「パラレルキャリア」という言葉を、初めて耳にする方もいらっしゃると思います。近年注目されているこの「パラレルキャリア」は、本業を持ちながら自分自身の生活や人生を豊かにするために他のことを始めるというものです。今回はこの「パラレルキャリア」について解説していきたいと思います。
「パラレルキャリア」とは何のことをいっているの?
「パラレルキャリア」という言葉を聞いたことがありますか?「パラレルキャリア」とは、オーストラリア人の経営学者である、ピーター・ファーディナンド・ドラッカーが1999年に発表した著書『明日を支配するもの』の中で紹介した考え方です。その考え方は「本業を持っていながら休日や空いた時間を使って第2のキャリアを築く」というものです。
パラレルキャリアと副業の違いはあるの?
本業を持ちながら余暇を使って第2のキャリアを築くと聞くと、副業のことではないかと思われますが、パラレルキャリアの位置づけは副業ではありません。その違いが「報酬を得ることが目的ではない」というところです。
副業とは、本業以外に仕事をして収入を増やすことが目的である場合が多いですが、パラレルキャリアとは自分自身のスキルアップ目的で習い事をしたり、ボランティアや夢へ向けての勉強や本業の仕事に生かせる他の仕事をするというものです。
収入を増やすことが第一の目的ではなく、自分自身を高めるために始めます。その結果、後から収入が伴ってきたという場合はあります。
どうしてパラレルキャリアを始めるのか
それでは、なぜパラレルキャリアを始めるのでしょうか。目的は大きく分けて3つのものがあります。
趣味に関わること
例えば、趣味で始めたフラダンスの発表会などに積極的に出るようになり、もっと上手になりたいと練習に励む。その努力を認められ、教室の先生の弟子になり、将来的に自分の教室を持つことが目的に変わる。このように、趣味を極めて自分を高めるという活動が、パラレルキャリアになります。
好きなことを始めて自分らしく豊かに生きるというものがパラレルキャリアなのです。
ボランティアに参加する
ボランティアにはいろいろなものがありますが、自分の興味があるものや好きなものに関わることなら、なんでもいいのです。休日に動物の保護施設でお世話をするボランティアをやっていて、譲渡会で犬や猫の里親を探す活動をしている。海が好きで、綺麗な砂浜を維持するために海のゴミ拾いのボランティアに参加している。
このような人達もパラレルキャリアです。きっかけは好きなことから始めることで、報酬を目的としない活動をする人達もいます。
起業のための副業
本業を持っているが、将来は起業したいと考えていて、その資金を貯めるために本業以外の仕事をする。または、起業するために役立つ仕事を勉強したくて副業をしている場合もパラレルキャリアとなります。副業をして収入を増やすという目的ではなく、「起業するための勉強」という目的だというところがダブルワークの定義とは違った考えなのです。
パラレルキャリアとして働くことのメリットとデメリットとは
パラレルキャリアのメリットは大きく3つ!
自分がやりたいことが見えてくる
本業がある上で他で自分の好きなこと、やりたいことをやって自分のスキルアップをすることが、パラレルキャリアのメリットです。そして、好きなことをやり続けることで自分が目指しているものや、やりたいことが明確になってきます。
パラレルキャリアは本業があるので、他のことをやっていても収入には困りません。余暇を使って好きなことを極めるというやりがいを得られます。
リスクがなく、チャレンジできる
夢があってもそれに取り組むのは勇気がいることです。夢に向かって何かを始めることをためらう人でも、本業があれば収入には困らないわけで、以前からやりたいと思っていることに向けて「とりあえずやってみよう、ダメだったら一度立ち止まってみればいい」と思えるのも、パラレルキャリアのメリットではないでしょうか。
世界が広がる可能性を秘めている
本業だけでなく、他に目を向けることで自分の世界が広がります。趣味で始めた手芸が楽しくなり、余暇を使って新作をたくさん作ってSNSに載せたところ、注目され本を出すことになった。など、どこにチャンスが転がっているか分かりません。
成功することが目的ではない場合が多いので、手作り品をSNSに載せて見てもらえることが嬉しい。バザーに出したら反響がよかった、などの喜びに繋がることもあります。手作りを通して仲間ができたり、他にも目を向けるようになったりと、自分の可能性を広げるチャンスを得ることができます。
パラレルキャリアのデメリットはどんな時に感じる?
