農家を目指す女性へ!年収や業務内容・求人サイトなど徹底解説

日本は食の安全に敏感で、口に入れるものがどこで作られたのか気にする人は多く、スーパーなどでも生産者の名前が分かるようにしているところもあります。農家は安全な農作物を作るために大きな信頼を寄せられている大事な仕事です。日本で農家として仕事をしている人はどのくらいいて、年収はどのくらいなのか解説していきます。

農家の仕事について

農家の仕事について

農家の業務内容とは?

農家の仕事は米を扱う稲作農家の他、果物農家、野菜農家、花の栽培などを手がけ、育てて出荷することです。種類により栽培の方法や育て方が異なりますが、共通しているのは手がけている作物に合った土を作り、種や苗を植えて肥料を与えて雑草を取るなどの手入れをすることです。

農家の仕事は自然災害への対策が欠かせません。台風や積雪、気温で作物が不作になることがあるので、そのための対策や無農薬、減農薬、品種改良の研究など他の農家との情報交換も重要です。農家の仕事は天候によって作物の出来や量が変わってきます。農家はどのようにすればよい作物が育つのか、栽培から出荷、販売の戦略まで行います。

専業農家と兼業農家とは

農家には農業を中心にして生計を立てる「専業農家」と、他の仕事と農業の両方を行っている「兼業農家」があります。

平成29年には専業農家は38.1万戸兼業農家は82万戸となっています。農林水産省の統計では、その12年前の平成17年の時は専業農家は44.3万戸、兼業農家は152万戸でした。年を追うごとに農業離れが進み、専業農家も兼業農家も減ってきていることが分かります。

出典:農林水産省「農家に関する統計」

農家の年収や休日は?

農家の年収

農家の年収は、「専業農家か兼業農家かという農業にかける時間」「自営か雇用かという勤務形態」「経営組織が個別か組織か」「扱っている品目」によって異なります。

また、台風や干ばつなどの自然災害によって影響を受けるのも特徴です。雨が続いて作物が不作になった年などは売上が大きく落ち込むため、その年の収入は減ってしまいます。このようなことから、兼業農家として他の仕事でも収入を得る農家や、比較的天候に左右されないビニールハウスで作物を栽培する農家もあります。

農林水産省が平成29年12月21日に発表した「農業経営統計調査」で平成28年の個別経営の経営形態別経営統計によると、年間農業所得の平均年収は185万円でした。年収は農業粗収益から農業経営費を差し引いたものです。

そして、農外年収は140万円で年金などの収入は年間195万円でした。農業の平均年収185万に農外収入、年金などの収入を加えた農家の総所得は年収521万円でした。

平成28年の年間平均農業所得
稲作収入 112万円
野菜収入 135万円
果樹収入 63万円
畜産 150万円

農家の1日

農家の1日の仕事は時期や扱っている作物などによって異なります。農作物の種類により、1年中収穫できるものや短期間で時期が決まっているものがあります。収穫の時期が限られている農作物の場合は収穫時期はとても忙しくなります。

以下は、稲作農家の1日です。屋外で作業をする農家は日照時間に合わせて仕事をする場合が多く、体力も使います。

5:00 起床
5:30~ 農作業開始
7:00~8:00 朝食(一旦家に戻る)
8:00~10:00 農作業
10:00 休憩(お茶を飲む)
12:00~13:00 昼食(家に戻り家族で食べる)
13:00~15:00 農作業
15:00~15:30 休憩(お茶とお菓子で休憩する)
15:30~18:00 農作業
18:00~ 農作業終了

農家になるための学校とは

農家になるための学校とは

農業系の学部がある大学

農業系の学部がある大学では、農業の歴史から最新のITを応用した経営まで多岐に渡って学べます。

学部ごとでも、農作物を育てるための勉強をする学部から、品種改良や生命科学などの研究や化学などを手掛ける学部など、幅広い分野を学ぶことができます。学校によっては、日本だけでなく海外の農業を学ぶために留学制度を設けている大学もあるので、大学を選ぶ時にしっかりリサーチしましょう。

農業を学ぶ専門学校

2年制の専門学校で農業を学ぶこともできます。酪農コース、園芸コースなど各コースで専門的に学ぶことができます。また、花だけに特化した学校など専門的に一つのことを学ぶところもあり、実家の農家を継ぐ予定の人などは専門的に突き詰めて学べるのでいいでしょう。

学校で作ったものを直売所や校内で販売する学校もあり、それを通して「作って売る」ことへの意識や達成感を味わうことができる体験もできます。

農家を始めるためにはどうしたらいい?

