【医師監修】陣痛の始まりはどんな痛み?症状や間隔、出産直前の準備について

【医師監修】陣痛の始まりはどんな痛み?症状や間隔、出産直前の準備について

加藤智子 先生

出産が近づいてくると、色々な不安が出てきます。陣痛はいつ来るのか、陣痛にちゃんと気がつくか、本陣痛が来たらどのように行動したらよいか…など。今回は、そんな妊娠後期のさまざまなお悩みについて、出産前から出来ることや注意すべき点をまとめました。

[1]陣痛とは?

子宮口や産道を柔らかくしたり、子宮を収縮させて赤ちゃんを娩出したり、出産直後の母体を回復に向かわせるなど、出産時の母体にはさまざまな変化が訪れます。その中で引き起こされるものを陣痛と言い、陣痛の始まり方や程度は人それぞれです。

始まりから後陣痛まで、知っておきたい陣痛の種類

    • 前駆陣痛

前駆陣痛は子宮口開大や子宮頸管の熟化(子宮口を軟らかくする)のために起こるもので、分娩に適した状態に近づき始めている時期であることを知らせてくれるものです。分娩陣痛が引き起こすような子宮口の開大はなく、我慢できる程度の痛みや張りが不規則にやってきてはおさまります。時に少量の出血を伴うこともあります。いわゆる産徴、おしるしといわれているものです。この段階で病院に行ってもすぐに入院にはならず、「陣痛が10分間隔になったら来てください」と言われることが多いです。

    • 分娩陣痛

赤ちゃんを娩出させるために子宮口が開大し、子宮が強く規則的に収縮を繰り返すことで起こる陣痛です。痛みが規則的にやってきて、次第に間隔が短くなっていきます。赤ちゃんが産まれるまで続きます。陣痛がおよそ10分間隔に規則的に続くようになったら入院し、出産直前に分娩室に移動するまで陣痛室で過ごすことになります。

    • 後陣痛

赤ちゃんが産まれた後、子宮が収縮することで起こる陣痛です。これにより不要となった胎盤や卵膜が子宮から剥がれ、ほとんどは産後すぐから20~30分くらいでこれらも娩出されます。産後、子宮を収縮させることで止血をはかり、不要な分泌物を排出させることで子宮内の感染を予防し、母体を妊娠前の状態へ向かわせます。産後2~3日ほど痛みが続きますが、強い痛みの場合は痛み止めを処方してもらえます。初産婦よりも経産婦の方が痛みを強く感じるようです。

これって陣痛?

陣痛の症状や程度にはかなり個人差があります。陣痛の始まりは生理痛や下痢痛にたとえられることが多いですが、吐き気・腰痛・倦怠感・胃痛といった症状から感じ始める妊婦もいます。さらに胃のすっきり感・胎動の減弱・頻尿・おりものの増加で分娩前兆に気づくケースもあります。
また前駆陣痛、分娩陣痛の前に破水をする場合もあります。破水に気づいた場合も入院となります。破水後自然に陣痛が開始することが多いですが、長時間経過すると子宮内感染のリスクが高まるため陣痛が開始されない場合は陣痛促進剤を使用することになります。

分娩陣痛の程度や間隔は?

分娩陣痛と前駆陣痛は別物ではありますが、痛みの感じ方だけでその違いを明確に判断することは出来ません。分娩陣痛は規則的で、お産が進むにつれて痛みの時間は長く、間隔は短くなっていきます。
始まりは10~20秒程度の弱い痛みがしだいに10~15分間隔となり、子宮口が開くころには30~60秒程度の強い痛みが5分間隔でやってきます。出産間近に痛みはピークを迎え、1~3分程度の激しい痛みが60秒間隔、赤ちゃんが産まれる直前に60秒~90秒間隔の痛みとなっていきます。

胎動が激しい?陣痛と胎動の違いとは

赤ちゃんが下降し頭が骨盤に収まると胎動も落ち着くといわれていますが、出産まで激しい胎動があったというケースもあるため、一概に胎動と出産を関連付けることはできません。お腹の張りや痛みが陣痛なのか、胎動なのかが分かりにくいという人は、痛みが規則的にやってくるかをチェックしてください。胎動がまったくなく、強い痛みやお腹の張りがずっと続く状態の時は前置胎盤や常位胎盤早期剥離などの可能性があり危険ですので、すみやかに医師の診察を受けて下さい。

