噂の「プレミアムフライデー」の目的とは?実際に導入している企業とその成果・課題について知ろう

「プレミアムフライデー」は、どの会社でも取り入れているのでしょうか。始まった頃は、ニュースやCMなどで頻繁に宣伝されていました。月末の金曜日は仕事が詰まっていて帰ることができないといわれているなか、プレミアムフライデーを実施している会社はどのくらいあるのでしょうか。プレミアムフライデーとはどのようなものなのか、お話いたします。

プレミアムフライデーとは

プレミアムフライデーとは個人消費を喚起するために、経済産業省と日本経済団体連合会などの経済界の団体が、毎月末の金曜日に午後15時に退社するように働きかけるキャンペーンの名称です。

プレミアムフライデー

■画像提供:プレミアムフライデー公式サイト

プレミアムフライデーを導入する目的

プレミアムフライデーを導入する目的は、国民が幸せや楽しさを感じることができる体験を実現させるため、その時間を作り出すことです。政府が取り組む「働き方改革」の中での長時間労働の是正に繋がるとも考えられています。

2014年に消費税が8%になってから、個人消費の割合が落ちてきています。消費が落ち込み経済が回らなくなってしまうため、仕事を早い時間に終わらせて買い物や食事、旅行などで個人消費に充ててもらうという目的もあります。

プレミアムフライデー過ごし方

■画像提供:プレミアムフライデー公式サイト

プレミアムフライデーはいつから導入?

プレミアムフライデーは、2017年の2月24日の金曜日から始まりました。プレミアムフライデーが始まる前に、ビール会社のアサヒグループホールディングスお客様生活文化研究所(青山ハッピー研究所)がプレミアムフライデーについてのアンケートを実施しました。対象は全国の20歳以上の男女です。(有効回答数3,250人)その中で、プレミアムフライデーには何をするかとの問いがありました。その答え上位5位までは以下の通りです。実際にプレミアムフライデーが始まってから実現できたのでしょうか。

  1. 外食する
  2. 家族団らん・子どもと遊ぶ
  3. 家の片付け・掃除・洗濯
  4. 泊りがけの旅行
  5. ショッピングをゆっくりと楽しむ

プレミアムフライデー過ごし方

■画像提供:プレミアムフライデー公式サイト

プレミアムフライデーの対象は?

「公務員」が率先して早く帰れば民間も見習う?

経団連としては、公務員が率先してプレミアムフライデーを取り入れてほしいと考えているようです。公務員が働いていると民間の会社の人達が早く帰りにくいのではないかという考えと、全国に多くいる公務員の消費拡大を見込んでいるのではないでしょうか。

しかし、公務員といっても、職種によってはプレミアムフライデーだからと早く帰れるわけではないでしょう。学校の先生は15時過ぎに授業がある場合もありますし、年間の授業のカリキュラムは決まっています。部活動等がある場合もありますので、難しいでしょう。一部の限られた公務員しかプレミアムフライデーを取り入れることはできないと思われます。

「民間企業」可能なところと不可能なところがある

民間企業は職種によって可能である会社もあるでしょう。実際にプレミアムフライデーを取り入れている会社もあります。そのためには出社時間を1時間程早めるなどして対応しています。プレミアムフライデーだからといって仕事の量が減るわけではないのですから、そのための工夫が必要となるのです。また、飲食店などのサービス業やスーパーやデパート等は、プレミアムフライデーを売上アップを見込み、人を増やして忙しくなることを期待しているのではないでしょうか。

プレミアムフライデー導入企業例

【大和ハウス工業】プレミアムフライデー当日は午後有給

プレミアムフライデー企業1

大和ハウス工業は、効率的で柔軟な働き方を推進して、プレミアムフライデー当日は勤務時間の開始と終了時間を変更しました。普段の就業時間は9~18時ですが、プレミアムフライデーの日は8~17時として、午後は半日有給としました。8~12時の4時間で集中して働くことで、通常勤務の生産性向上にもつなげられるように期待しています。

大和ハウスのプレミアムフライデー詳細はコチラ
■画像提供:大和ハウス公式ホームページ

【住友商事】プレミアムフライデーは3つの項目を掲げている

プレミアムフライデー企業2

住友商事は、プレミアムフライデーに限らず普段から「働く時は働く」「休む時は休む」というメリハリがある働き方を推奨しています。有給休暇の取得目標を年間最低14日としていて社員に休みを取ることをすすめています。そして、以下の項目を掲げています。

  • プレミアムフライデー当日を、全休または半休取得奨励日にする
  • 有給休暇取得が難しい場合は、フレックスタイム制度を活用して15時退社を奨励する
  • 月末の金曜日だけに限定せず、全ての金曜日をプレミアムフライデーとして15時退社を奨励して、働き方改革を促す

住友商事のプレミアムフライデー詳細はコチラ
■画像提供:住友商事公式ホームページ

【三菱自動車】毎週金曜日がプレミアムフライデー

プレミアムフライデー企業3

三菱自動車は月末の金曜日だけでなく、毎週金曜日に午後15時退社を推奨して、8,500人をプレミアムフライデーの対象にしました。対象は営業部や開発部の人達であり、製造部の人達は対象外です。
このように、工場を止めてしまっては製造が滞ってしまうなど、会社内でもプレミアムフライデーが実施できる部署とできない部署が出てきています。

三菱自動車公式ホームページはコチラ
■画像提供:ウィキメディア・コモンズ

【森永製菓】プレミアムフライデーは1日or半日を有給に

プレミアムフライデー企業4

森永製菓はプレミアムフライデー制度で、プレミアムフライデー当日に行事や会議などを減らし、月末の金曜日を1日または半日を有給とすると発表しました。対象者は1,349人です。

森永製菓の公式ホームページはコチラ
■画像提供:森永製菓公式サイト

【USEN】プレミアムフライデーを知らせるアナウンスもメニューに追加

プレミアムフライデー企業5

USENは2013年から働き方に取り組んでいます。社員に保育補助金制度を新設するなどをしてきましたが、この制度は該当者が限られています。そのため、全従業員が恩恵を受けられるプレミアムフライデーを導入することにしました。対象はすべての部署の従業員で約2,600人です。

USENの公式ホームページはコチラ
■画像提供:PRTIMES

実際に導入している企業はどのくらい?

