雑誌やWEBメディアの編集者になるには?具体的な仕事内容と気になるお給料

近年。出版不況で本や雑誌は売れなくなったと言われています。しかし、女性なら一度は大好きなファッション誌の編集者に憧れた人も多いのではないでしょうか。確かに誰でも知っている大手出版社の編集者に狭き門ですが、中小出版社や編集プロダクションに就職することで編集者として仕事をすることも可能です。今回は編集者の仕事内容や今後編集者になる方法などについて紹介します。

書籍や雑誌編集者の仕事とは

仕事内容

編集者の仕事は、雑誌や書籍を企画し、制作の段取りを決めて出版物が完成するまでの管理をする仕事です。出版物を作る全ての工程に関わるため、仕事内容は多岐に渡ります。所属する編集部にもよりますが、主に取材先への交渉や原稿チェック、制作進行、予算管理を行います。実際に原稿を執筆するのはライター、イラストはイラストレーターに、写真はカメラマンと出版物の中身はそれぞれのプロに任せるため、誰にお願いするか決めるのも編集者の大事な仕事です。

書籍や雑誌によって、作る工程は多少異なりますが、下記の流れで制作します。

  • 企画を作る
  • 多くの人が興味と関心を持つ企画を考えて、企画書を作ります。編集者がそれぞれ作った企画書は編集会議や企画会議で発表します。会議で提出された企画の中で書籍化や雑誌掲載にふさわしいか話し合います。最終的には編集長が採用、不採用を決めます。

  • 予算の計画を立てる
  • 編集会議で採用された企画を実現させるための予算計画を立てます。各企画の予算があらかじめ決められているため、その範囲内でライターの原稿料やカメラマンの撮影料など専門家へ支払う費用や印刷料を割り振りします。どこにいくらかけるかによって出版物の方向性や出来栄えが変わるため重要な仕事です。

  • スケジュールを決める
  • 出版物は通常発売日が決まっています。発売日から逆算して原稿の入稿日を決めます。そのゴールに合わせて全ての工程のスケジュールを立てていきます。出版物を作るには多くの人が関わるため、上手く調整しながら進めていく必要があります。

  • 専門家へ依頼する
  • 原稿を執筆する作家やライター、カメラマンやデザイナーなどに仕事の依頼をします。この時にギャラやスケジュールの交渉をします。

  • ロケハンや撮影、取材
  • 企画の種類にもよりますが、撮影や取材が必要な場合があります。例えばファッション誌であればモデルの撮影、グルメ雑誌なら紹介するお店の取材が必要です。編集者は事前にロケハンや取材先のアポ取りをします。また撮影日や取材日は現場に立ち会います。

  • 紙面の作成
  • 納品された原稿や写真の確認をします。納品された原稿や写真が企画の趣旨に合わない時は、この時点で修正の依頼をします。文章と写真がある程度準備できたらデザイナーに紙面のデザインを依頼します。デザイナーに依頼する時は企画の趣旨や紙面の雰囲気を伝え、またラフを書いてイメージ共有します。取材先などの情報提供者に対してこの内容を紙面に掲載していいか確認作業をします。

  • 校正と校閲
  • 出版物に間違った情報を掲載することは、出版社の信用問題に関わります。そのため出版社には文章が日本語として正しいか、誤字や脱字がないか、掲載内容が事実と合っているかなどを確認する校正や校閲をする部署があります。この専門の部署で作成した紙面の校正、校閲を行います。

  • 入稿、ゲラ校閲
  • 校閲が終わったデータを印刷所へ入稿し、試し刷りします。試し刷りをした原稿はゲラと呼ばれます。ゲラの色味や文字などの体裁崩れをチェックするゲラ校閲し、印刷前の最終確認をします。

  • 印刷、製本
  • ゲラ校閲まで終わったら、印刷し製本をします。完成した出版物は書店などに発送されます。

編集者の種類と仕事内容

出版物によって編集者の仕事の内容が異なります。編集者にはどのような種類があるか紹介します。

  • 雑誌編集者
  • ファッション、メイク、インテリア、漫画など書店には色々なジャンルの雑誌が並んでいます。雑誌の企画を考え、紙面を作るのが雑誌編集者です。雑誌によって週刊、月刊、また季刊誌など年間に発行される回数が異なります。他の出版物に比べて一年を通して発行予定が決まっています。特に週刊誌や月刊誌の場合は常に締め切りとの戦いです。そのぶん自分の企画を通すチャンスが多いため、編集者としてのスキルを高めることができます。

  • 書籍編集者
  • 小説かそれ以外のビジネス書や実用書、タレント本など書籍の種類によって仕事内容が異なります。小説の編集者の仕事は作家の先生から原稿をとってくるのがメインの仕事です。ビジネス書や実用書、タレント本は外部ライターやカメラマンに依頼をかけて、納品されたデーターをデザイナーと打ち合わせをしながら書籍を作っていきます。仕事の内容や工程は雑誌編集者に近いです。

