漫画家は、読む人の気持ちを満たすことのできる夢のある仕事です。世界中に日本の漫画が広がり、今や「日本の文化」と言われるようになってきました。そんな魅力的な漫画家にはどうやったらなれるのか、漫画家の収入やアシスタントなど、気になることをご紹介していきます。
漫画家とは
漫画家とは、漫画作品の原作や絵を一から作り出す中心になる人です。連載を持っている漫画家などは全ての工程を一人で行うのは難しいため、作画の補助はアシスタントが行ない、ストーリーの構成や人物像などは担当の編集者と話し合って作っています。
なかには、作品の内容やセリフなど原作作成のみを行なう人もいて、その人たちのことを漫画原作者といいます。
漫画家の仕事内容
- 週刊連載の漫画家
- 書籍の漫画家
- 企業広告の漫画家
週刊連載を持っている漫画家は、毎週締め切りがあります。人気連載の漫画は特にハードなスケジュールです。毎週原稿が出来上がると、次の回に向けての制作に取り掛かります。ストーリー展開のためのネタを探し、構想を練り、絵コンテを作成します。その後アシスタントと協力して下描きやペン入れを行い、ベタ塗りやトーン処理を行い原稿を仕上げます。
これを毎週行なっている人気漫画家は、ハードすぎて体調を崩し連載を休むこともあるようです。ただ、週刊連載を持っているうちは職を失うことがない安心感があります。月間連載の場合もサイクルは同じですが、締め切りのペースが週刊連載よりも少ないです。
書籍用の漫画家は、もともとあるストーリーを漫画化にしたり、1コマや4コマの短いときなど様々な形があります。書籍の内容によって、どのような漫画を入れるか変わってきます。
最近では歴史を漫画で学べることもあって、需要が拡大してきています。歴史漫画の場合は時代考証が必要になるため、専門の知識などが必要になります。書籍用の漫画家は、自分の感覚や知識で描くのではなく、書籍の内容にあった漫画を描けないといけません。
企業広告の漫画家は、企業の宣伝になる漫画を描く人です。企業の広告は写真やイラストがメインでしたが、ベネッセコーポレーションの進研ゼミが、漫画を広告にして話題になったことがきっかけとなり、他企業でも使われるようになったといわれています。
このジャンルの漫画家は、企業の商品のイメージと何を伝えたいのかというコンセプトを、漫画で表現することが求められます。そのため、企業の意図を理解する力も必要になります。
漫画アシスタントの仕事内容
アシスタントは漫画家の助手です。そのため、キャラクターの顔などメインになる部分を描くことはほとんどありません。背景を描いたり効果線を入れたりします。漫画家の指示にも違いはありますが、具体的な仕事内容は以下の通りです。
■下書きの上から墨汁やインクなどでなぞる作業(ペン入れ)
■指定された範囲を黒一色で塗る作業(ベタ塗り)
■はみでた線など漫画用の白い修正液で消したりする作業(ホワイト)
■インクが乾いてから下書きを消す作業(ゴムかけ)
■スクリーントーンをキャラクターの服や髪になる部分に貼る作業(トーン貼り)
■視覚効果の線を描く作業(効果線)※最近はスクリーントーンを使うことが多い
これらはあくまでも一例です。漫画家によってはパソコンを使用して作業する場合もありますし、登場人物の下書きやキャラクターの体の線入れ、洋服のデザインなど、アシスタントが行うこともあります。また、買い物や掃除などの身の回りのことも仕事に含まれることもあります。
- アシスタントに求められること
「背景や効果線が描ける」「実用的な絵が描ける」「絵を上手く描ける」だけではアシスタントとしての仕事は成り立ちません。コミュニケーション能力と専門用語を学ぶ必要があります。漫画家は締め切りまで常に時間との戦いです。
