福祉住環境コーディネーターとは?仕事内容や資格・就職先について

介護の資格の中で比較的チャレンジしやすい資格が福祉住環境コーディネーターです。取得後は介護の業界だけでなく、建築業界でも活躍することができる、今後益々ニーズが高まる資格です。そこで今回はまだあまり知られていない福祉住環境コーディネーターの資格について紹介します。

福祉住環境コーディネーターとは

福祉住環境コーディネーターの仕事内容

  • 高齢者や障害者が快適に生活できる住環境を提案
  • 福祉と建築に関する専門知識を活かして、住環境からお年寄りの生活を快適にサポートする仕事です。医療・福祉・建築に各専門家と連携を取りながら最適な住宅改修プランを提示します。

    例えば私たちにとって特に気にならない段差でも、高齢者にとっては大きな障害になってしまうこともあります。福祉住環境コーディネーターは、高齢者がより快適に暮らすためにバリアフリーの住宅改修の提案を行います。それだけでなく住宅改修の場合は介護保険から補助金が出る場合があるため、状況によっては改築ローンの相談にも応じます。

  • 福祉器具や介助用品のアドバイス
  • 福祉住環境コーディネーターは住宅に関するアドバイスと合わせて、福祉器具や介助用品の情報提供やアドバイスを行います。

  • 住宅改修費支給の申請にかかわる理由書の作成
  • 福祉住環境コーディネーターが厚生労働省から認められている業務の中に、住宅改修費支給の申請にかかわる理由書の作成業務があります。この業務は福祉住環境コーディネーター2級以上の資格取得者とケアマネジャー、作業療法士のみ認められています。

    ただし自治体によっては福祉住環境コーディネーターの仕事と認められていない場合もあります。報酬は一通作成するごとに2,000円です。

年収や待遇

福祉住環境コーディネーターの資格で職業として成立するケースは少ないです。多くの場合はケアマネジャーや建築士の資格を持っている人が、仕事の幅を広げるために取得するケースが多いです。

福祉住環境コーディネーターを取得している人が多い職種の一つがケアマネージャーです。ケアマネージャーの年収の平均が380万程度で、福祉住環境コーディネーターの資格を取得している場合、資格手当がつくため相場より少し高いと予測されます。介護用品メーカーなどの平均年収は350万円程度です。また待遇に関しては勤務先の勤務形態によります。

働く場所は

福祉住環境コーディネーターは医師や弁護士のように独占してできる業務がないので、資格を取得したからといって独立できる仕事ではありません。仕事をするにはどこかに就職する必要があります。
しかし、福祉住環境コーディネーターは建築業界と福祉や介護業界の橋渡しの役目を果たすため、他の介護の資格に比べると活躍の場が広いです。

  • 建築関係
  • 福祉住環境コーディネーターは医療や福祉のことだけでなく、住宅改修、建築など総合的な知識を幅広く身につけています。バリアフリー住宅を扱う工務店やリフォーム会社などが就職先の一つとして挙げられます。

    もしバリアフリー住宅を扱う建築会社や工務店に就職した場合、福祉住環境コーディネーターの知識を活かすことで高齢社会に対応したバリアフリー・ユニバーサル建築の計画や提案も可能です。また、住宅の営業を行う場合も依頼者の希望やニーズに合わせて多様な提案ができます。

  • 福祉関係
  • 宅介護支援センター、高齢者福祉センター、老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、訪問看護事業所、介護保険施設が活躍ができる場所です。これらの施設に就職した場合は施設内の住環境整備についてアドバイスを行います。

  • 介護ショップ・福祉機器メーカー
  • 介護ショップや福祉機器メーカーに勤務する場合は、主に商品企画や開発に携わることになるでしょう。最近は高齢者の方がより快適に生活できるように、住環境の整備に力を入れている施設が増えているため、今後さらに需要が高まると予測できます。

  • 医療・保健関係
  • 病院などの医療施設で仕事をする場合は、医師や看護師と連携をしながら高齢者のリハビリのサポートを行います。具体的には病院内の環境整備や福祉用具のアドバイスの業務を中心に行うことになるでしょう。

福祉住環境コーディネーターの資格について

福祉住環境コーディネーターの資格の合格率と過去問

福祉住環境コーディネーターの受験者の多くは医療、福祉介護関係や建築関係の人が大半を占めています。

介護関係の場合はケアマネジャーや介護福祉士、福祉用具専門相談員、建築業界の場合は、住宅メーカーやリフォーム会社の営業や設計者、建築士の人が多いです。他には介護職や建築業界を目指している学生や主婦が、就職活動の時にアピール目的で受験するケースが増えています。

  • 受験資格や難易度は?
  • 福祉住環境コーディネーターは他の介護の資格と異なり、受験資格がありません。また記述試験や実技試験がなく、すべてマークシート択一式のため初めての人でも安心して受験できます。

    福祉住環境コーディネーター3級・2級の試験は年に2回実施されています。また福祉住環境コーディネーターは試験日の午前に3級、午後に2級の試験が実施されるため、午前中に3級、午後に2級を受験することも可能です。ただし1級の受験資格は2級合格が必須です。2017年度試験の合格率は1級5.9%、2級50.4%、3級41.4%です。

  • 試験の出題範囲は?
  • 福祉住環境コーディネーターの試験内容は「介護」「医療」「建築」と専門的かつ広範囲に渡ります。福祉住環境コーディネーター3級の検定試験は福祉と住環境の関連分野の基礎的な知識を問われます。高齢者向け住宅の基礎知識と、介護保険制度などの福祉政策の仕組みが主な出題範囲です。公式テキストから外れた内容は、ほとんど出題されることがないため、公式テキストを理解し過去問を取り組むことで資格取得が可能です。

