者用や聴覚障害者用など子どもの障害や年齢に応じて作成されています。

また、障害のある人とない人がお互いの理解を深め合うため、特別支援学校に通う子ども達と近隣の学校に通う子ども達が関わったり、地域の人々と触れ合う機会を積極的に作ったりしています。例えば、特別支援学校に在籍している生徒が近隣にある小学校へ行き、図工の授業を一緒に受けたり、遠足に一緒に参加したりしています。地域の人々とは、ボランティア活動や地域の行事に参加して交流を深めるなど、各地域によってさまざまな工夫がされているようです。

特別支援学校教員ってどんな仕事?

仕事内容とは

授業内容は学校によってさまざまですが、基本的なタイムスケジュールとして、勤務開始時間は8時30分ごろになっています。スクールバスで通学をしている生徒が多いですが、保護者が送り迎えをしているところや、隣接している寄宿舎で寝泊まりをしている生徒もいます。生徒を迎え入れたあとは、知的障害者は体力作りのために朝にジョギングをしているところが多いようです。

他の生徒は、通常の授業を受けます。授業以外にも、トイレや給食の介助、生徒たちと一緒に掃除を行なったりします。授業が終わると、生徒はだいたい14時半ごろに下校をします。その後は、会議や教材の作成、時には勉強会への参加など、それぞれに必要な仕事を行ないます。勤務時間の終了は、残業が無ければ17時前後です。

特別支援学校は各障害によって指導方法が違います。そのため、それぞれの障害についての知識や技能を身につける必要があるのです。
また、各地域にある通常の小中学校にも障害を持った生徒がおり、その生徒を指導する教員に、指導方法をアドバイスすることもあります。このように、専門知識を地域に伝えるといった役割も求められているのです。

年収はどれくらいなの?

具体的な金額は各自治体によって異なっており、各都道府県の地方公務員の給料が参考になりますが、通常の学校教員の給料よりも高く設定されています。これは、通常の学校よりも専門的な知識が必要とされるからです。
基本的には年功序列となっており、校長などの管理職に就くと別の給与体系になります。

年齢制限はあるの?

年齢制限の詳細は各自治体によって異なっています。ただ学歴に条件がある場合があり、4年生大学を卒業しているなど、制限があるケースが多いです。

特別支援学校教員は残業が多い?

その日によって会議があったり評価をつけたりと業務内容はさまざまなので、残業がある日もあればない日もあります。しかし、特別支援学校教員は一人ひとりに合ったオリジナルの教材や指導計画を作成しなければならないため、業務量は非常に多いといえるでしょう。そのため、残業は多い傾向にあります。

特別支援学校教員になるにはどうすればよいの?

免許は必要なの?

特別支援学校教員になるには、まず教員免許が必要です。その後、採用試験の時に特別支援学校教員の科目で合格をする必要がありますが、その時に教員免許とは別に、特別支援学校教員免許が必要になることが多いので、合わせて取得しておいた方がよいでしょう。
現状では、特別支援学校教員免許が無くても、教員免許さえ取得をしておけば勤務をすることが可能になっています。

また、臨時職員として働くことができるケースもあります。臨時職員は、正規の教員が産休などに入った時に臨時的に雇ってもらいます。臨時教員になる場合でも、教員免許は必ず必要です。

どの大学で取得することができるの?

特別支援学校教員の免許が取得できる大学は限られています。また各障害の種別ごとに免許が分けられており、どの障害の免許が取れるのかも大学によって異なるのです。具体的にどの大学でどんな免許が取れるのかは、下記文部科学省のサイトに記載されていますので、ぜひチェックしてみてください。

文部科学省 特別支援学校教諭の免許資格を取得することのできる大学一覧

特別支援学校教員に向いてる人ってどんな人?

臨機応変に対応できる人

特別支援学校教員は、障害をもった生徒の特性を考え、適切な指導をしなければなりません。同じ障害でも、それぞれの性格から対応方法が変わってくることもあるので、その生徒に合った臨機応変な接し方をすることが求められます。

また、保護者から相談を寄せられることも多いため、それぞれに応じて対応をしなければなりません。場合によっては、自治体と連絡を取り合って解決しなければならないこともあるので、柔軟な対応をすることが必要です。

力仕事ができる人

肢体不自由の生徒には車いすを使用している人もいるので、トイレや着替えの介助をしなければなりません。その時に生徒の体を持ち上げなければならない場面もあるので、ある程度の力が必要です。また、知的障害のある生徒の中には授業中に走り回る人もいるので追いかけなければならず、体力も必要になってきます。

気長に待つことができる人

特別支援学校に通う生徒は、教えたことをすぐに理解することができないこともあります。そのため、同じことを何回も指導していく必要があるので、気長に待つことができる人がよいでしょう。着替えだけができるようになるまで、半年以上かかる生徒もいます。すぐに結果を求めるのではなく、何事も粘り強く指導しなければなりません。

特別支援学校教員は大変?仕事のやりがいと大変さ

特別支援学校教員のやりがい

特別支援学校教員は、学校に通っている生徒が将来自立できるように指導を行なっています。そのため、今持っている能力を引き出し、将来に活かせるようにしてあげることが必要です。日々少しずつ目標を設定し、その目標に向かって支援をすることで、一つひとつの成長を目の当たりにすることができます。なかなか簡単な仕事ではありませんが、目標を達成した時は大きなやりがいに繋がることでしょう。

また、クラス編成が少人数なので、クラスにある生徒みんなに対して指導方法を変えたりするなど、一人の生徒に深く関わることができます。担当をしている生徒が、大人になるまでの過程を近くで感じることができるのです。このように、一人ひとりにしっかりと向き合うことができるのも、この仕事の魅力といえるでしょう。

特別支援学校教員の大変さ

大変さの一つとして挙げられるのは、対応が難しい生徒を支援することです。例えば、コミュニケーションが取りにくい生徒などは、慣れるまでは相手が何を伝えようとしているのかわからず、困惑してしまうこともあるかもしれません。
多動性のある生徒はじっとしていられないので、授業中も走り出してしまうことがあります。時には、学校の外まで飛び出してしまうこともあるので目を離すことができず、対応には注意が必要です。

中には、人に危害を加えてしまう生徒もいます。人を引っ搔いたり叩いたりすることがあるので、常に監視をしなければなりません。何かをしそうな時は事前にストップをかけるなど、その生徒から離れることができないのも大変な仕事の一つです。

それに加え、特別支援学校では教員がトイレの処理をしなればならないこともあります。慣れるまではいろんな場面で大変だと感じる人もいるでしょう。
また、授業中だけではなく事務作業や一人ひとりに合わせた教材作り、福祉機関との会議など、一般の教員に比べて業務が多岐に渡ります。日々の業務に追われてしまい、大変と感じる人もいるようです。

仕事内容を知って特別支援学校教員を目指そう

特別支援学校教員は大変な仕事と思われてしまう傾向があります。しかし、生徒一人ひとりと深く関わることができるため、成長を間近で感じることができ、非常にやりがいを感じることのできる仕事なのです。特別支援学校教員だからこそ、得られるものもたくさんあります。

また、生徒との関係だけではなく、保護者との関わりや先生同士のコミュニケーションを密に行うことも大事です。保護者や先生と関わることで、生徒の見えなかった部分が見えてくることもあるので、いつでも視野を広く持って行動することが大切といえます。

仕事内容は噂だけではなく、実際働いている人の話を聞いたり、実習に行ってみたりするなど、自分の足で確認してみることが一番大切です。生徒の可能性を広げることのできる、特別支援学校教員の仕事を目指してみてはいかがでしょうか。

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