[2]早く赤ちゃんに会いたい!陣痛待ちのママにできること

なかなか陣痛が来ないけれど、元気な赤ちゃんを迎えるために出来ることはやっておきたい!というママのために、陣痛を促すといわれる方法をまとめました。

陣痛を促進させるためには

妊娠37週に入ったら、無理のない範囲で動くことが大切です。下半身を温めたり、ウォーキングやスクワット、階段の昇降などをすると良いでしょう。産道の筋肉を柔らかくし、重力の力を借りてお産が進みやすくなるといわれています。骨盤を広げるためにあぐらの姿勢で座ったり、雑巾がけをしたりすることも安産につながります。陣痛を促す食事は特にありませんが、ラズベリーリーフティーには子宮の収縮を促進する効果があると言われています。ただし妊娠初期には逆効果ですので、飲まないように注意してください。

陣痛は赤ちゃんのタイミングで起こる

陣痛を促進させるとはいっても、赤ちゃんは自分のタイミングで降りてきます。いつ産まれてきてもいいように、適度な運動をしてバランスのとれた食事を摂るなど、出産に向けた身体づくりをしておきましょう。好きなことをする、パパと仲良くするなど、リラックスすることもとても大切です。

[3]陣痛中は動くのも大変!事前に準備しておくこと

本格的な陣痛はいつ始まるかわかりません。痛みが引いている時は自分で動くことができますが、余裕がない中で一から入院準備をするのはとても大変です。思わぬトラブルを防ぐためにも、事前準備や家族との話し合いをしっかりしておきましょう。

タクシーは利用できる?タクシー会社への確認が大切

普段、妊婦健診を受けるときは公共交通機関や車で通っているという人でも、陣痛が来たら一人でむやみに動いてはいけません。家族に車を出してもらうか、そうでない場合はタクシーを利用しましょう。タクシー会社にもよりますが、自分の名前・住所・出産予定日や産院等を事前に登録しておくことで、優先的にタクシーを利用できるマタニティタクシーなどのサービスもあります。ただし地域差があることや、一般的なタクシーでは出産間近の妊婦さんが乗車を断られるケースもあることから、前もってお住まいの地域にあるタクシー会社に確認しておくことをおすすめします。

入院するとき必要なもの、あると便利なもの

入院時に必要な物のリストは産院から渡されますが、それ以外にも準備しておくと役に立つものがたくさんあります。急な入院の場合は必要最低限のものだけ持っていき、他のものは後から家族に持ってきてもうなど、工夫して荷物をまとめておきましょう。

▼入院するために必要なもの

  • 母子手帳
  • 健康保険証
  • 診察券
  • 印鑑

▼出産直後~退院までに必要なもの

  • 前開きのパジャマ3~4枚
  • 授乳用ブラジャー3~4枚
  • 産褥ショーツ3~4枚
  • 骨盤ベルト
  • 洗面用具
  • 歯磨きセット
  • 眼鏡やコンタクトレンズ(必要な場合)
  • スリッパ
  • 母乳パッド
  • 産褥ナプキン
  • 清浄綿
  • 薄手のはおりもの
  • フェイスタオル
  • ガーゼ
  • ティッシュ
  • 携帯電話の充電器
  • 小銭(貴重品は必要最低限にしましょう)

※消耗品等は、産院が事前に準備してくれる場合もあります

▼あると便利なもの

    • ペットボトルに取り付けられるストロー

→痛みで起き上がれない時でもさっと水分補給できます

    • 着圧ソックス

→産後も足がパンパンに浮腫むことがあります

    • ドーナツクッション

→会陰切開後は重宝します

    • 授乳クッション

→あると余計な力を使わずに済み、赤ちゃんの体勢も安定します

    • ゼリー飲料

→ゆっくりと食事を取れないときに便利です

    • メモ帳と筆記用具

→助産師さんに聞かれること、家族に伝えたいことを忘れずに済みます

[4]陣痛の間隔が簡単に計れる!人気の無料アプリ

痛みで苦しいときに、正確に陣痛の間隔を計れるか不安…という人はスマートフォンにアプリを入れておくと便利です。痛みが来たな、というタイミングで画面をタッチすれば、陣痛の長さや間隔を記録してくれます。ここでは人気の無料アプリをご紹介します。

アプリ使用時の注意点
暗い時間帯など何度もスマホ画面を見るのは負担になるものです。夜間に光を浴びると睡眠や安静を妨げたり、副交感神経を鈍らせかえって分娩進行に支障が出てしまうことがあります。スマホ画面に慣れていない方は必ずしもアプリに頼る必要はありません。陣痛の長さや間隔は秒単位で正確でなくても構わないので、旦那さんに時計を見てメモしてもらうだけでもまったく大丈夫です。

