臨月に入ると、いつ出産になるかドキドキしながら待っている妊婦さんは多いでしょう。「おしるしがあると出産が近いよ」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、おしるしってどういうものなのか、特に、初めて出産される妊婦さんは分かりにくいのではないでしょうか。今回はおしるしがどんな色なのか、どのようなものかについてお話しします。
おしるしとは
おしるしとは、臨月に入り、身体が出産のための準備をしているときに、赤ちゃんを包んでいる「卵膜」と呼ばれる膜が子宮の壁から剥がれて出血し、おりものに交じって出てくるものです。医学用語では「産徴」ともいい、近々お産が始まる印ともいわれています。
おしるしってどんなもの?色は赤・ピンク・茶色があるって本当?
では実際に、おしるしがどのようなものか詳しく見ていきましょう。
おしるしの色は人によって様々
おしるしのほとんどは、おりものの中に少し薄い出血が混じったものなので、薄いピンク色や薄い茶色、褐色やオレンジ色に見えます。なかにはほとんど透明なおりものの中に、ほんの少しピンクの出血が混ざっていたり、逆に真っ赤な出血だったという人もいたりします。おしるしの色は、人によって様々なのです。
おしるしの特徴とは
おしるしの特徴は個人差が大きいことです。おしるしの量もおりものシートに少しつく程度ののものだったり、生理くらいの出血量があったりする場合もあります。
おしるしって臭いがあるの?
臨月に入ると、出産に備えておりものの量が増えてきて、おりもの自体の臭いがきつくなる場合があります。それに出血が混じるため、少し強い臭いを感じることがあるといわれます。しかし、人によっては全く臭いを感じない人もいるため、これまた個人差が大きいのです。
おしるしの色は変化するの?
おしるしの色は全く変化しない人もいれば、「薄い出血から茶色になった」という人もいます。おしるしの色は変化しても変化しなくても、おしるしであれば特に問題はありません。
おしるしのタイミング
おしるしはいつ来るの?
おしるしがいつ来るかは、誰にもわかりません。多くは出産の3日前から出産当日にあることが多いようですが、なかには出産の1週間から10日前におしるしが来る人もいます。臨月に入ったらいつおしるしがあるかわからないので、トイレの際は注意してみるようにしたり、ナプキンを持ち歩いたりすることをおすすめします。
出産までおしるしは続くの?
おしるしは、1週間くらい前から数回おしるしがあったという人もいれば、1回だけあったという人もいます。これも、色や臭いと同様に人それぞれです。
おしるしは必ずあるの?
おしるしは、全員に必ず来るものではありません。また、1人目の妊娠のときにはあったけれど2人目はなかった、という人もいます。また、おしるしがあって陣痛が来る場合もあれば、逆に陣痛が始まってからおしるしが来る人もいます。おしるしがないから異常がある、というわけではないのです。
おしるしではない場合もある
たまに、おしるしと間違いやすい症状が出ることがあります。どういったものか詳しくお話ししましょう。
内診の刺激による出血
臨月に入ると、妊婦健診で産婦人科医から、出産が近いか判断するための「内診」を受けることがあります。これは子宮の入り口の状態をチェックするもので、この内診の刺激によって、膣が傷つき出血する場合があるのです。このときも、おりものに混ざって出血があるため、おしるしと間違えてしまう人がいます。
また、内診が刺激となって陣痛が始まり、そのまま出産することもあるため、「もしかしたらあの出血はおしるしだったかも?」ということもあります。どちらにしても、内診の刺激による出血の場合はずっと出血が続くことはないので、様子を見ていれば大丈夫です。
陣痛が伴う出血
陣痛が起こると子宮の入り口が柔らかく開きやすくなろうとして、これに伴い少量出血したり、なかには生理のような出血があったりする人もいます。これもおしるしに似たような出血なので、そのまま様子を見ていて良いでしょう。
胎盤が剥がれることによる異常な出血
生理のとき以上に多い出血があるときは、胎盤が剥がれることによる異常出血のおそれがあります。
子宮の中の赤ちゃんはへその緒で母体の胎盤とつながっており、そこから酸素や栄養をもらっています。普通は赤ちゃんが産まれた後に胎盤が自然に剥がれて外にでてくるものですが、まだ産まれていない状態で先に胎盤が剥がれてしまうのが、「常位胎盤早期剥離」と呼ばれる病気です。
これは突然起こることが多いのですが、産まれる前に胎盤が剥がれてしまうと、真っ赤な出血とともに激しいお腹の痛みが襲ってきます。常位胎盤早期剥離が起こると母体も赤ちゃんも命に危険が及ぶため、とても怖い出血なのです。
破水
破水の場合も、人によっては薄いピンク色をしているため、おしるしと間違えやすいことがあります。また、透明だったり、時には黄緑色や黄色をしている場合もあるようです。
破水は赤ちゃんが入っている「卵膜」が破れ、羊水が出てくることをいいます。そのため、動いたときだけでなく、安静にしているときでも、ちょろちょろと水のようなものが出てくるものです。
卵膜が大きく破れ、羊水が一気にたくさん出れば破水とわかりやすいのですが、なかにはほんの一部分だけ破れて羊水が出るために「これは破水?おりもの?おしるし?」とわかりにくい場合があります。