    福祉住環境コーディネーター2級の検定試験は、3級の内容に障害者に関する分野と福祉用具に関する分野が増えます。今までの傾向からすると障害者関連の科目からの出題が多いため、時間がない方はまずそちらから勉強しておくといいでしょう。また3級の試験範囲である高齢者の心身特性に関しては、3級より深く問われるため、もし理解が足りないと感じるなら3級のテキストを復習しておくといいでしょう。

    福祉住環境コーディネーター1級の検定試験は3級、2級に比べると難易度がかなり上がります。1級の試験ではマークシート方式と記述式で出題され、試験時間は4時間と長時間に渡ります。出題範囲も1級ではテキスト以外の内容も出題されます。記述式問題ではリフォームなどが必要とされる事例が提示され、それに対して実際にリフォーム提案を行う問題が出題されるので、より実践的な知識やスキルが問われます。

資格取得のメリット

日本は人口の4人に1人が65歳以上という超高齢化社会です。家族の誰かが要支援・要介護と認定されると、住宅改修費用の9割または8割(20万円限度)が介護保険から支給される制度があります。この制度を利用して手すりの取付けなどの自宅のリフォームをされる方が増えています。

このように福祉住環境コーディネーターは比較的新しい資格ですが、今後福祉や建築の現場でのニーズが高まると予測できます。

一緒に持っていると転職、就職に有利な資格は?

  • 介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)
  • これから介護の仕事を始める人が最初に取得する資格で、介護の資格の中でも比較的取得しやすい資格です。介護の仕事は生活援助と身体介護の2種類に分かれています。利用者さんの身体に触れる身体介護は介護職員初任者研修を受講し、資格を取得した人しかできません。

  • 介護福祉士
  • 介護福祉士は国家資格です。介護の資格の中で一番難易度の高く、介護職の人の多くが目指しています。介護福祉士は介護施設でサービス提供責任者や介護のチームリーダーなどの役職につくことが多いです。

  • 福祉用具専門相談
  • 介護が必要な方への福祉用品のレンタルや販売が主な仕事です。介護保険制度では、福祉用具の貸与は保険給付の対象になるため、福祉用具貸与事業を行う事業所は福祉用具専門相談員を2名配置しなければならないと定められています。そのため、、資格を取得しておくと就職の時に有利です。

福祉住環境コーディネーターの資格取得のための勉強法

スクールに通学する

スクールに通学する場合は全くの初心者から経験者まで対応しているため、不明点があればすぐに質問できる環境があります。費用と時間に余裕があればスクールに通学して資格を取得するといいでしょう。

  • 勉強に必要な期間
  • スクールに通学する人の多くは試験日の数ヶ月前から通っている人が多いです。通学を利用して勉強する場合は講義に沿って勉強を進めます。学習時間は通信よりも短く、講義は10時間程度の場合が多いので、講義だけでは勉強時間が足りません。そのため自宅での学習も必要です。

  • 費用
  • 通学する場合にかかる費用は3~4万円が相場です。

通信講座を受講する

近くに学校がない場合や、仕事をしながらでスクールに通うのが難しい場合は通信講座を選ぶといいでしょう。また独学に比べると資格取得のために必要な教材をまとめて手に入れるため、費用がかかりますが効率的に勉強できます。

  • 勉強に必要な期間
  • 通信講座の受講期間の多くは3~6ヶ月くらいで設定されています。

  • 費用
  • 通信教育の場合にかかる費用は、おおむね5万円ほどが相場です。

独学で学ぶ

福祉住環境コーディネーターの資格に関するテキストや問題集が書店で手に入るため、時間に余裕があれば自分の生活スタイルに合わせて準備するといいでしょう。

  • 勉強に必要な期間
  • 勉強に必要な期間は個人差があります。ある程度知識があれば数日間、全く知識がないければ数ヶ月程度の準備期間が必要です。

  • 費用
  • 費用はテキスト代だけで済むため、費用の目安は1万円以下で抑えることができます。

福祉住環境コーディネーター資格取得にためにスクールや講座

  • 生涯学習のユーキャン
  • 福祉住環境コーディネーター2・3級講座は全く知識がない人でも、合格できるようにしっかりサポートしてくれると評判の通信講座です。無理なく6ヶ間で福祉住環境コーディネーター2級と3級の合格を目指せます。

  • 日建学院/通信
  • 日建学院の通信講座は公式テキストに準拠したわかりやすい動画で教材を使用して勉強します。出題傾向を把握した専門講師が、出題傾向に即した合格に必要なポイントだけを押さえたオリジナルテキストを利用するため効率的に勉強できます。

  • ハウジングエージェンシー
  • インテリアコーディネーターの専門校が行う資格取得講座です。公式テキストからの出題傾向を徹底的に分析したオリジナルテキストを使って効率的に学べます。不明点は24時間メールで対応しているためバックアップ体制もばっちりです。

高齢者の暮らし快適にする福祉住環境コーディネーターの仕事を目指しませんか?

今後ますます活躍の場が広がると考えられる福祉住環境コーディネーターの仕事。すでに介護の仕事や建築関係の仕事をしている人にとっては取得しやすく、取得後すぐに活用できる資格です。3級と2級は年に2回試験があるためこの機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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