[5]いざ出産!旦那さんにできること、控えてほしいこと

出産にあたっては、肉体的にも精神的にも旦那さんの存在が大きな支えとなります。しかし、陣痛で苦しんでいる時や産後の疲れ切った状態の時など、旦那さんの言動にイライラしてしまう人は少なくありません。出産のときトラブルは産後の夫婦仲にも深刻な影響を及ぼすことがありますので、事前に話し合っておきたいことや注意すべき点をまとめました。

立ち会い出産をするかどうか話し合う

厚生労働省によると、出産時に女性を独りにしないことが出産時の満足度を高めるというデータがあるそうです。最近では約半数(53%)の夫が立会いを行っており、その割合は年々高まっています。

しかし実際に痛みを感じる妻と、妻をサポートする夫の感覚にはどうしても差があるため、夫の言動が逆効果になってしまうケースも数多く存在します。赤ちゃんを産む大変さと生命が誕生する瞬間を分かち合うことができる立ち会い出産はメリットも大きいですが、まずは夫婦で理想の出産について事前によく話し合うことが大切です。

また分娩進行中の母児の状況により急遽帝王切開術が必要となることもあります。事前に通院先の安産教室などで分娩について夫婦でしっかりと学んでおくことも必要です。

産後離婚を招くことも…出産前後のサポートが鍵

出産時にイライラした経験は、女性の記憶に深く刻み込まれるものです。せっかく可愛い赤ちゃんが産まれても、夫が妻に的外れな対応ばかりしていると、妻の愛情が急激に冷めていってしまうことがあります。

いわゆる「産後クライシス」というものです。産後は慣れない赤ちゃんのお世話が第一優先となるため、どうしても夫婦だけの時間は減ってしまいます。約10カ月間の妊娠期間を経た妻と、いきなり父親になる夫との間に認識のギャップがあることは言うまでもありませんから、出産前から産後の生活をできるだけ具体的に想像しながら夫婦で話し合っておくとよいでしょう。

夫側は「言ってくれないと分からない」ということが多いので、夫のサポートがどれだけ重要か、どんなことをしてくれると嬉しいか、ということを妻側から分かりやすく簡潔に伝えることがポイントです。「出産したら案外うまくいくかも…」と安易な期待を持ちすぎたり、完璧を目指しすぎたりすると現実とのギャップについていけなく臨機応変に対応できず焦りだけが生じることになります。あらかじめ産後のどのような点に不安があるかをしっかり見極め、自分の家族や親族に何を手伝ってもらうことができるか、また住まいの自治体の育児支援策を知っておくことも大切です。家電や既製品に頼るなどの対策も考えておきましょう。

[6]義理両親への出産報告のタイミングについて

出産時に義理両親への報告をどうするかは、妻側にとっては大きな問題です。周囲が赤ちゃんの誕生を心待ちにしていると分かってはいても、痛みに苦しむ姿や産後で疲れ切った自分を見せたくはないものです。出産はとてもデリケートなことですので、夫や産院とよく話し合ったうえで負担のかからない方法を選びましょう。

立ち会いやお見舞い、よくある不満とは

出産前後はホルモンバランスや生活環境の変化が大きいため、些細なことで傷つくことがあります。「義母(義理両親)が陣痛室に入ってきた」「産後の病室に長時間居座られた」「赤ちゃんの性別や母乳のことなどで無神経な言葉をかけられた」などの嫌な思いが、それまで良好だった嫁姑関係を悪化させることもあります。実母ならともかく、義理家族には特に気を使わなければならないため、疲れた状態で会いたくないと考える人が多いようです。産院によっては夫や実母しか立ち会いを許されない所もありますが、そうでない場合は特に注意が必要です。

どのように報告する?トラブルを招かない伝え方とは

出産を報告することはとても大切ですが、出産に集中したり、産後の身体を休めたりするためには負担となるような立ち会いやお見舞いは避けてほしいものです。一般的には陣痛が始まった時や出産時に夫が報告するケースが多いようですが、その際に伝えたいことははっきりと伝えてもらいましょう。「母子ともに状態が落ち着くまでお見舞いを遠慮してもらいたい」など言いにくいことを伝える際には、産院の方針などを理由にするのもよいでしょう。

[7]不安やストレスを減らし、穏やかに出産を待とう

いかがでしたか?初めての出産のかたはもちろん、二人目以降の出産の方も毎回妊娠生活や分娩状況は同じではありませんから不安はつきものですが、事前に情報を集めたり、必要なものを揃えたり、家族や産院、地域の助産師、保健師とよく話し合うことで軽減される不安もたくさんあります。緊張で身体を強張らせすぎるのも安産によくありませんから、できる限りの準備を整えたらあせらずに赤ちゃんとの対面を待ちましょう。

0