妊婦さんなら知っておきたい!出産費用の内訳や大幅に節約できる公的補助制度

出産費用と言っても、分娩費以外にも様々あります。妊娠~出産後までにかかるすべてのお金の平均値などをご紹介します。その他、公的補助制度や節約術も記しています。こんなにかかると思っていなかった、どうしよう用意できない、といった事態にならないように、どうぞ今後のマネー計画に役立ててください。

出産費用の内訳

出産費用の内訳
まずは、出産費用として考えられる項目を一覧にしています。平均値も併せて記載していますので、出費額の目安としてください。トータルの出費は、全国平均は491,425円です。

平均値一覧

妊娠健診費

妊娠がわかると、定期的に健診に行く必要があります。妊娠期間によって頻度は異なりますが、およそ2週間に1度か4週間に一度。トータルの回数は15回程度です。

妊娠は病気ではないため、健康保険が効かず、1回あたりの健診費は3000円~5000円です。血液検査など、検査項目が多い時は1万円を超えることもあります。総額はおよそ15万円です。健診費だけでこんなに、と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、近年、「健診費無料化」を目指している国によるサポートが充実してきています。

ただし、自治体によって助成金額やその内容が異なるので、ご自身の自治体のHPや保健センターで確認しましょう。妊娠届を提出し、母子健康手帳を受け取ったら助成を受けることができます。助成がある場合の平均自己負担額は、初回健診費用や助成項目外の負担額の約58,000円です。

マタニティ・ベビー用品費

妊娠8か月ごろから、出産にむけたグッズを買い揃え始める時期となります。マタニティウェアやマタニティブラといった妊婦さんのためのグッズや、哺乳瓶や紙おむつ、ベビーベッドといった赤ちゃんのためのグッズなどの購入費用、平均自己負担額は約130,000円です。

分娩入院費

臨月に入り、陣痛が起きたら、いよいよ病院に入院して出産です。この際、約40万円の費用がかかります。まとまったお金が必要となるので、注意しましょう。

ただし、健康保険に加入していると出産育児一時金42万円が給付されるので、出費のほとんどが返ってくる計算となります。なので、平均自己負担額は数万円程度です。病院の種類やサービス内容によっては分娩入院費が高額になり、自己負担額が増えるケースもあるので、ご自身がお世話になる産院に早めに確認すると良いでしょう。

里帰り出産費

里帰り出産を検討されている方は、交通費もかかってきます。自分自身の交通費に加えて、父親が通う際の交通費、実家に滞在する場合はその生活費やお礼のお金も用意しておくと安心でしょう。移動距離によって異なりますが、平均自己負担額は約58,000円です。

その他(内祝い、行事費)

出産後、すぐに出費となるのが内祝いと行事費です。親族、友人、知人からもらう出産祝いに対して、いただいた金額の1/3~1/2の金額でお返しの品を返すのが礼儀です。平均出費額は約81,000円です。

行事費がかかる行事は、お七夜、お宮参り、お食い初め、初節句などです。出産後は“初めて”の行事が目白押しで、家族みんなで成長を祈願する大切な行事ですが、出費もかさみます。平均出費額は約101,000円です。

分娩入院費が高額になる場合

分娩入院費の平均は約40万円とお伝えしましたが、費用がかさむ場合があります。

病院は3種類

産院は主に3種類あり、どのタイプの病院で出産するかによって費用が変わってきます。費用が高い順番にご紹介します。

  • 個人産院
    病院のサービス内容によって費用がかさみます。中には、エステやカフェがついていたり、ディナーが充実していたり、と分娩入院費が約100万円となる病院もあるようです。平均は、約40万~60万円。大部屋よりも個室の方が、費用が上がります。
  • 総合病院
    平均出費額は、約35万~45万円です。金額のばらつきは部屋のタイプによるもので、大部屋よりも個室の方が、費用が上がります。
  • 助産院(自宅出産)
    平均出費額は、約25~40万円で最も安いです。安さとリラックスの面から支持される一方で、出産時に何かあったときに対応が遅れてしまうリスクもあります。自然分娩以外の出産は難しいでしょう。

帝王切開の場合

帝王切開で出産する場合は、平均費用額は約50~75万円です。

日本では妊婦さんのうち約16%の方が帝王切開で出産しています。アメリカでは29%、韓国では約40%にものぼり、帝王切開での出産の割合は世界的に増加しています。一般的には、一度帝王切開で出産すると、それ以降の出産も帝王切開で出産することになります。

自然分娩よりも高額になる帝王切開ですが、医療保険の対象となり、手術給付金と入院給付金の合計で約10万円支給されることもあります。医療保険など手術を保障する保険をかけている方は、一度支給条件や金額を確認してみると良いでしょう。

地域別の相場は?