  • WEBサイトの編集者
  • WEBサイトの編集者はサイトに掲載する原稿を自分で執筆したり、また外部のライターに執筆依頼をします。納品されたデータの校正だけでなく外部ライターの管理やサイトへの投稿なども行うケースもあります。そのためWEBサイトによって業務の幅が変わります。

編集者の働き方

  • 出版社に勤務する
  • 出版社の採用試験を受けて採用されれば出版社で働くことができます。出版社には編集部だけでなく、一般企業と同じように人事部や経理部、総務部などの部署があります。特に大手出版社は新卒一括採用のため、出版社に就職できたとしても編集部に配属されなければ編集者の仕事をすることができません。また、ファッション誌の編集者の仕事を希望したとしても必ずしも自分の希望通りにファッション誌の編集部に配属されるとは限りません。

  • 編集プロダクションに勤務する
  • 編集プロダクションは出版社からの依頼で本を一冊、または雑誌の特集記事を制作します。出版社の下請けの仕事のため、通常は出版社からの持ち込み企画に沿って本や記事を作成します。しかし、実力が認められれば企画から任せてもらえることあります。出版社の場合とは異なり、必ず編集者の仕事ができます。

  • フリーで活躍する
  • 出版社や編集プロダクションからフリーの編集者へ独立する人も多数います。会社員時代の人脈や実績を生かして、出版社や編集プロダクションから依頼を受けて仕事をします。フリーのため色々な媒体の仕事をすることができます。また自分のライフスタイルに合わせて仕事を調整することも可能です。

編集者の給料・年収と待遇

編集者の平均年収と業種別年収

編集者の平均年収は厚生労働省の各種統計調査や口コミ情報によると平均450万円前後です。ただし、勤務先によって大きな差があります。

  • 大手出版社と中小出版社との差は
  • 大手出版社と中小出版社では年収が300万円前後から800万円以上と格差あります。
    大手出版社勤務の場合は、平均給与は約37万5000円~62万5000円で、年収が約600万円~1000万です。ボーナスは月給の4ヶ月分で計算されています。中小出版社、編集プロダクション勤務の場合は、平均給与が約22万円~約37万5000円で、年収 約350万円~600万円ほどです。このように大手か、中小出版社や編集プロダクション勤務によって年収に大きな差があります。

  • 業種別年収の違いは
  • 扱う書籍によって色々な編集者がいます。会社員でも雑誌や書籍の編集者で、常にヒットを飛ばすことができれば年収は1,000万円を超えることも可能です。そのため編集者の世界は実力社会です。編集者として順調に経験を積むことができれば、30代から40代にかけて編集長になることもできます。自分が編集長を務める雑誌の部数を伸ばすことができれば更に年収を上乗せすることが可能です。

  • 働き方の違いによる年収の違いは
  • フリーランスの場合は「1企画いくら」「1ページいくら」でギャラの計算をします。そのため案件の数で年収が変わります。フリーランスの編集者は年商で1000万円前後が平均です。個人事業主のため年商(売上)から、仕事をするために使った経費や税金、社会保険料を差し引いた金額が年収です。そのため宅兼事務所なのか、別に事務所を借りているのかなどによって経費の金額が変わります。しかし、手元に残る金額は年商(売上)の3分の2程度だと言われているため、年収600万円前後がフリーランスの編集者の平均年収額です。

編集者の勤務時間や休日は?

出版社に勤務している場合、就業時間は9時始業で18時終業と決めれています。しかし多くの編集者は終業時間後も仕事をしていることが多く、不規則な生活をしています。また担当している出版物のジャンルによっても勤務形態が異なることも多いです。その発行物が週刊なのか、月刊なのか、季刊誌なのかによって年間の締め切り回数が異なります。週刊誌の場合は毎週締め切りがあるため、締め切り前は泊まり込みをするなどかなりハードです。

子育てしながらも続けることができる?

編集者の仕事はどうしても不規則な仕事になってしまうため、ご主人や周りのサポートがないと続けていくのは難しいでしょう。大手出版社などは産休や育休制度が整っていますが、実際は取得するのは難しいです。
どうしても続けていきたいなら比較的締め切りが少ない季刊誌などの編集部や、自分が編集長になって女性が子育てしながら働ける編集部を作るしかありません。もしくは実力と実績があればフリーランスの編集者として、仕事量を調整しながら働くのも一つの選択肢です。

編集者になるにはどうすればいい?

