点字通訳者の仕事内容とはどんなもの?気になる収入事情・必須資格とは

目が不自由な人に向けて、点字というものがあるのは知っている人がほとんどでしょう。この点字を使って、小説や説明書などを作る仕事があることを知っていますか?目で読むものを点字にする「点字通訳者」という職業があるのです。今回はこの点字通訳者について解説していきます。

点字通訳者の仕事内容を知ろう

点字通訳者とは

目が不自由な人が指で触って読む文字を「点字」といいます。文字になっている小説や手書きの文章を「墨字」と言いますが、この墨字を点字に変換して本などにする仕事をする人のことを「点字通訳者」といいます。

点字通訳者の仕事内容とはどんなもの

目で読む文字「墨字」を、縦3点・横2点の点を組み合わせて視覚障害者用の文字「点字」に翻訳するのが仕事です。点字を書く時には「点字器」という道具を使って、針のような点筆と呼ばれるもので紙に点字を書きます。これまでは、点訳者が手打ちで一文字ずつ打ち込んでいましたが、今は自動点訳やデータ化ができるようになってきています。

一般的に、点字は記号や数字、アルファベット以外は、全て平仮名で、意味や発音などを考えながら、スペースを入れるなどしながら読みやすい点字にします。墨字を点字に点訳するときには、出来上がったものを他の点訳者が細かく校正する仕事もあります。点字のルールに沿って点訳できているか、分かりにくい部分がないかなどを細かく確認することも大事です。

点字通訳者の収入

点字通訳者の収入は、月収は約20~24万円で年収にすると約350万円前後です。点字通訳者は、点字翻訳を専門に働いている人は少なく、福祉関係の学校や施設で働いていて、点字が分かる職員という場合がほとんどです。この収入も、福祉系の施設で働く人の平均となります。

点字通訳者になるために

専門学校で学ぶ

点字通訳者になるためだけの学校は存在しませんが、福祉系の専門学校で点字通訳を身につけることができるところがあります。福祉施設などを訪問したり、実習を通して現場職員の仕事を見ることができたり、実際に職業体験することもできる学校も多いです。特に、介護などの実践を重要視して習得することを目的とします。

その中で、点字を学ぶコースを設けている学校もあります。専門学校の特徴は卒業後、すぐに実践で戦力になるよう専門的な技術や知識を身につけることです。また、就職率が100%を誇っている学校も多く、卒業生が各方面で活躍しているので、ネットワークが確立しているところも特徴です。

大学で学ぶ

福祉関係の学部がある大学でも、点字を学ぶことができます。大学の特徴は福祉の専門的な知識や技術を学ぶ他に、一般教養も学ぶ機会があるところです。今後、社会に出て働く上で一般教養は身につけておくと役立つ知識です。また、大学のカリキュラムの中には実習も組み込まれていて、福祉施設や養護施設への実習もあり、施設の職員の指導のもと貴重な経験をすることができます。

点字通訳者になるためには資格は必要なの?

点字通訳者になるためには特別な資格は必要ありません。点字通訳者として専門的に働く人は少なく、専門学校や大学で点字を身につけます。点字通訳者として専門的に働いている人は少ないため、福祉施設などで働く場合がほとんどです。ボランティア団体に加入して点字に関わる人もいます。

点字通訳者に向いているのはどんな人?

  • 文章の中身を汲み取る力がある人
  • 点字通訳者は、墨字を点字に訳するために点字のルールや技術について詳しく理解していることが重要です。また、本を点字にする時には内容をよく理解し、視覚障害者の方にわかりやすくするようにしなければなりません。そして、漢字には色々な読み方があります。点字は平仮名にして変換するため、文章を読んでその漢字の読み方はどれが当てはまるか理解しなければなりません。ただ文字をそのまま点字にするのではなく、文章の構成や伝えようとしていることを汲み取ることが重要です。

  • 丁寧に取り組める人
  • 点字通訳は、墨字を平仮名で変換するのですがそのためには、どこで区切ったら分かりやすいか、漢字の読み方は合っているのかなど、細かく気にしなければならないことがあります。点字通訳者は、それらを丁寧に訳して伝える作業が必要です。

  • コミュニケーション能力がある人
  • 点字通訳者は点字を作るだけではなく、人とのコミュニケーションも大事です。点訳したものを他の点字通訳者に校正してもらわなければなりませんが、そのためにはコミュニケーションが重要になります。また、「ことば」に対して色々な捉え方ができることも大切です。点字にした文章を相手がどのように読むかなど、先のことも想像しながら取り組める人は点字通訳者に向いていると言えるのではないでしょうか。

点字通訳者のやりがいと大変さ

点字通訳者のやりがい

  • 専門的な知識が生かせる
  • 文章を点字にできるのは、専門的な知識がないとできません。この知識や技術は誰でも持っているものではないため、自分が持っている知識が誰かのためになることはやりがいとなるでしょう。視覚障害者の方には、点字のものがなければ色々な情報を得ることが限られてしまいます。点字の資料があれば、目が見える人と一緒に会議などにも出席できます。点字通訳者の仕事で、視覚障害者の方の社会進出に貢献できることは嬉しいことです。

  • 色々な人と出会える
  • 点字を取り扱う出版社や図書館で働く場合、研修会や勉強会が開催されるため、他の会社や図書館の人と話をする機会が多くあります。他の職場の人たちと出会い、情報交換をしたり学ぶことで自己を高めることもできます。

  • 普段読まないものに触れることができる
  • 点字通訳者をしていると、色々な種類の本や文章に触れることが多くあります。普段、自分では読むことがないジャンルの小説などを点訳することもあり、知らなかった楽しさを経験することもできます。点訳を通して、今まで読まなかったジャンルを読むようになったり、知らない言葉に出会い、調べることで自身の知識が増えることもあります。

点字通訳者の大変さ

  • 点字の理解が乏しい
  • 現在では、点字が世の中の人たちに理解されていない事が多いです。点字の重要性や存在を知らないが故に、間違っている点字を貼っていたりすることもあるようです。点字を使う人のことを考えると、重大な事故につながることもあります。また、博物館などで視覚障害者の方へ、と点字の説明文があったとして、その中の点字に間違いがあった場合、楽しみに訪れた人ががっかりするでしょう。このようなことから、点字の重要性をもっと多くの人に理解してほしいと思うこともあるのです。

  • 文章力も必要
  • 文章を点訳するときには、忠実にそのまま点訳する場合がほとんどですが、時には表現方法を少し変えたほうが上手く伝わることがあります。そのような時、自分の語彙力や表現力が必要です。どうすれば点訳したものを分かりやすくできるか、普段から読書をしたりしながら自己の力を磨くことが大切です。

点字通訳者の求人はあるの?

点字通訳者の仕事は、点訳を専門にしている人がごく少なく、多くの人が福祉施設や養護施設などで働いています。施設の職員として他の職員と同じ内容の仕事をします。その中で、「点字が分かる職員」として働く人が多いようです。

点字通訳者の今後とは

点字通訳者の仕事はなくなることはありません。各都道府県には、点字図書館が必ず1つ以上はあります。多いところでは3~4ヶ所あるので、そこに置いている書物などを点訳するために、点字通訳者は必要です。新発売された小説などは、発売から約半年後くらいに点訳されます。視覚に障害を抱える人が必要とする点字を理解する点字通訳者は今後もなくならない職業です。

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