給料格差が日本でも深刻な問題となっている!カテゴリー別で見た経済状況とその背景とは

現在の日本では、給料格差という問題を抱えています。社員と契約社員で仕事内容・労働時間は同じなのに、お給料は契約社員の方が下。その中で生活をするのは厳しいと、副業をして生計を繋いでいる方もいます。今回は、給与格差がもたらす経済的不安についてお話していきたいと思います。

給料格差とは

以前の日本と現在の日本の経済問題

「ワーキングプア」という言葉を聞いたことがありますか?ワーキングプアとは、年収が約200万円を下回る層のことを指します。近年になって生まれた言葉で、現在の日本では貰える給料がだんだんと低くなっているためワーキングプアが増加傾向にあるのです。

貧困層が増え続けている日本の現状

貧困層の割合が徐々に増え続けています。以前までは正規雇用が当たり前の時代で、長く会社に勤めていることさえできれば、年功序列という日本特有のシステムによって、貰える給料が増えることが一般的でした。しかし最近は、新卒者や転職者に対し「就職氷河期」とまで言われる時代です。就職先がなかなか見つからず、挫折してしまう人も少なくありません。この問題をどう解決していくのかが、現在の日本が抱える深刻な問題の1つでしょう。

非正規社員雇用が生まれた背景

日本の雇用状況は、これまでの20年間で正規雇用が右肩下がりに対し、非正規雇用が右肩上がりになっています。この二つを大きく分けるきっかけになったのは、1990年代に起きたバブル崩壊です。バブル崩壊によって、多くの会社は経営状況への危機や将来への不安を考慮し、正社員の数を減らす事態を余儀なくされました。そのため、非正規社員雇用が増えていったのです。

厚生労働省が行なった「貧困・格差の現状と分厚い 中間層の復活に向けた課題」の調査によると、賃金の節約のために非正規社員雇用を採用していると回答した企業は、2010年に43.8%という結果が出ました。ワーキングプアと富裕層との格差が大きいのは、この背景も給与格差の要因の一つといえるでしょう。

給料格差があるとどうなるの?

経済的な理由で子どもを作れず少子化が進む

女性の働き手が増え始めていることも理由の1つとして挙げることができますが、共働きでないと経済的に生活が苦しいという家庭が多くあります。子どもを養うことができないため子どもを作れないという夫婦もいるのです。

経済的な理由で高齢化もが進む

少子化が進むと高齢層の割合が高くなるため、高齢化がどんどん進んでいきます。高齢化が進むと労働者が減り、生産性も減少、経済成長が滞ることが考えられます。高齢層を養うのに必要な税金問題など、多くはない給料の中で生活をしなければならないのに、余計に働き手に負荷がかかってしまう可能性があるのです。また、少ない資金で労働者を雇いたい企業数が増え、非正規雇用の受け入れが増加し給料格差に拍車をかける原因に繋がるかもしれません。

要介護者や健康的ではない子どもの数が増える!?

大事な子どもが保護者の経済的な理由で、健康的な生活を送る事ができないことも問題となっています。世界には、お金がなくて病気の治療ができずにこの世を去ってしまうという悲しいことがありますが、日本でも似たような現象が起きているのです。経済的な事情で介護ができなかったり、病院に行かせることができなかったりすることがあるでしょう。

しかし、そのような人を対象とする「無料低額診療」という制度があります。うまく活用すれば、子どもを病気などから守ることができます。ただし、その制度には条件があります。対象者は以下のとおりです。

  • 無料定額診療対象者

■低所得者
■要保護者
■ホームレス
■DV被害者
■人身取引被害者等の生活困難者

参考元:厚生労働省 無料定額診療事業について

4つのカテゴリー別で見る給料格差

平成28年に厚生労働省が発表した賃金構造基本統計調査を参考に見ていきましょう。

男女における給料格差とは

年齢層によって違いがあるものの、貰っている賃金が高い50代の男女層の格差は約150万円前後もの差が見られます。男女間で差が出る原因として、出世を望んでいない、仕事をし過ぎると家庭との両立が難しくなる、職場に同性が少ない、家庭持ちで正規雇用で働くことが困難などが挙げられます。