2017年2月24日にスタートしたプレミアムフライデーですが、始まる前に調査会社である株式会社インテージがプレミアムフライデーについてのアンケートを実施しました。アンケートは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県に住む20~59歳の仕事を持つ男女に2017年2月3日~2月6日に実施しました。

認知率と実施予定について

アンケート結果によると、この調査を行なった時点でのプレミアムフライデー実施決定または奨励が決まったと答えた人は、わずか2.5%でした。分からないと答えた人は76.6%でした。

認知率は、テレビなどで耳にすることが多くなってきたからか、7割近い人がプレミアムフライデーを知っている、または聞いたことがあると答えました。しかし、その内容を理解している人は約3割と少なかったという結果が出ました。

プレミアムフライデーに賛成か反対か

プレミアムフライデーを知っているまたは聞いたことがあると答えた人の約4割の人が、プレミアムフライデーについて肯定的に捉えています。性別や世代別に見てみると、男性の20~30代と40~50代の半数近くが肯定的です。そして女性の20~30代も肯定的な割合が高く、男女共に20~30代はプレミアムフライデーに対して肯定的に捉えているということが分かります。

反面、20.5%が否定的な考えです。女性の40~50代の人達が一番否定的な割合が多いという結果です。理由として、全ての職業の人が早く帰れるわけではない、他の日にしわよせがくる。などの理由でした。

プレミアムフライデーをどう過ごす?

株式会社インテージが2017年2月に行なったプレミアムフライデーをどう過ごすのかというアンケートでは、以下の結果になりました。

  1. 自宅で過ごす-49.9%
  2. 食事に行く-38.8%
  3. 買い物に行く-36.8%

プレミアムフライデー過ごし方

■画像提供:プレミアムフライデー公式サイト

約半数の人が仕事が終わって、自宅でゆっくり過ごしたいと考えているという結果でした。では、実際にプレミアムフライデーが実施されてからはどうだったのでしょうか。

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プレミアムフライデーが終わった直後アンケート結果

株式会社インテージは、プレミアムフライデー直後の2017年2月24日~27日に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の20~59歳の仕事をしている男女にアンケートを行いました。

プレミアムフライデーが実施された・奨励されたか

勤務先の企業規模が1,000人以上の会社では、プレミアムフライデーが実施されたのは5.8%で、奨励されたのは18.3%でした。企業規模が100人未満または100~499人の会社は、9割以上実施または奨励がなかったと答えました。この結果から見ると、プレミアムフライデーが実施・奨励されているのは、大企業であるということが分かりました。

15時退勤しなかった理由とは

プレミアムフライデーが実施され、早く帰るつもりだった人は47.6%で、早く帰るつもりがなかった人は52.4%でした。もともと早く帰るつもりがなく早く帰らなかった45.8%、早く帰るつもりで早く帰った31.3%という行動の結果が出ている中、気に留めるべきは「早く帰るつもりだったが、早く帰れなかった」人で、この割合は16.3%いました。

この人達は早く帰るつもりだったのに、なぜ早く帰らなかったのでしょうか。理由は「仕事が終わらなかった」が第1位でした。仕事が終わらないことで、その仕事が他の日にしわ寄せが来ることを懸念したということと、周囲の目が気になったというのが詳しい理由でした。自分が早く帰ったことで、後のことを心配するために早く帰宅しなかったのです。プレミアムフライデーを会社が実施・奨励されているけれど、どうしても帰れないという現状があることが分かりました。

アンケート:株式会社インテージ

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プレミアムフライデーの効果は?

プレミアムフライデーを実施した企業はほんの僅かだったという結果が出ましたが、実際プレミアムフライデーの効果は出ているのでしょうか。始まる前にはテレビニュースなどで取り上げられていたので、プレミアムフライデーの存在が世間に広まりましたが、開始から10ヶ月経つとその存在すら薄れているように感じます。プレミアムフライデーの経済効果など、浄化を感じられるのはまだ先になるのではないでしょうか。

プレミアムフライデー過ごし方

■画像提供:プレミアムフライデー公式サイト

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プレミアムフライデーの課題

プレミアムフライデーを実施している企業は地方には少なく、プレミアムフライデーの影響はなかったと答えている企業が多いことがわかりました。大手企業の何%かは実施・推進しているものの、実際に早く帰らなかった人も多い事がわかっています。

また、早く帰る側がいる一方で、居酒屋やデパートなどで働く人たちにとってプレミアムフライデーの日は、通常と比べると忙しくなります。政府が掲げる「働き方改革」によってますます忙しくなるという人達がいるのです。売上が上がって嬉しい一方で、プレミアムフライデーによって早めに店を開けるなど、普段よりも長時間働かなければならない場合も出てくるのではないでしょうか。長時間労働を是正するはずの働き方改革がやり方によっては、逆効果になる場合があり、それが今後の課題になるのではないでしょうか。

プレミアムフライデーの公式ホームページはコチラ

■画像提供:PRTIMES

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