日本語教師は日本と他国の架け橋になる!なるために必要な資格や給与、気になる将来性について

日本語教師というと「日本語を教えるだけならできそうだけど、他の国の人とコミュニケーションが取るのは難しそう」「他の国での生活は大変そう」「そもそも日本語教師ってなに?」など、さまざまな感想が思い浮かぶかもしれません。では、実際の日本語教師はどんな仕事なのか、待遇はどうなのか、ここではそれらの疑問について調べてみました。

日本語教師の仕事内容や待遇

日本語教師の仕事内容や待遇

さっそく日本語教師の仕事内容や給料などを見ていきましょう。

仕事内容や必要性

英語の読み書きがしたいと思ったら独学でも習得はできますが、英語を教えてくれる先生のもとで勉強をするという選択肢がありますね。日本人にとって英語は外国語です。反対に、外国人にとって日本語は外国語で「日本語教師は日本語が母国語ではない外国人に日本語を教える」というのが主な仕事内容になります。

言葉、文化を教える

日本語を言葉として教えるのはもちろんですが、日本の文化、歴史、マナー、習慣も同時に教えます。ただの言語として教えるというわけではなく、日常生活で使える日本語を教えなければいけません。

その理由に、日本語を学びたいのは学生だけではなく、外国人労働者や外国人研修生、定住している外国人や日本人の配偶者がいる生徒である可能性があるからです。歴史はともかく文化やマナー、日本における習慣は他国と違うことが多いので分かりやすく教える必要があります。

生徒の相談役

日本語教師には、生徒の相談役という一面があります。日本に住んでいる外国人にとって、日本語教師は日本を教えてもらう唯一の存在かもしれません。それぞれの国によって文化が違い、感じ方も違います。これまでの土地を離れて不安に思っている人もいます。そういった人の様々な悩みや疑問を解消してあげるためにも、日本語教師は必要な存在です。

働き方

常勤と非常勤

日本国内で日本人教師として働く常勤、非常勤の割合ですが、非常勤が全体の7割だと言われています。常勤は正社員なので安定していますが、非常勤は需要がなければ解雇を宣告されやすく、雇用は不安定です。また、学校が夏休みであるなど長期休暇の間は非常勤講師の仕事がない場合が多いようです。収入が途絶えてしまうと考えると恐ろしいですね。

このように非常勤はとても不安定であるにもかかわらず、授業の準備や課題の採点など持ち帰りの仕事がある場合もあります。時給以上の仕事を任されることが多いのも特徴です。

手取りの給料は?

日本人教師の給料は常勤と非常勤で異なります。日本国内の求人情報を見てみると、常勤であれば月20万前後~30万程度が多いようです。非常勤は1,500円~2,000円程度。非常勤が7割であるという理由も合せると、日本語教師という仕事は給料が安く、日本語教師だけでは食べていけないと言われることが多いです。

日本語教師になるためには

日本語教師になるためには

日本語教師になるために何をしたらいいのか、どうすればなれるのか、さっそく見ていきましょう。

民間なら語学力や資格は不要

日本語教師になるのに、英語などの語学力や教員免許などの資格は必要ありません。日本語を日本語で教えるからです。もちろん、英語で日本語を教えられる語学力を求めている求人もあります。

また、実際に他の言語を習得していた方が、つまずきやすいポイントや言語を習得する大変さが身に沁みてわかるので、生徒の気持ちにより近付けるものと思います。そのため語学力はあった方が仕事の幅が広がりますが、必ずしも必要というわけではないようです。

国内の求人は学歴や経験重視

日本国内における日本語教師の求人には、学歴や経験を重視している求人が多く見られます。日本語教師としての資格がなく、教えるという仕事の性質から一定の基準を設けているようです。しかし、学歴がなくても経験を積めば評価されると思っていいでしょう。求人によっては社会人経験を必須としているところもあります。

