女性がアシスタントディレクター(AD)になるには?学校や志望動機・資格について

よくテレビなどで耳にするアシスタントディレクター(AD)という職業。実際にアシスタントディレクターがどのような仕事なのかご存知でしょうか?テレビ番組の制作に携われたり、芸能人に会えたり、華々しい仕事なのでは?と思っている人も多いはずです。ここでは、知られざるアシスタントディレクターの仕事について徹底解説してきます。

激務と言われるアシスタントディレクターの仕事内容と適性

アシスタントディレクターといえば、たくさんの芸能人や有名番組を作り上げたテレビ関係者に囲まれて仕事をする華々しい職業のように思いますが、実際の仕事内容は実に過酷なものだと言われています。ではまず、アシスタントディレクターとは何なのか、どのような仕事内容なのかを見ていきましょう。

アシスタントディレクターとは?

アシスタントディレクターとは、その名の通りディレクターの補佐をする役割を担った仕事のことです。番組制作の際、ディレクターはたくさんのスタッフに支持を出さなければならないため、猫の手でも借りたいほど忙しいと言われています。

そこで、ディレクターが自身の仕事に集中できるように、アシスタントディレクターはその他のさまざまな仕事を引き受けます。雑務から、制作に関わることまで。その場の状況に合わせて臨機応変に動かなければならない仕事です。

激務と言われるアシスタントディレクターの仕事内容とは?

では、アシスタントディレクターはどのような仕事をしているのでしょうか。

結論から言うと、アシスタントディレクターの仕事内容はこれといって決まっているわけではなく、現場の状況によっても違ってきます。マニュアルのない仕事だと言っても過言ではありません。その中でも以下のような仕事を行うことが多い傾向にあります。

<ディレクターの補佐>
出演者のアポ取り、移動や宿泊の手配、リサーチ、ロケ地の下見、撮影交渉、弁当の手配、備品の買い出し、飲み物などの買い出し、機材の手配、会議の資料作成、カンペ作成、カンペ出し、キュー出し、編集補助、オンエアチェック

<撮影現場の空気づくり>
出演者へのお茶出し、前説

現場の状況やディレクターによっては、ここにはないような仕事を任されることもあります。会社やスタッフルームの掃除を任されたり。ディレクターに「とりあえず話し相手をしろ」隣にいさせられたりといったこともあるようです。

先ほども言ったように、マニュアルのない仕事なので、次に何をするべきなのかを自分の頭で考え、ディレクターの意思を汲み取って行動しなければなりません。そのため、アシスタントディレクターは多くの仕事をこなさなければならず激務と言われているのです。

アシスタントディレクターの適性とは

では、アシスタントディレクターに適している人はどのような人なのでしょうか?

  • 気配り上手な人
  • 現場の空気を読んで気配りをすることもアシスタントディレクターの仕事の一つです。
    例えば、冬に行われる撮影で寒そうにしている出演者の方がいたら、すかさず温かいお茶を出してみたり、現場の空気が重くなってしまった時は、自ら雰囲気を盛り上げてみたり。細かいところにもいち早く気づき、それに対してすぐに上手な気配りができる人はアシスタントディレクターに適している人と言えるでしょう。

  • 人のサポートをすることにやりがいを感じる人
  • アシスタントディレクターの仕事は、常に誰かのために動いている仕事です。そのため、縁の下の力持ちとはよく言ったように、人を支えたり人の役に立ったりすることにやりがいを感じる人が向いている仕事だと言えます。
    しかし、そうすることで人からの感謝を得たいと思っている人にはあまり向いていない仕事とも言えます。

  • 要領よく物事をこなせる人
  • アシスタントディレクターの仕事は次から次へと仕事が舞い込んできて、息をついている暇もありません。
    そのため、「今これをしているから、次はあれをしよう」と目の前の仕事をしながら次にやることまで考えられるような人や、物事を順序立てて考えられて、なおかつ行動に移せるといった要領の良さが求められてきます。そういうことが得意な人はアシスタントディレクターの仕事に向いているでしょう。

