入国審査官になるには?試験内容や倍率・採用されるために必要なスキルについて

旅行に行くときに、空港や港でパスポートをチェックしたり、荷物の中身をチェックする人がいます。この仕事をする人を【入国審査官】といいます。今回はこの入国審査官の仕事内容や、どのようにしたらなれるのかを詳しく解説していきます。

入国審査官とは

最近、海外へ出国したり、日本に訪れる外国人は増えてきています。その中で国家公務員である入国審査官は、空港や港で外国人の出入国と日本人の出帰国を管理、審査し、日本の安全を守っているのです。

入国審査官の仕事内容

  • 出入国審査
  • 出入国審査ではパスポートやビザを確認して、いつまで滞在するのか、目的は何なのかを審査し、入国時に荷物を持ち込む場合は中身をチェックします。
    ほとんどの外国人は日本へ来るのは留学や観光、仕事を目的としていますが、中には違法物を持ち込もうとしたり、パスポートが偽物だったりする場合があります。そして、不法滞在者もいるため、これらを防ぐためにしっかりと審査する必要があるのです。

  • 違反審査
  • もしも外国人が日本に不法入国したり、滞在期間を超えて不法滞在している場合、入国警備官により身柄を拘束されます。入国審査官はその外国人の違反を確認し、その措置を審査します。

  • 在留資格審査
  • 在留資格審査は、在留目的の変更や期間延長の申請があったとき、日本にとってそれが安全を維持できるかどうかを入国審査法を鑑みながら審査を行います。

入国審査官の給料 平均年収

入国審査官の給料は、法務省入国管理局に属する国家公務員なので、行政職俸給表(一)が適用され、平成26年7月1日の東京都特別区内で勤務の場合、初任給は20万円程です。年収は勤務年数により昇給してき、40代の平均年収は約600~700万円程です。

入国審査官の勤務時間・休日

入国審査官の勤務時間は勤務先によって異なりますが、空港などで出入国審査の業務を行う場合、空港によっては24時間体制で審査を行なっているところがあります。この場合、深夜勤務を含むシフト体制がとられます。入国審査官は国家公務員であるため、1日の勤務時間は7時間45分で、1週間あたり38時間45分と定められています。

シフト体制で働いている場合でも、休日は週に2日と決まっています。出入国社数が多い空港に勤務している場合、多くの人が空港を利用する年末年始やお盆休みなどは出勤となります。

入国審査官になるには

学歴は関係ある?入国審査官になるための大学

  • 大学の法学部・外国語学部
  • 入国審査官になるための国家公務員一般職採用試験には、大卒者程度試験と高卒者程度試験があります。

    それぞれの試験には学歴や年齢に制限はありますが、学部に制限はありません。しかし、試験内容は法律や行政、経済などの問題が多く出題されます。そのため、大学の法学部や経済学部で学んでいた人はその知識を生かすことができるでしょう。また、業務で英語を使用するので、大学の外国語学部などで学んできた人はその知識を生かすことができます。

  • 公務員試験予備校
  • 国家公務員試験は難易度の高い試験として知られています。その対策として、公務員試験予備校があります。
    独学で合格する人もいますが、多くの人がこの公務員試験予備校の講座を活用して合格を目指しています。合格するためのコツや実際に公務員試験に合格した人の経験談を聞くことができるなど、参考になることがたくさんあるので、利用するといいでしょう。

高校を卒業して国家公務員試験(一般職)を受ける

国家公務員試験の一般試験は高卒以上の学歴があれば受けることができます。試験に合格してから、地方入国管理局の面接を受けて採用が決まります。最初は「法務事務官」として採用され、一般事務や入管管理局の職員の補佐を3~8年程経験してから入国審査官になれます。

大学・短期大学を卒業して国家公務員試験(一般職・総合職)を受ける

大学、短期大学を卒業してから、国家公務員採用一般職大卒程度試験を受けて合格する方法があります。この試験は、第一次試験の筆記試験と二次試験の面接があります。筆記試験は、基礎能力試験と専門試験が各40題、一般論文試験が出題されます。面接で見られるのは、人柄や対人的能力です。

国家公務員採用試験の受験資格(学歴)

入国審査官になるためには国家公務員採用試験に合格する必要があります。国家公務員試験は一般職と総合職がありますが、入国審査官になるためには一般職を受験するほうが一般的です。国家公務員試験を受験できるのは高卒以上の学歴の人です。

国家公務員採用一般職大卒程度試験の難易度・合格率

入国審査官は国家公務員採用試験を受験して合格しなければなりません。平成28年度の合格倍率は4.7倍でした。

入国審査官には英語力は必要?