日本語教師に採用される条件

日本語教師になるために必要な国家資格等はありませんが、必要な条件が存在します。法務省入国管理局が定めた「日本語教育期間の告示基準」が平成28年7月22日に公示され、新基準が平成29年8月1日から施工されています。新基準は次の3つです。

大学で日本語教育を主・副専攻し修了する

日本語教育を専攻、副専攻するためには、日本語学科がある大学に限られます。

日本語教育能力検定合格する

日本国際教育支援協会が行っている日本語能力検定試験に合格必要があります。この試験は年1回10月に行われていて、合格率は約20%ほどです。各都道府県で行われているわけではなく、主要都市が試験地になっています。

試験はマークシートや記述式で、しっかりと勉強すれば独学でも合格できる合格率だと思いますが、不安な人や確実に合格したい人は検定対策を行ってくれるスクールを頼ってみるのもいいと思います。

4大卒かつ日本語教師養成講座420時間以上の研修課目を修了する

日本語養成講座は、文化庁国語課への届出を受理された日本語教員養成研修実施機関・団体の講座に限ります。届出を受理されている学校は文化庁サイトを参考にしてください。新基準の施工前は養成講座と言えば通学制のみでしたが、平成29年の新基準により通信制による研修も認められるようになりました。

ただし、これには注意点があり「420単位時間以上の研修科目のうち120単位時間以上は、面接による研修又はメディア(同時双方向性が確立している場合に限る。)による研修等であること」という一文があるので、通信と言ってもマンツーマンや授業の形態を取っている講座である必要があります。

養成講座の受講期間は受講するスクールによって異なりますが、6か月もしくは3か月の短期間で修了するコース、平日の夜間や土日を受講し、働きながら1~2年かけて修了するコースなど、ライフスタイルに合った受講が可能です。

上記3つは、法務省告示校で働く場合にのみ適用される条件です。告示校以外で働く場合や海外で働く場合は、この限りではありません。

以前は職業訓練の利用もできたが…

以前は職業訓練の利用もできたが…

これまでハローワークの職業訓練または求職者訓練には、日本語教師育成の講座がありました。日本語教師養成講座420時間コース修了が可能だったからです。しかし、平成29年施工の新基準により420時間コース修了に大卒者という条件が加えられました。

これにより、すべての求職者が受講できる講座ではなくなったため、職業訓練または求職者訓練から外れる可能性があります。もし、開講するのならば日本語教育能力検定の合格を目指す講座になりそうです。詳しくはハローワークに問い合わせください。

活躍できる場所

日本語教師の活躍の場はたくさんあります。どのような場所があるか、さっそく見ていきましょう。

民間の日本語学校

日本語教師に採用される条件でもご紹介したように、採用される場所は民間の日本語学校があります。主に留学生へ日本語を教える教育機関になります。

教育機関

大学では4年間の大学生活を送る留学生や交換留学生がいます。大学と大学院を合わせると10万人を超える留学生が全国で勉強しています。大学には、日本で就職したいから日本語を学びたい学生、アニメが好きだから日本語に興味を持った学生、単位のために学んでいる学生、と様々な理由をもつ学生がいて、それぞれ熱意も違います。

そのため目標を立てるのは難しいですが、達成できる目標を設定することが大切になります。大学で日本語教師として活躍するには修士課程以上の学歴も必要です。また、小学校、中学、高校などの教育機関で教える場合には、教育免許が必要になることもあります。

発展途上国でボランティア

発展途上国でボランティア

東南アジア等の発展途上国などが就労場所になります。海外の知らない土地に行くのは勇気がいる上、文化や生活環境が全く違うので不安になるかもしれません。しかし、日本語教師は必要とされていて、仕事にやりがいが欲しい人、好奇心旺盛な人、異文化交流を通じて世界を知っていきたい人には向いている場所です。

給料は現地レートなので安く感じますが、現地の物価も安いので現地の生活に合わせることができればやっていけるようです。

在宅オンライン

DMM英会話やアルクオンラインなど、パソコンを使ってマンツーマンで英会話を学べるスクールが増えてきました。日本語教師も同じように、オンラインで日本語を教えることが可能です。