漫画家からの指示に迅速に応えるためには、漫画家が使う用語をすぐに理解することが大切です。アシスタントが専門用語を分かっていると、細かく指示をしなくても正確に意図を理解して、仕事をスムーズに進めることができるからです。
アシスタントが上手な絵を表現することが大切なのではなく、漫画家がどんな作品にしたいのかどう表現したいのかを理解し、それを補助することがアシスタントに求められる大事な要素となります。
漫画家になるまでの道のり
漫画家になるためには、いくつか道があります。学校に通う、直接売り込む、人気漫画家のアシスタントをするなど、自分にはどれが一番良いのか考えることが大事です。
学校に行く
- 大学、短大
- 専門学校、漫画家養成スクール
- 通信講座
美術系の大学か短大に入ると、絵の基礎を本格的に学ぶことができます。漫画家になるために学んでおきたいことは、デッサンからデジタル制作ソフトの使い方です。そこまで習えるのかどうか調べてみることをおすすめします。大学や短大を卒業したからといって漫画家になれるわけではないので、卒業後もそれなりの努力が必要です。
漫画コースのある専門学校や漫画家養成スクールに通うと、漫画家になるための専門的な知識と技術を取得できます。さらに、卒業後に漫画家になるためのパイプがどれくらいあるのか、アシスタント派遣やインターシップの実績があるのかなど、大事な点もいくつかありますので事前に調べておく必要があります。
学校に通う時間や学費を抑えたいという方におすすめの通信講座です。自宅に送られてきた課題をこなし、知識や技術を取得するものになります。費用はだいたい1課題あたり数千円程度で、課題の量は20課題前後から60課題前後と幅は大きいです。
学べる内容や期間なども通信講座をやっている場所によって大きく違うので、自分が何を主に学びたいのか明確にしてから自分に合う通信講座を探した方が良いでしょう。
業界に名前を売る
- 出版社に作品を応募
- 新人賞で入賞
一般公募をしている出版社に応募するケースや、コンテストなどに応募するケースがあります。学校などの後ろ盾が無い場合は、自主的に出版社へ作品を送っても見てもらえる機会は少ないようです。そのため、出版社が一般公募しているタイミングで応募した方が見てもらえる可能性が高いです。担当者の目に止まるとデビューのチャンスが近づきます。
出版社が主催する新人漫画賞に応募し、入賞することもデビューが近づく1つのポイントです。とはいっても、新人賞に入賞することは狭き門です。なぜならば、1つの漫画を複数応募することができないことと、漫画賞にはジャンルが決まっているのでテーマに合っていなければなりません。自分の好きなテーマばかりに偏りすぎると、チャンスを逃してしまう可能性があります。選考基準を把握して作品を作ることがポイントです。
そして、入賞したからといってデビューが約束されているわけではなく、そこからさらにより良い作品を作っていくために、担当者と共に努力し認められることがデビューへの道となります。
アシスタントをする
- 雑誌などのアシスタント募集の際に応募する
- 出版社に持ち込みした際に声を掛けられる可能性がある
人気漫画家のアシスタント募集の場合は、他にもたくさんの人が応募してくる可能性が高いです。自分のスキルを磨いて高い倍率に勝たなければなりません。どの漫画家のアシスタント応募に申し込むかで、アシスタントになるまでが厳しい道のりとなる場合もあります。
自分の漫画を持ち込みをした際に、将来性を感じてもらえると、漫画家にアシスタントとして紹介をしてもらえることもあります。漫画家のアシスタントをすることによって、より高い技術と知識、そして人脈を得ることができます。
漫画家の収入はどれくらい?