入国審査官の仕事は多くの外国人とコミュニケーションを取りながら、審査業務を円滑に行う必要があります。そのため、ある程度の語学力は必要になります。入国審査のときには入国期間、目的などを質問して入国を許可していいのか審査しなければなりません。もしも不法入国や不法滞在をしている場合、それを見極めるためにコミュニケーションを取ることが大切なのです。

入国審査のときに使用するのは基本的に英語ですが、英語だけでなく別の言語を修得したいと考える人が多いようです。英語の他の言語が話せるようになると仕事の幅が広がりますし、スキルアップにもつながります。

また、言語だけではなく外国の社会情勢や文化などを知っておくのも重要なことです。入国審査官として採用されると、研修で英語、中国語、韓国語を学ぶことができます。そして、配属された勤務先でも語学研修のために語学学校へ通学できる制度もあるので、働きながら語学力を高めることができます。

入国審査官のやりがいと苦労

入国審査官のやりがい

  • 国の治安維持を支える責任ある仕事
  • 外国人が日本に出入国、在留可能かを審査や認定する仕事をするのが入国審査官です。この仕事は日本の経済の発展や文化交流に関わる大事なものですが、一方で不法滞在やテロリストなどの犯罪のリスクに関わることも考えられます。入国審査官は冷静に犯罪などを未然に防ぐべき大きな役割を担っています。

  • 専門知識を生かすことができる
  • 入国審査官の仕事は法律を基本にした入国管理法や難民認定法などの知識が必要な仕事です。また、それぞれの文化や歴史を把握していることも重要です。経験を積みながら研修に参加するなどして、専門的なスキルを身につけていくことでますますやりがいを感じることができます。

  • 性別に関係なく活躍できる
  • 入国審査官は性別に関係なく重要なを役割を与えられて、研修などを通じて専門的な知識を幅広く身につけることができます。女性の入国審査官の割合も多く、語学力を生かして活躍できる職場といえます。

  • 語学力を活かせる
  • 多くの外国人と接する国際業務である入国審査官は、英語力をはじめとした言語を活用する機会が多くあります。得意な語学力を仕事に生かしたいと思っている人、国際業務に就きたいと考えている人には最適な仕事です。日頃の業務の中で語学力を向上させることも可能で、働きながらスキルアップしていくことができます。
    業務を通じて、たくさんの外国人と関わり、サポートできる仕事なので、やりがいを感じることができるでしょう。

入国審査官の苦労

  • 求められるレベルが上がっていく
  • 日本への出入国者数は近年、増えていっています。日本へ就労する人、留学する人など、在留目的や期間はいろいろです。そんな中で、入国審査官は不法出入国者を防ぐ重要な役割を担っています。
    国の治安が維持できるよう、不法犯罪者やテロリストなどの出入国を審査するためには、高度なスキルと経験をもとに冷静に犯罪者を見抜く目が必要なのです。この仕事は日本という国を守る大きな責任がある仕事なのです。

  • 転勤の可能性
  • 国家公務員である入国審査官は転勤の可能性があります。基本的には所属する地域の入国管理局、出先機関になりますが、昇進などによって全国規模での転勤があるかもしれません。

  • 海外の人たちとのコミュニケーション
  • 入国審査官は、決められている期間を不法に延長する在留者や、不法目的の在留をする不法在留者を直接取り締まる仕事をします。しかし、出入国審査をかわそうとする外国人がいて、その人に対応するのは大変なことがあります。コミュニケーションをとるのが困難な場合や審査をしっかり受けるように説得するのに時間がかかることもあり、苦労と感じる点です。

  • 夜勤がある場合
  • 地域によっては24時間体制で出入国審査対応をしているところがあり、そこで働いている入国審査官はシフト勤務です。深夜勤務があると、生活リズムが崩れて体調を崩してしまうことがあるシフトため大変と思う点です。

女性の入国審査官と転勤の有無

女性の入国審査官は活躍できる?

入国審査官は、他の国家公務員と比べると比較的、女性の割合が多くなってきています。国家公務員においては、女性の採用に向けて育児や介護などの家庭の事情に合わせて勤務が続けれる制度が整っています。

入国審査官は性別に関係なく、重要な仕事をする職業です。語学力が必要な職業なので、外国語が得意であればそれを生かして女性でも充分に活躍できる職業です。

入国審査官には転勤があるの?

国家公務員である入国審査官は転勤の可能性があります。転勤の範囲は地域の入国管理局で管轄する出先機関であるため、全国規模というわけではありません。しかし、人事交流や昇進では、全国規模の転勤がある可能性が出てきます。

入国審査官の今後

2020年に日本で開催されるオリンピックでは、さまざまな国から外国人が来るでしょう。また、観光や労働者も増えてきて、今後も日本に外国人が増えてくることが予測されます。そうなると、入国審査官の仕事が重大なものになってきます。これから需要が高まる入国審査官は公務員ということもあり、安定した職業です。なるための試験は簡単なものではありませんが、責任があるやりがいを感じられる仕事です。

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