出産費用は、実は地域によって相場が異なります。ランキングをご紹介します。

50万円以上の地域

1位 東京(593,995円)
2位 神奈川(543,790円)
3位 栃木(531,819円)
東京が圧倒的に高額です。関東地域は高額になる傾向があるようです。

46万~50万円未満の地域

1位 兵庫(499,868円)
2位 大阪(497,333円)
3位 千葉(496,775円)
大阪・福岡・広島はここに該当します。

45万円以下の地域

※安い順
1位 鳥取(402,193円)
2位 熊本(410,208円)
3位 沖縄(416,320円)
最も安い県が、約40万円の鳥取県です。九州・東北地域は比較的低価格のようです。

さらに、詳しいランキングが知りたい方は、47都道府県すべてのランキングが記載されている「育児のすべて」をご参照ください。

助かる公的補助制度

さて、これまであれこれとかかる出産費用についてみてきました。続いては、思ったよりもかかる…と心配される方にとって助かる公的補助制度をいくつかご紹介します。返ってくるお金があります。

助かる公的補助制度

健康保険から支給される制度

出産育児一時金

分娩出産費の項目でも記載した通り、健康保険に加入していると、妊娠・出産をサポートするために健康保険から出産育児一時金が支給されます。金額は子ども1人につき42万円で、妊娠4か月(85日)以上で出産したときに受給することができます。

高額療養費制度

治療費が高額となった場合、医療費が支給されます。ただし、条件は健康保険が適用される治療費が月額81,000円以上かかった場合です。妊娠健診は保険適用外となるので、ご注意ください。

高額医療費控除

上記の高額療養費制度は月ごとの金額がポイントとなる補助制度でしたが、高額医療費控除は1年間の医療費が高額となった場合に適応されます。条件は、一世帯の医療費の支払いが10万円以上の場合です。確定申告で税務署に申請することになります。

働くママに支給される制度

出産手当金

一般的に、産休は産前42日、産後56日とされています。会社を休む98日間は、給料(正確には標準報酬日額)の2/3の額が出産手当金として支給されます。給料が入らない生活をサポートする目的の手当金です。

傷病手当金

切迫流産や妊娠悪阻のため体調を崩し会社を休まざるを得ない場合もあると思います。この際、会社の規定に従って申請をすれば、健康保険から傷病手当金が支給されることがあります。金額は、給料(標準報酬日額)の2/3の額です。

退職時に支給される制度

失業給付金

退職すると、失業保険が適用され、雇用保険から給料の約6割が支給されるのが失業給付金です。どれだけの期間支給されるか、また、その支給額は就業期間によって異なるので、予めご自身で確認しておくと良いでしょう。

所得税の還付金

退職した時期が年度の途中だった場合、確定申告によって過払い分の所得税が返金される場合があります。これが所得税の還付金です。

出産費がない時に利用したい節約術3選

これまで出費額と補助制度による支給額を紹介してきました。ただし、補助制度は申請から支給までに数か月要するものもあり、後払いが一般的です。すぐにお金を用意できずに困るという方に、オススメの節約術があります。

出産費がない時に利用したい節約術3選""

出産一時金直接支払制度

健康保険から42万円が支給される出産育児一時金は、一般的に出産後に支給されるものですが、「出産一時金直接支払制度」というものもあります。

この制度を利用すれば、出産一時金が直接病院に支払われるため、出産時に病院に払う40万円近くの費用を自ら用意しなくても済みます。

出産一時金直接支払制度の申請方法は、出産予定の産院から受け取った書類を、健康保険組合に提出するというものです。出産予定日の1ヶ月前から申請することができます。ただし、この直接支払制度が導入されていない病院もあるので、利用を検討される際は、病院に確認する必要があるのでご注意ください。

また、この制度が導入されていない代わりに、分娩費用を後から支払う「受取代理制度」が導入されている場合もあります。出産予定日の2ヶ月前から申請することができるので、詳しくは病院に相談すると良いでしょう。

クレジット支払の利用

クレジットでの支払いをOKとしている病院が、近年増加しています。1回払いだとしても、請求が翌月、カード会社によっては翌々月ということもあるので、出産一時金の支給の後に請求がくるということになります。ちょっとした裏技です。

生活福祉資金貸付制度

地方自治体が貸付を行っている制度で、出産費用を借りることができます。低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯が主な対象となります。また、一定の収入基準を超えないという条件もありますので、具体的な金額はご自身の自治体に確認すると良いでしょう。

ただし、公的資金として母子福祉資金や女性福祉資金というものもあります。生活福祉資金貸付制度よりも優先される制度なので、対象となりうる方は、これらの資金についても併せて確認すると良いでしょう。

思わぬ出費で困らないように、計画を立てましょう

出産にかかる出費額や補助制度を利用した際にもどってくる支給額について、目安がついたでしょうか。記載した額はあくまでも目安であり、病院選びやリサイクル品の利用、家族に頼るなど、費用を抑える工夫はたくさんあります。お金の問題はストレスのもとになりがちです。しっかり計画を立て、安心して出産・産後を迎えられるようにしましょう。

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