農家になるには資格は必要ない!

農家になるためには持っていないといけない資格は存在しません。しかし、農業をするためには地質や化学などの知識を持っているのはプラスになります。そのため、大学や専門学校で農業について専門的に学び、幅広く知識や技術を取得しておくといいでしょう。

農家で働くために必須なのは車の免許です。トラクターやトラック、田植え機などの運転ができないと仕事にならないので取得しておきましょう。

また、農薬を取り扱う場合は都道府県が認定する「毒物劇物取扱責任者」の国家資格を持っているといいでしょう。危険な農薬の取り扱い方が身につく他、農業関係の会社に就職する時に有利になる可能性があります。

このように、取り扱うものについて資格が必要な場合もありますので調べておきましょう。

農家にアルバイトなどで雇ってもらう

農家で働きたい、いつか自分で開業したいと考えている人は、ノウハウを学ぶために農家でアルバイトとして雇ってもらう方法があります。

農業を始めるためには土地や費用など、準備するには大きな負担を抱えることがあります。始めてもすぐに成功できるとは限りませんので、始めたいと考えているジャンルの農家で学ばせてもらい、自身にできるのか合っているのかを見極めることも大事です。以下のサイトは農家で働きたい人向けのものです。

農家にアルバイトなどで雇ってもらう

  • あぐりナビ.com
    会員登録をすると農家からスカウトメールが届いたり、求人情報をお気に入りにストックしておくことができます。全国の農家から正社員・アルバイトの求人情報が掲載されていて、業種別で仕事を探すことができます。
  • 全国新規就農相談センター
    農業を始めたい人、農家で働いてほしい人のためのセミナーなどを開催しています。農業を始めたい人を育てるための支援事業を行なっていて、次世代につなげるための活動をしているのが大きな特徴です。また、震災などに被災した農家を支援するための雇用事業にも力を入れています。
  • 農家のおしごとナビ
    会員になると農業に関してのセミナーに参加や、新卒者に向けて農業プロジェクトの説明会に参加することができます。新しく農業を始める人へのお仕事体験や、転職者に対して仕事の紹介もしています。

自分で開業する

自分で開業する

認定就農者になる

農業を始めたい場合、「認定就農者」になって「就農計画」を市町村に申請します。

収納計画には、経営目標やそのための研修について就農準備、施設整備に関しての資金計画や収納計画を記します。認定制度を受けることができるのは、「40歳以下の新規で農業を始める人」、「他の仕事をしていた45歳から65歳未満の人がそれまでの経験や知識を生かして農業を始めようとする場合」、「農業を始めようとする青年を就労させる農家の人」です。

認定就農者に認定されると以下のメリットがあります。

  • 就農資金の貸付対象になれる
  • 県農業担い手育成基金が実施する助成事業の交付対象になれる
  • 経営体育成強化資金・農業近代化資金の据置期間特例延長措置の対象になれる
  • 青色申告をしている場合、農業者年金の政策支援対象になれ、保険料の助成を受けることができる。さらに、家族経営協定を締結している場合は、配偶者等も同じ助成を受けることができます。

出典:長野県農政部農村振興課

青年等収納計画制度を利用する

認定就農者になると、年齢などの条件を満たせば「青年等就農計画制度」を利用して給付金などの支援が受けられます。また、農業に必要な機械や施設などにかかる資金を無利子で借り入れできる制度(新規就農者に対する無利子資金制度)もあるので、しっかり調べて利用してみましょう。

出典:農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/new_farmer/attach/pdf/nintei_syunou-3.pdf

農家をすでにやっている人には「認定農業者」の利用がある

「認定就農者」は期間が定められているので、継続したい場合やすでに農家を始めている人は「認定農業者」になることができます。5年ごとに「農業経営改善計画書」を市町村に提出する「認定農業者制度」を利用することで、資金などに関する優遇措置がありますので、農林水産省や各市町村に相談してみましょう。