  • プライベートに固執しない人
  • アシスタントディレクターの仕事の時間帯は不規則です。撮影が深夜になることはざらですし、突然仕事が入ったり、撮影が長引くことなんかもあります。
    休みの日でもなかなか予定が入れらず、友達との約束も入れられません。プライベートの時間なんてあってないようなものだという意見もあります。そのため、プライベートの時間を大切にしている人には大きなストレスになる仕事です。プライベートを二の次にしても、仕事をしていることが楽しいといったようなプライベートに固執しない人に向いている職業です。

  • 根気のある人
  • アシスタントディレクターの世界は非常に厳しいと言われています。厳しく叱られることはもちろん。頭を下げなければならない場面もたくさんあります。さまざまな人と関わる職業なので理不尽なことを言われることもあるでしょう。
    そういったことにもへこたれず、反対にばねにできるような人はアシスタントディレクターに向いています。そこですぐに打ちのめされてしまうような人は長く続けることが難しい職業とも言えるでしょう。

アシスタントディレクターの給料と休日

ではここで、激務と言われるアシスタントディレクターの年収と休日を見ていきましょう。

アシスタントディレクターの年収

駆け出しのアシスタントディレクターの場合、年収は約250万円~650万円前後のことが多いとされています。またこれは、キー局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)で働いているか、番組制作会社で働いているかでも違ってきます。

基本的にキー局勤務の方が年収が高い傾向にあり、まれに数年勤務で年収1000万に達することもあります。番組制作会社勤務の場合はキー局ほど年収はよくありません。未経験の場合、月収が18万円からといったケースもあります。また、地方局の場合、キー局ほどの年収はありませんが年収は約500万円くらいだと言われています。

アシスタントディレクターの休日

アシスタントディレクターの休日は非常に不規則です。休みの日に急な仕事が入ってしまうことはざらですし、せっかくの休みの日も、普段の疲れから睡眠を満たしたり休息するだけの休みになってしまいがち。担当している番組が複数あるようなアシスタントディレクターは休み自体を取ることが難しいといとも言われています。

資格より学歴?アシスタントディレクターになるための進路と志望動機

では、アシスタントディレクターになるためにはどうしたらいいのでしょうか?資格などは必要なのでしょうか?ここからはアシスタントディレクターになるための進路と、その志望動機を紹介していきます。

資格は必要?アシスタントディレクターになるための進路とアルバイト

  • 4年制大学
  • アシスタントディレクターになるための資格は特に必要ありません。

    しかし、テレビ局に就職する場合、四年制大学卒以上の学歴が必要だと言われています。しかもキー局の場合は、六大学レベル以上の人材がほとんど。テレビ局はまだまだ学歴社会だという声が多く聞かれました。卒業後、キー局などのテレビ局で働きたいと思っている人は、まずは偏差値の高い大学に入っておくことをおすすめします。

  • 短大・専門
  • 番組制作会社で働きたい場合はテレビ局の場合とは違い、専門学校卒や短大卒も受け入れている傾向にあります。しかし、制作会社といっても、100%テレビ局の子会社の場合もあるので、その場合はやはり、四年制大学以上の学歴が必要になってきます。

    短大や専門学校では、実際に現場で働いているアシスタントディレクターの方々の話が聞ける機会が多くあります。生の意見を聞くことで就職後のイメージがより明確になり、日常生活の中でもテレビマンを意識した生活を送ることができます。また、授業の中で実際に収録が体験できる授業やドラマ制作ができる授業などがあり、企画の提案会議から編集までアシスタントディレクターに必要な経験値を高めることもできます。

  • 学校に通いながらアルバイト
  • 大学や専門学校に通いながら、実際に番組制作会社でアルバイトとして経験を積むという方法もあります。かなりハードな生活になるのは間違いありませんが、学校では知識を学び、現場では実際に肌で感じて現場スキルを学ぶことができるので、優秀なアシスタントディレクターになる近道と言えるでしょう。

アシスタントディレクターになりたい人の志望動機

次に、アシスタントディレクターになりたいと思った人はどうしてそのように思ったのでしょうか?主な志望動機を紹介していきます。

  • 自分自身テレビが好き
  • アシスタントディレクターになりたいと思う人の多くは、自分自身テレビが好きな人がほとんどです。「こんな面白いテレビ番組を自分も作ってみたい!」という憧れや、「自分も視聴者にこんな感動を与えたい!」という思いから、アシスタントディレクターになろうと志す人が多いと言われています。