編集者になるために

  • 大手出版社に勤務する
  • 大手出版社の採用試験を受験して採用されれば勤務できます。しかし新卒一括採用が主流で採用倍率も高く狭き門です。そのため新卒で就職できなかった場合は、中小出版社や編集プロダクションで編集者としての経験を積み、編集者として実力をつけてから転職するのも一つの方法です。

  • 編集プロダクションに勤務する
  • 編集プロダクションは大手出版社とは違い学歴が関係ありません。また、職種別の採用を行わない大手出版社と違い、編集職で求人募集が出されるケースが多いため最短で編集者のポジションにつける可能性が高いです。ただし、即戦力を求めていることが多いため経験者採用がメインです。

  • アルバイトとして働く
  • 編集プロダクションは優秀な編集者が出版社に引き抜かれることも多く、人材の入れ替わりが激しいです。そのため即戦力になる経験者の募集と合わせて編集アシスタント(契約社員やアルバイト)も募集しています。正社員に比べて年収や待遇は劣りますが、未経験者でも応募できるため、ここで経験を積んで社員への登用や大手出版社への転職も目指すといいでしょう。

  • フリーランスで働く
  • 編集者として実力と実績があればフリーランスで働くこと可能です。フリーランスの場合、会社員時代の人脈を使って出版社や編集プロダクションから仕事の依頼を受けます。そのため、全くの未経験者がフリーランスで仕事をするのは難しいでしょう。

編集者に資格や学歴は必要?

編集者に必要な資格はありません。しかし、大手出版社の場合は新卒一括採用がメインなので4年制大学の卒業者が対象です。それ以外の編集プロダクションは特に学歴は問われません。

編集者の将来性

出版業界は本や雑誌の売り上げが下がり続けているため、出版不況と言われています。しかしこのような状況でも売れる本は100万部を超えるベストセラーになるなど売れる本と売れない本がはっきりしています。そのため、編集者の世界は今後ますます実力社会になっていくと考えられます。
また、紙の本や雑誌にこだわらなければWEBメディアで編集者としてのスキルや経験を活かして働くことも可能です。WEBまで視野に入れれば、実力次第で活躍できる場所は今後もますます増え続けていくでしょう。

編集者の仕事のやりがいや大変なこと

編集者の仕事のやりがい

  • 好きな本に関われる
  • 大好きな本に関わることができるのが編集者の仕事のやりがいの一つです。一冊の本を作るのに多くの人が関わります。しかし企画段階から全ての工程に関わることができるのが編集者です。

  • 自分の企画した仕事が形になった時
  • 編集の仕事は、まずは企画をだすことからスタートします。苦労して出した自分の企画が雑誌の記事として掲載された時に今までの苦労が吹き飛ぶくらいやりがいを感じるでしょう。

  • 新しい才能を世に出すことができる
  • 小説や漫画の編集者は新人作家を見つけることも大事な仕事です。自分が見つけてきた作家が無事デビューして、世の中に認められた時に大きなやりがいを感じます。

編集者の仕事の大変なこと

  • 仕事の内容によっては不規則な勤務時間になる
  • 出版社によっては勤務時間は決まっていますが、自分が所属する編集部や担当する作家によって勤務時間はバラバラになるでしょう。そのため残業せずに定時に帰る仕事に就きたいと思うなら編集者の仕事は難しいです。

  • 常に締め切りのプレッシャーがある
  • 雑誌など定期的に発行されている出版物の場合、締め切りが決まっています。特に週刊誌や月刊誌の編集者は締め切りが終わったと思ったら次の締め切り…と常に追われている感覚があります。

編集者に必要な適正やスキル

本が好き

本や雑誌が好きでなければ編集者の激務に耐えることはできないでしょう。編集の仕事にはトラブルがつきものです。何かトラブルが発生した時には、プライベートの予定をキャンセルしたりと自分の時間が犠牲になることが多いでしょう。それでも仕事を続けていくためには本が好きという強い気持ちが必要です。

時間管理能力やタスク管理が得意

書籍や雑誌を作る過程には、編集者だけでなく社内外の多くのスタッフが関わるので、その人たちのスケジュールの管理をしながら締め切りに間に合わせなければいけません。また、本や雑誌を作るには色々な工程を同時平行でおこないます。スケジュール通りに全ての工程を進めいくためには、時間管理能力とタスク管理能力の両方が必須です。

アイディアが豊富で独自生や先見性がある

編集者は企画段階から担当します。多くの人が興味や関心を持つ企画を作るために、いろんなアイディアを常にストックしておく必要があるでしょう。そのためには、あなた独自の視点や世の中の流れを先読みする力が必要です。

コミュニケーション能力や交渉力

一冊の本を作るのは、チームでの仕事になるためチーム内での人間関係を良好にるためのコミュニケーション能力は必須です。また、ライターやカメラマンなどの外部の人に仕事を依頼する時は、編集者がギャラやスケジュールの交渉を行うため交渉力も必要になります。

大好きな本を通じて、社会に影響を与える仕事

編集者の仕事は社会に影響を与える仕事です。あなたが考えた企画書を元に生まれた本がヒットすれば、テレビなどのマスコミで取り上げられることもあります。また、小説や漫画の編集者であれば、あなたが発掘した作家の本が世の中に受け入れられベストセラー作家になればそれだけ社会に多くの影響を与えることができます。
特に大手出版社の編集者は狭き門ですが、本が好きで社会に影響を与える仕事をしたいと思うなら編集者の仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか?

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