登録したサイトを介してレッスン料など自分で設定することができるタイプや、1コマあたりの時給が決められているタイプなどがあり、日本語教師を募集しているサイトによって異なります。

オンラインだと通勤時間などが省け、空いている時間に仕事をすることができますね。在宅オンラインは自分だけで行うプライベートレッスンと違って運営サイトが間に入るので、面倒なやりとりも省略でき金銭的なトラブルもないため安心です。

フリーランス

非常勤が多い日本語教師という職業ですから、フリーランスという選択もあります。いくつかの機関を掛け持ちしたり、自分で教室を持ちレッスンをするなど、やればやるだけ稼げます。

フリーランスの日本語教師は意外と多く活躍していて、副業としてフリーランスを選択している人もいれば、個人事業主としてレッスンはもちろん営業から経理までを1人で担当している人もいます。フリーランスは好きな時間に働けて好きな時に休めるのが魅力です。

日本語教師に向いている人

日本語教師に向いている人

どんな職業でも、向き、不向きが人それぞれあります。興味がある仕事すべてに適性があるとは限りません。ここでは日本語教師に向いている人を見ていきます。

仕事にやりがいを求めている人

日本語教師は、日本語を通して人の成長を感じることができる仕事です。日に日に生徒の発音が上手くなり、日本語を理解できるようになって成長していく姿を見るのは嬉しく、やりがいを感じるという声が多いです。

また、日本語を勉強したい、日本のことを知りたい学生との交流で得られるものは大きく、感謝されることでやりがいが大きくなります。

高いコミュニケーション能力

日本語教師という仕事は人に教える職業ですから分かりやすく教える力の他に、高いコミュニケーション能力が必要とされます。接する相手は外国人であるため、思いやりや根気強さ、誠実さも大事ですね。

生徒には内向的で、あまり自分から話せない学生もいます。そういう学生とも積極的に交流していけるようなコミュニケーション能力があると、学生も日本語に親しみやすくなります。

相手の気持ちがわかる人

相手のことを考えない難解な授業では理解されません。理解が上手くできない学生がいた場合は、なぜ、どうして、と相手の立場で物事を考えることも大切です。授業の進捗ばかりに注目してしまいそうですが、日本語を楽しく理解してもらった方が自分にとっても相手にとっても有意義な時間になります。

考え方が柔軟で臨機応変に対応できる人

学生はみんな同じ国ではなく、様々な国の人が同じクラスで勉強することが多いです。国ごとの文化、考え方があって当然なので、受容力や柔軟さ、生徒同士のトラブルが起きても臨機応変に対応できる力が必要です。

ボランティア精神がある人

給料が安く、授業の準備などが大変なこともあり激務と言われている日本語教師。やはり多少のボランティア精神がないと続かないようです。給料がいい仕事は探せばあります。もしも給料を第一に考えるのであれば、日本語教師以外の道や常勤を目指して働くのがオススメです。

日本語教師の将来性

日本語教師の将来性

日本語教師が不足していると言われていますが、将来性はどうなのでしょうか?

需要はある?

日本国内では外国人観光客や留学生が非常に多いため、給料の安さに目をつぶれば需要がなくなることはありません。世界で見ると他の外国語に比べて珍しい言語ですが、東南アジアでの需要が高く、慢性的な日本語教師不足だと言われています。

このことから、需要がなくなることはないけれど、急激に増えることもないようです。今後は日本語教師だけではない付加価値を持つことが、仕事をするうえで大切になってくると思います。

日本語教師を目指す人へ

2020年には東京オリンピックが開催されることからも、ますます日本語教師という職業に注目が集まることになりそうです。海外で活躍したい、人が好きで人に感謝される仕事に就きたい、やりがいが欲しいと思っている人にはぴったりですね。

ただ、日本語教師だけで食べて行くことが難しいことがあるので、道を切り開く努力や工夫が必要になってくると思います。

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