  • テレビを通して人の心を動かしたい
  • テレビはさまざまなことを発信できる手段とも言えます。番組の内容一つで、楽しい気持ちにさせることもできれば悲しい気持ちにさせることもできます。落ち込んでいる人を勇気づけることもできます。このように、アシスタントディレクターになりたいと思う人の多くは、テレビを通して人の心を動かしたいと思っています。

  • テレビにまつわる思い出がある
  • アシスタントディレクターになりたいと思う人の多くは、テレビにまつわる思い出があったりします。小さな頃にテレビ番組に勇気づけられたことがあったり、大好きな番組があったり。そういった原体験がテレビの世界への憧れを強くするのです。

アシスタントディレクターのその後

アシスタントディレクターになる人の多くは、アシスタントディレクターよりその先を目指しています。アシスタントディレクターはあくまでも通過点と考えている人が多いです。
では、アシスタントディレクターを経てどのような職業を目指しているのでしょうか。

  • プロデューサー
  • アシスタントディレクターが目指すものとして、まず『プロデューサー』があげられます。プロデューサーは番組の予算管理であったり、演出のキャスティング、ギャランティの交渉、スタッフの割り振り等の番組自体の大きな枠組みを決める職業です。

  • ディレクター
  • ディレクターもアシスタントディレクターが目標としている職業の一つです。ディレクターは、プロデューサーが決めた枠組みの中で、ロケであったり編集作業を行う職業です。デスクワークの多いプロデューサーの仕事と違って、“現場”で演出などの指揮をとるのがディレクターです。

    このように、アシスタントディレクターになる人の多くが次のステップアップを目標に置いています。激務と言われるアシスタントディレクターの仕事を続けるには、こういった目標を持つ事が大切です。

結婚や育児との両立は難しい?女性がアシスタントディレクターになりたい場合

アシスタントディレクターの仕事は体力的にも精神的にもとても大変な仕事です。そのため、男性ばかりの職場と思われがちですが意外と女性も多く活躍しています。

しかし仕事をしている女性の場合、結婚や出産が一つの分岐点になってきます。このような時、アシスタントディレクターの仕事は両立できるものなのでしょうか?

夫婦間の理解が必要

結婚後もアシスタントディレクターの仕事を続けるのであれば、間違いなく夫婦間での理解が必要です。
なぜなら、これまで紹介してきたように、アシスタントディレクターの仕事は激務だからです。休みも時間帯も非常に不規則な仕事のため、夫婦で過ごす時間を取ることすら難しいこともあります。結婚後も仕事を続ける場合はパートナーとよく話し合い、二人に合ったライフスタイルを築いていく必要があります。

子育て中の女性には向かない

結論から言うと、アシスタントディレクターの仕事は子育てとの両立に向いていません。子どもができた場合、退職する人がほとんどです。時間が規則正しい職業と違って、子どもを保育園に入れられたとしても保育園が終わる時間までに迎えに行けるとは限りませんし、撮影が思いの外延びてしまうこともよくあることです。例え子どもの預け手があったとしても、子どもとの時間をとることが難しいでしょう。

独身の間バリバリ働きたい人におすすめ

中には、独身の間はバリバリ働きたいという女性もいるでしょう。好きなことならな尚更、プライベートを犠牲にしても苦になりません。アシスタントディレクターの仕事はそういった女性におすすめです。仕事が好きな人にとっては「あー今日も働いた!」という満足感の得られる仕事でしょう。

女性だからこそ向いている面もある

アシスタントディレクターの仕事は細やかな気配りが大切です。女性はそういった細やかな気配りが上手な人が多いと言われています。男性とは違った目線で見ていることもあり、男性では気づかなかったところに気づく場合もあります。そういった点では、女性だからこそ向いている職業とも言えます。

激務だけどやりがいのあるアシスタントディレクターの仕事

激務と言われるアシスタントディレクターの仕事ですが、しっかりと目標を持ち、何よりもテレビが大好きな人にとってはとてもやりがいのある仕事です。もちろんこの仕事に就くにあたっては、大きな覚悟も必要になってきます。
アシスタントディレクターの仕事がどのようなものかしっかりと理解し覚悟をしたうえで、それでもこの仕事に就きたいという人は、きっと優秀なアシスタントディレクターになれるに違いありません。

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