参考元:厚生労働省 性別にみた賃金

会社における給料格差とは

同じ会社の中でも、役職や雇用形態によって給料格差が見られるでしょう。厚生労働省の「雇用形態別の賃金」結果によると、正規雇用の人と非正規雇用の人は、20代のうちは大きな差がないことがわかっています。しかし、年齢が上がるにつれて差が開いています。年功序列が希薄しているとはいえ、正規雇用の人にとってはこの年功序列というものが健在であること、出世できるケースがあること、この2つが結果に現れていると考えられます。

地方における給料格差とは

勤めている企業先や学歴などにもよりますが、首都圏・中京圏・近畿圏の三大都市圏と呼ばれる都市地域と、それ以外の地方圏との給料格差の隔たりは大きいものです。給与が高くなる傾向のある大企業が三大都市圏に集まっていることも、給与格差の要因の一つでしょう。都心部だけではなく、地方においても経済的なインフラ化が進んでいるのです。

参考元:厚生労働省 地域における経済の好循環に向けた課題

高卒と大卒における給料格差とは

年齢が上がるのにつれて、高卒と大卒の差が顕著に広がっている傾向にあります。もちろん学歴だけが全てではありません。しかし、大卒の人は高卒の人と比べて大手企業に就職できたり、収入を多く受け取ることができたりと、仕事へのチャンスが多いことが結果に現れています。高卒の人の方が大卒の人よりも、4年も早く就職しているのにも関わらず、生涯年収で考えると5,000万円以上もの開きが出てしまうようです。

参考元:厚生労働省 学歴別にみた賃金

今後の日本はどうなっていくの?

非正規雇用が格差を埋める!?

給料格差を埋めるには、企業の生産性が向上する必要性も考えられます。企業が生産性の向上を図る上で人手は必要不可欠ですが、生産性を向上させるために柔軟な雇用が望める非正規雇用者を集いたい、と思う会社も多いようです。また、高齢層の再雇用を試みる企業も増えています。これにより、高齢層が増えても人手不足が軽減されることに期待できるでしょう。給料格差によって生まれた経済問題は、いくつかの対策で改善傾向にあります。

男女の給料格差はどうなっていくの?

欧米諸国と比較すると、日本の男女間では給料格差が見られるものの、どの会社でもあるようです。数字だけで見ると、男女間の給料格差解消は遠い未来のように思えますが、近年において女性を積極的雇用したいと思う企業が増えていることから、仕事が好きでプライベートよりも仕事を優先して働きたい人にとって、出世できるチャンスがあるのです。

日本が実施している給料格差に対する対策とは?

男女間の給与格差を少なくしていくためには、女性がしっかりと仕事ができるような環境づくりをしていくことが大切です。子育て中の方が安心して子どもを預けることができるよう、保育所の設立など対策案も出ています。未だ、男性の育児休暇といった育児に関する制度は一般的とは言い切れませんが、最近になって導入された制度ということもあり、まだ男性が育児休暇を取るということが理解されていないのも事実です。

会社側が積極的に育児休暇を取ることを推進していき、なおかつ戻る場所がきちんと用意しておくことが重要です。男性の育児休暇を取ることが徐々に認められていくこと、女性の活躍する場が増えていくこと、この2つが今後男女間の給料格差が縮まっていくきっかけになるかもしれません。

給料格差はなくなるの?個々の経済的悩みを解消するには

生活をしていく上でお金が大切になります。収入を増やすには副業をするか、思い切って収入のある業界へ転職するか、今の業界でのキャリアアップを目指してスキルを磨いて行くか、いずれか決断することが大切です。

給料格差問題解消のためにできること

私たちには、日本の方針を決定する政治家達を選ぶ権利があります。私達が給料格差という経済的問題を根本的に解決に導くにはまだまだですが、日本国民の一員として目を背けることができない問題点です。給料のことで悩んでいる方は、今の日本の背景や構造を理解した上で、次のキャリアアップを目指してみたり、副業を考えてみたりしてはいかがでしょうか?

参考元:厚生労働省 貧困格差の現状と分厚い中間層の復活に向けた課題

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