漫画家の収入
週刊連載をしている漫画家の場合は「原稿料」が収入となります。「原稿料」は漫画家の知名度、仕事の量や実力などによって違い、1ページあたり数千円から数万円と幅があります。原稿料は出版社と漫画家との間で決まり、はじめは月にするとおよそ1万円から30万円位が平均的です。あくまでも平均的な金額ですので実力によって大きく異なります。
人気がある漫画は単行本が発売されます。そうなると印税が入ってきます。単行本の発行部数に応じて印税が入る仕組みになっていて、漫画家の取り分は8%から10%と言われています。
そこからさらに人気が出てドラマ化や映画化、アニメ化やゲーム化されると収入はもっと増えていきます。映画化やアニメ化される漫画はごく一握りですが、収入は数千万円を越えることもあるようです。
アシスタントの収入
アシスタントの収入は漫画家によって決まります。アシスタントは漫画家が雇っている人材になるので、漫画家から収入を得ることになり給料制です。時給の場合や月給の場合があり、アシスタントの給料で何十年も生活している人もいます。
平均としては日給5,000円~15,000円で役割によって変動があります。漫画の人気や単行本の販売部数が、アシスタントの給料にも影響してくる可能性もあります。
漫画家の適正
漫画家になるにあたって、絵が得意でも単純作業が苦手となると、漫画家にはあまり向いていないかもしれません。絵を描くだけでなく、一つの漫画を仕上げるためには何度も同じような作業を繰り返し行ないます。
さらに、ストーリーを展開してくためには豊かな想像力、諦めないでやり続ける精神力、編集者のアドバイスを受けてより良い作品にする力も必要です。その一つひとつが苦にならない人の方が、作品を丁寧に作りあげることができると思います。
人気漫画家になる人の特徴
ストーリーが面白いというのは人気漫画の特徴です。絵がそこまで上手ではない漫画家でも、ストーリーが引き込まれるような内容を展開できる人は、別の漫画を作っても人気が出ます。また、ストーリーはどこかで読んだことのある内容でも、キャラクター人気が出る場合もあります。
適度に可愛い漫画や適度に面白い漫画を描ける人よりも、どちらかというと、より個性の秀でる魅力がある漫画家の方が人気がでる傾向にあります。
消えた漫画家になる人の特徴
なかなかデビューできずに諦めてしまう人、デビューしても思うような仕事ができずにリタイヤしてしまう人など多くいます。ストーリーが慢性化していたり、単純作業に飽きてしまう人、編集者やアシスタントなどとうまくコミュニケーションがとれない人だったりさまざまです。求められているものと自分が表現したいものの折り合いがつけられずに偏った内容の漫画を描いてしまう人など、消えてしまう漫画家の特徴はたくさんあるでしょう。
漫画家の魅力はどんなところ?
好きなこと、得意なことを仕事にできる
漫画家を目指す人は、小さいころから絵を描くのが得意、好きという人が多いでしょう。その得意なことを仕事にできると前向きに取り組むことができ、質の良い仕事ができます。1日の大半を仕事に費やすと考えると、好きなことをして過ごす時間は有意義なものになります。
自分の世界観を表現できる
自分の理想の人物や世界だったり、ストーリーを自由に展開して作品を作ったりできることは、他の仕事ではなかなかできません。現実にはできないことを漫画の世界では表現できます。自分の描く漫画で好きなことを形にできることは、素晴らしいことですよね。
読み手に感動を与え、共感してもらうことができる
勇気が湧いた人や漫画を読んで気持ちが充実した人、主人公のように生きたいと人生が変わった人など、漫画を通して心が成長をしたという人はたくさんいると思います。自分の描いた漫画で誰かを救えることができるというのは、仕事名利につきるのではないでしょうか。
漫画家になる夢を叶えたいあなたへ
人気漫画家になる人はほんの一握りです。漫画家になれずに諦めてしまう人の方が多いかもしれません。ただ、自分の好きなことや得意なことを仕事にすることができたらそんな幸せはありません。そのあなたの夢が、人々に感動と夢を与えることができたり、人生を変えるきっかけになることもあります。そんなこともできる漫画家は素晴らしい職業です。漫画家になる夢を諦めずチャンスをしっかりつかんでくださいね。