本業に支障を来す場合がある
パラレルキャリアは、嫌なことをするわけではありません。副業をする場合は収入を増やす目的なので、多少嫌なことがあっても我慢してやらなければならないこともあります。しかし、パラレルキャリアは余暇を使って好きなことをします。
やってみたい趣味を極めたり、誰かの役に立ちたいとボランティアをしたり、夢に向かって勉強したり…。そうすることで、楽しく前向きで豊かに生きることができるのです。
そのため、パラレルキャリアのほうに気持ちがいってしまい、本業に支障をきたす事が出てくるかもしれません。寝不足になってしまったり、イベント毎で会社を休む回数が増えてしまうなど、そのようなことになれば大変です。本業があってのパラレルキャリアである、ということをしっかりと心に留めておくことが必要です。
パラレルキャリアのメリットはたくさんあるものの、デメリットはほとんどありません。本業があるので収入は耐えることはありませんし、チャレンジすることで仮に失敗したとしてもダメージはそこまでないでしょう。
パラレルキャリアが注目される理由とは
パラレルキャリアを始めても、リスクを追わないということが特徴です。これまでにもお話しましたが、本業があることで収入がなくなってしまうということはなく、安心して他のことが始められます。そして、家庭との両立ができることもパラレルキャリアの良いところです。
自分の生活や人生を豊かにするためのものとして、パラレルキャリアが注目されてきているのです。
パラレルキャリアに必要なこととは何?
スクールなどでパラレルキャリアの働き方を理解する
パラレルキャリアとはどんなものなのか、はっきりした定義はありませんが、本業を持っていて余暇を利用して他の仕事やボランティア、趣味にいそしむのがパラレルキャリアです。
パラレルキャリアが注目されている今、自分も何か始めてみたいが何をしたらいいのか分からない、やってみたいことがあるがどのように始めたらいいのか悩んでいる人もいるでしょう。そんな人は、スクールやパラレルキャリア支援のサイトを利用してみるのをおすすめします。
- パラレルキャリア支援サイト「もんじゅ」
何かを始めたいが、どうしたらいいのか何から始めたらいいのかと考えている人に、人材を求めている団体(NPOやNGOなど)を紹介するサイトです。パラレルキャリアを通して、社会貢献ややりがいを感じ、人生を充実させることも目的としています。仕事だけではなく、自分が関わることで何かの役に立てることが生きがいになる場合もあります。自分の経験や知識を生かして出来ることを見つけられるサイトです。 - パラレルキャリアスクール「GROW」
具体的に何から始めたらいいのか分からない、という人向けにスクールを開講しています。カリキュラムをこなし、自分自身のプロジェクトを実践していく力を身につけます。スクールに入会すると、パラレルキャリアが充実したものになるよう、今後の仕事のやり方のサポートをしてくれます。
支援サービスを利用する
代表的な仕事として注目されているのが、クラウドソーシングです。仕事をしたい人がマッチングサイトに登録し、クライアントが募集している仕事を探して応募します。ライティングやテープ起こしなど、様々な内容の仕事があり、報酬もきちんと提示してくれるので安心して始めることができます。
パラレルキャリアとして働く4つの例
仕事とボランティア
夢職人
こちらの方は普段、公務員として働き、休日にボランティアをやっています。ボランティアを始めたのは、仕事を始めて2年たった頃、休日に打ち込める何かはないかと探したことがきっかけです。就職で引っ越してきた地域に馴染みたい、新しいコミュニティに飛び込んでみたいと考え、今のボランティアを始めたようです。
子どもに関わることが好きでこのボランティアを見つけたとのことですが、充実した日々を過ごしているとインタビューに答えています。パラレルキャリアのメリットとして、「充実した日々を過ごせる」ことが実践できていますね。
■公式サイト:夢職人
複数の仕事をする
NEC
こちらのサイトでインタビューを受けている女性は、大学3年生の時に起業をして社長をしながら大手企業であるソニー株式会社で働いています。この女性は社長業があるのになぜ就職をしたのか、と聞かれた時に「“オンリーワン”でいたいから。」と答えています。どの仕事をしていても、自分だけができることをやれるようになりたいと。
そして、自分の人生で好きなことを好きなバランスでやってもいいのだ、たとえ失敗しても成功するまでやり続ければいい、一つの仕事に絞ることなく、好きなことをやってもいいのではないか、自分のことを信じてあげることが大切だと言っています。
■公式サイト:パラレルキャリアで叶える、これからの働き方と生き方|NEC
仕事とライフワーク
Desk&Team
こちらの女性は週3日会社員として働いて、週4日はダンサーとして活躍されています。学生の頃からダンスを続けていたけれど、就職という道を選んだ女性。しかし、ダンスへの情熱が捨てきれず、退職を考えたそうです。
その時に社長さんから考えたが甘いと指摘され、悩んだ結果、仕事をしながらダンスをする道を選んだそうです。このように、本業をしながら好きなことを諦めずに取り組むことができるのがパラレルキャリアの良い所です。
■公式サイト:Desk&Team
やりたいことを我慢していませんか?
仕事を持っている人が、好きなことをやりたい、人生を充実したものにしたいと始めるパラレルキャリア。中には、新しく物事を始めることが怖いと思っている人もいます。失敗したら嫌だし、時間がないし。そんな風に考えているばかりでは前に進めません。失敗してしもいいのではないでしょうか。
やらずに後悔するくらいだったら、やってみてダメだったほうがいいですよね。
やってみなければできるかできないか分からなかったのですから。人生は一度きりです。好きなことを自由にやってみませんか?これからもっと増えていくであろう、パラレルキャリア。素敵な考え方ですね。