破水をそのままにしておくと子宮内感染を起こすリスクもあるため、破水したことがわかったら、病院に連絡するのが一般的です。破水かどうかは「エムニケーター」と呼ばれる綿棒のようなもので検査をすればすぐにわかるため、破水かよくわからない場合は、かかりつけの産婦人科に連絡するようにしましょう。
尿漏れ
臨月に入ると、子宮の中の赤ちゃんが下に降りてきて膀胱を圧迫するため、尿漏れを起こしやすくなります。尿漏れの場合は黄色っぽく、少しツンとアンモニア臭がしますが、ずっと出続けることはありません。
前置胎盤による警告出血
胎盤は、通常の状態であれば子宮の一番奥で作られますが、人によっては子宮の入り口近くに作られてしまって、赤ちゃんの出口をふさいでいる場合があります。なお、この状態を「前置胎盤」といいます。
前置胎盤の場合、経腟でお産をしようとしても、胎盤が先に剥がれないと出産することができません。先ほどの「常位胎盤早期剥離」でもお話ししたように、胎盤は赤ちゃんに酸素や栄養を送っているため、出産前に剥がれてしまうと赤ちゃんの命に危険が及びます。
また母体も、赤ちゃんが産まれた後に自然に胎盤が剥がれないと、大出血を起こしてしまい危険にさらされるのです。そのため、前置胎盤は必ず帝王切開での出産が必要です。
臨月になると、出産にそなえて子宮が収縮しやすくなります。この刺激によって胎盤が剥がれかける、もしくは剥がれてしまうと、「警告出血」と呼ばれる出血が起こります。警告出血はお腹の痛みは伴いませんが、大出血を起こすことが多いものです。警告出血が起こると入院が必要になったり、時には緊急で帝王切開になったりすることもあるので、すぐにかかりつけの産婦人科に連絡をしてください。
おしるしが来たらどうすれば良いの?
特に初めて出産される方は、おしるしが来たらどうすれば良いかわからず焦ってしまう場合も多いでしょう。おしるしが来たらどう過ごせば良いのか、説明していきます。
心の準備と荷物の最終確認を
おしるしが来ても他に変わりがなければ、そのままいつもと同じ生活をして構いません。特に外出を控えたり、家で安静に寝ている必要はありませんよ。おしるしが来たということは、陣痛や破水がきていつ産まれてもおかしくないという状況にあります。そのため、「もう少しで赤ちゃんに会える」という心の準備と、入院のときに持っていく荷物の最終確認や、産後退院してからの生活で必要な物品等の確認をしましょう。
また、入院するときにどのようにして病院まで行くか、もしタクシーで行くのであれば、タクシーの連絡先も再度確認しておくと良いでしょう。そして、外出するときは母子手帳と携帯電話を持参して、何かあったら外出先から連絡できるようにしておくこともおすすめです。
なお、病院から遠いところにいると、何かあったときに対応が遅くなってしまうこともあるため、あまり遠出をしすぎない方が無難でしょう。
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おしるしかわからない場合はかかりつけの産婦人科に連絡する
おしるしであれば、経過をそのままみてても良いのですが、おしるしと思っていても実は危険な出血だったり、破水をしたりしている場合があります。おしるしの量や色、回数は個人差が大きいため、特に初めての出産の場合は、判断ができないことも多いでしょう。
おしるしかどうかわからない場合は、自分で判断せずに、かかりつけの産婦人科に連絡してください。電話の中で医療スタッフがおしるしだと判断してそのまま様子をみるよう伝えられたり、一旦病院に行って赤ちゃんの状態や子宮の入り口の状態をみて判断される場合もあります。
赤ちゃんが動いているか、お腹の張りや痛みの間隔はどうか確認する
おしるしがあって、前駆陣痛や本当の陣痛が始まることも少なくありません。お腹の張りや痛みの間隔がどうなのかを確認しましょう。
また、赤ちゃんが動いていることが、赤ちゃんが元気かどうかを見極める一番のサインです。赤ちゃんの動きがなかったり、お腹の張りに伴う痛みが、初産婦なら10分おき、経産婦なら15分おきになったりしたら、かかりつけの産婦人科に連絡しましょう。
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入浴はOK!ナプキンを変えて清潔にしておこう
おしるしの場合、入浴は普段通りにして大丈夫です。体を温める方が陣痛も起きやすくなるため、お風呂にゆっくり入って体を温めることをおすすめします。
しかし、破水している場合は子宮内感染を起こすおそれがあるため、入浴はしないでください。おしるしがあって、そのあとに破水する場合もあります。おしるしが来たらナプキンを変えて陰部の清潔を保つようにしましょう。
おしるしの色は正常かどうかを見分けるサインに!おしるしを知って出産に備えよう!
おしるしは個人差が大きいですが、おしるしの色は、正常かそうでないかを見分けるサインにもなります。臨月になるとおりものも増えてきますが、おしるしがあるかどうかを気にするようにしましょう。
おしるしが来たらもうすぐ赤ちゃんに会えるサインです。おしるしを知って、出産に備えてくださいね。そして、残りの妊婦生活も最後まで楽しみましょう。
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