出典:笠岡市役所

「農業法人」を設立する

農業を個人経営で続けて農業所得が400万円以上になったり、もっと販売を拡げていくことを考えていくのであれば、法人化を検討するといいです。農林水産省のサイトでも法人化によるメリットや法人化するための流れが書かれているのでご覧ください。

出典:農林水産省

農家の後継ぎ・後継者になることはできるのか

農家の後継ぎ・後継者になることはできるのか

親が農家の場合

近年、少子化や農業従事者の減少のため、農家の後継者が不足していることが社会問題になっています。しかし、兼業農家などを中心に若い人たちが農業に注目してきている流れもあります。自分の親や3親等以内の親族が農家の場合は、経営を継いだり農業法人の共同経営者になるなどして「親元就農」を目指すといいのではないでしょうか。

家が農家ではない場合

親や親族が農家ではない場合は、農家の後継者になれないのでしょうか。

この場合は「農業経営継承事業」という制度を利用するといいでしょう。先に紹介した「全国新規就農相談センター」のサイトでは農家の後継者になりたい人に向けて情報を提供しています。農家は後継者がいないため困っているところも多く、親族ではない人でも信頼できる人に継いでほしいと考えているところもあります。

一緒に働き、知識や技術を学びながら後継者を目指すことも不可能ではありません。

女性が農業をやりたい場合の働き方とは

女性が農業をやりたい場合の働き方とは

女性農家はどのくらいの割合なのか

農林水産省によると、農業従事者に占める女性の割合は平成27年(2015年)では42.7%でした。女性は農業の振興において重要な役割を担っていて、女性が農業経営に関わっている経営団体は女子が関わっていないところよりも収益力が向上しているということが分かっています。

農業女子のプロジェクト発足

平成25年(2013年)に、農業女子プロジェクト「チーム”はぐくみ”」が結成されました。

このプロジェクトの目標は、女性農業者の存在感を高めて職業として農業を選択する若い女性が増えることです。そのために、仕事や生活の中で新商品やサービスの情報を社会に発信しています。経験から開発した女性用のインナーや女性でも扱いやすい耕運機の開発などは、女性が農業に携わりやすくするためにつながるでしょう。

女子農家のやりがい

女子農家のやりがい

自分が育てた作物が育つ過程見る喜び

最初は思うように作物が育たないこともあり、苦労する場合もあります。しかし、自分の手で一から育てた作物が収穫できた時、この上ないやりがいを感じられるでしょう。小さな苗からだんだん育っていく作物を毎日のように見られるのは喜びでもあり、楽しみでもあります。

お客様が喜んでくれるとき

食の安全に対する意識が高くなってきているため、最近ではスーパーなどでも産地がはっきりしているものが好まれます。農家の人の名前や顔写真が分かるように貼ってある店もあります。お客様が喜んでくださると、励みになることもあり、よりよいものを作ろうとやりがいを感じられます。

自然に触れることができる

農業を仕事にすることは自然を感じられることでもあります。天候を意識して、一喜一憂することも農業ならではのことです。日本の素晴らしい四季を肌で感じることができて、太陽とともに仕事をして、太陽が沈むと仕事をやめる。自然を感じながら色々な発見ができる仕事は、自然が好きな人にはぴったりの仕事です。

女子農家の苦労とは

天候に左右される

予期しない台風や干ばつで丹精込めて育てた作物がダメになってしまうのは悲しいことです。収入も大幅に減少しますし、今までの苦労が全て水の泡になってしまうこともあります。真夏の暑い外や極寒の気温の中で作業をしなければならない時は、体力的にきついため大変だと感じます。

家事や子育てとの両立が大変

農家は家族、親族で働くことがほとんどで、その場合は主婦でも朝から作業に駆り出されます。子育て中の時は、子どもの世話をしながら作業することもあり、家事との両立も大変だと感じるでしょう。

農家の将来性

昔から日本人は農業をしながら生きてきました。高度な知識や技術は海外からも注目されるほどです。しかし、年々農業に携わる人が減ってきています。少子高齢化で農家を継ぐ人が減ってきているのも一つの原因です。一方で、食の安全が叫ばれている昨今で無農薬で育てる野菜しか食べない人がいたり、国産の食材にこだわる人も増えてきています。

このことから、日本で安全な食材を扱う農家は今後も必要で、可能性に満ちている職業といえるのではないでしょうか。

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